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映画『Mothers』刈谷日劇 舞台挨拶レポート

2025/02/24

映画『Mothers マザーズ』が2月21日から刈谷日劇で公開されている。『Mothers マザーズ』は5名の脚本家がプロデュースも兼任し、企画・制作〜宣伝・配給までを行う『母』をテーマにしたオムニバス作品

映画『Mothers』作品紹介はこちらから

2月22日(土)には『BUG』の武田恒監督、小沢まゆさん、総合プロデューサーで『ルカノパンタシア』の監督でもある難波望監督、森山みつきさんが上映後に舞台挨拶を行った。

難波望監督(以後 難波監督)
「今日は映画『Mothers』をご鑑賞いただきまして、ありがとうございます。総合プロデュースと5番目に上映した『ルカノパンタシア』を脚本、監督いたしました難波望と申します。今日はざっくばらんに楽しく一緒に時間を過ごせたらと思います」

森山みつきさん(以後 森山さん)
「『ルカノパンタシア』で娘の海凪を務めました森山みつきです。今日はよろしくお願いします」

武田恒監督(以後 武田監督)
「皆様、初めまして。1本目の『BUG』という作品の脚本、監督を務めました武田恒と申します。本日刈谷日劇での上映にこれだけたくさんの方に来ていただけて本当に嬉しいです。よろしくお願いします」

小沢まゆさん(以後 小沢さん)
「皆様はじめまして。小沢まゆと申します。はじめましてじゃないお顔もちらほら見えます(笑)。今日こんなにたくさんの方に来ていただけて嬉しいです。私にとっては刈谷日劇さんは初めましての劇場さんなので、本当に今日来ることをとても楽しみにしておりました。短い時間ではあではありますが、トークショーも楽しんでいってください。よろしくお願いいたします」

難波監督
「『Mothers』という作品なんですけれども、ご覧いただいただいた通り、母という1つのテーマで5人の脚本家で作ってまいりました。5人の脚本家が自由に好きなように作っているので、全然作風も違ったと思うんですが、そこが逆に見所になったのかなと思っております。まず自分たちの2つの作品の話をしましょうか」

武田監督
「では作品の背景的な話をしたいと思います。『BUG』という作品は自分がわからないものや出来事、人に対してどのように向き合って行くことができるかということに興味があって、それを物語のレベルに落として描きたいと思った作品です。なぜそこに興味があったのかと言いますと、生きている中でわからないことはものすごくたくさんあると思うんです。そういうところに対して向き合っていくことが、社会的な問題とかに対しても必要なのではないかなという思いも少しありまして。それを映画という形に落とし込んで考える時に、一つの家族、そして今回は母を切り口にした映画にする必要があったので、わからない息子に対して、母がどのように向き合っていけるかということを考えながら、スタッフや俳優と話し合って、そこからちょっとずつ作品を良くしていって作り上げた大切な作品になったなという感じがしています」

難波監督
「この作品はキャスティングはオーディションしたんですよね」

武田監督
「そうです。全員オーディションでした」

小沢さん
「オーディションを受ける時に、少年犯罪を犯した息子とどうやって向き合っていくかという大まかな内容は書いてあったので、シリアスでテーマの重い話であることはわかっていました。オーディション用の台本を読んだ時、実際に私自身が母親ということもあって、この母親の気持ちに思いが重なったりもして、すごく苦しいオーディションだったことを今でも鮮明に覚えております」

武田恒監督

武田恒監督

難波監督
「オーディションの日に武田さんからすごいビックバンが起きたという連絡があったんですよ。それが小沢さんがお芝居されたオーディション回だったんですね」

武田監督
「小沢さんのオーディションの時はその場にいた全員が引き込まれるようなお芝居をされて。口を挟む余地がないというか、それぐらい皆さんが役に入っていた空間が生まれたような感じでした。一つの化学反応という言い方が正しいのかわかりませんが、その時は夫役の垣内さんもいらっしゃって、小沢さんが言った言葉を受けて、相手役の方の言葉があってどんどんその場にいた空間の人がお芝居に入り込んでいけたという、自分にとってものすごい経験をしました。小沢さんと垣内さんの組み合わせが素晴らしかったです」

