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第75回CINEX映画塾 『エゴイスト』松永大司監督が登場。7月29日からリバイバル上映決定!

第75回CINEX映画塾 映画『エゴイスト』が開催された。ゲストには松永大司監督が登場。上映後、映画製作について聞いた。

Q.『エゴイスト』を製作するきっかけを教えてください。

松永監督
「プロデューサーの明石さんから「これをやってみませんか?」という話をもらったのが最初です」

Q.原作の高山真さんを当時からご存知でしたか?

松永監督
「いえ、知りませんでした」

Q.原作の設定を映画的に変えられていますね。最初に2人が結ばれたのが、鈴木亮平さん演じる浩輔が住むあの高級マンションであることが重要で、あのマンションを知って龍太がそこに関わっていくという流れがとても映画的に入りやすかったと思います。いろいろな制約がある中で細かい設定を入れられています。そのご苦労はすごかったのではないかと考えたのですが。

松永監督
「どんなものでも制約はあります。日本の映画作りは制約だらけではありますが、逆に制約がある中で観たお客さんにとって「本当はこうしたかったのかな」と考えるものにせず、それを必然性に変えるということが、監督の大きな仕事ではないかと思います」

松永大司監督 CINEXでのトークにて

松永大司監督
CINEXでのトークにて

Q.制約というとやはり予算もあると思いますが、その中で松永監督が大事にされたことは何ですか?

松永監督
「予算的なことから言うと、そんなにいろいろなものを作り込むことは正直できないです。ただ、人間を撮るということを一つの切り札、武器にしている自分にとっては、目の前の2人をしっかり演出していくということと、ドキュメンタリー出身だということもあり、ドキュメンタリーのカメラのように撮っていくこと、役者の近くに寄って撮っていくことを重視しています。近くで撮って、それをワンシーン、ワンテイクで撮っていくということは非常にリスクが高いことではあります。ですが、スタッフと自分の力と役者の力を信じて撮り続けていこうとした時に、一つの個性が出てきます。すると、あまり広い画を撮る必要も正直なくなっていきます。それによって美術の飾り込みも場所によってはそんなに多くなくて済みますし、ワンシーンワンテイクにすることで撮影時間もかなり省略できます。その代わり役者やスタッフは大変です。集中力が必要です。ただそれを必然に変えて、映画のトーンにしたのはもちろん制約があったからこそです」

Q.ワンシーンワンテイクでハンディカメラで撮った感じが2人の幸せを密に感じられる距離感だと感じました。ポスタービジュアルも素敵ですが、これも監督が作られたのでしょうか。

松永監督
「今回は宣伝にも僕はほとんど関わらせてもらい、ビジュアルのイメージやデザイナーも自分で選ばせてもらいました。こういうイメージにしようということは宣伝部みんなで話し合っていきます。宣伝の仕方、映画のトーンもより明確に舵を切ることが実はしっかりとお客さんに届くのではないかと思います。いろいろな人たちを囲みたいと思うと、宣伝部は要素をたくさん入れたくなります。しかし今回は2人のラブストーリーという売り方はしましたが、家族の映画だということは、絶対宣伝しませんでした。観ると家族の映画ですが、家族の映画と言ったら人は観に来ないのではないかと思いまして。上の世代の方たちは見たいかもしれないですが、20代に家族の話と言って観るでしょうか。数多ある人生の選択肢の中で、果たして観るだろうかと。それよりも何かちょっと刺激が強そうなものの方が観るのではないかという判断でした」

Q.でも実際は家族の話です。血が繋がっていなくても愛があればこういう関係性になれるということをしっかり伝えている映画だと思います。

松永監督
「観終わった後に、それが同性愛だろうが、異性愛だろうがあまり違いがないところにお客さんが入り込んでもらえるといいなと考えました。ですから、接写という至近距離の画も元々は予算的なところからのきっかけで手法を考えていきましたが、もう一つ別の意味があります。とにかく距離を近くして、あたかも自分の身近で起こっている話だと思ってもらいたいという意味もあり、クローズアップにしていきました」

