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ローマ教皇はどのように選ばれるのか。枢機卿達の静かで熱い戦い(映画『教皇選挙』)

ローマ市内にあるバチカン市国は東京ディズニーランドよりも面積の小さい世界最小の独立国だ。この国を統治するのがローマ教皇だが、全世界に14億人以上の信徒を有するキリスト教最大の教派、カトリック教会の最高指導者として絶対的権威を持つ立場にある。ローマ教皇が死ぬか、辞意を表明すれば、新たな教皇を選ぶために世界中から候補者がやって来て選挙が行われる。
3月20日(木)公開の『教皇選挙』はその裏側を描いていたスリリングな作品だ。

あらすじ

全世界に14億人以上の信徒を有するキリスト教最大の教派、カトリック教会。その最高指導者にしてバチカン市国の元首であるローマ教皇が、死去した。悲しみに暮れる暇もなく、ローレンス枢機卿は新教皇を決める教皇選挙<コンクラーベ>を執り仕切ることに。世界各国から100人を超える強力な候補者たちが集まり、システィーナ礼拝堂の扉の向こうで極秘の投票が始まった。票が割れるなか、水面下で蠢く陰謀、差別、スキャンダルの数々にローレンスの苦悩は深まっていく。そして新教皇誕生を目前に、厳戒態勢下のバチカンを揺るがす大事件が勃発する。

携帯電話は使えず、外部との関わりを絶ち、密室で行われる選挙では、政治さながらの駆け引きや謀略が仕掛けられている。選挙を仕切るローレンス枢機卿は教皇候補者からのアピールや強い圧を受けては上手くかわしつつ、さまざまな方向から聞こえてくる噂の真実探しに奔走する。

カトリックの総本山バチカンで、トップに君臨するローマ教皇を決める教皇選挙「コンクラーベ」の内幕を描く本作はジャーナリスト兼作家のロバート・ハリスの原作をNetflixオリジナル映画『西部戦線異状なし』のエドワード・ベルガー監督が映画化した。第97回アカデミー賞での脚色賞受賞のほか、数多くの映画賞を受賞している。

注目すべきはまずバチカンにある建物の再現度だ。バチカンでの撮影は許可されないため、本作はローマのチネチッタで撮影を行った。プロダクション・デザイナーのスージー・デイヴィーズが手がけた最も大がかりなセットは、投票場所となるシスティーナ礼拝堂だ。チネチッタの撮影所の倉庫にセットが残されており、かつてそのセットに携わった塗装工の人たちの手で、セットを修復することができたという。

またポスタービジュアルにもなっている赤色の法衣は衣装デザイナーのリジー・クリストルが手掛けた。ローマの貸衣装屋で本物そっくりの衣装を借りるという方法を選ばず、歴史を参考に現在の枢機卿たちの服装に似たものを作っているが布地も縫製も違い、色合いは本物よりもずっと深みがある。これを纏う枢機卿達は教皇から任命された豊かな権力を感じさせる。大半の登場人物が同じ法衣を着ているため、十字架、指輪、靴といったディテールを通してキャラクターの違いを表現しており、そこに役者陣が作り上げた人物像が加わってカトリック教会内での力関係も見えてくる。

立場上選挙を仕切らなければいけないローレンス枢機卿にはレイフ・ファインズ。彼が演じる首席枢機卿ローレンスは、コンクラーベを円滑、公平に行う責務を負う立場でありながら、信仰心の揺らぎという問題を抱え、自らの良心を試されていく複雑な主人公だ。普段顔に気持ちは出ないが、一人でいるシーンではその悩ましい心の中が観る側に伝わってくる。突然現れ、コンクラーベの様相を一変させるベニテス枢機卿を演じるのは映画初出演となるカルロス・ディエス。数年前に建
築設計士から俳優に転身したディエスのまっすぐな眼差しに注目してほしい。

カトリック教会の教皇選挙。そこには国籍、人種、男女の様々な問題が見えてくる。そして渦巻く権力欲、金銭欲。繰り返し行われる投票の先にある驚きの結果とは。ラスト前でとんでもない展開が待ち受ける。

映画『教皇選挙』https://cclv-movie.jp/
は3月20日(木)よりTOHOシネマズ シャンテ他で全国開。東海三県ではイオンシネマ(名古屋茶屋、ワンダー、岡崎、津、東員)、伏見ミリオン座、ユナイテッド・シネマ豊橋18、TOHOシネマズ(木曽川、赤池、モレラ岐阜)、コロナシネマワールド(安城、小牧、豊川、大垣)、ミッドランドシネマ名古屋空港

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