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第64回CINEX映画塾『逆光』須藤蓮監督トークレポート
第64回CINEX映画塾『逆光』が7月16日岐阜CINEXで開催された。監督、主演の須藤蓮さんが登壇。
その様子をお届けする。(岐阜新聞社 後藤さん)
後藤さん
「映画『逆光』の関係者の方から岐阜新聞映画部さんと一緒にこのCINEXで上映できませんかというお話をいただいたのが今年の2月中旬で、ちょうど東京で公開されていたので見なくてはと思い、私は東京支社におりますので、吉祥寺にある映画館でレイトショーでとりあえず観に行きました。本当に嫌な映画だったらすぐお断りしようと思って観に行ったんですけども、本当に素晴らしい感性にあふれた映画で、この作品なら映画部でトークしたら面白いなと思ったんです。映画を観終わったらゲリラ的に舞台挨拶があって須藤蓮さんが出てこられて。その時に「今度僕は岐阜の柳ケ瀬に行って盛り上げます」って言ったんです。岐阜新聞社の人間がいることも知らず、この吉祥寺で岐阜柳ケ瀬の事を勝手に喋っている男がここにいるというのにも感動して、本気だなとその時思いました。そんな出会いがあってもう5ヶ月ですよ」
須藤蓮さん(以下須藤さん)
「そうですね。東京で公開しているときは、2ヶ月ぐらい公開していたんですけど、学校はさぼりがちだった僕も映画館には皆勤賞で毎日行って、自分の思いを伝えるということをずっとやり続けていました。東京公開が僕の中ではそれまで1年間やってきた中で、挫折の連続で。もちろん数字的にはそれなりにお客様も入っていたんですが、自分がやりたいことを全くできなかった敗北の体験でした。それは何かというとやっぱり東京はもうほとんど開拓され尽くしていて、僕のような何かやりたいという志は持っているけど、お金はないみたいな人間が何かをやりたいって提案したときに、力を貸してくれる余裕のある大人や、お店が意外となくて。自分がやりたいことをやってやるぞという気持ちがあるのに、実はやれずに映画館に思いを伝えに行くしかないという2ヶ月間を過ごしていました。本当に悔しかった。いよいよ東京公開も終わるとなったときに、ご縁をいただいたのがここ柳ケ瀬という場所でした。東京にアスミックエースという大きな宣伝会社があるんですけど、そこに勤めていらっしゃった関谷さんが岐阜に仕事を辞められて主婦として住んでいらっしゃって、宣伝を手伝いたいと言ってお声掛けくださって。柳ケ瀬に宣伝をしようという話になったんですよ。僕はこんな小規模なインディペンデント映画を作っているんですけど、いわゆるインディペンデント映画を作ったね、みたいなことで終わらせる気はサラサラなくて。なるべくこの作品を作る上で自分が実現したいと思っていた考え方であったりとか、思いみたいなものを広く多くの方と共有したいんです。今こんなことを映画館で言うのもあれなんですけど、映画はなかなか僕らの世代に広がりづらい表現形式ではあるので、どうやったらそういう人たちに自分の言葉であったりとか思いを届ける機会を作れるのかなというのを試行錯誤してきた1年間で、それが今こうして岐阜柳ケ瀬という場所で、後でまたゆっくり紹介させていただけたらと思うんですけど、来週の夏祭りという形で集大成を迎えられることをすごく嬉しく思っています」
後藤さん
「須藤さんはまだ25歳です。東京で公開される1,200本、1300本の映画のほとんどがメジャーの配給会社がしっかりついて、それなりの広告宣伝をして、フォーマットに則った上で劇場に公開されるんですけども、彼はそのシステムに疑問も抱きつつ、この『逆光』という映画を自ら出資して、自らの道で撮って配給、宣伝、劇場交渉も全て自分でやるということでやっているそうですね」
須藤さん
