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観てくれたっていいじゃない! 第11回MKE映画祭レポート
2024/08/01
第11回MKE映画祭が7月13日岐阜県図書館多目的ホールで開催された。
今回は16作品が公募された作品の中から選ばれ上映された。作品レビューと監督、関係者のコメントなど映画祭レポートをお送りする。
1.『内部告白』(13分)坂本 直季監督
社内情報漏洩を疑われ半強制的に自宅謹慎を命ぜられた男に、内部から更なる告白が忍び寄る…
キンキンに冷えているビールを飲む男と会社で疑われた男。この二人がどう繋がるのかのオチが短編映画らしいテーマで好き。滑舌いい人が多いなと思ったら、普段は演劇をされているとのこと。納得。
坂本 直季監督
「『内部告白』の監督と、アニサキス役を演りました坂本と申します。ずっと私たちは演劇をやっていて、コロナ禍になって、ちょっと前から映画を撮りたかったのでやってきました。この話を思いついたのは、 知り合いが何回もアニサキスにかかるので、なんでなんだ?ということで、そこから突き詰めて当たらないようにという話を作りました」
2.『さんすうのもんだい』伊藤 啓太監督(8分)
"ロマンスとさんすう。ごめんを言いたい夜は、甘口のカレーを作ります。たかし君とひろし君、そしてともこさんのお話です。それではご覧下さい。"
昨年アクションで魅せてくれた伊藤監督が今回はおとなにも解けない難しいさんすうのもんだいを出す。さんすうのこたえみたいにれんあいもこたえがきまっていればらくなのかもしれない。
伊藤 啓太監督
「『さんすうのもんだい』を監督、製作しました伊藤と申します。本日はご鑑賞、ご来場ありがとうございます。 作品については日常に潜んでいる、たまに出てくる違和感を、小学生が使っている算数ドリルと絡めて映像にしてみようかなと思ったのがきっかけです。見ていただいた方はそれぞれちょっと疑問があると思うんですが、 また会場にいる僕を捕まえて話してもらえたらいいかなと思います」
3.『FAAAWWW!!!』(9分)鬼木 幸治監督
河原に佇む二人のチンピラ。ゴルファー姿の異様な男。長閑な風景の中で繰り広げられる奇妙な対峙。やがて、「ファー!」のかけ声と共にチンピラたちの運命は、あらぬ方向へと導かれていく。
はじめのゆるくて奇妙なやりとりからラストまでがスピード感がある。しかも最後まで「ファー!」なのだ。ホラーとは思っていなかったけどラストが超ホラーだった。「ファー!」と言っていた役者さんを見たことあるなと思ったら今年の大河にさわ様の従者役で出られている役者さんだった。
鬼木 幸治監督
「『FAAAWWW!!!』を監督しました鬼木幸治と申します。本日はご来場いただきましてありがとうございました。騒がしい作品だったかもわからないですけども、楽しく観ていただければありがたいと思います」
4.『電話のあいて』(12分)高上 雄太監督
亡き母の遺品であるスマホから母の声が聞こえ、 悲しみから抜け出せない息子はその声にのめり込んでいく。スマホが霊界と現世を繋ぐホラー作品。
息子にかかってきた母からの電話。しかし父には聞こえない。高上監督の新作は引きの力が強い。映像の色味、音、撮り方。ぐっと掴まれる。非通知からの電話がしばらく怖い。
高上 雄太監督
「『電話のあいて』を監督しました高上雄太と申します。ホラー映画ですが、本日はご覧いただきありがとうございます。この作品を撮った経緯として、普段から自主制作映画としてホラー映画をいくつか撮ってきた中で、自分が好きなホラーと、前から母親と息子の関係をテーマに何か仕込んでみたいなというところから考えた作品です。 今回スマホがアイテムとして出てきたんですけども、これも本当にたまたま自分のスマホを床に落として割ってしまって、その割れたスマホを見た時にこれを母親の遺品として使えないかと思いついたというちょっとしたきっかけでこういう作品が生まれました」
5.『チカチカシグナル』(9分)岡本 崇監督
なんでもなく普通で普通な日常を送る少女と青年。ある日少女は青年に半ば強引に送り出され1人外出をする。外の世界に目を輝かせる少女と時間を気にする青年。そんな2人には誰も知らない秘密があって…。
新しい世界を知る一人の少女の優しいお話だけど、ちょっと最後はせつない。誰かが来ることを願って。
