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『幸福な装置 -田中晴菜監督特集上映-』名古屋シネマスコーレ 舞台挨拶レポート

2024/10/14

『幸福な装置 -田中晴菜監督特集上映-』が10月12日(土)から名古屋シネマスコーレで上映中だ。

働きながら短編、中編を製作する田中晴菜監督は様々な映画祭で評価を得、特集上映が組まれている。

シネマスコーレでの上映作品は『いきうつし』『ぬけがら』『甘露』『Shall we love you?』『幸福な装置』の5作品。公開初日の舞台挨拶の様子をお届けする。
(登壇:田中晴菜監督、星能豊さん、田中一平さん、ゲスト:辻村健二さん(映像ディレクター))
※登壇予定の岡慶悟さんは交通事情で欠席。お写真だけいただきました。

田中晴菜監督(以後 田中監督)
「監督の田中晴菜です、本日は3連休の初日で皆様いろんなご予定がある中、劇場までお越しくださいまして本当にありがとうございます」

星能豊さん
「『幸福な装置』に出演しました星能豊です。ありがとうごさいます。よろしくお願いいたします」

田中一平さん
「『ぬけがら』、『甘露』に出演しております田中一平です。よろしくお願いします」

辻村健二さん(以後 辻村さん)
「どの作品にも出ておりませんが、3ヶ月ぶり、3度目のシネマスコーレ登場となりました。映像ディレクターの辻村健二です。よろしくお願いいたします」

田中監督
「辻村さんに今回お越しいただいたのは辻村さんが星能さんと一緒に「清順派」というポッドキャストの番組をやられているご縁で」

辻村さん
「4年ぐらいポッドキャストを星能さんと一緒にやらせていただいてまして、そこに田中監督や『いきうつし』、『甘露』に出演の岡慶悟さんにゲストで出ていただいたり、そういったご縁です」

田中監督
「作品を観ての感想を伺いたいです」

辻村さん
「観ていただいたので、お分かりだと思うのですが、全部同じ人が監督したのかなと思うぐらいの作品の幅で、僕は非常に驚かされました。田中監督がこうやって今話しているのを聞いている感じと、作品から受ける印象の違いから、一体田中監督はどういう人なんだろう?と思うぐらい多面的な部分がそれぞれの作品に出ていて、作風も全部違っていて、すげえ人だと思っています」

田中監督
「全部自主制作で撮っている作品なんですが、脚本のテイストを変えようかなと思って作った5作品です」

辻村さん
「本を変えようぐらいのニュアンスでこれだけ全く違うものができる。でもその真ん中の軸はぶれていないというか。そこは職業感覚的に違うジャンルのものにというわけじゃなくて、田中監督の芯があって、その中で多面的に作品が集まって見えるというか。その人が立体的に浮き上がっているような。本当に底が知れない(笑)。すごいなと思います」

田中監督
「確かにやりたいというシーンがあって、結構出していくようなイメージは確かにあるかもしれないです。割と自分の土俵に持っていくみたいなところはあるかもしれません」

田中晴菜監督

田中晴菜監督

辻村さん
「僕は自分の得意なものというか、好きなものが結構偏っているので、いつも決められた丸い土俵の中で判断したりするんですが、田中監督はそもそも形が違ったりする。自主映画は自分の好きなものを自分のお金や仲間で作る形になるので、どうしても同じ感じになると思うんですが、こんなに作風が違う人は僕は今までお目にかかったことがないなと感心させられます」

田中監督
「今日はキャストのお2人について印象的なところはありましたか?」

辻村さん
「いつも色々言っているので、そんなことはないかもしれないですが、星能さんは僕はめちゃめちゃ声が素敵な俳優さんだなと思っていて、星能さんご自身はあんまり声が好きじゃないということをよく言われるんですが、『幸福な装置』は朗読劇だったので改めてやっぱり星能さんの声は素敵だなと。顔つきももちろん、演技はもちろんあると思うんですが、声の魅力ってかけがえのないもので、すばらしいなと思います」

辻村健二さん

辻村健二さん

星能さん
「自分の声が好きではなくて、それを結構自分のSNSで好きじゃないと言っていたこともあったんですが、それを田中監督が「そんなことないですよ」と言ってくださって。それまで自分の声を使ってできることというのはあまりしなかったんですが、そこを肯定してくれたというのがまずあって、そこから作品も作ることになって、その過程がすごく嬉しかったですし、朗読も正直滑舌があまりいいわけではないので、なかなか苦手なジャンルです。それを今回挑戦させてもらった作品ですし、コロナ禍に撮った作品なんですね。その時はやっぱり僕の中のことをある程度自分の中でイメージしてお芝居していたところもありました。僕は今金沢に住んでいるんですが、今こうしてみると石川県の地震でとても大変な状況で、自分の話していることと現実の世界はどこか繋がっているなと今日改めて自分の中で新しい発見がありました。そういう意味ではすごく自分にとって大切な作品です」

