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シアターカフェ移転&リニューアルオープン2周年記念開放祭 Aプログラム舞台挨拶レポート
2022/08/07
名古屋・清水口のシアターカフェでは移転&リニューアルオープン2周年記念開放祭が今日から開催されている。
開放祭はなんとドリンク代のみで鑑賞できるという本当に大開放企画。
全国から集められた自主製作映画から先行された作品がA、B、C、D、Eの5つのプログラムに分けられて上映される。開放祭初日のAプログラムにお邪魔した。
上映作品は
『キャンセル兄ちゃん』(三澤拓哉監督)、『21世紀、8月』(伊藤りお監督)、『なんとなく迷走』(ないとう日和監督)、『バロンを探して』(田中亮丞監督)の4本。
三澤拓哉監督と伊藤りお監督のクロストークの様子をお届けする。
三澤拓哉監督(以下 三澤監督)
「『キャンセル兄ちゃん』を監督しました三澤拓哉です。本作にとって初めての上映ということで神奈川から来ました。皆さんに観ていただけて本当に嬉しいです。よろしくお願いいたします。」
伊藤りお監督(以下 伊藤監督)
「『21世紀、8月』を監督しました伊藤りおと申します。ご来館いただきありがとうございます。『21世紀、8月』も今回の上映が初めてで、ようやくここまできて、上映できて嬉しいなと思っております。名古屋市出身で今も名古屋で活動しています」
三澤監督
「伊藤監督に質問してもいいですか?劇中で僕は読んだことのない、映画のタイトルによく似たタイトルの本が出てきたんですけど、その作品から着想されたんでしょうか」
伊藤監督
「あれは美術担当の方に完全に作ってもらったものなんです。新潮文庫的に「21時8分、ウィーン行き」というタイトルの本を作って欲しいとお願いして作ってもらったもので、旅っぽくしたくて」
三澤監督
「実際にある話だと思っていました。ちなみになぜそのタイトルに?」
伊藤監督
「古本屋でぎりぎり見つからない感じがいいということで名作っぽくもなくというところでみんなで会議を開いてこれでということに決めました」
三澤監督
「物語自体は別のところで着想して脚本を書いていった感じなんですか?」
伊藤監督
「脚本は完全にオリジナルです。とにかく前作が内向的な感じの話だったので、次は動き回るロードムービーを撮りたいなと。この撮影は東京オリンピックの初日から始まりまして。マスクをする、しない問題があるじゃないですか。何がリアルかわからない。もやもやしていた時に、何を撮っても嘘だし、何を撮っても本当だしという中で孤独をテーマに添えるとそれはすごく届きやすくなるのではないかと思って書きました」
三澤監督
「撮影場所はどこですか。神保町の書店も映っていましたが。メインの場所はどこなんでしょう」
伊藤監督
「4日間での撮影だったんですけど、全部すごい勢いで移動して行って。一番長くいたのが居酒屋のシーンですね」
三澤監督
「実際の地理に合わせたロケ地ですか?東京から名古屋までとかで順番に撮っているのか、順序は合っていないのか」
伊藤監督
「めちゃくちゃ飛び飛びで撮りました。最終的に神奈川から静岡へというイメージで撮っています。ラストのシーンは実際に静岡に行って、伊豆の方で撮ったりしています」
三澤監督
「主演の方がとても魅力的だと思ったのですが、オーディションですか?」
伊藤監督
「キャスティングはオーディションをして決めましたが、主演の子はどうしても主役という華がある人が良かったので、いろんな事務所に電話したり、人に協力してもらってオーディションで決めました」
三澤監督
「僕が伊藤監督にした質問を自分の作品で話します。作品を作ったきっかけは、主演をしていた名古屋出身の長村航希さんと5分ほどの短編映画を撮ったのがきっかけです。その5分というのが『キャンセル兄ちゃん』の中で妹と主人公が会話をしている部分なんですが、もっと長い作品を撮れるという環境が揃って、その5分を長村さんが膨らませたいということで作りました。長村さんがいろんな映画やドラマに沢山出ている俳優なので横のつながりもあってキャスティングに関しては今回プロデューサーも兼ねているので長村さんがやっています。同棲相手役の南沢奈央さんとは長村さんも共演経験はなかったんですが、出て欲しいと思って長村さんから南沢さんの事務所に脚本を送ってオファーをして、快諾いただいて出てもらったという経緯です。撮影場所は東京です。自分にとっては茅ヶ崎とか湘南といわれる場所あたりでしか撮影を今までしていなくて、初東京作品なんですけど、駐車料金がめちゃくちゃ高くてびっくりしました(笑)」
伊藤監督
「何日ぐらいで撮影されたんですか?」
三澤監督
「撮影は5日間です。アパートのシーンだけ2日かかっていますが、それ以外のシーンは1日で撮っています。クリスマス前の時期で日が短い時で。サンタの帽子をつけて本当に自転車で走ってもらいました。去年の12月ぐらいに撮った作品なんですけど、今観てもコロナに対する社会の緊張感というのが今と違う感じで映っていて、そういう意味では貴重な記録的な意味合いで撮ってよかったなと思いました」
伊藤監督
「冬の空気感とか、コロナ禍の殺伐とした感じとかが出ていますよね」
コロナ禍、スマホでも撮影できるようになったということもあり、今、自主映画を制作する人たちは増えている。短編にだからこそ込められたメッセージ。
自主製作短編映画には喜怒哀楽が詰まっている。
観客からの質問にも答えながらのクロストークで作品の制作の裏側も聞くことが出来た。開放祭は明日以降も続くが、いくつかの作品で監督がゲストで登場し、上映後に撮影秘話を聞かせてくれるので、製作した監督に直接自分の思いを伝えるのもいいのではないだろうか。

左から 三澤拓哉監督、伊藤りお監督
シアターカフェ移転&リニューアルオープン2周年記念開放祭は現在開催中。
料金は1ドリンク代(600円~)、各回定員15名
日程、プログラムの確認、予約はシアターカフェ公式HPをご覧ください
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