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黒木華さん、草野翔吾監督登壇!映画『アイミタガイ』撮影地・桑名 試写会舞台挨拶レポート
2024/10/08
映画『アイミタガイ』の試写会が10月5日、撮影地である三重県桑名市のイオンシネマ桑名で開催された。
2013年に刊行された中條ていさんの連作短編「アイミタガイ」を映画化。近鉄沿線にある桑名市、四日市市、津市、蟹江町、名古屋市で撮影された。
上映後に行われた舞台挨拶に黒木華さん、草野監督が登壇した。その様子の一部をお届けする。
黒木華さん(以後 黒木さん)
「三重の桑名で撮った大切な映画をまさにこの場所で皆さんと観られることがすごく嬉しく思います。本当に皆さんとお会いできるのを楽しみにしていました。今日は楽しんでください。よろしくお願いします」
草野翔吾監督(以後 草野監督)
「本日はありがとうございます。桑名が舞台です。桑名の風景、 桑名に住んでいる皆さんの力をお借りしました。本当に桑名でなければ撮れなかった映画だと思います。それをこの場所で、こんなに大勢の皆さんに観ていただけて本当に嬉しく思います。短い時間ですが、 いい時間にできたらいいなと思いますので、よろしくお願いいたします」
Q.梓という女性を演じらましたが、役作りは何かされましたか?
黒木さん
「事前準備ですと、ウェディングプランナー役だったので、ウェディングプランナーさんがどういうお仕事をされているのかとか、所作とかを事前に教えていただいて勉強はしていましたが、梓という役自体に私がすごく共感ができると言いますか、生きていく中で 悲しいことがあっても生活は進んでいきますし、その中で乗り越えられない時間をどう過ごしていくかという梓の姿をすごく身近に感じまして。そこに感じた思いを監督と共演した藤間爽子ちゃんとかと一緒に作った感じです」

黒木華さん
Q.監督ともいろんなお話をされたんですね。
黒木さん
「でも監督はあんまりこうしてくれとは言わない監督で、一緒にやりながら、作っていきました」
草野監督
「黒木さんが演じる梓を見て、「そうか、梓ってこういう人なんだな」と逆に僕が教えてもらうような、なんかそんなテーマだったなと思います」
Q.物語の軸となる、主演の梓役に黒木さんを抜擢された理由を教えてください。
草野監督
「抜擢というとものすごく恐れ多いです。本当に僕は観客として黒木さんがずっと好きでしたし、尊敬する俳優さんだったので、まずこの役は誰がいいかと考えた時に、やっぱり黒木さんにお願いしてみたいと思ってお願いしました。黒木さんにしかできないリアリティがあります。 大袈裟じゃないけれども、すごく気持ちが伝わってくるお芝居をしていただいて、本当に感謝しています」

草野翔吾監督
Q.今回黒木さんは主題歌「夜明けのマイウェイ」も担当されていますね。聞きいってしまいました。
黒木さん
「ありがとうございます。すいません。聞き苦しくなかったでしょうか?」
(場内大拍手)
Q.本当にいろんな役を演じられてきましたが、主題歌を担当するのは初めてですよね?
黒木さん
「はい。私は演じるということはデビューから15年くらいになるんですが、ずっとやらせていただいてるんですが、歌う、しかもお芝居ではなく、主題歌を担うというのはすごく荷が重いと言いますか、行けるのか?みたいな感じはありました」
Q.レコーディングはどんな感じだったんですか。
黒木さん
「レコーディングには、監督もいらっしゃいまして」
草野監督
「本当に素敵でした。すごく練習もしてきてくださって、 すごくスムーズに進んでいきましたし。黒木さんから歌手の方へのリスペクトがあるから、すごく恐縮されて、今こうおっしゃっていますが、僕としては梓として、1人部屋で叶海に語りかけるような、黒木さんの歌になればいいなと思っていて、そうお願いしていたんですが、レコーディングの時にそういう雰囲気でやってくださったので、感動しました」
黒木さん
「不安がすごくあったので、歌唱指導の方に一緒に付き合っていただきました。作り手の方の思いもすごくあり、ちょっとアレンジされていて、音程がすごく難しかったです。ですが、監督や歌唱指導の先生が「梓さんの気持ちで、歌詞を伝える気持ちで歌ったら大丈夫です」と言ってくださって、それに背中を押されました」
Q.『アイミタガイ』は3人の監督でバトンが繋がれているそうですね。
草野監督
「元々脚本に一番最初に名前が載っている市井昌秀監督が脚本を書かれていて、その脚本が佐々部清監督にバトンタッチされて、佐々部清監督が撮られる映画ということで、企画自体が進んでいたらしいのですが、実現する前に、2020年に佐々部監督が亡くなられてしまって。2011年とか12年とかそれぐらいから進んでいた企画だったそうなので、本当に結構長い間止まってしまって。 それが何のご縁か、僕のところに脚本が舞い込んできて、監督させていただくことになったという経緯です」

