
映画『老ナルキソス』シネマテーク舞台挨拶レポート
映画『老ナルキソス』の公開記念舞台挨拶が名古屋今池のシネマテークで行われた。
あらすじ
ゲイでナルシストの老絵本作家・山崎(田村泰二郎)は、自らの衰えゆく容姿に耐えられず、作家としてもスランプに陥っている。ある日ウリセンボーイのレオ(水石亜飛夢)と出会い、その若さと美しさに打ちのめされる。しかし、山崎の代表作を心の糧にして育ったというレオ −自分以外の存在に、生涯で初めて恋心を抱く。レオには一緒に暮らす隼人(寺山武志)がいて、これから先のことについて考えて欲しいと切り出されていた。レオもまた山崎に見知らぬ父親の面影を重ね合わせ、すれ違いを抱えたまま、二人は旅に出る。
短編として作られた『老ナルキソス』。この時にはゲイの老人・山崎の行く末が気になる終わり方だった。
長編になったことで世界が広がった。もう一人の主人公・レオの生き方を描いたことで今の日本を捉えている。
東海林毅監督、大木隼人役で愛知県出身の寺山武志さん、シネマテークで昔働いていた縁で今回東海林監督に呼ばれた福島拓哉監督のトークをお送りする。
シネマテーク舞台挨拶レポート
福島拓哉監督(以下 福島監督)
「私、本作とは実は関係がないんですけども、映画監督をやっております福島拓哉と申します。なぜ来たかというと、私は30年ほど前にこの劇場のスタッフをやっておりまして。東海林さんとも普段から飲み仲間で仲が良くて。お声がけいただいて来てみたら、元スタッフなんだから、司会をやれと(笑)。ホームページにスペシャルゲストと書いてあったのでしっかりやらせていただきます。ではゲスト紹介いたします。まず出演者の寺山武志さん、どうぞ」
寺山武志さん(以下 寺山さん)
「よろしくお願いします!」
福島監督
「続きまして東海林監督です」
東海林毅監督(以下 東海林監督)
「『老ナルキソス』監督の東海林毅と申します。どうもありがとうございます」
福島監督
「名古屋、今日初日です。まず今日はこんなに大入りのお客さんに来ていただいてどうですか?」
東海林監督
「いやもう本当にめちゃめちゃ嬉しいですね。上映が終わった後、拍手が出たじゃないですか。東京でなかなか拍手もらってないんです。本当にありがたいです。ありがとうございます」
寺山さん
「こんなにたくさんの方々に見てもらえると思っていなくて、急遽、地元が愛知県なので出させていただいたんですけど、友達にも全然入れると思うよって軽々しく言っちゃって、(友人に)本当に端の席でごめんね。本当に嬉しいです。ありがとうございます」
福島監督
「現在東京でも公開中です。全国10何ヶ所?」
東海林監督
「最終的に今決まっているところで11ヶ所です」
福島監督
「随時公開しておりまして、どこでも大好評で。今まで映画祭も含めていろんなところでお客さんとふれ合ってきたと思うんですけれども。ようやく公開されての手応えを聞かせていただきたいです」
東海林監督
「新宿で公開してから新宿2丁目が近いということもあって、特に高齢のゲイの当事者の方たちがものすごい観に来てくださるんです。皆さん結構昔のことを思い出されたりとか、身につまされたりとかですね、それぞれ皆さんいろんな思いがあると思うんですけど、かなり親身に観ていただけるというか、もう自分のこととして皆さん観ていただいているような感じですかね。それはやっぱり、作り手としてはものすごくありがたいですし、嬉しいなと思いますね」
福島監督
「パートナーシップ制度の話があり、孤独な老人の話があったりとか、いろんなネタがいっぱいあるわけですけども、それぞれ一つ一つが当事者の人たちにとってはものすごくリアルに描かれているところが最大のポイントかなと思うんですけども。そういう中でリアリティの一端を担った、寺山さん。ああいう役を演じる役作り自体も難しいと思いますし、お話の流れも、結構きつい話じゃないですか。要するに倦怠期のカップルがいて、人生の節目をどう迎えていくかという話で。もちろんただの倦怠期のカップルではないわけです。ゲイのカップルだからこそ、立ちふさがる問題があって、いろいろな要素があったと。どんな感じで挑まれたのでしょうか?」

福島拓哉監督
寺山さん
