EntaMirage! Entertainment Movie 岐阜推し!
第71回 CINEX映画塾 映画『銀平町シネマブルース』小出恵介さん、宇野祥平さんトークレポート
第71回CINEX映画塾『銀平町シネマブルース』が2月17日、岐阜CINEXで開催された。小出恵介さん、宇野祥平さんが登壇したトークの様子をお届けする。(ネタバレあり)
小出恵介さん(以下 小出さん)
「初めまして小出恵介と申します。『銀平町シネマブルース』に出させていただきました。いかがだったでございましょうか?」
(場内大拍手)
小出さん
「ありがとうございます。本作は一昨年の秋ぐらいに撮影をしまして、2月10日に公開となりました。今日はいろいろとお話できたらなと思います。よろしくお願いします」
宇野祥平さん
「皆さんこんばんは。宇野祥平といいます。いやあ、嬉しいです(笑)。よろしくお願いします」
岐阜新聞社 後藤さん(以下 後藤さん)
「今日岐阜CINEXに来ていただいて本当にありがとうございます。皆さんにシネコンじゃなくて、こういう商店街にある映画館を存続して来ていただくのも大変な時代にはなっているんですが、まさしくこの映画館と同じような銀平町シネマが出てくる『銀平町シネマブルース』にご出演されたわけですが、小出さんにとっても思い入れのある映画だと思います。ご出演のきっかけから教えていただいていいでしょうか?」
小出さん
「そうですね。お話をいただいたのは2020年の夏ぐらいで、僕はちょうどドラマを撮っていた後で、僕自身も自分のキャリアとが『パッチギ』という映画に始まっていますので、スクリーンでまた活躍したいなと思っていたときだったので、映画とミニシアターを題材にするという部分と、群像劇っていうことだったんですけども、非常にいい題材だなと思いまして、役柄も相まって、自分にとって、きっかけとなる作品になるかなと思いました」
後藤さん
「これは、城定秀夫監督の作品だというのはもうわかっていて、シナリオを読まれて」
小出さん
「その時はシナリオはなくて。城定監督という名前が挙がっていて。僕はお名前を聞くまではちょっと存じ上げなかったんですけども、それから作品をたくさん観させていただいたりして、非常に作家性があるというか、素敵な監督さんだなと。やっぱり独特の味わいといいますか、雰囲気がありましてですね。脚本もそうでしたけども、現場も独特の空気感がありましてですね、非常に楽しい現場でした」

後藤さん
「城定監督は今乗りに乗った日本映画の監督だと思いますけども、昨年は4本監督作があって、脚本作も2本あったという中で、今年の最初を飾るのがこの『銀平町シネマブルース』になっています。宇野さんにお聞きします。宇野さんは本当に日本を代表するバイプレーヤーとして、私は本当に昔からずっと好きで、特に『罪の声』で日本アカデミー賞の助演男優賞を獲られたとき、もう本当に嬉しかった。今回ご出演されて、感想を聞かせいただけますか」
宇野さん
「去年、一昨年ですか。城定さんと僕は『ビリーバーズ』という映画で10年ぶりに呼んでもらって。10年前は『ユリア100式』という映画だったんですけど。城定さんは『ビリーバーズ』と『銀平町シネマブルース』の間にもう1本撮ってるんですよ。しかも『ビリーバーズ』の前も『愛なのに』があるんだ。どんだけ連続で撮るんだろう、すごいなっていう。まさか城定さんがまた撮るってことも知らなかったですし。しかもね、主演が小出さんって聞いてとても嬉しかったですし、脚本はいまおかしんじさんで。もう夢のような布陣ですよね」
後藤さん
「『ビリーバーズ』をご覧になった方も多いと思うんですが、この映画館でもやりました。あの宇野さん最高ですよね」
小出さん
「結構刺激的な内容で。僕もつい最近観させてもらったんですけど、怖いですよね。宇野さんがさらに怖く見える。『銀平町シネマブルース』を撮る前に観なくてよかったです(笑)」
後藤さん
「宇野さんがこの映画でも『カサブランカ』で号泣して、その後拝むじゃないですか、その時に「やれ!」って言っている感じが『ビリーバーズ』に繋がるんですけども(笑)、ああいうパン!と飛び上がるような凶器じゃないんですけど、何か情熱みたいなものが出るときがいっぱいあってですね、すごく楽しくいつも観させていただいています。『ビリーバーズ』は全編通してそんな感じの映画でしたよね」
宇野さん
