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島々清しゃ

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美しい島で重なる心(映画『島々清しゃ』(しまじまかいしゃ))

コーラス部にいたせいか音程には敏感だ。
和音の合っていない合唱を聞くと違和感を感じてしまう。
音楽の和音がピタッとはまった瞬間の嬉しさと言ったらない。
だがそこにたどり着くには様々な努力が必要になる。
すぐに出来ることではない。

そして合唱は一人ではできない。
同じように合奏も一人ではできない。

この作品の主人公は人並み外れた聴力を持った少女。
周りの音すべてに敏感な少女は
自分の優れた耳を憂い、前に踏み出せずにいた。

あらすじ

三線と沖縄民謡の名手・昌栄を祖父に持つ小学生のうみは優れた耳を持つ。
その景色や楽器に合わない音が聞こえると頭が痛くて仕方ない。
自分の耳の良さが原因で母・さんごが沖縄本島で離れて暮らしているのではないかと思っている。
音があっていない状態で演奏をする吹奏楽部のメンバーにも毎回あたってばかりだ。

学校の芸術鑑賞演奏のために島に呼ばれたバイオリン奏者の祐子は
音に敏感すぎて孤立するうみと昌栄に会い、沖縄音楽と触れあっていく。

自分が演奏しても正しい音が出ないと知っていて今まで楽器に手を触れようとしなかったうみは
祐子や祖父、吹奏楽部のメンバーに後押しされてフルートを始める。

島々清しゃ

島々清しゃ とは?

沖縄を代表する作曲家普久原恒勇さん作曲の『島々清しゃ』がこの作品の題名でもあり
作中でも沢山演奏される。
沖縄音楽はドレミファソラシドのレラを抜いた音階で作られていることが多いが
『島々清しゃ』は西洋音階で演奏できるように工夫されている。
今までも様々な歌手にカバーされ、歌い継がれている曲。
沖縄音楽と西洋音楽が融合できる曲。
それは島にすむうみたちと祐子が交流していることに重なりあう。
脚本と音楽監督を務めた磯田健一郎さんが描きたかったものを
10年ぶりにメガホンを取った新藤風監督がしっかりと映像化した。

うみが言う「ちんだみ」とは?

音が違うと「ちんだみ」が合っていないと言ううみ。
チューニングのことかと祐子に聞かれても
「ちんだみはちんだみさ。」と言ううみ。
その物や楽器にふさわしい音。
うみは感覚でその音楽に合っている音を聞き分ける。

バイオリニストの祐子は西洋音楽的な音感がある。
沖縄音楽をバイオリンで奏で、うみに「ちんだみ」が合っていないと言われたことで
昌栄から沖縄音楽を学ぶ。
沖縄音階は普通のドレミ~の音階の音だけでは言い表せない独特な音程がある。
微妙にずれながら音の上げ下げがあることで美しい歌が作り上げられる。

 

作品を支える強力な役者陣

うみを演じるのはわずか11才の伊東蒼。
『湯を沸かすほどの熱い愛』でも繊細な表現が話題だが
この作品でもうみとして絶妙な表現を見せる。
ちんだみの合わない時の不快感。
母を思い出している寂しそうな顔。
大人びていない、リアルな小学生を見せてくれる。
初挑戦のフルートも練習を繰り返し、逆に下手に演奏してほしいと
言われるほどまで上達。今後も期待の少女だ。

祐子を演じるのは『百円の恋』以来の映画出演となる安藤サクラ。
バイオリンの練習を撮影前から行い、バイオリニストとしての佇まいを
完璧に作り、うみ役の伊東蒼に接している。
祐子自身も何かを求めてこの島に来ている。
その何かを感じさせる雰囲気を自然に醸し出している。

島の漁師・真栄田は渋川清彦が演じる。
元サックス奏者としてのかっこよさ、鬼コーチぶりがいい。
足を曲げてお腹から息を吐くという基礎練習は昔よくやった。
祐子と真栄田の演奏シーンは見物だ。

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昌栄役は金城実。
沖縄民謡界の重鎮だ。
歌や三線の技術は本物なので沖縄音楽の良さを実感してほしい。

昌栄の娘でうみの母・さんご役は山田真歩。
三線も歌も出来る昌栄を父に持つさんごはコンプレックスの塊。
優れた耳を持つうみをどう育てればいいのかにも悩む。
家族のことを思いながらなかなか家に帰れないさんご。
さんごの苦しい心のうちをしっかりと演じてくれている。

 

昌栄とさんご さんごとうみ 親子の距離

「人間生きてりゃそれで80点よ。」
すぐに答えを出さなくてもいいと言って自然体で生きている昌栄だが
娘と孫はまだまだ答えを見つけ出せずにいる。
昌栄とさんご、さんごとうみ。
家族のちんだみをする(調弦をする)ことができるのか。

 

個性とどう向き合うか。

生まれ持った能力は個性だ。個性は時に人を孤立させる。
それとどう向き合っていくか。
能力を持つ本人と周りがそれぞれを理解しなければ
共存できない。

「みんなもっと人の音を聞こう。自分の音だけ聞いていても音は合わんよ。」

沖縄のきれいな景色の中でただ撮ったというだけの映画ではない。
私たちがつい忘れてしまう、生きていくうえで大切なことを
人の言葉でこの映画は教えてくれる。

南の島の海に響くように演奏される『島々清しゃ』で
沖縄音楽と西洋音楽がコラボする。
心に響く音楽は聞く人の心も清めてくれる。

『島々清しゃ』(しまじまかいしゃ) http://www.shimajima-kaisha.com/
1月21日よりテアトル新宿他で全国公開。
中部地区は名演小劇場、イオンシネマ長久手、イオンシネマ各務原他で公開。

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