「その中でも割と大木隼人という役はわかりやすく自分の目的のために進んでいる人かなと思っていまして。そして家族と友人からの理解も結構もらえているタイプで人生過ごせているかなと思ったので、割と思ったままにまっすぐ進んだだけなんですが、その中でもパートナーと出会える確率が少ないというのはわかっているので、一つ一つのぶつかり合いが最後になってしまうのかなという思いが異性愛者の人と比べると大きくなってしまう、ダメージがデカくなってしまうというところは、いろいろ感じながら演じました」
福島監督
「お芝居の演技論的なところの話なんですが、非常に大熱演で、好演されたなと思っているんですけども、抑制の効いた演技というか、出すところをしっかり出しつつも、すごく抑えて抑えて演じていましたよね?」
寺山さん
「いや、どうなんですかね?僕は普段舞台を中心に活動しているので、映画は久しぶりだったんですが、特に何を気遣っていいかわからないぐらいそのまま演じただけなんですけども。演技論というほど、気を遣って何か演じたということはないですね。常に心の状態だけでやらせていただきました」
福島監督
「どんな演出をつけられたんですか?」
東海林監督
「寺山くんに言ったかどうかは覚えていないですが、水石くんと最初に打ち合わせしたときにゲイ役ということで「どういう役作りをすればいいですか?」と聞かれたので、新宿2丁目には絶対行かないでください、ゲイバーとかに行かないでくださいと言いました。ゲイバーのママの役とかをやるんだったら、どんどん行って覚えてもらえばいいんですが、そういう役ではないので。逆に行って変な癖がついたらいやだと思いますよね。いわゆるゲイらしい演技というのをされてしまったら台無しになると。この世にゲイらしい演技なんていうものはないです。それは自分がゲイに対して持っている偏見を投影しているだけで、そんなものは実はなくて。普通に演じてもらえれば役柄的にそれはゲイに見えるはずなんですよ。僕はそれを信じているので変に役づくりしないでくださいと言ってきて。2人のラブシーンとかに関しても、特に男性同士のラブシーンのときにこういうことが起きるということ、例えば腰の下に枕を入れたりとかですね、細かいところの指導はしましたけど、別に全体の流れとしてはなく、ゲイだからこそこうして欲しいみたいな細かいことは特には言ってないです」
これが映画に出るのははじめて
福島監督
「いわゆるクィアフィルムというものを初めて観た方もいるかもしれないし、いっぱい観ている方もいるとは思うんですけども、よくあるゲイの絡みのシーンで描かない部分がこの映画にはあるんです。「ちょっと洗ってくるね」と言って戻ってきたときに持ってるんですよ。潤滑ゼリーを。それが何かは細かくは言いません。検索していただいて(笑)。ああいうものをさらっと画面内に出して、それも込みで2人の熱いラブシーンを描けるというのは、なかなかない。初めて観ましたね。さらっとやって、しかもリアリティがあって劇的である」
東海林監督
「そうですね。コンドームを使うシーンは海外の作品とかだとたまに見るんですけど、日本作品はあんまりないですね。コンドームを用意したりとか、あと潤滑ゼリーはもしかしたら、初めて画面に映ったかもしれません。ちなみに潤滑ゼリーは僕の私物です(笑)。特にコンドームは感染症予防とかそういう観点からも絶対に使うべき大切なものの筈なのに、映画やドラマの中でもそんなものないかのように扱われていたりして、それを見ているこっちがハラハラしちゃうんですね。それは性教育とかも含めて、大切に描かないと駄目だなと思います」
福島監督
「この映画って、ラブシーンに対してのリアリティへの気の遣い方というのはラブシーン以外にも繋がっているんですよね。一つ一つのシチュエーションに対して、 リアルとしては何か。もちろんお話ですからフィクションなんですが、嘘ではないものをどんどん作っていくという風に繋がっていますよね」
東海林監督
「それは確かにそうだと思います」
福島監督
「出演者としてはこれを最初見た時どういう感想を持ちましたか?」
寺山さん
「結構そのまま撮ったし、そのままちゃんと全部あるなという感覚でした。サイズ感的にもそうでしたし、この1年を経て、泣く泣くカットされた部分もあるとは思うんですけれども、それでもそのまま見やすかったので自分が演じたままの、イメージしたままのものがありました。大満足でした」
福島監督
「これは多分代表作になるかと思うんですが、もう既に見たご自身のご友人とかは、何か感想を返してくれましたか?」