音楽も出来る岡本監督ならではの劇伴。ぽてさらちゃんが突然登場して驚いた。
ヒガシ淳郎さん
「『チカチカシグナル』の主演の電源コード付き旧型android青年を演じましたヒガシ淳郎と申します。本日は観ていただきありがとうございました。僕自身は2時間ぐらいで撮影はさっと終わっちゃったんですが、岡本さんが1回よくわからんものを撮ってみたいという考えからはじまった映画で、僕自身は相手方の寺岡千紗さんが呼吸で芝居ができる方だったので、ものすごくやりやすかったのを覚えています。本当は素敵なストーリーもあるんですが、岡本さんが皆さんに想像して楽しんでほしいという感じで作ったと思うので、 岡本さんを捕まえて説明してもらってください」
イケガワカツヒロさん
「私、音声を担当したましたイケガワと申します。音声として苦労した部分は外のロケの部分ありましたっていうところなので、もしかしたら先ほどの映画のアニサキスですかね、わかんないですが岡本監督がちょっと外しておりますので、また戻ってきたらエピソードとかを詳しく聞いていただけたらと思います。本日はありがとうございました」

右:イケガワカツヒロさん、左:ヒガシ淳郎さん
表彰式前の宣伝コーナーには岡本崇監督が登場。長編映画『ボールドアズ、君。』を観客に宣伝していた。
6.『OHM』(15分)ハヤト丸監督
世界各地を襲った悲劇から23年…いつかまたこの日が来ることはわかっていた。それぞれ違う思惑を持って集まりし戦士たち…そう、前回と違い今度は”準備”が出来ている。迎え撃つ側となった戦いの行方は!?
なるほど、オモイコミハゲシーマン。
最高(笑)。勘違いもそういえば思い込みであり、その力は確かに計り知れないなと。一人一人のキャラクターが濃くて、ナイスキャスティング。ヒーローの誕生は偶然なのか、運命なのかはいつも考える。
ハヤト丸監督
「『OHM』のハヤト丸と申します。今日はご来場、上映していただきありがとうございました。これは2019年ぐらいの作品なんですが、去年ここで上映していただいた『ヒューマンマン VS センスマン』の翌年に撮ったのがこちらです。2つの作品はちょっと絡んでいて、『ヒューマンマン VS センスマン』は冒頭で、ヒューマンマン役のスキンヘッドの男が頭にちっちゃい宇宙船が当たって死んじゃうところから始まるんですが、さっき出ていた回想シーンのお母さんと一緒に出ているスキンヘッドの彼がヒューマンマンをやってくれた方で、前の時と同じ服を着てきてとお願いしました。お母さんと分かれて今から仕事に行ってくるというところは『ヒューマンマン VS センスマン』にもつながります。実は去年1本撮って編集待ちです。3本がなんとなく関連しています。思い込みはげしいマンオモイコミハゲシーマンを10年以上前に1回撮っていましたが、VHSで編集していてもう流せないので、リブート的にちょっとやったところもあります。あ、主役を紹介していませんでした」
村田 啓治さん
「忘れられていた村田と申します(笑)。観ていただいて楽しんでいただけたら嬉しいです。ありがとうございます。気持ち悪くてすいません。自分で観てすごい気持ち悪いなと思いました(笑)」

中央:村田 啓治さん 右:ハヤト丸監督
7.『スマホの中のエイリアン』(20分)川中 玄貴監督
ある日、アイのスマホに見慣れないアプリがインストールされていた。それは今流行りのAIアプリだった。しばらく使っているとAIアプリは突然自分から話しかけてくる。そして自分は地球外生命体だと言い始めた。
VFXも編集も全て自分で担当されていると聞いて驚いた。非常にレベルが高いし、撮影カットもスマホの縦長の特性をうまく使って味わいのあるカットになっている。出演はほぼ一人だが、AIとの会話でストーリーが動き、飽きない。今を的確に捉え、SFに昇華させた作品。
川中 玄貴監督