小沢さん
「この役が決まって武田さんからご連絡をいただいた時に、まず武田さんと話をしっかりしたいとお伝えしたらキャスト、スタッフみんなで話し合いをする場を結構たくさん時間を取って設けてくださって。いろんなキャラクターについて各々に意見を出し合ったことが、それぞれのキャストは役を深めていくのにすごい助かったのではないかと感じています」

武田監督
「脚本はただ書いて終わりということはほぼないんです。悪い点を発見して、より良いものにしていくという改稿作業は、ものすごく粘り強くやっていかないといけないことではあるんですが、それにあたって問題点を発見するのはどうしても主観が入ってしまうので、結構わかりづらくなってしまうのかなと思います。俳優さんは、自分が書いたキャラクターを生きて演じるわけなので、その方々からの意見はものすごく重要で、そこで発見した問題点を直す努力をしていけば、ちょっとずつ良くなっていくのかなということが考えていたことで、それを少しでもトライしてやれたことは一つの成果になりました」

難波監督
「役づくりはどのようにされたのですか?」

小沢さん
「武田監督をはじめ、いろんなキャスト、スタッフとたくさん話をしていく中で深めていったものもありますし、この役が決まってから撮影が終わるまで、常に鳴海という人物を自分の中に置いておくという作業はしていました。だから日常生活も本当に苦しかったです。常に鳴海として物事を考えてしまうので、いつもどんよりしたり、なんかすごくそわそわ心配になったりとか。鳴海という人と私が常に一緒に生活をしているような期間でした」

小沢まゆさん

小沢まゆさん

難波監督
「『ルカノパンタシア』は母親役に嶋村友美さん、娘役に森山みつきさん、父親役を藤井太一さんにオファーしました。それぞれ今までに一緒に作品を作ったことがあって、脚本を書く段階でこの三人かなと決めて、仕上げていった感じでした。この話を書くきっかけとしては、自分にとって恩人たちがこの数年のうちに亡くなることが重なりました。脚本を書いたり、生きていく中でその方達が自分を励ましてくれている、心の中でずっと生きているなという実感があって、それを作品の中に込めて作りました。本当に信頼する三人のキャストとできたので、私としてはすごく心のこもった作品になりましたし、森山さんとまたご一緒できて、僕はすごく楽しかったんですが、森山さんはいかがでしたでしょうか」

森山さん
「私もこの現場が、人生でこれまで経験した現場の中で一番仲が良かった現場で、家族三人では映画の中は映っていないですが、藤井さんも入って、本当に気がつくと三人で固まってずっとあったかくしている空間が生まれました。やっぱり難波さんが集めた方々だからすごく信頼できますし、人としても愛のあるお二人ですごく尊敬できる方々とご一緒できたので、私も楽しかったです」

武田監督
「海のシーンはどのように撮影されたんですか?」

難波監督
「海のシーンは予算があまりなかったので、ロケ地は行ける範囲の場所で探しました。撮影は冬だったんですが、暑い夏の時から現地に行って決めました。湘南の方面だと、サーファーの方がたくさんいるので難しいなと感じたのですが、湘南方面でも端にある、柳島海岸というところで撮影しました。当初は冬に撮影する前提じゃなかったのでなんとかなるかなと思ったんですけれども。撮影が冬になったので、海に入ると脚本に書かれていて大変でしたよね」

