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映画『春の香り』名古屋舞台挨拶レポート
映画『春の香り』先行公開記念舞台挨拶が3月8日(土)ミッドランドスクエアシネマ2で開催された。
悪性脳腫瘍と闘いながら、18歳で生涯を閉じた坂野春香さんをモデルとした映画『春の香り』は愛知県江南市で撮影され、現在東海3県で先行公開中だ。
地元愛知での舞台挨拶には藤森ハルカ役の美咲姫さん、藤森ユウカ役の篠崎彩奈さん、藤森孝之役の松田一輝さん、川上先輩役の平松賢人(BOYS AND MEN)さん、丹野雅仁監督、堀ともこプロデューサー、そして原作者の坂野貴宏さん、坂野和歌子さんが登壇した。MC:レディナナさん(『春の香り』宣伝大使)
堀ともこプロデューサー
「この映画を撮影したのがちょうど1年前の4月になります。あっという間に1年が過ぎましたが、私たちの心の結束はますます強くなり、今日の舞台挨拶を待ちわびておりました。私たちの船出をたくさんの方たちに一緒に共有していただけましたこと、心から感謝いたします。ずっと応援し続けていただけることを心から望んでおります。本日は短い時間ではありますが、楽しんでいただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします」

美咲姫さん
「藤森ハルカ役を務めさせていただきました美咲姫と申します。本日はご来場いただきまして誠にありがとうございます。映画を観終わってから皆さんのお顔を一人一人見ることができてとても嬉しく思っています。本日は最後までよろしくお願いいたします」

篠崎彩奈さん(以後 篠崎さん)
「姉・藤森ユウカ役の篠崎彩奈です。本日はご多忙の中、ご来場いただき本当にありがとうございます。役が決まってから皆様に映画を観ていただくこの日をすごく楽しみにしていました。泣いてくださっている方もいらっしゃって、皆様の心に何か残る作品になればいいなと思っております。本日はよろしくお願いします」

松田一輝さん(以後 松田さん)
「父・藤森孝之役の松田一輝です。愛知県江南市出身です。地元愛知でこういう映画を届けられたことを本当に心から嬉しく思います。本日はお忙しい中ご来場いただきありがとうございました」

平松賢人さん(以後 平松さん)
「川上先輩という役を演らせていただきました、BOYS AND MENの平松健人と申します。BOYS AND MENとして名古屋を中心に活動しておりますので、こうして名古屋で公開できることをすごく嬉しく思っておりますし、名古屋から全国にどんどんこれから映画が広まっていけばいいなと思っておりますので、よかったら皆さん感想をつぶやいてください。僕たちも一生懸命頑張って全国に発信してまいりますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。本日はご来場いただきまして誠にありがとうございました」

丹野雅仁監督(以後 丹野監督)
「本日は皆さん、お運びいただきまして本当にありがとうございます。映画を撮ったのが去年の4月。ちょうど1年前でその後編集したり音をつけたり大変でした。かなり僕には長い旅だったんですが、完成してこうやって皆さんにやっと見ていただけるというのがすごい幸せです。ほんとにありがとうございます」

坂野和歌子さん
「春香は生前、人の心に何かを刻みたい、人の役に立ちたいと言っておりましたので、その思い、願いが今日映画という形で皆様にお届けできたこと、本当に嬉しく思っております。ありがとうございます」