「初めまして。『スマホの中のエイリアン』の監督、脚本、CGのVFX編集を担当しました川中と申します。本日は上映していただき、足を運んでいただきありがとうございました。ご覧いただいたように、タイトルからちょっと想像できる部分はあると思うんですが縦型の動画となっております。これはちょっとコンセプトを固めすぎた作品なので、話し出すと多分朝までかかっちゃうので、自分一人ではまとめづらいんですが、とにかく一つ申し上げておきたいのは、縦型の性質上、横長の画面に縦映像を収めたため、左右が普通の映画よりも黒くなっています。そのせいで画面が小さくなって文字情報が潰れていると思いますが、冒頭始まった直後に、語りっぽく入っていたのはかつて人類がアレシボメッセージという人間のDNAを暗号化したものを宇宙に飛ばそうというプロジェクトがあったんです。知的生命体がもしいるんだとしたら、それを受け取って暗号を解読できるなら、知的生命体だと思うので、受け取ってくれてメッセージが返ってきたらいいよねみたいなプロジェクトで。その返事はまだ返ってきていないという説明がされています」
8.『融解セヨ思考』(16分)武子 直樹監督
興味本位でSMの女王様を呼んだ30過ぎの男。期待していた官能的なプレイとは違う方向に… 青春の後始末がいつまでもできない男の小さくも卑しい悲哀物語。
初めてのSMプレイに緊張する主人公。興味本位で呼んだ女王様は経験豊富で、男の過去をさらに抉る。肉体ではなく、精神的なSMプレイが感じられた。観た人によって感想が分かれるかなと思う作品。
武子 直樹監督
「『融解セヨ思考』監督しました武子と申します。この作品は僕が実際にお世話になった女王様を役者さんに演じていただきました。実際に女王様に言われたこととかは大体本当のことです。こういった映画を県立図書館のちゃんとしたところで上映していただける、 岐阜の懐の広さ。逆にこういう公的な場所でこういう話をしてくれるとまた別の興奮があります。本日はどうもありがとうございました」
9.『話しかけてなんかあげない』(10分)繁田 健治監督
"吉住は数十年ぶりに同級生のひとみと再会。
その時、彼女の姿はあの頃のままだった…"
毎回楽しみな繁田監督の制服シリーズ。
吉住くんがつくづくノーマルなんだよなと今回ほど思ったことはない。吉住くんが奏でるピアノが口ほどにものを言っているところもツボだった。
繁田 健治監督
「『話しかけてなんてなんかあげない』監督及び出演の繁田と申します。作品を観ていただく機会があまりないので、観ていただいてありがとうございます。組み合わせとしては最高の並びにしてくれたので感謝しています。この作品は主演女優の方が最初の打ち合わせの時に「ひとみちゃん、やばいですね」と言ってきたので、これはやばいのかなと思ったら、完全に役柄の精神を把握してくれて、だったら僕も今回は突っ走ろうと思って。よく見ると実は吉住くんがノンケだということがわかります。今回は自然にも感謝しているのが、この大雨が撮影前日に降りまして、本当は河原があったんですが、土手が水没してて、もうこれで無理心中でオチが決まったというところがありました。次回作も作っています。また上映していただければ、観ていただければ私は嬉しいです。僕の芸風のせいか感想を言ってくる人がほとんどいないので、何かありましたら声をかけていただけるとありがたいと思います。どうもありがとうございました」
10.『放課後の怪物(モンスター)』(9分)MATSUMO監督
"朝礼での校長先生のお話。
「放課後の校舎にはおばけが出ます」と脅しのような言葉が…"
来たら行けないと言われたら来たくなるもの。
夜の学校に忍び込んだ子ども達の前に現れたのは?3DアニメーションでMATSUMO監督が今回手掛けたのは夜の学校。先生達のこどもへの愛が溢れている。ちょっぴりホラーも楽しめる。
MATSUMO監督
「こんにちは。放課後のモンスターを担当させていただきましたMATSUMOと申します。今日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございました。この作品は昔3DでCGアニメーションを本格的に作りたいなと思いまして作りました。 なかなかうまくいかなくて、その失敗した作品をネットにあげていたらホラーだという話が出まして。じゃあホラー作品を作ってみようかなというところで、ホラー作品らしきものが出来上がったという感じです。 テーマとしましては、大人になってくると子どもに何かしてあげたい気持ちがどんどん強くなっていきます。承認欲求を満たすそんな話になったかなと思います。この映画祭は、2019年に『僕らの自由研究』という作品参加させていただいてから5年ぶりなんですが、コロナ禍を越えて、こうやってこの場に立てるのがすごく嬉しく思っています。 どうもありがとうございました」
11.『双翅軍雷攻』(5分)塩原 璧監督
