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Die Familien Strelzyk und Wetzel starten den Ballon - Peter Strelzyk (Friedrich Mücke, l.), Doris Strelzyk (Karoline Schuch, r.) und Andreas Strelzyk (Tilman Döbler)

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気球に乗って国境の壁をこえろ(映画『バルーン 奇蹟の脱出飛行』)

ドイツという国も戦争で翻弄された国の一つだ。東西冷戦の中、ドイツは共産主義の東ドイツと資本主義の西ドイツに分かれた。1961年にはベルリンの壁が作られ、行き来が出来なくなり、家族が離れ離れになった人も少なくない。西側へ行くことを決意し、国境を走って渡る者、地下にトンネルを掘る者。様々な逃走方法で逃げる民衆を東ドイツ秘密警察は厳しく取り締まった。ドイツ統一に至るまでに沢山の人が未来を賭け危険を冒し、命を落としたことも忘れてはならない。

1979年、気球(バルーン)を使うという斬新な方法を使い、実際に越境に成功したのはごく平凡な2組の家族だった。

あらすじ

1979年、東ドイツ・テューリンゲン州。電気技師ペーターとその家族は、手作りの熱気球で西ドイツをめざすが、国境までわずか数百メートルの地点に不時着してしまう。東ドイツでの抑圧された日常を逃れ、自由な未来を夢見ていたペーターは、準備に2年を費やした計画の失敗に落胆の色を隠せない。しかし妻とふたりの息子に背中を押されたペーターは、親友ギュンターの家族も巻き込み、新たな気球による脱出作戦への挑戦を決意する。ギュンターが兵役を控えているため、作戦のリミットはわずか6週間。ふたつの家族は一丸となって不眠不休の気球作りに没頭するが、国家の威信を懸けて捜査する秘密警察の包囲網が間近に迫っていた……。

生きづらさからの脱出

共産主義の東ドイツ住民は西ドイツの豊かさを感じながら生きている。金銭的な豊かさだけではなく、心の自由という豊かさも東ドイツには感じられない。息苦しさ、生きづらさが感じられる。脱走が失敗すれば絶望しかないが、それでも西ドイツへ行きたい。家族に会いたい者、自由を求める者。思いは様々だ。

空には壁はない。空を飛べば脱出出来ると思いつき、ペーターとギュンターがなぜこの気球飛行脱出計画をしたのかという理由ははっきりとは描かれていない。1回目の気球飛行直前からのペーター一家が映し出される。計画実行前、実行後、2度目のリベンジの間に二人が家族や隣人達と会話する中でその理由は感じられるだろう。周りの誰にも言えない秘密の計画と関わり、それを実行しようとする家族一人一人の心の機微が映し出される。

主人公達を追う秘密警察

気球の残骸から逃亡者を見つけようと探索するのはシュタージと呼ばれる秘密警察だ。監視網を敷いて国民生活の徹底的な抑圧を行った。

秘密警察の捜査の手が刻々とペーター達に近づき、クライマックスは観る人の心の中をざわつかせる。

執拗に逃亡犯を探そうと捜査の指揮を執るザイデル中佐が癖のあるキャラクターだ。ザイデル中佐を演じるトーマス・クレッチマンは自身が東ドイツを脱出して西ドイツに移住した経験を持つ。本物のシュタージを知る人物が演じていることもあり、その存在感が凄い。

汎ヨーロッパピクニック計画からベルリンの壁崩壊への流れが起こったのは1989年。厚い壁は人々の思いによって壊され、再びドイツは一つになった。気球に乗った8人が風に乗り、無事西側へ脱出してから10年が経っていた。

“東ドイツからのもっとも華々しい亡命”と当時メディアで騒がれた脱出劇を繊細に捉えた作品。大胆だからこそ、緻密な計画がある。

映画『バルーン 奇蹟の脱出飛行』https://balloon-movie.jp/ は7月10日(金)よりTOHOシネマズシャンテ、センチュリーシネマ他で全国順次公開。

公開記念プレゼント企画

応募いただいた中から抽選で2名様に映画『バルーン 奇蹟の脱出飛行』宣伝用プレスシート<非売品、転売禁止>をプレゼントいたします。

以下の送付先にはがきで住所・氏名・連絡先を記入の上、ご応募ください。締め切りは7月3日(必着)

〒460-0002 名古屋市中区丸の内3‐20‐9
三晃社・映画『バルーン 奇蹟の脱出飛行』(Cafe mirage)係

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