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愛する人を思いながら生きる人々を描く(映画『水平線』)

東日本大震災から13年が経つ。
3月23日(土)から名古屋シネマスコーレで公開される映画『水平線』は今の福島を舞台に愛する人を思いながら生きる父娘を描く。

あらすじ

震災で妻を失った井口真吾(ピエール瀧)は福島の港町で娘の奈生(栗林藍希)と二人暮らし。酒好きでだらしない一面もあるが、生活困窮者や高齢者を相手に格安で請け負う散骨業を営んでいる。水産加工場で働く奈生は遺骨の見つからない母の死を未だ消化できないでいた。ある日、松山(遊屋慎太郎)という若い男が亡くなった兄の散骨の手続きにやってくる。何か複雑な事情を抱えた様子を察する真吾だったが、その遺骨を預かる。その後、ジャーナリストの江田(足立智充)が真吾の元を訪れ、先日持ち込まれた遺骨が世間を一時震撼させた殺人犯のものであると告げる。震災で多くの人が眠るこの海に殺人犯の骨を撒くのかと言う江田に対し、無関係な人間が口を出すことじゃないと相手にしない真吾。しかしその後も被害者家族と真吾のやりとりをSNSで拡散するなど、江田の執拗な取材は続く。苦しい選択を迫られる中で真吾が下した決断とは……。

再タッグは俳優×監督

監督は本作が長編映画監督デビューとなる小林且弥。小林監督は俳優として主演映画『ランニング・オン・エンプティ』(2010/監督:佐向大)や『ロストパラダイス・イン・トーキョー』(2010/監督:白石和彌)、映画『あゝ、荒野』(2017/監督:岸善幸)など多数映画やテレビドラマに出演してきた。2022年に映像プロジェクト集団【STUDIO NAYURA】を設立。神奈川芸術劇場(KAAT)にて舞台「象」(2022)の演出、オムニバス映画『無情の世界』(2023/監督:佐向大・山岸謙太郎・小村昌士)の企画・プロデュースを手掛けるなどプロデューサー、演出家、映画監督と多岐にわたって精力的に活動している。

本作主演のピエール瀧とは、2013年に白石和彌監督の『凶悪』でヤクザの兄貴役と舎弟役で共演し、意気投合。自身初の監督作品の主演にはピエール瀧しかいないと切望し、俳優×監督としての再タッグが実現した。

©2023 STUDIO NAYURA

©2023 STUDIO NAYURA

真吾は震災後、人の死を弔いながら、娘の奈生と二人で暮らしている。海に消えた愛する人の不在を感じ、お互い心に抱えているものを言葉にすることが出来ず、妙な距離感の中で暮らしている。
松山が持ってきた骨を巡り、ジャーナリストが巻き起こした散骨騒動をきっかけにその関係は動きだす。

台詞で状況を語る映画も多い中で、この映画は最低限しか台詞では語られない。役者の佇まいと間から漂う過去。福島という地で震災の後、家族を失いながらも生き続ける人達はそれぞれに言葉に出来ない感情を抱えているのがわかる。役者経験のある監督だからこそ、長回しが多く、役者の技量が伴う。そこにその人物としていること。背中から撮られてもその人であること。それが出来る役者達の芝居に自然と物語に没入できた。

脚本には福島で暮らす人々の言葉が取り入れられている。震災を風化させたくないと考える人もいれば、震災を忘れて生きていきたい人もいるという。

世の中、同じ考えを持つ人ばかりではない。メディアの報道、SNSでの投稿はあくまでも一つの情報や意見であり、答えではない。

震災後の福島を多面的に捉え、観客に投げかける。果たして何が正しいのか。それをはっきりさせ、同じ方向を向かなければいけないのか。

真吾が悩みながら下した決断。
あなたはその決断をどう思うのだろうか。

映画『水平線』https://studio-nayura.com/suiheisen/ は現在全国順次公開中。3月23日(土)より名古屋シネマスコーレで公開。

公開初日には小林監督、江田役の足立智充さんの舞台挨拶が予定されている。

舞台挨拶情報

日時:3月23日(土) 11:40の回上映後
場所:名古屋 シネマスコーレ
登壇:小林且弥監督 足立智充さん(江田役)

©2023 STUDIO NAYURA

©2023 STUDIO NAYURA

 

出演:
ピエール瀧
栗林藍希 足立智充 内田慈
押田岳 円井わん 高橋良輔 清水優 遊屋慎太郎
大方斐紗子 大堀こういち
渡辺哲

監督:小林且弥
脚本:齋藤孝|音楽:海田庄吾
企画・製作:STUDIO NAYURA|制作協力:G-STAR.PRO SHAIKER
配給・宣伝:マジックアワー
2023 年/119min/カラー/シネマスコープ/5,1ch
©2023 STUDIO NAYURA

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