街のクリーン政策に対抗すべく、害虫連合は中心店舗への攻撃を開始した。作戦は双翅軍(つまりハエども)に一任されたが、しょせん虫ケラのやることなので先は読めなかった!ミクロなスケールで描く短編航空戦記。
ハエサンの攻撃ストーリー。攻撃に行きながら順番に散っていくハエさん達。ハエさんから見たらこうなんだろうなあと。成功した攻撃も観たい。そして声は音読さん。こういうキャラクターにはぴったり。
塩原 璧監督
「『双翅軍雷攻』というハエがうんこを落としに行くという話をアニメーションで作りました。この作品、戦争のカルカチュアとしていかに下品に表現するかというのがテーマの1つなんです。その意味では、日本人の教養と言いますか、リテラシーというものを再確認できるようなそんな作品になったんじゃないかなという風に自負しております。ありがとうございました」
12.『年齢を重ねると何かが変わる』(5分)ひがし 沙優監督
年齢を重ねていくと家族それぞれに何かしらの変化が出てくる。父と母と娘、その変化は三者三様、全く違うものだった。
夫婦の中にも親子の中でも秘密がある。
時が経てば家族の中の関係性も変わる。
短い時間の中で夫婦、親子の関係を捉えて、闇を描いているエグい作品だが、監督がとにかく若くて驚いた!
ひがし 沙優監督
「『年齢を重ねると何かが変わる』監督、そして主演しましたひがし沙優です。この作品を作るきっかけは、 元々80秒の映画祭に送るつもりで作っていて、父から脚本をもらった時は卵焼きを食べて「しょっぱ!」と言って終わるほのぼの映画だったんですが、絶対80秒におさまりきらないということになって、父がまた脚本を付け加えて、こんな闇の深いダークな映画になりました(笑)。ありがとうございました」
ヒガシ淳郎さん
「脚本、父親役をしました。ヒガシ淳郎です。 話の通り本当に家族です。ただ日常では暴力もなくなごやかに暮らしていますのでご安心くださいませ(笑)。 テーマとしては一応、外から見える部分と実際の部分は大なり小なり何かしら違うことが多々あるという、そういうことを描きくて、こんな感じになりました。ありがとうございました」

左:ひがし 沙優監督 右:ヒガシ淳郎さん
13.『我にもあらず』(18分)橋本 英樹監督
天野ひなたはこのところツイてない。勤め先は莫大な量の仕事をさせてくるし、直属の上司はヤな奴だ。地味にささやかに暮らしたいだけなのに、なんで日本はこんなに生きづらいんだ!と思っていたその時……
自分にばかりついていないことが起こる理由がまさかの。知らず知らずの間に誰かを傷つけていた…コメディに見えていた前半とファンタジーホラーな後半。主人公に起こる不幸が全て手動だったという種明かしが見事。そして、スタッフが皆さんプロ。映像や音のレベルはさすが。
橋本 英樹監督
「『我にもあらず』の橋本です。 観ていただきありがとうございます。なぜこの組み合わせかと思ったらコーヒーカップに何か入れているつながりですね。なかなかいろんなところで観ていただける機会がないので、こういう風に観ていただいて本当に 嬉しいです。ありがとうございます」
瀧澤 依由(いより)さん
「ヒロインの天野ひなた役を演じました瀧澤依由です。本日はありがとうございます。無意識のうちに、悪いことをするとついていないことが起こるというような連鎖が起こっていて、私も行こうと思ってたお店が閉まっているということがよくあって(笑)、この作品に出演してからはお天道様がなんか見ていて、なんか悪いことしたのかなと思って、意識的にいいことをしようとしています。ありがとうございました」

左:橋本英樹監督 右:瀧澤 依由さん
14.『湖の底から見る風景』(14分)森 実知子監督
無知の罪は許されるのか。人間は愚かな過ちを犯す。閉じ込められた空間で観客は静かな目撃者となり、静かな恐怖を感じるだろう。あなたに'好都合'な人が現れたら、自らの行いを振返ってみる事をお勧めする。
執筆に苦しむ小説家の前にアシスタント志望の青年がやってくる。セリフも文学的。青年は生まれてきたのかいないのか。ミステリー作家の過去が産み出したミステリーホラーだ。台詞をしっかり聞いていると矛盾や伏線がある。
森 実知子監督