「1年前はどういう風にしたら映画館で映画が流してもらえるのかということも全く知らなかったですし、この映画は2年前に作ったんですけど、どうやったら映画が作れるのかというのはもう本当にわからなくて、ここにいる皆さんが明日映画を作るというのと同じ状況から出発しているので感慨深いですね。皆さんも僕の年くらいのときはそうだったと思いますし、僕の年齢、僕の年齢以下の方も今日はいらっしゃるのでそうだと思うんですけど、つい環境に不満って言いたくなるじゃないですか。例えば僕はこういう映画に自分が出てみたいという気持ちで最初は作り始めているんです。元々僕は役者で、自分が出たい映画がない。ないって言ったらいけないかもしれないですが、ないんですよ。特に業界を知らない、何もわかってないけど、とりあえず業界に文句を言う若者に僕はすぎなかったんですけど、何でそれが作られないのかとか、何で自分に機会が回ってこないのかとか、いろいろくすぶった思いみたいなものはずっと持っていて、何かそれを自分なりに痛い目を見て、体感して知ってみたかったんです。だから映画の宣伝とかを例えば配給会社におまかせしたら、もちろんいい感じに宣伝してくださるとは思うんです。自分なんかより遥かにやっていらっしゃる方がする正しい方法でやってくださるでしょう。でもそれって多分、東京から公開を盛り上げて、最も収益が上がるという形で、映画の宣伝がされていく。東京でまず盛り上げて、それを他の地域に広げていくという従来ある配給会社の90%ぐらいがそういう映画の宣伝をされていて、映画の公開は大体3ヶ月ぐらいで終わるんですけど、1年かけて作ったものが3ヶ月だけで他の会社に委託して、何か試みもせず終わってしまうのが、自分には耐えられなかったんです。その一番大変な道のりを自ら体験しながら、今の映画業界のいろんなことも、わかりつつある感じです」
後藤さん
「今日このCINEXの一番広いところで『逆光』を上映していただけること自体が素晴らしいと思いますし、思いを届けるという意味では映画は完全にフェアな文化でもありますし、そういったところに須藤さんは今挑戦しているというところだと思います。だから僕はもちろん応援もしたいというのもありましたけれども、映画自体に説得力がなければ、思いだけでそういった今の映画界に殴り込みといったところで、作品のクオリティがちゃんとしていないと、なかなか我々も応援できないという中で今回渡辺あやさんの脚本を得て、この映画を撮り上げたというのはやっぱり素晴らしいなと思います」
須藤さん
「僕は口だけ達者で行動が伴わないタイプで、昔からずっと殴り込みたい気持ちはあるんですけど、それなりに作品が説得力を帯びないと誰も付き合ってくれないということもわかる年頃になってきてしまっていたので、絶対いい作品にしたいという気持ちがありました。脚本は渡辺あやさん、そして僕の力で作りましたと堂々と言いたい気持ちもありつつ、やっぱり脚本の力がかなり強いと思っていて、すごく尊敬している方々に力を貸してもらいながら自分が伝えたいことを伝えるチャンスをいただきました」
後藤さん
「須藤さんは慶応大学に今も在学中なんですよね。僕が25歳の時は映画はいっぱい見ていましたが、映画を作って、それも自分の思いを伝えるために苦労しようなんて全く思ってもいませんでしたからね」
須藤さん
「ここまでずっと須藤蓮の鼻につく話が多分続いてると思うんですけれども、実は僕、映画なんか全然詳しくなくて、中高大学ぐらいまで『ペット』と『ハリー・ポッター』ぐらいしか知らなくて。元々僕は弁護士志望だったんですが、大学受験に成功して、いい大学の法学部に入って、良い就職先に行ってあわよくば弁護士になって、お金持ちになって褒められてOKでしょみたいな大学生だったんですよ。でもなんかずっとそんな自分に違和感は覚えていて。自分の中では衝撃的なきっかけが自分のロールモデルみたいないい大学に行った人が、カルトにはまってしまったことがあって。その人を引き留めようと思って一緒に銭湯に行ったときに、「その努力の先には何もないよ」と言われて。名誉とか地位とかをコレクションしていくような価値観をずっと続けていても苦しいだけだよと。言われた瞬間に自分の今まで築き上げた価値観みたいなものが全部崩壊しました。ではどうやって生きていけばいいんだろうということが全くわからなくなってしまったときがあって、それで何か積み重ねて勉強してもどうにもならない世界に挑んんでみたいという気持ちで、僕は俳優になると決めたんです」
後藤さん
「事務所も大きいところですよね」
須藤さん
「そうですね。でも大きい事務所を選んでいる時点でそんな簡単にその価値観からは逃れられなくて。事務所に行って今度は仮面ライダーになればいいんじゃないかとかそういう発想を続けるわけですよ。結局自分はそういうタイプじゃない、本当はそういうことが別に得意なわけでも好きなわけでもなくて、本当はこういうことがしたかったんだと気づくのに数年かかって、やっとそういうところまで自分なりに来れたので、今度はそれを自分が届けたいように届けてみたいと考えて、東京から公開するのではなくて映画を撮影した広島県尾道市から東京に逆流していくみたいな感じでやっていこうと決めました。最初はどうやって届けていいかわからないので、とりあえず商店街にポスター300枚を持っていって全部貼るとか、いろんなお店とコラボしてみるとか、やり方がわからないので、ひたすらそういうふうに宣伝活動というものを始めてみたのがちょうど1年前です」