寺山さん
「そうですね。こういうのが観れてよかったと言っていただけることも多かったです。ファンの方もそうですし、こういう作品に出られてよかったねと言っていただけました」
今だからこの内容で描いた
福島監督
「僕もこの作品はかなり特別だなと思っていて。東海林さんにお誘いいただいて、最初試写で拝見したんですが、いわゆるクィアフィルムというものを今まで、何百本も観ているんですが、これは人生ベストクィアフィルムです。いろんなところで褒められるんじゃないですか?映画祭とか」
東海林監督
「映画祭、そうですね。これはアメリカ・ロサンゼルスの映画祭、この間はインドのムンバイの映画祭で上映してもらいまして、今日多分まさしくこの後ベルリンで上映しています。それでもう明日か明後日多分、サンフランシスコで上映があり、どんどん海外でも上映してもらっているんですけども、人間ドラマに関するところは大体こちらが仕込んだ感情の通りに向こうでもお客さんは反応してくれるんですけど、制度に関するところですね。法制度、パートナーシップ制度とかに関するところはそれぞれの国が全く違います。特にアメリカは普通に同性婚できるわけですから、「この人たち何で悩んでるんだろう?」みたいな、割となんかちんぷんかんぷんで、Q&A とかでもちょっと的外れな質問をされたりもしました。その制度の部分とかが伝わりづらいのかなというのをちょっと感じますよね」

東海林毅監督
福島監督
「それも含めて本当に今の日本の映画なんですよね、この映画は」
東海林監督
「そうですね。今の日本の男性、特に男性同性愛者が抱えている問題や現状をなるべく詰め込もうということで、それにチャレンジしています」
福島監督
「多分10年前だったら、この映画はこういう話じゃなかったと思います」
東海林監督
「もちろんそうですね。パートナーシップ制度がなかったりとか。逆に言うと、もし日本で同性婚の法制化がされてしまっていても違っていたでしょうね。それならそれで僕は全然いいと思うんですけど」
福島監督
「実際いろんな問題があって、東海林さんがいろいろ普段思っているものを詰め込んでいったんだと思うんですけれども、主役のキャラクター設定がパンチ効いているじゃないですか。ゲイのおじいさんぐらいだったらいいんですよ。ドMのド変態ですよ。ナルシストで性格悪いし、お金持ちでいい車とか持っているし。かなりキャラ渋滞している人なんですけども。この主人公設定はどういう感じで作ったんですか?」
東海林監督
「僕が新宿2丁目とかに飲みに行ったりとか、諸先輩方にいろんな話を聞いたりとか、見ていくうちにいろんな人のそういう部分を寄せ集めていってどんどん山崎というキャラクターが出来上がっていきました」
福島監督
「山さん自体は面白いんだけども、田村さんの芝居が何をするかわからない危うさがあるんですよ。それを水石くんがさらっと受け止めながら芝居していて、それが切ないカップルの話にスーッとグラデーションで流れていく。だから、水石くんは受け答えとか本当にうまくやったなと思って。実際水石くんとお芝居してどんな感じですか?」
寺山さん
「めちゃくちゃやりやすいです。カメラが回っていないところで普通に年も近いので、世間話するときもあのままのテンポ感で普通に話すんです。僕も面白いなって思ったのが、普段の会話も田村さんと水石さんってあの2人の関係性のままのような妙なテンポで繰り広げられていますよね。同じシーンがなかったので、あまり撮影中は2人の会話を見ていなかったんですよ。舞台挨拶シーズンに入って、楽屋でご一緒しているときにこの2人は映画のままのテンポで話すんだっていう感じが面白かったです」
福島監督
「最初「なんだこのおじいさんは?」って思うんだけど、徐々に慣れていって、性格もすごい悪いからあんまり感情移入という感じにはならないんだけど、でもこの人心配だからずっと見守ってあげなきゃみたいな形にどんどんなっていくんだね。メインの登場人物3人の不思議な間合いとグラデーションがかかって、若者パートのところはヒリヒリするような、切なさが続く。いや本当にそういうところも含めてうまく描いたなと思いましたね」
東海林監督
「ありがとうございます」
編集の間に大いに悩む
福島監督
「普通まとまらないですよ。こんな物量のネタを入れて92、3分でしょ?この映画」
東海林監督
