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【愛知県江南市で撮影】映画『春の香り』美咲姫さん、堀ともこプロデューサー インタビュー

3月公開になる映画『春の香り』は脳腫瘍と闘いながらマンガ家を目指した18歳のハルカが最後まで希望を捨てずに懸命に生きた姿と彼女を支えた家族の愛情を描いた青春ストーリー。父母の視点から娘の闘病と介護の記録を記した同名の書籍を原案に主人公・ハルカのモデルとなった坂野春香さんが暮らした江南市を舞台に映画は撮影されている。

1000人以上が集まったヒロインのオーディションで主役を射止めた美咲姫(みさき)さんとプロデューサーの堀ともこさんにお話を伺った。

Q.堀プロデューサーから丹野監督にオファーされた理由を教えてください。

堀ともこプロデューサー(以後 堀プロデューサー)
「映画『メイド・イン・ヘブン』(2021)の時に、丹野監督と一緒に映画を作りましたが、作品に対する取り組み方をものすごく尊敬しています。丹野監督は作品を作る何ヶ月も前からその土地に住んで準備を始めます。その作品に対する真摯な取り組みに惹かれています。『春の香り』の色が丹野監督が『メイド・イン・ヘブン』で作り出していた色合いに近いのではないかと感じてどうしても丹野監督に撮っていただきたいと思い、お願いしました」

堀ともこプロデューサー

堀ともこプロデューサー

Q.闘病シーンもありますが、ハルカの夢や恋に生きる姿が印象的で爽やかな映画ですね。シナリオ作りの時点からかなり話し合いをされたのでしょうか。

堀プロデューサー
「はい。実は最初に丹野監督に原作をお渡しして、この作品を映画化したいと言った時に、監督は「人が亡くなる映画は僕は作りたくないんだ」と言われました。私は「人が生き続けるためにこの作品を作りたいんです」と伝えました。それならと丹野監督は引き受けてくださいました。丹野監督と脚本家のカマチさんがハルカがどう生きたかったかというところを描きたい、かわいそうな映画にはしたくないと。亡くなることがテーマではなくて、ハルカの人生が誰かの心の中に生き続けることを目指す映画、そういう映画を作りたいと話し合って制作しました」
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Q.ハルカ役をオーディションで選んだ理由を教えてください。

堀プロデューサー
「たくさん映画に出られている方よりも、現場に慣れていない、色で言えば白に近い女優さんを探したかったということがありました」

Q.オーディションの時の美咲姫さんには、どんな魅力を感じたのでしょうか。

堀プロデューサー
「演技が上手い人はいっぱいいるんです。演技だけで選ぼうとしたら、美咲姫さんよりも上手に演じられる方はいっぱいいたと思います。美咲姫さんを選んだ理由というのは、最初からこの役に向き合う姿勢というものがオーディションの時に現れていたんですね。その場で全員一致で決まりました」

Q.オーディションの様子を教えてください。

美咲姫さん
「すごく緊張しました。オーディション会場に「失礼します」と入ったら、カメラもありましたし、みんなが私を見ているという状態で緊張しながらもここで全部出さなきゃと思って、全部出し切って芝居をやりました。もう終わりかなと思ったら、監督から最後に「何か言い残すことはありませんか?」と言われて。「言い残すこと?(落ちた?)」と思うじゃないですか(笑)。
頭の中で何を言おう、何を言ったら印象に残るんだろうと一生懸命考えて。でもそういう受け答えを準備してきているわけではなかったので、事実を話すしかなくて「私は感情の作り方として、今まで毎日春香さんにお手紙を書いてきたんです。だからその気持ちが春香さんに届いているといいなと思います」と言いました。審査員の皆さんは、毎日お手紙を書いていたということに注目してくださったみたいで、決め手になったと言っていただけますが、それを言ってなかったら受かっていなかったので本当に言ってよかったなと(笑)」

美咲姫さん

美咲姫さん

堀プロデューサー
「毎日春香さんに向けてお手紙を書いていると聞いてみんなびっくりしたんですよ。そこまで役に向き合っているというか、役になりきることがいいとは思っていないんですが、その人を知ろうとしている姿勢が他の誰にもない部分だったなと思いました」

Q.桜の木とハルカさんの美しいポスタービジュアルが印象的ですが、これもロケ地である江南市で撮られたのでしょうか。

堀プロデューサー
「はい。すいとぴあ江南の前の土手沿いに3本桜があるんですよ。そこにドーンと3本だけ大きい桜が立っているのがすごい綺麗だなと思いまして。ロケハンに行った時に監督が見つけました。周りは何もないですが、桜が咲いたらどんな風になるんだろうと思ってすいとぴあの方に記録で保管されていた写真を見せていただいたらすごくきれいだったんです。これはすごいと。絶対ここで撮りたいと桜が咲く時期に合わせて撮影しました」

Q.難しい役だったと思います。ハルカ役を演じる上で、考えたことを教えてください。

美咲姫さん
「実在していた方を演じる時、自分の想像だけで役を演じてはいけないという気がしていて、そういう点でもすごく難しいなと思っていました。最初はハルカ役のモデルになった坂野春香さんにならなきゃと思って自分を突き詰めていたんですが、堀プロデューサーから「美咲姫のハルカでいいんだよ」と言葉をいただいて。その時から自分の中のハルカを探す作業に移っていきました。坂野春香さんになろうと頑張っていた自分と、自分の中のハルカを見つけ出そうと頑張っていた自分という両方の自分がいたからこそ、この役を最後までやりきれたんじゃないかなと思っています。この『春の香り』という作品が私の初の単独主演作品ということが本当に誇りであり、ありがたく嬉しい気持ちでいます」