「今日はお越しいただきましてありがとうございます。『湖の底から見る風景』を監督いたしました森実知子と申します。 なぜこのラインアップなんだろうと思いながら見ていましたが、そうなんですね、私の作品のテーマも無意識の罪を書いた作品ではあります。ここにいる皆さんに1つお聞きしたいんですが、 これ青年と殺される芥川さんが親子だと気づきましたか?この作品でいろんな日本の映画祭を回っているんですが、回答が地域性によってもバラバラなんです。比較的これを気づいた方は小説をよく読んでいらっしゃる方だと思います。ホラーとして作ったんですが、女性にとってはあまりこれはホラーには観られない作品です。女性は知らない間に子供が生まれていたということはないので、どちらかというと男性にはすごく怖い話ではないか、悪いことをしてはいけないというような話になっていると思います」
伊藤 謙心プロデューサー
「プロデューサーを担当しました伊藤謙心と申します。映画祭をきっかけに初めて岐阜に伺うことができ、感謝しております。この後、懇親会も楽しみなので、たくさんお話できればと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました」

右:森 実知子監督 左:伊藤謙心プロデューサー
15.『your eyes』(3分)tama-style監督
雪国を離れ上京した18歳の頃、東京から思い出すのは舞い散る雪と地元を代表する山の景色でした。故郷への郷愁を映像に込めました。歳を重ねると忘れてしまう、あの頃の気持ちを共感して頂けたら幸いです。
雪の中の想い出は懐かしく、せつない。
年を重ねて再び訪れたその場所で何を思うか。
tama-style監督
「ご覧いただきありがとうございます。『your eyes』を監督しましたtama-styleと申します。ご覧いただいたのはミュージックビデオとして2020年に娘のRINAと一緒に撮影したものです。どうしてもミュージックビデオを1度作ってみたくて、ほぼ初めて作ったミュージックビデオです。私は出身が秋田県の山奥の方なんですが、ずっと高校卒業するまで雪深い中で育ったので、そういう景色と、上京してからの故郷が懐かしい気持ちを映像化したいと20歳くらいの時からずっと思っていたのを、38歳になってやっと実現できた作品になります。 2020年だったので、完成時がちょうどコロナの真っただ中で、ほとんど上映する機会もなく、今回こういう場をいただいて本当に感謝しております。 当時撮影時は小3だった娘も、今はこの通り中2になりまして、時間が経つのが早いなと思っているところです。こんな感じで今も一緒に撮影したり、映像を作る活動を続けられているのは、この作品を完成できたことも一つのきっかけで、今日こうやって一緒に壇上に立てて、本当にありがたく思っております。今後ともよろしくお願いします」

右:tama-style監督 左:RINAさん
16.『最後の生活』(20分)渡邉 高章監督
"父を亡くしてから学校へ行かなくなった小学生の春陽は母の秋と二人暮らし。秋は自身の仕事を続けるために小説家の兄を呼び、春陽の面倒を見てもらうことにする。春陽と「おじさん」の心の交流を描いたある夏の物語。"
父を亡くした春陽の元にやってきた小説家のおじさんを春陽の視点で捉える。次第に縮まる2人の距離。小説家として沢山の人に読まれる作品を書き、成功しているおじさんだが、父としての役目は果たせなかった。人間、全てがうまく行くわけではない。人間の不器用さが見える作品。
渡邉 高章監督
「最後の生活監督しました渡邉と申します。今日はご鑑賞いただきまして本当にありがとうございます。おそらく最後の二本の作品は親子で制作した作品として上映していただいたと思います。主人公の2人を星能豊さんと僕の息子が演じています。私の息子は毎回映画祭に行こうと誘っているんですが、なかなか来てくれなくて。多分少し大きくならないと来てくれないでしょうし、その時にまたやっぱり行かないと言われるかもしれません(笑)。この作品は色々構想はあったんですが、小説家の男と家族と、出版社の編集者ですとか、その喫茶店にいる人の群像劇を最初予定していまして、キャスティングする中で、自分の息子に「出てみる?」と聞いたら「出たい」と言ったので、それから主人公のおじさんと少年の心の交流という物語にシフトして、脚本を書き直して今回の作品になった経緯がございます。