左:坂野貴宏さん、右:坂野和歌子さん

監督オファーがあった時、命に関わる話を撮れるのかと躊躇して、色々考えてしまったという丹野監督。原作を読み、春香さんがこの世に自分の生きた証を残したいという気持ち、春香さんがこうなりたかったということをフィクションで映画にしたら人の心に残せるのではないか、恋をしてもらおうと考えたことで、この話に一歩踏み出すことができたという。そのフィクションで描かれたハルカ役のオーディションには1000人以上が集まった。最終審査で満場一致で主役に抜擢されたのが美咲姫さんだ。
丹野監督
「僕が美咲姫さんに一番感じたのは、こっちに訴えてくるエネルギーより、坂野春香さんに対する思い入れです。それが一番強かったので選びました」
撮影で難しいシーンを尋ねられた美咲姫さん。
美咲姫さん
「発作を起こすシーンは、気持ち的にも体力的にも家族を傷つけてしまうシーンがあったので、キャストさんにも気を遣いましたし、自分の中でも発作で起きてしまっていることなので、決してハルカさんが本当にそういう思いで行動しているわけじゃないということを分かった上で演じなければいけなかったので、そこはすごく辛い部分もありました。でも、家族役のキャストの皆さんがほんとに支えてくださったので、無事に撮影終えることができました。キャストさんとの関わりの中で一番大変だったのはそのシーンです」
もう一つのシーンを思い出して話せなくなってしまった美咲姫さん。
「頑張って!」
と観客からの声援が飛んだ。
「もう一つ、自分がセリフとして言いたくなかったシーンがありました。それはタクミくんと屋上で最後に会うシーンがあるんです。私は本当にあそこのシーンのセリフを発するのがすごく怖くって。監督にもそのシーンの撮影の前日に「できるか不安です」と電話をしてしまうくらいすごく不安だったんですが、佐藤新さんもタクミとしてそこに存在してくださっていたので、2人で作り上げられたと今となっては思えます。あそこでちゃんとセリフをハルカとして言うことができて良かったなと思っています。自分の中でこの二つは特に大切なシーンです」
姉役の篠崎さんからは美咲姫さんとの初対面エピソードが語られた。
篠崎さん
「姉役ということで、すごくハルカのことが大切で、大好きな妹なので、ギャルとかが来たらどうしようと思っていました(笑)。顔合わせの時に初めましてと挨拶したらすごくいい子で、本当に台本で読んだハルカが目の前にいると思いました。顔合わせまでは正直不安な部分もあったんですが、その不安が全て取り除かれました」
長年俳優業から離れていた松田さん。役者としてオファーが来た時の気持ちを聞かれると
松田さん
「僕は愛知から東京に出て俳優を20代の頃やっていて、30歳に辞めて今43歳なので、13年前に俳優は退いていました。今は裏方として映画のプロデューサーや芸能プロダクションの経営者をやっているんです。声をかけてくれたのが、僕が母校に教育実習に行った時の生徒だったんですよ。生徒から連絡が来て、「先生、江南市で映画を撮るので出てください」と言われて、何言ってんだろうと思いました(笑)。でも、堀プロデューサーから熱い思いを伝えられましたし、坂野さんの書かれた原作を読んだ時に自分の地元の話が書かれているので、景色が浮かぶわけです。もしかしたら春香さんが見た景色はここなんじゃないかなと読んでいくうちにこれをイメージできるのは僕ぐらいしかいないかもしれないと思って春香さんの思いのバトンを受け継いで出演を決めました」
と答えた。
ユウカのボーイフレンド川上先輩を演じた平松さん。撮影はわずか半日だったそう。
平松さん
「顔合わせも実は僕は参加していなくて、撮影当日、半日ぐらいで2箇所回って撮影したんですが、そのタイミングで篠崎さんといきなり出会って、腕組んで歩きましょうだったので、「いやいやいや」と思いました(笑)。「何話す?」とか言いながら、2人でちょっとドギマギしながら撮影しました」
舞台挨拶後半では映画劇中のイラストを担当した吉岡優樹さんとハルカ、ユウカの子ども時代を演じた小森咲さんと小森花さんも登壇した。

左:吉岡優樹さん

左:小森咲さん 右:小森花さん
最後にこの作品を坂野春香さんが観たらどんな感想を言うと思うかという質問に坂野貴宏さんが答えた。
坂野貴宏さん
「春香は覚醒化手術という非常に難しい手術を受ける前に、私たち家族に手紙を残してくれました。その手紙の中に「不幸とは、幸せと気づかないこと。敗北を認め、大いに楽しむこと。どんなところにも美しいものはある。それこそが運命」という言葉を残してくれました。実際にそのあと体が不自由になり、できないことが増えていきましたが、それでも生きることは素晴らしいんだ。生きているだけで人は価値があるんだということを伝えたかったと思います。その思いがすべてこの映画に詰まっていましたので、おそらく天国で、映画を作った皆さん、関係してもらった皆さん、そして観てもらった皆さんに感謝をしていると思います。ありがとうございました」

和歌子さんの手には春香さんの著者「バツくん」も。
映画『春の香り』 https://harunokaori-movie.com/ は現在東海3県下記劇場で先行公開中。3月14日(金)から全国公開。

ミッドランドスクエアシネマ2では劇中衣装も展示されていた
先行公開上映館
【愛知】ミッドランドスクエアシネマ、イオンシネマ(ワンダー、大高、名古屋茶屋、長久手、岡崎、豊川、常滑、豊田KiTARA)、ミッドランドシネマ名古屋空港
【岐阜】各務原【三重】東員、桑名、鈴鹿、津、津南)
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