Q.それがこの映画に関してはすごく生きていたと思います。浩輔が仲間と話をする居酒屋の風景はとても自然でした。

松永監督
「基本的に台本があります。台本におおよそのセリフが書いてありますが、それ通りに喋ってもらうことをあまりしていません。ゲイの友達たちとの会話も、基本的にあなたはこのテーマ、あなたはこのテーマという風にテーマを個人的にだけ渡していて、他の人にはその人が何を話すかをあまり知らせていません」

Q.阿川佐和子さん演じる龍太のお母さんと「お金を受け取ってください」というやり取りをするところの空気感。何とか受け取ってほしいという思いで鈴木亮平さんが溜めて動く。本当にリアルな雰囲気が出ています。あの空気感は映画ではあまり見たことがなくて鳥肌が立ちました。

松永監督
「日常は、相手の思考や何を言うのかはわからない中で物事が進みます。それぞれのエゴがぶつかり合って、いろんな衝突が生まれてくるので、それを撮りたいと毎回思っています。今回『エゴイスト』に関してはそういうことにかなり特化した撮り方をしていまして、浩輔が龍太の母親にお金を渡すやり取りのところも、台本では2回ぐらいのやり取りで受け取っていますが、阿川さんには本番直前で「お金を絶対に受け取らないでください」と書いた紙を渡して、亮平には「お金を絶対渡してくれ」と伝えます。阿川さんから「私受け取れないかもしれません」と言われたので、「それでいいです。30分でも1時間でも受け取らなくていいです。亮平が、浩輔が絶対に本気で阿川さんに受け取らせますから。じゃないと、観ている人は絶対に納得しないです」と伝えました。映画だから、シナリオがあるからお金をもらったと思わせたくなかったです。観ている人が、「いやここまで言われたら受け取っちゃうよな」というところまでいかなかったら、あのシーンは成立しません」

Q.鈴木さん、宮沢さん、阿川さんはカメラアングルはわからないですね。近くにいるということだけを話して撮っているのでしょうか。

松永監督
「僕はいつも撮影が始まる前に最低1週間はリハーサルをやります。当たり前のように本番前のリハーサルからカメラを入れています。本番のカメラを担いで、本当に近い距離でいる状態です。でも役者はカメラのことも気にできないほど集中しないと、相手から何が降ってくるかはわからないような現場でした」

Q.SEXシーンも含めてですが、リアリティにこだわって、このような世界観を描くのは大事なことですね。

松永監督
「お客さんの感想を見ていると、そこまで長くする必要はないのではないかと書かれている人もいますが、この映画に関しては、その必然を自分の中で感じています。例えば最初は男性同士のSEXだと受けと立ち、攻めと受けということでいうと、浩輔はウケです。受けて、攻めていこうとすると、龍太にひっくり返されて、ウケになります。ですから龍太の方が最初はリードする立場でSEXが終わります。次のシャワーシーンでは、浩輔が攻めていきます。それは征服欲といいますか、その人を征服したい、自分がこの人を支配したいという気持ちの表れだと思っています。浩輔には龍太を自分のものにしていくという自分の意味があります。そうすると2つのSEXは実は全く違います。一概にSEXのシーンという風に括るものでもなく、そこには実は会話以上にキャラクターの性格が出てくるものだと思い、丁寧に描きました」

Q.海外でも上映されていますが、反響はいかがですか?

松永監督
「一昨日、北米のフレームライン(サンフランシスコ国際LGBTQ映画祭)という世界最大級のLGBTQ+の映画祭で上映されましたが、今日自分のInstagramにその上映を観た多分現地の人と思われる方からメッセージが届きました。「上映があった後、その映画祭で本当にすごい話題になっていたよ」と何人かからメッセージが来て、しかも、映画監督やフィルムディレクターとして活躍している方からも来ていました。それが北米である、アメリカであるということが僕にはとてもとても嬉しくて。フレームラインは映画『ミルク』(2008年公開)の題材になっている場所で開催されている映画祭です。この映画をアメリカの人たちが熱狂して観てくださり、しかもアメリカの会社が買ってくれました。秋に劇場公開が始まります。実写の日本映画でアメリカで公開されることは、本当に今は難しいです。カンヌ、ベネチア、サンダンス映画祭での上映に入っていない作品が北米の劇場で公開されるというのは相当稀だと思います」