「110分ですね。最初の編集が終わった段階では135分。今よりも20、25分ぐらい長かったんです。そこは割ともうバッサリいってこうなりました」
福島監督
「切っていく勇気というのもあったと思います。現場からだいぶ時間がかかっているようにも感じますが」
東海林監督
「実は2021年の8月の頭からお盆ぐらいまでかけて1週間ちょっとで撮影が終わった後、かなりのスピードで編集をして、最初の編集版が10月の末ぐらいで全部繋ぎ終わっていたんですよ。なんですけど、そこから今の尺に縮めていろいろ進めていくまではすごく長かったです。こんなことは僕も初めてなので、なかなか難産だったんですけど、悩んだだけのことはあったかなという気がします」
福島監督
「締め切りが決められていたわけじゃなくて自分で気の済むまでやれる状況でしたか?」
東海林監督
「そうですね。とはいえ映画祭出品の締めとかがいろいろあるので、締め切りは一応あるんです。でもその締め切りでいうと、実は1回編集が全部固まって、終わったちょうどそのときに、自民党の議員がいっぱい集まっている場所で、神道政治連盟という神道系の政治団体が自民党の国会議員に LGBT について差別的な冊子を集会で配っていたということが明るみに出た事件があったんですね。そのときに僕も自民党本部前の抗議デモに行ったんですけど、そこの場所でKANE&KOTFEという若いゲイのYouTuberの方がいるんですけど、その2人がスピーチに立っていて。映画の中では現在の若いゲイに対するものすごい差別的な扱いとかはなくて、ある程度社会に包摂された世界を描いたつもりだったんですが、若いKANE&KOTFEは泣きながら、「僕は生まれ変わったらゲイにはなりたくなんかありません」と言ったんですよ。かなり僕はびっくりして。性的マイノリティの当事者がいっぱいいる前でそれを泣きながら彼は言っていて、僕は一体何を撮ったんだと思って。まだ若い当事者がこんなに苦しんでいるのに、僕はある程度社会に包摂されていますよねという感じで撮ってしまったことにものすごく後悔して。そのスピーチを友人が録画していたので、これをもらって、この映画のエンディングクレジットにぶち込んでやろうかと思ったんです。全部固まっていたんですけど、編集を変えて、そういうことをやらなきゃいけないんじゃないかという気持ちになってしまって。それをプロデューサーに「ちょっとそういうことがあって、今からでも遅くないから、そういう日本の現状をここで入れないと駄目なんじゃないかな」と相談したんです。「ちょっと監督落ち着きましょう。気持ちはわかるけど、もう完成しているので、それは今後のトークとかで言ってもらうことにして、しっかりこれを完成させましょう」と言われて、それで結局入れなかったということがありまして」
福島監督
「そして今ようやくそれをトークで言える時が来たわけですね」
東海林監督
「そうです、そうです」
(場内大拍手)
福島監督
「現場の感想というか、正直これはつらかったとかそういう苦労話を教えてください」
寺山さん
「僕の部屋が暑かったことですね。エアコンが壊れていて、ずっと暑かったんです。結構監督はもう何も言わずに、カメラを回してくださる方なので。逆に心配ではあったんですけど、久しぶりに愛し合うシーンの前だけは、「ここはしっかり恥ずかしがるのはやめてね」と鼓舞してくださったので、2人もそこで気合が入るといいますか、監督が納得するものを出したいなという気持ちで演じました」

寺山武志さん
福島監督
「東海林さんとは初めて?」
寺山さん
「初めましてです。1回映画が決まる前に食事に行って、本読みが始まってというステップで。もちろん作品は何度か観させてもらいました」
福島監督
「ご存知の方も多いと思うんですけど、この『老ナルキソス』という映画は元々短編映画だったんです。短編映画で世界各国でいろいろと評価されまして、これはそれの長編バージョンです。最初の冒頭の20分ぐらいは、短編版とほぼ同じなんです。でも全部撮り直しているんですよね。なぜ長編にしたんですか?実際1回撮ったものをもう一回作り直すということは大変なんじゃないですか?」
東海林監督