「(笑)。脚本と、やっぱり城定さんの力ですよ。脚本も素晴らしかったですし、今回もいまおかさんの脚本は本当に素晴らしいんですけど、撮影のときに現場の監督の判断で状況が変わる部分があるので、撮影稿というのがあるんです。それもやっぱり素晴らしかったですよね。だから拝むっていうのも監督の案ですかね」
小出さん
「でも叫ぶというのはト書きにはなかったので、やっぱり宇野さんのチョイスというか」
宇野さん
「これはやっぱり小出くんとの芝居で生まれていますね」
小出さん
「確かにおっしゃった通り、結構急にガーンってくるところがあるので、シンプルにびっくりしますよ。映画館のシーンで最後僕らがゴミを片付けて、最後宇野さんに話しかけた時の「観ろよ!」というあの芝居に普通に僕と小野莉奈ちゃんはびっくりしていました」
宇野さん
「でもその前の小出さん演ずる近藤の感じにちょっと腹立ったんでしょうね多分」

後藤さん
「小出さんの演技で誘発された」
宇野さん
「小出くんのせいで叫んじゃった(笑)」
小出さん
「いいですね」
後藤さん
「小出さんと宇野さんは今回以外でもお仕事はされたことは?」
小出さん
「そうですね昔「jimmy〜アホみたいなホンマの話〜」というドラマがありまして。Netflixさんの連続ドラマだったんですけども、そこでご一緒させていただいて。僕はちょっとご迷惑をおかけして、再撮影ということがあったんですけれども、それぶりの共演でしたので、本当に僕としてはまたご一緒できるということが非常にありがたかったですし、感銘を受けておりました」
後藤さん
「出てくるキャラクターが皆さん生き生きしていて細かく描かれているいい映画だなって思いましたけども、映画館に人が集まる、映画館をサロンにして、町の人々がつながれていく、そこに小出さん扮する時間が止まったような主人公・近藤が、ああいった形でやってきて、またそこからスタートしていく姿を情感的に描いていると思います。僕は2回観たんですけど、多分3回目観たらさらに情感は伝わってくるんだろうなというぐらい厚みのある映画、本当に皆さん1人1人の役者さんがそれを紡いでいるなという感じがしました。小出さんはこの脚本は選びに選ばれた感じなのでしょうか」
小出さん
「いや全然そんなことはなくてですね、機会があれば、どういった役柄でも受けたいなと思っておりましたし、どういう作品でも挑戦したいなと思っている最中だったですね」
後藤さん
「小出さんのご活躍は存じておりますし、私は『キサラギ』が大好きで。映画館で観る小出さんの勢いが好きだったんです。今回久々に映画館で観る小出さんは、城定さんのインタビューでちょっと聞いたんですけど、どうしてもかっこよさを消さなくちゃいけない役柄というところなのに、何をやってもかっこいいそうなんです。かっこよくやるなというようなことも含めて。そういうのはやっぱり無意識だと思うんですよ。でもやっぱり出ちゃうというようなことで注意されたりしたとか」
小出さん
「いや多分気を遣っていただいているだけだと思うんですけど、近藤という役柄ってずっとこの作品はほぼ彼のペースという感じがあったので、誰と絡んでいるとかよりも、近藤としてちゃんと1人の人間に繋がっていないとこの映画は成立しないな、この映画の雰囲気は伝わらないなと思っていたので、一番そこに神経を使ったといいますか。今回は近藤という感じでいるということを非常に重要にさせてもらいました」
後藤さん
「今週の月曜日に新宿の武蔵野館というところでも舞台挨拶をされたんですけども、前の奥さんにビンタをされるシーンがありますが、前妻役のさとうほなみさんが舞台挨拶にいらっしゃいまして。橋の上でビンタを何回もされるじゃないですか。その裏話を小出さんが話していらして、面白かったんですけども。さとうさんは僕は知らなかったんですが、ゲスの極み乙女のドラマーの方でスナップが強いそうです」
小出さん
「奥様役のさとうさんはゲスの極み乙女というバンドでドラムを叩いてるんですよ。なので僕もちょっと覚悟はしたんですけども、予想以上のクリーンヒットでしっかり芯に響くような感じのやつを4発ほどいただきました(笑)」
後藤さん
「さとうさんはすごくいい役者さんですよね。僕はそんなミュージシャンの方とは知らなくて」
小出さん
「『愛なのに』にも出ていらして。最近たくさん出ていらっしゃいますよね」
後藤さん
「そういう役者さんとのコラボで、この映画の雰囲気というのもいつもと違ったこともあったんでしょうか」
