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ナゴヤキネマ・ノイオープニングを飾るのは断らないERに密着した東海テレビドキュメンタリー(映画『その鼓動に耳を当てよ』)
名古屋・今池。歓楽街にあった映画館名古屋シネマテークが2023年7月に閉館し、同年3月の名演小劇場に続いてのミニシアターの閉館は、名古屋の映画文化の衰退に繋がると危機感や不安が広がった。
しかし、2023年12月、元・シネマテークスタッフの有志がシネマテークの場所でナゴヤキネマ・ノイの開館を発表した。改装費用などの支援を求めたクラウドファンディングでもたくさんの人からの支援が寄せられ、いよいよ2024年3月16日、改装とメンテナンスを経てナゴヤキネマ・ノイは開館する。
チケットもオンラインで購入できるようになり、より便利になる。
オープニングを飾る作品は、名古屋シネマテークで大行列を作った『ヤクザと家族』、『人生フルーツ』など、地元名古屋のテレビ局、東海テレビが制作した劇場版ドキュメンタリーの最新作『その鼓動に耳を当てよ』だ。
あらすじ
全国屈指の荷揚げ量を誇る名古屋港から北へ3km。そこに名古屋掖済会(えきさいかい)病院はある。そのER(救命救急センター)は、救急車の受け入れ台数が年間1万台と愛知県内随一だ。24時間365日、さまざまな患者が運び込まれてくる。“断らない救急”をモットーに医師達は患者を次々に受け入れる。しかし、新型コロナウイルスのパンデミックで、救急車は連日過去最多を更新。他の病院に断られた患者が押し寄せ、みるみるベッドが埋まっていく・・・。

©東海テレビ放送
名古屋市中川区にある名古屋掖済会病院は名古屋近郊に住む人達であれば知らない人はいないだろう。1948年に開院し、1961年に救急センターを付設した本館が完成。高度経済成長期に入り急増した交通事故や工場での作業事故による救急患者に対応するため、1978年に東海地方で初めてのER(救命救急センター)を開設した。
現在は診療科36科、病床数602床を有し、「コード・ブルー」、「救命病棟24時」、「ジェネラル・ルージュの凱旋」など救命救急を描いたドラマのように事故や災害で運ばれてくる患者もいれば、耳に虫が入った、鼻にドングリが詰まった、指輪が取れないなど、日常のアクシデントでやってくる患者もいる。密着を始めると医師達が言っている「なんでも受ける」がどういうことなのかわかってくる。それは病気や怪我の状態だけではなく、時には患者の経済状態を受け入れることもある。
内科、外科、各病棟、会計担当との連携の大変さが見える中でも、それでも一人でも多く助けたいという強い思いで医療にあたる医師達。
そこへ降りかかってくるコロナパンデミック。あっという間に埋まる病床、名古屋市外からの患者受け入れまで名古屋掖済会病院ERは行っていくが、次第に「なんでも受ける」ことができなくなっていく。
救急医15人、看護師・救命士30人が在籍するERの日々の治療の様子、24時間稼働体制で働く医師達の勤務や食事の状態も明らかになる。
救命救急を目指したきっかけを話し、新人育成にも関わる蜂谷医師、これから自分は何科に進むのかを決める時期がやってきた研修医の櫻木医師、センター長として救命救急の理想のあり方と現状のやるせなさを語る北川医師。立場が違う3人のインタビューから救命救急の今を知ることができる。

©東海テレビ放送
このドキュメンタリーには語り(ナレーション)が入っていない。
聞こえるのは医療器具や電話などの現場の音と人々の息づかい。たくさんの音からも救命救急を感じることが出来る。
今、救命救急では何が起こっているのか。何が必要なのか。ドラマではない、リアルな救命救急の姿がここにある。
映画『その鼓動に耳を当てよ』https://tokaidoc.com/kodo/ は3月16日(土)よりナゴヤキネマ・ノイで公開。
(注意・3月16日初日舞台挨拶回は完売)
製作・配給 東海テレビ放送 配給協力 東風

©東海テレビ放送
ナゴヤキネマ・ノイ オープニングラインナップ
『その鼓動に耳を当てよ』
『カール・テオドア・ドライヤー』セレクション Vol.2
ナゴヤキネマ・ノイ公式サイト https://nk-neu.com/
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