「そもそもなぜ長編になったかというと、短編がいろんな国で上映してもらって、評判も良かったんですよ。評判がいいとですね、いろんな人から「これ長編でやらないんですか?」と割と無責任に言われるんです(笑)。最初は「いやいやもう、完成しているので」と言ったんですが、あまりにも言われるとその気になってきて。70代と20代、その50年の開きがある。でも同じ属性の2人を主人公にして作品を作るということを考えたときに、この設定を使ったら、もっといろんなことが単なる個人的な関係を超えたものとしてもっと描けるなと思ったんです。それをやるんだったらちゃんとやる価値があると思い、長編化を決めたという感じですね」
福島監督
「今回、東海林監督がやりたいことをこれに全部ぶっこんだなとい思うんですよ」
東海林監督
「そうですね。特にパートナーシップ制度を細かく描いているというのがあって、今の日本の現状を描きたかったというのがありました」
観客から
「山さんが隼人のことを見ていましたが、隼人が山さんに会うことはあるんでしょうか。どんな風に山さんのことを思っているか知りたいです」
寺山さん
「これは僕が勝手に想像していることなんですけど、隼人はパートナーの携帯を見ているタイプだと思うんですよ。きっと携帯を見ているし、存在も気づいているからこそ携帯を見てたと思っていて。ジェラシーは山さん以上にあったと。だから余計焦ってレオに決断を迫っていたんだと。ただそこは描かれていなかったんですけど、そっちのチョイスでよかったですか?」
東海林監督
「(笑)」
観客から
「短編の『老ナルキソス』を作ってから長編を作るまでに監督の中でどんな心境の変化がありましたか?」
東海林監督
「心境の変化というか、僕自身は LGBTでいうBのバイセクシャルなんですけど、いわゆる老け専という年上の年配の男性が好きなんですね。なので今までお付き合いしたりとか、いわゆるセフレみたいな方は年配の方が多くてですね、そういう人たちを間近で見ていると、皆さんやっぱり外から知らないで見ているとなんか年取ってかわいそうとかもう相手もいないんじゃないかとかいろいろ思うかもしれないですけど、実際には皆さん元気ですし、結構狡猾で。そういうのを見ているとなんかずっと元気でいてほしいなって思うんですよね。例えばその人権意識みたいなことだけでいうと、上の世代の人たちはなかなかそれを持てずに、歳をとってしまった人も多いです。それは社会の問題ですけど、かといってそんな人たちはもういなくなっていいとか、その人たちの考え方を変えなきゃいけないかというと、僕はそうは思わなくて。別にその人たちはその人たちの生きてきた時代をそのまま自分のものとして年をとって最後まで楽しく生きていてほしいなというのはずっと思っていたんです。その自分の考え方や気持ちを形にしようとしてこういう 作品になりました」
観客から
「水の中に落ちていくカットがいくつかありますがこれはCGでしか」
東海林監督
「1カットだけプールにドボンと入っていくのは本当に深いプールで撮っているのがあります。他は全部合成です。黒い部屋で、黒い幕を引いた机の上で、田村さんに動いてもらって、それを撮った後で合成しています。ちなみに本当の水の中に落ちるカットは短編版からの唯一の使い回しカットかなんですけどれなぜ使い回したかというと、いいカットだからというのもあるんですが、その1カットを撮るのにものすごいお金がかかったからです。短編全体の予算の数分の1ぐらいをこのカットのために使ってしまったのでそれを捨てるのは忍びないと思って。これ絶対使い回そうと」
福島監督
「では最後に一言監督から」
東海林監督
「いわゆる単館映画でなかなか見ていただける機会も限られた映画なんですが、こうして多くの皆さんに観ていただいて、さらにここから広がっていけるように、最後まで、諦めずに頑張りますのでちょっと引き続き応援していただけたら嬉しいです。どうも皆さん今日はありがとうございました」
映画『老ナルキソス』https://oldnarcissus.com/
脚本・監督 東海林毅
出演 田村泰二郎 、水石亜飛夢 、寺山武志 、日出郎 、 モロ師岡 、田中理来 、新垣篤 、タカハシシンノスケ 、遠藤史崇 、荒木ロンペー 、湯沢勉 、椎名綾子 、松林慎司 、山下ケイジ 、新海ひろ子 、三輪千明 、根矢涼香 、富士たくや 、津田寛治 、千葉雅子 、村井國夫 他
2022年 110分
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