小出さん
「おっしゃる通りいろんなジャンルで普段活動されている方が集まっていたので、非常にコラボレーションみたいなものが刺激的といいますか、映画館でバイトしていた女の子を演じていた藤原さくらちゃんは普段はミュージシャンだったりとか、結構皆さんいろんなところから来ていたので非常に面白かったですね」
後藤さん
「役者さんは中島歩さんとか、片岡礼子さん。中島さんは売れない役者だと言って、カッパのぬいぐるみを着て商店街のPRをする役者さんで、最近大活躍されています。私が一番泣いたのは片岡礼子さん。亡くなった助監督のお母さん役をやられていて。小出さんが自宅を訪ねて一緒にご飯を食べるシーンとかも素晴らしかったんですけど、やっぱり息子が小出さん演じる藤原が助監督のシーンをおまけで出して、映る息子の姿に号泣するシーンとかは涙なしでは見られないぐらい、片岡さんの情感が素晴らしいなと思いました」
宇野さん
「僕もあの2人のシーンすごい好きですね。いいですよね。撮影期間が12日しかなくて。小出くんのスケジュールは大変なことになっていたと」
小出さん
「そうですね。結構ずっと朝から晩まで撮影はしてましたね。シーンもいろいろ行ったり来たりしてましたし」
後藤さん
「順撮りではない」
小出さん
「そうですね」
宇野さん
「でも城定組って不思議なのが急いでる感じは全然ない、すごいゆったりした空気ではあるんです。日数的にはだからびっくりしますよね」
小出さん
「これで100分の長編を撮り切っちゃう」
宇野さん
「しかも監督は足を骨折したのに」
後藤さん
「確か撮影4日目で」
宇野さん
「骨折されたのに、予備日1日しか使ってないという」
後藤さん
「映画館の中とか、現場としては狭い映画館で撮影されているんですよね。足を骨折された監督はどう立ち回ったんでしょう」

小出さん
「片脚を折って、松葉杖のちょっと進化バージョンみたいなやつがあるんですが、それが途中から導入されて。それがちょっとスリムになるので、ちょうど狭い通路を通れる感じになりまして、後半は使いこなしてウロウロされていました」
宇野さん
「かっこよかったですよ」
後藤さん
「でも骨折してきたときはこの現場大丈夫かという雰囲気にはならなかったですか?」
宇野さん
「止まったことは止まりましたけど」
小出さん
「でもね、なんとか進めるだろうって感じがしましたよね、監督は」
後藤さん
「宇野さんは仕事を一緒にされていない俳優さんも監督さんも、もういないぐらいではないですか?」
宇野さん
「いやいや」
小出さん
「宇野さん、去年何本撮影されたましたか?」
宇野さん
「18本ぐらい」
小出さん
「ええーーっ!」
宇野さん
「映画だけじゃなく、ドラマも合わせて18本。ちょっと異常ですよ、これは」
小出さん
「18本というのは僕、初めて聞きましたね」
宇野さん
「でもコロナとかでいろいろずれたりとか、延びたりとか」
小出さん
「それは今年ずっと宇野さんが映っているでしょうね」
後藤さん
「ドラマ「クロサギ」も出られてましたよね」
小出さん
「宇野さんの中でドラマと映画に違いはあるんですか?」
宇野さん
「いや、あんまりないですかね。もちろん映画は好きです。僕は自主映画から始まっているので映画は好きなんですけど、テレビはテレビの良さ、連続していく良さがあるんです。どっちもまた違う魅力があります」
小出さん
「同時進行でテレビを撮りながら映画もできる?」
宇野さん
「いや本当はやりたくない(笑)。本当はやりたくないけどしょうがないですね。今、スケジュールがコロナ禍的な原因で詰まっていることもありますし。本当は1個ずつやりたい」
後藤さん
「小出さんはこの後も映画は積極的にやっていきたいですか?」
小出さん
「そうですね。映画もそうですし、僕はドラマも舞台もやっていきたいです」

後藤さん
「今ニューヨークにお住まいなんですよね?「えんとつ町のプペル」の舞台版をやられる予定だったけど中止に」
小出さん
「予定していたんですけども、それがもう、途中でストップしてしまって。そんなこともあって日本にまた戻ってきてやりたいなという流れもありました」
後藤さん
「この映画のラストシーンで「よーい!」というところで止まる。スタートではなくて、まさしくここから近藤の新しい物語が始まる、そこが小出さんのスタートに重なっていくというのがよかったですね」
宇野さん