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Q.『エゴイスト』にはLGBTQ+に関して専門のスタッフが入っていると伺いました。どのように関わっているのか教えてください。

松永監督
「LGBTQ+インクルーシブディレクターのミヤタ廉さんはLGBTQ+に関してのプロデューサー的な立場の方です。ミヤタさんは、脚本製作の段階から大きな意味でのLGBTQ+に関してのアドバイスと、いろんな議論を僕達としています。パンフレットを作るときの用語、インタビューに答えるときのジェンダーやセクシュアリティに関する言葉の使い方、用語監修の松岡さんに入っていただくことについてもミヤタさんと相談しています。ミヤタさんとは別にインティマシー・コリオグラファーのSeigoさんがSEXシーンの監修として入っています。その方を紹介してくださったのもミヤタさんです。SeigoさんはSEXシーンに関して、細かくアドバイスをしてくださいました。現場での性描写のシーンも全部一緒にチェックしてもらい、僕とミヤタさんとSeigoさんで3人でモニターを見ながら、SEXシーンとしてNGがないかどうか、僕の中でOKかどうかを判断して全部のシーンを撮っています」

Q.次回作の構想はありますか?

松永監督
「これからは海外で映画を撮りたいと思い、今は国際共同製作として、アジアの国々と映画を撮ろうといくつか準備をしています」

Q.最後に『エゴイスト』を映画館で観る方にメッセージをお願いいたします。

松永監督
「『エゴイスト』はU-NEXTでは配信が始まっていますが、それでもまだまだ映画館で観てもらいたいと思っています。1人でも多くの方にスクリーンで観てもらえることを期待して映画を作りました。観られる劇場は限られていますが、皆さんの口づてでもSNSでも言ってもらえると、1日でも長く劇場で上映してもらえると思いますので引き続き皆さんの力で映画を宣伝していただきたいです」

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映画『エゴイスト』https://egoist-movie.com/index_sp.php

岐阜CINEXアンコール上映
7月29日(土)~8月4日(金)
上映スケジュールはCINEX公式サイト

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センチュリーシネマ22周年記念企画 『「もぎりさん」「もぎりさんsession2 ...

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カンヌ国際映画祭75周年記念大賞を受賞したダルデンヌ兄弟 新作インタビュー(映画(『トリとロキタ』)

パルムドール大賞と主演女優賞をW受賞した『ロゼッタ』以降、全作品がカンヌのコンペ ...

feibru 86
アカデミー賞、オスカーは誰に?(松岡ひとみのシネマコレクション『フェイブルマンズ』 ゲストトーク 伊藤さとりさん))

松岡ひとみのシネマコレクション vol.35 『フェイブルマンズ』が3月12日ミ ...

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親子とは。近いからこそ難しい(映画『The Son/息子)』

ヒュー・ジャックマンの新作は3月17日から日本公開される『The Son/息子』 ...

tyanomi1 88
先の見えない日々を生きる中で寂しさ、孤独を感じる人々。やすらぎはどこにあるのか(映画『茶飲友達』外山文治監督インタビュー)

東京で公開された途端、3週間の間に上映館が42館にまで広がっている映画『茶飲友達 ...

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映画『茶飲友達』名古屋 名演小劇場 公開記念舞台挨拶レポート

映画『茶飲友達』公開記念舞台挨拶が2月25日、名演小劇場で開催された。 外山文治 ...

ginpei8 90
第71回 CINEX映画塾 映画『銀平町シネマブルース』小出恵介さん、宇野祥平さんトークレポート

第71回CINEX映画塾『銀平町シネマブルース』が2月17日、岐阜CINEXで開 ...

gokudaru7 91
名古屋シアターカフェ 映画『極道系Vチューバー達磨』舞台挨拶レポート

映画『極道系Vチューバー達磨』が名古屋清水口のシアターカフェで公開中だ。 映画『 ...

wakareru 92
パク・チャヌク監督の新作は今までとは一味も二味も違う大人の恋慕を描く(映画『別れる決心』)

2月17日から公開の映画『別れる決心』はパク・チャヌク監督の新作だ。今までのイメ ...