Q.元々脚本ではこの桑名というところは舞台にはなっていたんですか?
草野監督
「佐々部監督の脚本の時点ではもうしっかり桑名駅前のデッキと書かれていて、 こういうところがあるんだと思って来てみたら、もうデッキがなくて(笑)。調べたら佐々部監督が書かれた時はあったんですが、そのあと駅前からなくなっちゃったんですね。これどうするんだろうと思いながら一人で初めて桑名に来て、立ちすくんだのを今思い出しました」
Q.佐々部監督が描いていた桑名というのもあったと思います。駅以外の場所もほぼ回られて。
草野監督
「そうですね。駅自体がもう違うんです。今すごく新しく綺麗になっているから。今の桑名の風景、もちろん他のところもそうなんですけれども、今の桑名の風景に合わせてどう撮るのかをすごく考えて脚本を書き直しました。でもきっと多分佐々部さんはこれが撮りたかったんだろうなと思ったので、なんとか桑栄メイト脇のあたりを美術さんとか映画の力で蘇らせてあそこを舞台にした次第です」
Q.撮影時に特に印象に残っていることはありますか?
黒木さん
「ちょっと今名前をど忘れしてしまっているんですが、レモン色のジュース。わかります?炭酸のような。あとは安永餅をたくさんいただきました。 爽子ちゃんはオフの日にたまたまお散歩していたら、劇中で出てきたサンプル食品のお店に入って、 しかもその日はやっていなかったのに店に入れてもらったらしくって。「今度映画で来るんですよ」と言ったら、「ここ使いますよ」みたいなやりとりがあったそうです。お土産に安永餅のストラップを買ってきてくれました」

草野監督
「不思議なのが、佐々部監督の脚本には食品サンプルは出てこないんです。原作にはあるんです。でも原作は桑名が舞台なわけじゃないんです。僕はその食品サンプルも使いたくて、脚本に入れ込んで桑名に来たら、駅前に食品サンプル屋さんがあったから、なんかすごい呼ばれている感じがすると思ったのをすごく覚えています」
舞台挨拶終盤には伊藤徳宇桑名市長がゲストで登場し、黒木華さんに花束を贈呈した。
伊藤徳宇 桑名市長
「黒木さん、草野監督、ようこそ桑名へお越しいただきました。ありがとうございます。 今日は14万人の市民が歓迎をしています。私も映画を観させていただきましたけれども、すごい静かに物語が進んでいく中で、どんどん感情移入していく部分がすごくあって、感動する映画でした。その舞台が桑名ということで、とても嬉しく思います。改めて映画を観て思いましたが、 桑名っていいまちですね。あと、おそらく黒木さんが召し上がったのはスマックじゃないですかね。レモン色ではなくメロン色なんです」

伊藤徳宇桑名市長
(場内大納得)
黒木さん
「そうです!」
伊藤 桑名市長
「美味しいですよね。桑名の人は子どもの時からずっとスマックを飲んでいます。あと迷惑をかけたのは、駅を綺麗にしてすいませんでした。私の公約だったもんですから申し訳ありません(笑)。 でも、ほんとにこんな素敵な映画を桑名を舞台で作っていただきましたので、地元の皆さんと一緒にどんどん応援したいなと思っています。 今、ロケ地巡りマップを作っていますし、来月の広報くわなは『アイミタガイ』特集で、桑名をあげて応援いたします」

Q.最後に皆様に一言メッセージをお願いします。
草野監督
「本当に桑名からこの映画が盛り上がっていったらいいなと思っていますので、公開したらぜひ観に来てください。この映画は耐震用の突っ張り棒から始まって、背中を押す、支えるというモチーフが結構繰り返されますが、ちょっと落ち込んだり、前に進めない気がした時に、この映画自体がそういう支えやつっぱり棒のような存在になったらすごくいいなと願っています。今日は本当にありがとうございました」
黒木さん
「皆さん、映画は楽しんでいただけましたか?」
(場内大拍手)
黒木さん
「本当に本当に嬉しいです。人が知らないところで人にした優しさだったり温かさだったりが、回り回って自分の元に返ってくる、この相身互いという言葉にふさわしい素敵な映画が皆さんのおかげで出来ました。こんなにたくさんの方が私たちや映画を歓迎してくださいましたし、撮影にも協力してくださった皆さんの温かさを私は今こうして全身で受け取っています。 耐震棒という言葉を監督が言ってくださったように、この映画が皆さんにそっと寄り添えるものにも、皆さん一人一人の手を叶海のように引っ張って怖くても少しでも一歩、一緒に進んでいけるようなそんな作品になっていればいいなと思います。 11月1日公開なので、ぜひいろんな方を誘って観ていただけると嬉しいなと思います」
草野監督
「まだ間に合う!」
黒木さん
「「行こうぜ!」という風に(笑)。本当にそんな作品になればいいなと思いますので、ぜひよろしくお願いします。本日はありがとうございました」

舞台挨拶前に近鉄桑名駅では出発進行イベントも行われた。
映画『アイミタガイ』https://aimitagai.jp/ は11月1日(金)より全国公開。
東海3県では109シネマズ(名古屋、四日市、明和)、イオンシネマ(大高、名古屋茶屋、ワンダー、岡崎、豊田KiTARA、長久手、常滑、各務原、津、津南、桑名、鈴鹿、東員)、コロナシネマワールド(中川、安城、小牧、豊川、大垣)、ミッドランドスクエアシネマ、ユナイテッド・シネマ(豊橋18、岡崎、稲沢、阿久比)、TOHOシネマズ(木曽川、赤池、東浦、津島、東浦、津島、岐阜、モレラ岐阜)、MOVIX三好で11月1日より公開。
あらすじ
ウェディングプランナーとして働く梓(黒木華)のもとに、ある日突然届いたのは親友の叶海(藤間爽子)が命を落としたという知らせだった。交際相手の澄人(中村蒼)との結婚に踏み出せず、生前の叶海と交わしていたトーク画面にそれでも変わらずメッセージを送り続けている。金婚式を担当することになった梓は、叔母の紹介でピアノ演奏を頼みに行ったこみち(草笛光子)の家で中学時代の記憶をふいに思い出す。叶海と二人で聴いたピアノの音色。大事なときに背中を押してくれたのはいつも叶海だった。梓は思わず送る。「叶海がいないと前に進めないよ」。その瞬間、読まれるはずのない送信済みのメッセージに一斉に既読がついて……。

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