「小出さんがこの映画と出会えたのはすごい嬉しいことですよね。そう思いました」
後藤さん
「私が大好きなシーンが渡辺裕之さんとのシーン。この映画の撮影の後に亡くなられたんですよね。この作品では映写技師をやられている。あんなダンディな映写技師いないだろうって思うぐらい」
小出さん
「皆さんのめちゃくちゃうなずきが増えましたね(笑)」
後藤さん
「近藤の映画編集が出来上がったときに渡辺さん演じる映写技師が覗いて「出来たんか」と言って一緒に踊るじゃないですか。最初観たときはちょっと踊りが長いぞと思いながらも、やっぱりいいんですよね。ああいう風に近藤も「え?ちょっと」とか思いながらも段々乗ってきて、でもずっと奥まで進んでいく。割と長いシーンですよね」
小出さん
「そうですね。本当にワンカットで踊り始めから撮っていくので、実際に長いですし、観ていても確かに長く感じると思うんですけれども。その長さが逆に独特のエッセンスというか、何か死に間にはなっていない感じがしまして、味を足しているなと思いました」
後藤さん
「この踊るシーンがラストシーン、海で近藤が一人で踊るところに繋がるところが素晴らしいなと。一番この映画の名シーンだと思うんですけども、あの映画館で上映会イベントがあって、こんなところで何ですがと中島歩さん演じる渡辺が手紙を渡したその返事を聞いてから出演者たちのカップルの連続エピソードがばあっと出てきて、1カメで撮るシーンとかもすごくいいシーンでしたね」
宇野さん
「あのシーンは2日目じゃなかったっけ?」
小出さん
「映画館チームであの日が撮影初日の方がたくさんいて。あの日あのシーンがほぼ初めてという人も多分何人かいたんですよね。それぞれ愛について語るシーンをよく見るとワンカットで撮っていて。つなぎ目がないので誰かがミスったりすると、もう1回撮り直ししなきゃいけないという一番俳優さんたちはドキドキする。スタッフさんもそうなんですけど。そういう撮り方なんですけども、そのワンカット長回しというのを急に提案する監督というのも、センスがあるというか素敵だなと思いましたね」
後藤さん
「中学生の映画ファンの男の子・守が近藤の娘・ハルに「君、彼氏いるの?」と聞いた返事が「うん。3人いるよ」って軽く言われて、「だから映画ファンは駄目なんだよ」って映画ファンとしてもすごい駄目出しを食らうみたいな、僕もあんな中学生だったなとか思い出したりとかしながら」
小出さん
「あれは城定監督の自虐というか、そういう目線も持ってるというんですかね、何かそこが素敵だなと思うんですよね。映画オタク、映画愛好家というのは素晴らしいってだけじゃない。逆の目線も持っているというのはすごく今回感じて。冷静な方だなというか全方位で見ている方だなと思いましたね」
後藤さん
「この脚本で近藤は前の奥様に、その流れの中で「今、男いるの?」って聞いて、「うん、いるよ」と返される。ちゃんと新しい幸せを見つけているじゃないですか。あの感じもこの脚本、映画のいいところだなって思います」
小出さん
「そこは現実という感じですかね。この架空の町で架空の時代。この作品は時代背景を明確にしていないんですけども。そこでも絵空事、ありえないからそれはということはないというか、ちゃんと現実的な部分に話もあって、たまに手綱をぐっと引っ張ったりというのがやっぱり素敵ですよね。監督に関しても」
後藤さん
「宇野さんは今回の佐藤という役はホームレスで、この役どころはそんなに難しくなかったのかなっていうぐらい。冒頭のシーンで「映画のチラシ買わない?」というところがもう完全にリアルだと思っちゃったんです。役作り的なことは何かされたんですか?」
宇野さん
「ちょっと答えにくい質問ですね(笑)。どうなんですかね。脚本があって監督がいて、小出さんもいて。本当にその場でって感じで」
後藤さん
「脚本を読んで、こういう役作り、イメージはふんだんに込めて現場には臨まれるんですか?」
宇野さん
「読み込んではいきますけど、やっぱりね、相手もいて。その時の機転とかもいろいろあるので。自分ではどうしてもイメージはあったりしますけど、出来るだけその場に行ってということを大事にしたいなとは思っています」
後藤さん
「今日この映画のプロデューサーの直井さんも東京から来ていただいていて。本当に今、日本映画の中のいい映画の中で直井さんの名前を見ないことがないぐらい、いろんな映画のプロデュースに関わっておられます。来ていただいて一言いただけますでしょうか。今日はスカラ座のTシャツを着ていらっしゃいますね」