後藤さん
「須藤さんは今回も柳ケ瀬に向けていろんなアプローチをかけていて、先月6月26日に岐阜市長の柴橋さんと一緒にトークショーシンポジウムもやったんですが、そういった準備も含めてやっぱり須藤さんがやろうとして+いる試みというのは、しっかり映画を届けるために何をしたらいいかというのを考えて、宣伝活動されていると思います」
須藤さん
「活動の集大成は柳ケ瀬の夏祭りだなと思っていて。それは柳ケ瀬の人たちの前だから媚を売っているわけではなくて、この映画において、この規模のことをやらせてくれる街はここしかないし、すごく自分にとっても大きなチャンスで、もう全力で夏祭りを成功させるために僕は動こうと思っています。本当に来週23日、24日の2日間はお楽しみいただければと思います」
後藤さん
「『逆光』の話をしましょう。いろんな旅行に短編小説を持ち込むみたいな感じで観られる本当に夏の代表作が生まれたなと僕は思いますけれども、まさか25歳の青年がこの三島由紀夫の雰囲気とか、いわゆる70年代のあの雰囲気をここまで作れることにも驚きました」
須藤さん
「一応公式には70年代と言っているんですが、ぶっちゃけた話、70年代が撮れるわけないじゃないですか。1970年代を僕は生きてもいないし、出身は東京都で尾道とは実は縁もゆかりもないんですよ。自分が撮りたかったものは何だったのかは撮っている間も、撮って1年経った今も明快にそれが言えるかというと正直危ういところではあるんです。この映画を作るときに、三島由紀夫の小説とか、それこそ当時の文学者の本とか話している人の言葉を聞いて、本気な人っていいなと思って。ずっと文学とかに憧れ続けたり、学生運動とかもそうですけど、何か命がけでもやりたいことがあるとか、そういう姿勢みたいなものとかを勝手に読み込んで、自分もそういう風に生きたいと思いました。70年代という時代設定から見込んで例えばファッションの作り方とかも今のファストファッションとはまるで違う服作りがされていましたし、自分自身もそういうことを勝手に70年代から憧れとして読み取って、自分なりに表現していきました。だから1970年代をめちゃくちゃ勉強したかと言われたらそうじゃないし、僕よりきっと70年代に精通している若い人もいます。僕は知識は全然ないので、僕の勝手な解釈なのかなと今では思っています。自分なりに自分が見たいものを勝手に立ち上げたような気がしていますね」
後藤さん
「もちろん渡辺さんの脚本もありますが、須藤さんの感性がこの『逆光』という1時間の中にありますね。映画って理屈じゃなくて、感覚じゃないですか。その辺のほとばしりがこの映画の美術、洋服の一つ一つもそうですが、カメラのアングルとかいろんなことを含めて、非常に若々しいし、須藤さんが70年代を楽しんでそして、必死に選ぼうとしているのがよく伝わってくるので素敵だなって思います。初めて観た方には、これが25歳の青年が撮ったとは多分思えないんじゃないですかね」
須藤さん
「半年に1回ぐらい自分の映画を観るんですが、自分が撮ったぞとはやっぱり全然思えなくて、その時、その瞬間にいてくれた人たちの才能を最大限発揮してもらうことを僕はずっとやっていて、カメラマンが枠に収まらないように仕掛け続けたりとか、人が魅力的にあるにはどうしたらいいかということを考えるのがすごく好きなので、そういう風に現場を作って撮っていたんだと思います」
後藤さん
「初監督の瑞々しさがよく伝わってくるんですよね。撮影はコロナ禍ですよね?」
須藤さん