Q.実際に演じられて印象深かったシーンはありますか。

美咲姫さん
「自分で演じていて辛かったシーンは、タクミくんとのラストシーンです。あの時ハルカが発する言葉は、きっと言いたかったけど言えなかった言葉がたくさんあると思っています。そういう言葉を私自身も役として発するのがちょっと苦しくなる言葉があったんですが、それを自分の中で頑張ってハルカとして言葉にしたことで、観てくださっている皆さんにも何か伝えられるものがあるんじゃないかと思っています。ラストシーンは私にとっても、ハルカの物語を完結させる上ですごく必要だった、大切な場面でした」
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Q.家族でのシーンが多かったですが、家族を演じた役者さん達とのエピソードを教えてください。

美咲姫さん
「エピソードはたくさんあります。撮影が終わった後に家族4人で焼肉を食べに行ったり、夜な夜な撮影の反省会をしました。私とお姉ちゃん役の篠崎彩奈さんの「今日はもっとやれたのに」という反省をお父さん役の松田一輝さんとお母さん役の櫻井淳子さんに聞いてもらっていました。撮影がお休みの日に篠崎さんは行けなかったですが、櫻井さんと松田さんと3人で犬山に行って、お城に登ったり、城下町をブラブラして、その度に写真を撮って、本当の家族のように過ごしていました。だからこそカメラの前でも自然に家族として過ごせたと思っています」

Q.ハルカの父親役の松田一輝さんは江南市出身ですね。

堀プロデューサー
「この作品に関しては、なるべく江南市に気持ちがある方に限って人選しました。実は配給会社さんも江南市出身の方なんですよ。江南に特別な思いがある人こそ、江南市に愛着があり、この映画を少しでも世の中に広めたいと思ってくれるんじゃないかなと思って、江南市出身の配給の方を探してお願いしました。その配給会社の社長さんにお会いした際に「高校生時代の教育実習の先生が俳優やっているんですよ」という話を伺い、それが松田さんで……(笑)松田さんに出演をオファーしたんですが、今はプロデュース等をやられていて、「もう12年俳優をやっていないので、急にやっても満足な演技なんてできないから、自分は自信ないです」と断われたんです。でも私は諦められなかったので、なぜこの作品を世に出したいかを、懇々と説明させていただきました。私がしつこかったのか(笑)、是非と最終的にお返事をいただきました」

Q.江南市のオススメスポットはありますか?

美咲姫さん
「撮影の予定では、この作品のデートシーンを曼陀羅寺のふじ棚の下で撮影をする予定があったんです。私はふじを見たことがなくて、すごく楽しみにしていたんです。でもふじの花が咲く時期が撮影とちょっとずれてしまって、別の場所で撮影することになったので、ふじ棚の下をデートで手を繋いで歩きたいです」
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Q.『春の香り』は愛知県江南市、その前に出演されていた『しまねこ』と地方でロケーション撮影する現場が続いてますが、これからこんな作品に出てみたいという希望はありますか。

美咲姫さん
「最近地方を舞台にした作品が多くあるので、私も地元鹿児島が舞台の作品に出たいという思いがやっぱりあります。鹿児島の皆さんに恩返しをしたいです。鹿児島のことを知ってもらえるすごくいい機会だと思うので、その機会に貢献できるようなお仕事ができたらすごく嬉しいなと思います」

Q.では最後に、これから『春の香り』をご覧になる皆さんに一言ずつよろしくお願いします。

美咲姫さん
「この映画は一人の女の子のただの闘病記ではなく、一人の女の子が最後までありのまま生き抜いた姿を捉えた映画になっています。この映画を観て、死ぬこと、生きることに向き合うことはすごく怖いことだとは思いますが、この映画を観た帰り道だけでも、桜を見た時だけでも、何か少し自分の中でそういうものと向き合える時間を作ってほしいなと思っています。たくさんの方に観ていただきたいです」

堀プロデューサー
「この作品を私は命に関して発信していきたいという希望があります。命は短いから悲しい、長いから幸せということではないと思うんです。自分の与えられた時間を精一杯生きることが生きるということだと思っているので、この作品を通して一人一人の方にそれを伝えていけたらと思っています。一人でも多くの方に観に来ていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします」
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映画『春の香り』 https://harunokaori-movie.com/  は3月7日(金)より東海3県下記劇場で先行公開。上映館は
【愛知】ミッドランドスクエアシネマ、イオンシネマ(ワンダー、大高、名古屋茶屋、長久手、岡崎、豊川、常滑、豊田KiTARA)、ミッドランドシネマ名古屋空港
【岐阜】各務原【三重】東員、桑名、鈴鹿、津、津南)
※3月8日(土) ミッドランドスクエアシネマ、イオンシネマ ワンダーにて舞台挨拶が予定されている。詳細は下記に記載。

3月14日(金)よりイオンシネマ板橋、アップリンク吉祥寺他で全国公開。

映画『春の香り』 東海3県先行公開記念舞台挨拶情報

3月8日(土)
①ミッドランドスクエア シネマ2 11:10の回上映後
②イオンシネマ ワンダー 13:00の回上映後
登壇ゲスト:美咲姫/篠崎彩奈/平松賢人(BOYS AND MEN)/松田一輝/丹野雅仁監督 堀ともこプロデューサー
坂野貴宏/坂野和歌子(「春の香り」原作)
特別ゲスト(ミッドランドスクエア シネマのみ):吉岡優樹(劇中マンガ作画)/小森咲(子役) 予定
(敬称略)
MC:レディナナ(映画 『春の香り』宣伝大使)

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