直井卓俊プロデューサー(以下 直井さん)
「『愛なのに』『アルプススタンドのはしの方』でもCINEXでお世話になって本当にありがとうございます。この作品はコロナ禍のときに、いろんな活動があったと思うんです。映画館を応援するとか支援を応援するとか。何か良い映画を作って、ちゃんと上映まで持っていくことをやってみようと思ったことと、小出さんの主演作を何か作ろうということがあったので、ちょうどそこを結びつけて作った企画だったんです。今ちょうど『バビロン』とかいろいろ映画館の映画がたまたま公開が重なっていまして、多分企画した人たちが、コロナ禍のときに考えたのが今ようやく出てきて、タイミングがやっぱり一緒になっているのかなと。4本ぐらいあって、これから公開するものもあると思うので、これを機に映画館というものをそんなに難しく考えないで観ていただけるものをということで、城定さんも考えてくださって、脚本のいまおかさんに声をかけてくださったと思うんですけど。あまり説教じみないというか、映画がどういいのかということではなくて、単純に映画っていいよねということをシンプルに伝えられたらと思って企画から一緒に脚本も監督も小出さんもいらっしゃっていたので、すごくいいものが作れました。城定さんも今日は来れなかったんですけど、ご自身でもこういう映画を作り続けたいなっておっしゃっていただいて、嬉しく思っています」

後藤さん
「本当に映画館、ここCINEXも本当に皆さんぜひ岐阜で大事にしていただきたい映画館です。そういえば今日『銀平町シネマブルース』を観てですね、あの映画館ちょっと汚れすぎじゃないですかって思ったんですが(笑)」
小出さん
「毎回言われてます(笑)」
後藤さん
「やっぱりそうですか(笑)。あれだけチラシとかゴミとかそんなに今の人は映画館では捨てないぞっていうのは率直に思いまして」
小出さん
「一番そういうことに敏感になってやっていたはずなんですけど、そこだけは監督も悔やんでいらっしゃいましたね。皆さんが突っ込まれるポイントになってしまって。映画館はこんなに汚くないと」
宇野さん
「僕は大阪出身なので言いますが、新世界とかならもっと落ちてますけど」
後藤さん
「今もあんな感じで?」
宇野さん
「はい。浅草とかもそうですね。もう今なくなっちゃいましたけど。でも確かにね、拾いすぎですよね(笑)」
後藤さん
「小出さんは映画館で映画を観ることはお好きですか?」
小出さん
「大好きです。高校時代からミニシアターはよく行っていたので。僕は東京の高校だったので渋谷にはよく通って。映画館もたくさん行ってましたね。当時渋谷のミニシアターがちょうどたくさん出来た時で、シネマライズを筆頭にシアターイメージフォーラムとか、ユーロスペースとか出来ました」
宇野さん
「シネセゾンとかね」
小出さん
「そうですね」
後藤さん
「そういったミニシアターが東京でもなくなりつつあったりとかしてるんですよね。宇野さん演じる佐藤がが言ったセリフの中で、生活保護を受けて「最近映画観てないんだよ。お金があると心の余裕がなくて観れないんだよね」というのがありましたが、それが響いて」
宇野さん
「本当にそうですよね、若いときは多分一番僕も観てた。今も観ていると思っているんですけど、でももっと観ていましたね。1日3本とか4本とか。暇だったというのももちろんありますけど(笑)」

後藤さん
「やっぱり気持ちにゆとりがないとなかなかっていうところですよね。そういった意味で、映画館映画というものがあるとしたら本当にこの映画の愛情というのはものすごく伝わってくる映画です。ですから皆さんぜひ口コミで広めてください。この映画は一応2週間上映予定をしていますが、お客さんが入れば支配人は多分延長してくれると思います。あ、さっき支配人に聞いたんですよ。「弁護士免許持ってます?」って。「持ってない」って言ってましたけど」
宇野さん
「ちゃんと聞いたんですね(笑)」
観客から
「もし小出さんが宇野さん、宇野さんが小出さんを映画監督として撮るとしたら、どんな役をやってもらいたいかどんな作品にしたいか教えてください」
小出さん
