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甘くて苦い青春の記憶。人を思う気持ちを感じる作品(映画『おいしくて泣くとき』)
互いの幸せを願う純粋な想いをまっすぐに描き、多くの読者の心を震わせた森沢明夫の小説「おいしくて泣くとき」が、初実写映画化され、4月4日(金)から公開される。
あらすじ
サッカー部のエースだった心也は、ケガで大事な大会にも出られず鬱々とした日々を過ごしていたが、ある日学級新聞コンクールの係に夕花と共に半ば強引に指名される。幼いころに母親を亡くした心也は大衆食堂“かざま食堂”を営む父と二人暮らし。かざま食堂はこども食堂も兼ねており、そこに度々やってくる夕花とは幼馴染だったが、いつしか距離ができていた2人。次第に打ち解け2人だけで”ひま部“を結成。孤独だった二人は互いに距離を縮めていく。しかし、ある事件をきっかけに夕花は姿を消してしまう。行き場のない想いを抱えたまま、交わした約束を胸に彼女を待つ心也。突然の別れから30年、明かされる彼女の秘密とは?
監督は森沢明夫の原作「大事なことほど小声でささやく」を 2022年に映画化した横尾初喜。繊細な人間ドラマには定評のある横尾監督が森沢氏から絶大な信頼を得て、再び森沢ワールドに挑んだ。
脚本は愛知県出身のいとう菜のはが担当。映画化にあたり、森沢氏からじっくり話を聞き、映画オリジナルの要素も加えた。ラブストーリーと社会的問題の二つの柱でストーリーは展開していく。今の心也が昔を思い出す形で構成されており、高校生の心也の経験が今の心也を形成していることがよくわかる。
企画段階からの理想的キャスティング
主演は本作が劇場映画初主演となる『室町無頼』での存在感が記憶に新しい長尾謙杜(なにわ男子)。若い世代を中心に絶大な人気を誇る長尾が、幼い頃に亡くなった母との思い出の“四つ葉のクローバー”を今も大事にしている高校生・風間心也を演じ、俳優としての新たな一歩を踏み出す。心也の同級生でどこか影のある新井夕花には、ドラマ、映画、CM にひっぱりだこの俳優、當真あみ。フレッシュな2人が、心也、夕花それぞれの孤独と向き合い、一生に一度の切ないラブストーリーを紡いでいく。企画を立ち上げた段階から2人の名前が横尾監督とプロデューサーの中では上がっており、理想通りのキャスティングとなった。
2人を支えるキャスト陣も豪華だ。心也を男手ひとつで育て上げ、様々な事情を抱えた子供たちのために無償で料理を提供する“子ども食堂”を経営する愛情深い心也の父・風間耕平に、実力派俳優の安田顕。夕花への想いを胸に抱えながら、父の想いを受け継ぎ食堂を守る30年後の心也を演じるのはディーン・フジオカ。子ども食堂の常連・石村に水沢林太郎、現在の心也が営む“カフェレストラン・ミナミ”に突然現れるミステリアスな女性に芋生悠、そして亡き心也の母・風間南を美村里江が演じている。
30年前の風景を残す場所での撮影
撮影は素敵な海と30年前の懐かしい町並みが残っている場所を探し、愛知県豊橋市、豊川市、蒲郡市、静岡県掛川市、浜松市などで行われた。作品の重要なシーンとなるクローバー畑が広がる公園は、蒲郡市にある西浦園地で、実際はクローバーは生えていないため、撮影が始まる前から美術部が丁寧にクローバーを育て上げ、敷き詰めたという。
透き通るまっすぐな思い。心也と夕花がお互いを思う姿が美しい。会えなくても、思い続ける。心也を通して人が人を思う気持ちの素晴らしさを改めて感じた。
映画『おいしくて泣くとき』https://movies.shochiku.co.jp/oishikute-nakutoki/は4月4日(金)より丸の内ピカデリー他で全国公開。東海三県ではミッドランドスクエアシネマ、イオンシネマ(大高、名古屋茶屋、ワンダー、岡崎、豊川、豊田 KiTARA、長久手、常滑、各務原、津南、鈴鹿、東員)、TOHOシネマズ(木曽川、赤池、東浦、津島、岐阜、モレラ岐阜)、ユナイテッド・シネマ(豊橋18、岡崎、稲沢)、MOVIX三好、ミッドランドシネマ名古屋空港、コロナシネマワールド(安城、豊川)で公開。
初日舞台挨拶生中継(4月4日(金)15:10の回上映後舞台挨拶、18:35の回上映前舞台挨拶)開催館は公式サイト劇場情報を参照
キャスト:
長尾謙杜 當真あみ
水沢林太郎 芋生悠 池田良 田村健太郎 篠原ゆき子 安藤玉恵
美村里江 安田顕 ディーン・フジオカ
原作:森沢明夫「おいしくて泣くとき」(角川春樹事務所 刊)
監督:横尾初喜 脚本:いとう菜のは 音楽:上田壮一
主題歌:Uru「フィラメント」(ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ)
製作幹事:WOWOW 制作プロダクション:AX-ON 制作協力:パイプライン 配給:松竹
ⓒ2025映画「おいしくて泣くとき」製作委員会
上映時間:109分 映倫区分:G
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