「コロナ禍で撮ることを決意した映画なんですよ。皆さんと同じように、僕もやりたいことがほとんどできなくなってしまって。これからこれをやっていくぞと企画をいくつか走らせようとしていたタイミングでコロナ禍になってしまって。自分が希望の光だなと思って描いていた自分なりの小さな事柄の代わりに、自分の目の前に立ち現れてきたのはテレビの中で流れる感染者数のグラフであったりとか、身の周りを散歩するしかない日常だったりとか、ツイッター上の正義の押し付け合いとか、自分が正しいっていうことを証明したいっていう理屈の言葉が、違和感として体の中に蓄積されていく感覚があって。コロナ禍を経て、この映画『逆光』という作品とのちのちそれにまつわる宣伝もそうなったんですけれども、こういうことをやってみたいとか、こういう風にしたい、こういうものが見たいとか、そういうちょっと毛穴が開いてテンションが上がるけど理由はないみたいな、そういう自分の中から湧き上がってくる感覚を徹底的に大切にしてみるという実験をしていたような気がしました。70年代とかかつてあったものを撮ってみたいと思ったときにテンションが上がったから撮ってみちゃったみたいな。そういう感覚なんですよね」
後藤さん
「そこに渡辺あやさんの脚本もあってすごく筋が通っていて、観ていて心地いい映画になっているなと思います。須藤さんはでも初監督じゃないですか。この映画でいっぱいいろいろ勉強はしたんですか」
須藤さん
「やっぱり怖いじゃないですか。映画を1本も撮ったことがないわけですが、脚本は渡辺さんに頼んだので、ある程度業界の人が観ることも想像つくじゃないですか。その時点でしょうもないものを作ったらもう終わりだなという状況で、取ってつけたように、カメラワークも本を買ってみて読んだりとかはしましたし、実践もしました。でもうまくいかなくて。そういうことは、この映画に合ってなかったんだなあと今は思っていて。答えは作品と自分の間にしか生まれないんだなと映画を作ってみて思いました。自分の外に正解というものとか成功というものがあったりして、例えば、受験に成功していい大学に入ってという人生プランに乗っかるみたいな、自分の外にある価値観に自分を重ね合わせて成功を得るという考え方ですね。作品もそうで、こういう監督が好きで、こういう監督の文脈に自分を乗っけるという、外にある正解に自分を重ねる憧れとかもそうだと思うんですけど、この活動を1年やってきて思ったのは映画を作っていくことで、目の前のことと自分の中にどれぐらい深く近づいていけるかということでしか僕は幸せになれないし、いいものを作れないんだなとすごく感じて。成長って何かになるわけじゃなくて自分になっていくということなのかなというのはすごく思いますね」
後藤さん
「でも自信作でも当然あるわけですよね。須藤さんの感性がすごい伝わってくるんですよね」
須藤さん
「すごく撮影は楽しかったんですよ。表現してみたいけど歌が歌えるわけでもないし、絵が書けるわけでもない。リンゴすら書けない。音痴で、ずっとバンドをやっている友達を憧れて見ていたりとかして。初めて自分が監督という立場をさせていただいて、表現ができることがとにかく楽しくて。もうずっとハイ。そのときに初めて自分に才能なんてないと思っていたんですけど、自分の中にないと思い込んでいたものがワーッて湧き上がってきて、すごく自分にとっても快体験というか心地よい体験だったんですよ。それが自分自身に少し近づけたからなのかなって僕は思っているんですよね」
後藤さん
「あんまり映画を観ていなかったと言ってましたけど、この映画を見る限り、随所にいわゆるルーズな感じとか、すごくいい影響をすっと出して、それを初監督作で出せるというのは並じゃないというのは、本当にわかりますし、僕は本当に須藤さんは映画監督に向いてると思っています。もう2作目を撮っているそうですね」
須藤さん
「でも死ぬかと思いました。2作目を作って。この間まで編集していたんですけど、『逆光』みたいにいかなくてですね。もう毎日うなされるみたいな状況が、半年ぐらい続いていたんですよ。ようやく抜け出したんですけど、映画を作るって茨の道しか歩ませてもらえないみたいで。そこも含めてなやっぱり楽しいです」
観客から
「脚本以外に自分のアイデアはどこまで入っていますか?360度回転するカメラとか服を着て海の中に入って、男同士でわちゃわちゃするシーンとかがよかったですが、これは須藤さんのアイデアでしょうか」
須藤さん