「僕は宇野さんとドラマも一緒に1クール一緒にやらせていただいて、もちろんそれは違った役柄で違った関係性だったり。その時もすごく絡みは多くて、今回も結構絡みのある役でやらせていただいたので、見ていない役柄といいますか、宇野さんのコメディとかひたすら明るいとか、ちょっとステレオタイプっぽいキャラクターっぽいものを挑戦していただくのも面白いかもしれないなって思います。そこで宇野さんがどう格闘するのかというのを、僕が監督ということだったら見てみたいなと」
宇野さん
「めちゃくちゃNG出すかも」
小出さん
「え? そういう感じ?テイク重ねることは気にしますか」
宇野さん
「いやむしろ重ねてくれた方が嬉しい。重ねたからといって落ち込むとかはないかな。僕が監督だったら、「現代版子連れ狼」。小出くんが乳母車を押しているのを観てみたいかな」
小出さん
「人斬り系ですよね」
宇野さん
「どっちかって言ったら萬屋錦之介さんの方じゃなくて、若山富三郎さんがやったスプラッタに近い「子連れ狼」をお願いします」
小出さん
「ではぜひ次のアクターズフィルムで」
宇野さん
「お金かかるけど……」
小出さん
「もし実際オファー来たらやりますか?」
宇野さん
「やらないと思います。監督の才能ないので」
小出さん
「撮られたことはあるんですか?」
宇野さん
「自主映画で昔やってた。専門学校行ってたとき」
小出さん
「じゃあさらに経験を重ねて」
宇野さん
「いやいやいや、無理だと思う」
観客から
「今回の作品の中で宇野さんに限らず、他の俳優さんと演技を重ねる上でいい意味での化学反応みたいなことが起きたお2人にとって印象的なシーンがあれば教えていただきたいです」
小出さん
「宇野さんとのシーンもたくさんあるんですが、その中で、吹越満さん演じる劇場支配人・梶原とのシーンもすごく多くてですね、吹越さんは結構どんどんどんどん演技を変えられていくというか、いろいろ要素を足していったり、現場でも結構トライされるので、それに関して僕たちが対応する部分というのはエキサイティングと言いますか、3人のくだりという部分ですと、そこで宇野さんがどういう風に対応するんだろうなって見ているんですけど、全然何事もなかったかのようにスルーしているときもあれば(笑)、宇野さんは宇野さんで1個何か手を返したりするのを見ているのがすごく楽しくて。僕は役柄の上でも受けなので、結構それに対して受けられるんですよね。お互いがキャラクターを持っているときというのはどうするんだろうなと思ったんですけど、そこはやっぱりベテラン実力派俳優さんの駆け引き、セッションがありました。今回結構芸達者というか、皆さん本当に慣れていらっしゃる方が多かったので、そういう演技で絡む楽しさというのはいろいろありましたよね。監督も余白を作っておられるというか、細かく言わないので、その分役者の自由があって、そこを楽しめる役者さんが多かったと思いますね」
宇野さん
「3人での喫茶店のシーンは楽しいというか、どうなるかわかんないっていう(笑)」
小出さん
「そうですよね。どうなるかわからないですよね。もちろん前触れもない、こんな感じでいくっていうこともあんまりないので、宇野さんも結構それを伺っている時もありましたよ。それを受けて佐藤として返している感じが見えました」
宇野さん
「なぞらなくていい。3人だと同じシーンをやっている感じがしないのもありますよね。だってみんな全然同じことをしないので(笑)、良い意味でです」
後藤さん
「最後に一言ずつお願いいたします」
宇野さん
「本当に皆さんお忙しいところ、ご来場ありがとうございます。嬉しいです。僕も皆さんと同じように映画が好きで、映画ファンなので、僕もいろんな映画館に通いたいなと思っています。ありがとうございました!」
小出さん
「岐阜はですね、郡上八幡という場所に昔、『僕の彼女はサイボーグ』という映画で撮影でお邪魔したことがありまして、12年ぐらい前なんですけども、水の綺麗な場所で、昔のお祭りのシーンを撮影させていただいたんですけども、それぶりに来させていただきました。また岐阜で映画撮影もしたいなと思いますし、こういう映画作品を通して街だったり、市みたいなものがフィーチャーされて盛り上がっていくといいなと思っております。引き続きこの映画の宣伝もしていただけたら嬉しいなと思っております。よろしくお願いします」

左から 直井プロデューサー、小出恵介さん、宇野祥平さん
映画『銀平町シネマブルース』 https://www.g-scalaza.com/
は現在岐阜CINEX他で、全国順次公開中。
おすすめの記事はこれ!