田中監督
「他の出演されている作品は見ていたんですが、結構印象が役柄によって違うなと思っていて、実際にお会いしてこういう方なんだ、こういう声なんだというのがすごく印象的で、この声で『幸福な装置』を読んでほしいなと思ったのが出発点です」

辻村さん
「田中さんはなんかすごいやっぱり魅力的な俳優さんだなと思いながら見させていただいて。ショーケンと水谷豊さんみたいなバディものがずっと大好きなんですが、岡さんと田中さんが並んだら、なんでも撮れるでしょと思いました。よく田中監督はこの組み合わせを見つけたな、素晴らしいなと思っていて。女子高生3人組もそうです。田中さんはいい意味で違和感というか、日常が一瞬非日常になるみたいなそういうところを一発の目つきで見せたりできるんですよね」

田中一平さん
「田中晴菜監督の映画の印象からちょっと話をすると、僕は今日は3本だけ見て外に出たんですが、『Shall we love you?』だけ路線の違う映画で、あとは自然な流れで映画を観ることはできるのに、なんか現実にはないであろうお話であったり、映像だからやれている物語でそういう作品は意識しても多分なかなか撮るのは難しいんじゃないかなと思うんですが、それを自然と田中監督は考えてできているので、さすが映画監督と改めて思いました。自分の世界観にどっぷり浸かって、絶対そこから離れずに自分の道を信じて映画を撮っている田中監督がかっこいいです」

田中監督
「ベタ褒めありがとうございます(笑)」

辻村さん
「田中監督の現場でのお芝居についての演出というのはどういう感じなんですか?」

田中監督
「私は人によってやり方を変えているところがありまして、田中さんに関してはほぼ何もしていなくて。今までやっている役柄とかから当て書きで書いているので、多分自分が思っている田中さんから逸脱したものがないので、脚本をお渡ししているだけです(笑)。田中さんは共感性が高くて、俳優の大事な要素だと思うんですが、その人として現場に来てくれるので、全く直すところがないんです」

田中さん
「田中監督の作品には当て書きで書いてくれた作品にしか出演していないので、そうでないものが来た場合、すごく苦労するかもしれない(笑)」

田中一平さん

田中一平さん

田中監督
「星能さんは金沢、私は栃木なのでリモートで話すことが多くて、朗読に関しても結構回数を重ねていました。『幸福な装置』以外にも金沢で朗読公演をさせていただいたりしたので、回数で言うと誰よりも星能さんと読み合わせを一緒にしていただいていています。星能さんはやればやるほどどんどん良くなっていくので、私もすごいと思っていて、一緒にやる側としてはめちゃくちゃやりがいがあって、面白くて、毎回やりながら作品が出来上がっていく、良くなるというのが感じられるのがすごく嬉しいです」

星能さん
「作品をまず観て、この作品は東京から先に上映しているんですが、なかなか難解な詩でもあるので、難しかったという人もいっぱいいますし、もう一回見ないとわかんないという人もいます。パンフレットに情報が載っているんですが、それを観て初めて「こういうことが見たかったんですよね」とかそういった感想も聞いたりするので、自分の演技力のなさみたいなものがあるのかもしれないですが、一緒に作品を作り上げていくその熱量とか田中監督と集まって、それを受けてどんどん一緒に作っていっている感じの時も大変ではありましたが、心地よかったです。ものを作るということに対して一つ一つ自分で向き合う瞬間みたいな場をたくさん与えていただけました。自分の演技のことは客観的には自分には見えないので、そういう意味ではやっぱり限界がありました。岡さんや一平さんが入ってくる時は俳優さんが入ってきたなというオーラがあるんですよね。僕自身はあまりそういうのはないなと思っているので、舞台挨拶で、3人並んだ時とかこのちっちゃいやつなんなんだみたいな(笑)」

星能豊さん

星能豊さん

田中さん
「それは思わない(笑)」

星能さん
「こういう作品上映は役者さんと久しぶりに会えますし、スコーレさんにも久しぶりに来られて、本当に嬉しく思います。こんな時間を与えていただきましてありがとうございます」
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『幸福な装置 -田中晴菜監督特集上映-』
は10月18日まで名古屋シネマスコーレで上映。(14日まで舞台挨拶あり 上映は13:40~)

左から辻村健二さん、星能豊さん、田中一平さん、田中晴菜監督、岡慶悟さん

左から辻村健二さん、星能豊さん、田中一平さん、田中晴菜監督、岡慶悟さん

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