難波望監督

難波望監督

森山さん
「私は2021年から映画撮影で年1で海に入らされるということがあったんですが、ダントツで寒かったです(笑)」

難波監督
「共演した嶋村さん、藤井さんとのエピソードはありますか?」

森山さん
「藤井さんに関しては元々テレビの中の人として知っていた存在で、実はコロナ禍ぐらいのタイミングで、「世界仰天ニュース」で本当に気持ち悪い役をやられていて。本当に気持ち悪すぎて、この俳優誰だろうと思って調べたのが藤井さんだったんですよ(笑)。まさかお父さんになるとは全然思っていなくて。嶋村さんは福岡インディペンデント映画祭で2021年に初めてお会いした時に、なんか怖い人なのかなと思って、ちょっとビビりながら顔合わせに行ったんですが(笑)、実際はみんなほんとに優しい方です。読み合わせした段階で、お二人のお芝居している声を聞いて、「ああ、大丈夫だ。信頼できる人たちだ」と思いました。嶋村さんとはすっかり仲良くなっちゃって、この『ルカノパンタシア』のあと北海道旅行も一緒に行きました」

難波監督
「藤井さんとは一緒のシーンはなかったけれども撮影前には、半日ほど家族で過ごす時間がありまして、そこで家族感を掴めたと藤井さんがおっしゃっていましたね」

森山さん
「みんなが奇跡の日と呼んでいるんですが、本当にあったかい時間で、家族でこういう休日を過ごすんだというすごくあったかい気持ちになる日で、撮影が終わった後にこの家族三人だけで中華を食べに行ったんです」

森山みつきさん

森山みつきさん

難波監督
「その話ね。僕はいないんですが、藤井さんも森山さんもあの時間が良かったってすごく言うから、僕はなんか微妙な気持ちで、「そうなんだ…」と。楽しかったらしいですね」

森山さん
「全員が話している間、今本当に素敵な時間かもしれないと思いながら、喋っている感じがありましたね」

難波監督
「僕はそれをはたから見ていて、羨ましくもあったけれども、自分の作品を通して、キャストたちが役に寄せている姿がすごく嬉しかったですね」

作品を観た観客から作品の構成の順番や各作品の細かい部分に対する質問や自分の解釈を語る時間も設けられた。

最後に四人から締めの挨拶。

小沢さん
「皆様、今日はお越しいただきましてありがとうございました。母というテーマの元作られた5作品。お母さんから生まれてきたのは私も皆様も一緒です。お母さんについて、大切な人のことについて、何か少しでも思いを巡らすような時間になっていたら嬉しいなと思います。この映画を広めていただければ私たちも嬉しいですし、大切な誰かのところにまた作品が届くと思っていますので、応援よろしくお願いいたします。ありがとうございました」

武田監督
「この『Mothers』という映画は、脚本家5人で中心に作り上げた映画なんですが、撮影が比較的簡単になってきている時代だからこそ、脚本、物語はものすごく重要なのではないかなと改めて感じております。この映画の持つ意味と言いますか、意義はとても大きいと思いますので、もし少しでも面白いと思っていただけたのであれば、SNSや口コミなどで少しでも広めていただけると大変ありがたいです。本日はありがとうございました」

森山さん
「皆さん、今日はありがとうございました。明日の舞台挨拶は藤井さんも嶋村さんもいらっしゃるので、家族全員が揃います。三人揃ったわちゃわちゃ感がきっと皆さんにも伝わると思います」

難波監督
「あ、三人なんですね…」

森山さん
「難波さんは私といつも一緒にいるんです(笑)。お時間に余裕がある方はぜひ明日もいらっしゃってください。ありがとうございました」

難波監督
「今日は四人でお話させていただきましたが、お楽しみいただけましたでしょうか。今、武田さんがおっしゃったように、これからまだまだ映画を広げていきたいと思いますので、SNSとか口コミサイトに感想を書いていただけたら嬉しいです。刈谷日劇様では二週間上映を続けていきますので、お友達やお知り合いにご紹介ください。今日はありがとうございました」

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映画『Mothers マザーズ』https://mothersfilm.studio.site/ は現在刈谷日劇で公開中。2月28日よりシアターギルド代官山、3月15日より大阪シアターセブンで公開。

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