「360度カメラはやりたいなと思ってやっただけなのでそんな褒められたものではないんですけど、やっぱり僕は渡辺あやさんはすごく才能がある方だなと思うんです。皆さんもご存知だとは思うんですけど。でもなんか、ものすごく驚異的なまでに意味を研がれる方なんですよ。でも、もう一つ才能があるなって知り合っていく中で思っていて、それは何か。意味性に落とし込まない部分に渡辺あやさんの真髄がもう一つあると勝手に思っていて、その抽象的なことをちゃんと伝えられちゃうということが才能の一つだなと思っていて、なるべく意味を研がないで欲しいということをずっと伝えていて、要はストーリーは渡辺あやのストーリーがちみたいな映画を作りたいんじゃなくて、知的で、意味は研がれていないかもしれないけれども、その情景とかがすごく入ってくるような、言ったら『逆光』が目指しているような映画を作ってみたいってことを最初に一応お伝えしていて。でももちろん僕は脚本を書けるわけではないので、100の信頼でお任せするというところがほとんどなんですけど、例えばミーコというキャラクターは僕が考えていたりとか、2回歌わせてほしいとか、この歌を歌ってほしいということとか、水中の飛び込むシーンが欲しいとかは話していて、その水中の飛び込みの撮り方、撮り方は全部僕らで決めています。ジャ・ジャンクーという中国の映画監督が好きで、その人が360度カメラを回したりするんですよ。人物がすごくそこの実景に入りながら、尾道が全部映るってどうやったらいけるんだろうみたいなことを考えたときにロープウェイというロケーションも含めて、カメラが360度回る中に男の背中とその目線があるっていうことが、冒頭にあったらいいなとなんとなく思ったんですよね。何か吸い込まれるとか引き込まれるということを大事にしていて、どうやったら人の没入感が生まれるだろうということを考えながら撮っていて、ロープウェイの木だと思ったら、それが引き下がってきてここロープウェイだったんだってわかって、それが回りだすことで、その関係性が伝わるとか、すごくシンプルだけど、伝わっていくという自分の美的感覚の塩梅みたいなものがあって、それを実現しようとやっていましたね。『薄氷の殺人』という映画を撮っているディアオ・イーナンという映画監督がいるんですけど、常にワンカット目で「何これ?」なんですよ。ひきつけられます。中国の監督は結構そういうことをやっていて、普通にお客さんとして見ていて面白いな、虚を突くことで没入感が生まれるってことがあるんだと思っていたので、自分が映画を撮るならやってみたいなと。水中に飛び込むときにカメラが一緒に飛ぶとは思わないじゃないですか。それをなるべく前のカットをちょっと引き延ばしておくことで、飛び込んだときにかかった音楽で一瞬没入体験が生まれるみたいなことができないかなあとか、言語化はうまくできないんですけど、そういう瞬間がこの映画には必要かなと思って自分なりにやってみた部分は結構多いですね。でもやっぱり脚本が想像力をかきたててくれたので、かなり脚本によるところだと思います」
後藤さん
「本当にありがとうございました。こんな感じで須藤さんは岐阜に今滞在しながら、来週23日、 24日の岐阜柳ケ瀬夏祭りをどう盛り上げるかということで頑張ってくれています」
須藤さん
「絶対昭和歌謡ショーに来てください。柳ケ瀬のモスバーガーで働いている人がその日だけ歌姫になったりするので、バックバンド付で30人ぐらいを率いながらやります。僕も踊ります」
後藤さん
「これは本当にいいものだと思っていますので、ぜひ頑張っていただきたいと思っています。美川憲一さんにも手伝っていただきながら柳ケ瀬の魅力を思いっきり須藤さんと一緒にPRしていこうと思っていますので、それもぜひ楽しみにしてください。『月曜日のユカ』も須藤さんチョイスということで、ロイヤル劇場で35ミリ上映をします。こちらもよろしくお願いいたします。では最後に須藤さんから一言」
須藤さん
「夏祭りをとにかく盛り上げたくて、自主映画を1年間いろんな届け方をしてきて、厳しいものとかもさんざん見てきて、厳しい現実と向き合ってきている中で時々折れそうになったんですけど、ここにしか自分の行ける場所はないと思っていて、何度もやめようかなと思ったんですけど、自分はこの考え方から降りれないので、絶対この道をこじ開けてやるぞという気持ちで、岐阜の柳ケ瀬夏祭りは、本当に皆さんに楽しんでいただくことでしか成功し得ないお祭りなので本当に来ていただきたいです。祭り自体すごく楽しくなると思います。皆さんぜひ身近な人を誘って来ていただきたいです。少しでも身内になっていただけたら本当に嬉しいです。今日は長い時間本当にありがとうございました」
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