出演の息子は、俳優さんの訓練を受けたわけではないので、本当に現場では星能さんはじめ俳優さんにすごい迷惑をかけて、中断の連続で大変だったんですが、なんとか仕上げていくつか 映画祭も出させていただいて、その度に息子も喜んでくれるので、今となれば作ってよかったなと思います。最後に、私もtama-styleさんのように自分の生活圏の中で映画を作っています。普通に働きながらその中で自分のテーマを見つけて、家族の協力もありながら製作しています。それがどこまで続けられるかわからないですが、皆さんの目に届くようにこれからも精一杯製作したいと思います。チラシも今日受付の方に置かせていただいたので、もしよろしければ裏面に詳細が載っていますので、 持ち帰っていただけたら嬉しいです」
星能豊さん
「こんにちは。星能豊です。日下部役で出演しました。ご覧いただきましてありがとうございます。MKE映画祭は去年も別の作品で来させていただいて、同窓会みたいな感じで、久しぶりに会った方ももちろん初めましての方もいますが、いろんなジャンルの映画が上映されてすごく楽しい映画祭で、毎年楽しみにしています。今日も終わった後近くにいますので、感想とかもしよかったら直接聞かせていただいたら嬉しいです。こうやって映画を観るという機会があるというのはすごく嬉しいので、もっと続けてほしいなと思いますし、これからまたどこかで皆さんとお会いできることがあったら嬉しいなと思っています。 ありがとうございます」

右:渡邉 高章監督 左:星能豊さん
グランプリ選考は観客からの投票で決まる。開票中には景品が当たるジャンケン大会が行われ、そしていよいよ各賞の発表。
受賞作品
STEP賞:『電話のあいて』高上 雄太監督
高上監督
「色々なジャンルの作品が上映される映画祭でこういうストレートなホラー映画が受賞することはあまり例がないんですが、選んでいただけたので、とても嬉しいです。ありがとうございました」
隆盛賞:『我にもあらず』橋本 英樹監督
橋本監督
「『我にもあらず』の橋本です。「りゅうせい」賞という響きから流れ星かと思ったら盛り上がるほうだったんですね。本当に光栄です。ありがとうございました」
「映画は人なり」賞『放課後の怪物(モンスター)』MATSUMO監督
MATSUMO監督
「『放課後の怪物(モンスター)』の監督をしましたMATSUMOと申します。ちょっとここまで仲間に不幸があったりとか色々大変ではあったんですが、こうしてここで上映出来てよかった思っています。ありがとうございました」
最優秀演技賞:『我にもあらず』瀧澤 依由(いより)さん
瀧澤さん
「まさか名指しで賞をいただけるとは思わなかったので、非常にびっくりしております。皆様、ありがとうございました」
BreakThrough賞:『最後の生活』渡邉 高章監督
渡邉監督
「エピソードを一つ。『最後の生活』の少年役のキャラクターは息子の経験が元になっています。この映画でこういった賞をいただいて、ネガティブな彼の記憶がこれからポジティブな記憶として残ってくれたらいいなと親として願っております。ありがとうございました」
Director of Directors賞:『スマホの中のエイリアン』川中 玄貴監督
川中監督
「ありがとうございます。すいません、ちょっとまだ何を言ったらいいか……いい言葉が思いつかないです。観て楽しんでいただけたのかなと。今日は観ていただいてありがとうございました」
グランプリ(作品賞):『スマホの中のエイリアン』川中 玄貴監督
川中監督
「ありがとうございます。 恐縮でございます。先ほどの続きになりますが、票を入れていただいたということに感謝の言葉がなかなか出てこず……ありがとうございますという言葉しかないです。自分でもちょっとややこしい作品なんじゃないかなといつも不安に思っていたんですが、楽しんでいただけたならよかったです。非常に光栄です。ありがとうございます」
最後は恒例の参加者も入っての記念写真。

観てくれたっていーじゃない!の掛け声で
11回目のMKE映画祭はコロナ禍を経て、監督達がそれぞれ再びこだわりたいテーマを見つけ製作された作品が集まっていた。自由なテーマで作る。これが自主製作のよさ。作ったからにはやっぱり観て欲しい。MKE(観てくれたっていいじゃない)映画祭。また来年、岐阜で素敵な作品に出会いたい。
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