本音を隠さずココロのままに生きていく！(映画『愛にイナズマ』)

2023/10/26

『舟を編む』をはじめ、発表する作品がどれも国内外で高く評価されてきた石井裕也監督の新作『愛にイナズマ』が10月27日(金)から公開される。監督史上"最もポップ＆ハッピー"なタッチという作品を紹介する。

あらすじ

26歳の折村花⼦（松岡茉優）は映画監督デビューを⽬前に控えていたが、物事はそううまくは進まない。家賃は滞納中で強制退去⼨前。業界の常識を押し付けてくる助監督からは露⾻なセクハラを受けている。そんな時⽴ち寄ったバーで、空気は読めないが魅⼒的な舘正夫（窪⽥正孝）と運命的な出会いを果たし、ようやく⼈⽣が輝きだすかに見えた⽮先、プロデューサーに騙され、企画を奪われ、ギャラももらえず、花⼦は全てを失ってしまう。失意のどん底に突き落とされた花⼦だが、正夫に励まされ、10年以上⾳信不通の家族を頼りに新たな映画を作り始める。実家に帰って撮影をする中で次第に明らかになる家族の秘密とは？

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自身の家族をテーマに映画を撮るという夢のためにプロデューサーの前ではアルカイックスマイルで自分を演じていた花子。脚本に入れたエピソードは実際に起こったことなのにあり得ないと否定され、映画という物語の中ですらそれを描けない。もやもやしていた花子は自分の感じたことに素直に行動する正夫との出会いをきっかけに演じることをやめ、本当の自分で人々と関わっていこうとする。

本作は石井監督のオリジナル脚本だ。コロナ禍の中で起こったことを見つめ、自身についても深く考えた石井監督が、コロナ禍での出来事をなかったことにはしたくないと、その脚本の中に思いを込めた。その熱量の凄まじさは役者に伝わり、さらに高まっていく。

石井監督が書く怒涛の数のセリフをマシンガンのような勢いで話す意欲の塊・花子には松岡茉優。その花子を励ます若干KY、でも優しい正夫には窪田正孝。

花子が10年ぶりに会う家族、⽗・治には佐藤浩市、花子と同じく10年ぶりに帰宅した⻑男・誠⼀には池松壮亮、真⾯⽬ゆえに自身の気持ちを心に溜め込む次男・雄⼆には若葉⻯也。このキャストの名前を見るだけで演技合戦が繰り広げられることはわかっているが、さらにその脇を固める役者達も演技派の役者達が集まっていて、どのシーンを取っても芝居を観るのが楽しい。花子と正夫が二人でいるシーンの穏やかさと、家族が集まり本音を言い合うシーンの芝居だとは思えない勢いとリアルさ。作品全体のテンポ感がとにかくいい。緩急があり、心地よい。家族のやり取りに笑っていたかと思うと次の瞬間、花子達の変化する表情を見ながら観ている方の気持ちも変わる。

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生きていくために誰しも嘘の仮面をかぶって、自分を演じている。波風を立てずに自分に嘘をついて事を運んだ方がうまく社会で生きられる。本当の自分がわからなくなることもある。そんな今の日本に楔を打つ爽快な作品が出来上がった。

これは花子の夢への挑戦と花子が知りたかったどうしようもない家族の真実の物語。
日本映画の強力な役者陣が集まった熱い作品を劇場で観て一緒に泣いて笑って欲しい。

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映画『愛にイナズマ』https://ainiinazuma.jp/は10月27日(金)より新宿ピカデリー他で全国公開。
東海三県ではミッドランドスクエアシネマ、イオンシネマ(ワンダー、岡崎、長久手、各務原、鈴鹿、東員)、ユナイテッド・シネマ(豊橋18、稲沢)、ミッドランドシネマ名古屋空港、安城コロナシネマワールド、MOVIX三好、TOHOシネマズ岐阜で10月27日(金)より公開。

-EntaMirage!, Entertainment, Movie

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