-
1 -
運命さえも覆せ!魂が震える慟哭のヒューマン・ミステリー(映画『盤上の向日葵』)
『孤狼の血』などで知られる人気作家・柚月裕子の小説『盤上の向日葵』が映画化。坂口 ...
-
2 -
本から始まるストーリーは無限大に広がる(映画『本を綴る』篠原哲雄監督×千勝一凜プロデューサー インタビュー&舞台挨拶レポート)
映画『本を綴る』が10月25日から名古屋シネマスコーレで公開されている。 映画『 ...
-
3 -
いつでも直球勝負。『おいしい給食』はエンターテイメント!(映画『おいしい給食 炎の修学旅行』市原隼人さん、綾部真弥監督インタビュー)
ドラマ3シーズン、映画3作品と続く人気シリーズ『おいしい給食』の続編が映画で10 ...
-
4 -
もう一人の天才・葛飾応為が北斎と共に生きた人生(映画『おーい、応為』)
世界的な浮世絵師・葛飾北斎と生涯を共にし、右腕として活躍したもう一人の天才絵師が ...
-
5 -
黄金の輝きは、ここから始まる─冴島大河、若き日の物語(映画 劇場版『牙狼<GARO> TAIGA』)
10月17日(金)より新宿バルト9他で全国公開される劇場版『牙狼<GARO> T ...
-
6 -
「空っぽ」から始まる希望の物語-映画『アフター・ザ・クエイク』井上剛監督インタビュー
村上春樹の傑作短編連作「神の子どもたちはみな踊る」を原作に、新たな解釈とオリジナ ...
-
7 -
名古屋発、世界を侵食する「新世代Jホラー」 いよいよ地元で公開 — 映画『NEW RELIGION』KEISHI KONDO監督、瀬戸かほさんインタビュー
KEISHI KONDO監督の長編デビュー作にして、世界中の映画祭を席巻した話題 ...
-
8 -
明日はもしかしたら自分かも?無実の罪で追われることになったら(映画『俺ではない炎上』)
SNSの匿名性と情報拡散の恐ろしさをテーマにしたノンストップ炎上エンターテイメン ...
-
9 -
映画『風のマジム』名古屋ミッドランドスクエアシネマ舞台挨拶レポート
映画『風のマジム』公開記念舞台挨拶が9月14日(日)名古屋ミッドランドスクエアシ ...
-
10 -
あなたはこの世界観をどう受け止める?新時代のJホラー『NEW RELIGION』ミッドランドスクエアシネマで公開決定!
世界20以上の国際映画祭に招待され、注目されている映画監督Keishi Kond ...
-
11 -
『ぼくが生きてる、ふたつの世界』の呉美保監督が黄金タッグで描く今の子どもたち(映画『ふつうの子ども』)
昨年『ぼくが生きてる、ふたつの世界』が国内外の映画祭で評価された呉美保監督の新作 ...
-
12 -
映画『僕の中に咲く花火』清水友翔監督、安部伊織さん、葵うたのさんインタビュー
Japan Film Festival Los Angeles2022にて20歳 ...
-
13 -
映画『僕の中に咲く花火』岐阜CINEX 舞台挨拶レポート
映画『僕の中に咲く花火』の公開記念舞台挨拶が8月23日岐阜市柳ケ瀬の映画館CIN ...
-
14 -
23歳の清水友翔監督の故郷で撮影したひと夏の静かに激しい青春物語(映画『僕の中に咲く花火』)
20歳で脚本・監督した映画『The Soloist』がロサンゼルスのJapan ...
-
15 -
岐阜出身髙橋監督の作品をシアターカフェで一挙上映!「髙橋栄一ノ世界 in シアターカフェ」開催
長編映画『ホゾを咬む』において自身の独自の視点で「愛すること」を描いた岐阜県出身 ...
-
16 -
観てくれたっていいじゃない! 第12回MKE映画祭レポート
第12回MKE映画祭が6月28日岐阜県図書館多目的ホールで開催された。 今回は1 ...