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金魚も彼女もすくいたい(映画『すくってごらん』)

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左遷されたエリート銀行マンが飛ばされたのは田舎の金魚がいる町。そこで出会った和服の美女に心を掴まれて……。

左遷先で運命の出会い?!

酒も飲めない、仕事一筋。

エリート街道まっしぐらだった銀行員・香芝は自分の心からつい出てしまった暴言で田舎の支店に飛ばされる。
恋心なんて東京に置いて来たはずなのに。そこで出会った不思議な魅力の吉乃に惹かれ、心乱れ、落ち着かない。
「おにいさんゆっくり遊んでいってくださいね」
そう誘う吉乃は金魚すくいの店・紅燈屋の女主人。この町の唯一の娯楽である金魚すくいには全く興味が持てない香芝だったが、吉乃から金魚すくいのコツや金魚すくい用の金魚「小赤」の境遇を聞いて共感を持つようになる。
「数字は裏切らない」と仕事に没頭しようとする香芝だったが、やはり気持ちが抑えられない。吉乃への思いを歌に乗せ、香芝は吉乃に向かっていく。しかし吉乃には秘めた思いを寄せる人がいて……。

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全編リズムと曲に彩られたエンターテイメント映画『すくってごらん』。
大谷紀子氏の同名漫画原作から主人公の感情や金魚すくいへの情熱はそのままに新たな世界が生まれた。

ヒロイン吉乃が営む金魚屋・紅燈屋がまるで花街にあるような妖艶な雰囲気で主人公を引き込んでいく。
歌あり、ダンスあり。流れはまるでミュージカルや舞台を観ているかのよう。
この作品の世界に観る側も冒頭から引き込まれていく。

主人公の心の声は見事に韻を踏み、呟きは次第にラップや歌になっていく。それが始めはちょっと違和感だなと感じつつ、どんどん観ているのがおもしろくなり笑いが込み上げる。歌詞が字幕で出てくるので聞き取れないからわからないなんてこともない。

監督は『ボクは坊さん。』の真壁幸紀監督。
短編映画『THESUNANDTHEMOON』で世界で評価された真壁監督が邦画でミュージカルは難しいと言われている中、ポップなミュージカル映画を作り上げた。
原作の舞台は奈良県大和郡山。それに倣い大和郡山をはじめとする奈良の古い町並みでも撮影され、時にはノスタルジックに、時にはMV(ミュージックビデオ)を観ているかのようなスタイリッシュさを感じることが出来る。時間の経過を表すのに変わった映像手法を取り入れたり、映画の途中で休憩時間があったりと観る側を飽きさせない。とにかくいろんなものが詰まった作品だ。

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こだわりは映像だけじゃない

映像と同じく楽しめるのが音。
主人公の呟きや水の音は映画館だと一層楽しめるようにこだわって作られている。
劇中の音楽はAAA、東方神起、倖田來未などへの楽曲提供をしている鈴木大輔が担当。
サウンドトラックを手に入れたくなる充実度がある。

キャストの歌唱力は太鼓判。ミュージカルや音楽界で活躍する人達が集まった。
主人公・香芝にはドラマ『半沢直樹』での若きIT社長役が記憶に新しく、『エリザベート』、『メタルマクベス disk2』と話題のミュージカルに出演しながら歌舞伎界でも若手歌舞伎役者として活躍する2代目尾上松也。本作が映画初主演となる。歌唱力もさることながら劇中でのコロコロ変わる表情がとても魅力的だ。

ヒロイン・吉乃にはももいろクローバーZのリーダー百田夏菜子。可愛らしさと妖艶さを併せ持つ吉乃。ピアノを弾くシーンも自身でピアノを習得し演じ切った。
香芝の前にふらっと現れるさすらい人・王寺には『デスノート』、『フランケンシュタイン』にも出演、ミュージカル界の若手人気俳優柿澤勇人。香芝に思いを寄せるカフェ経営者の妹・明日香にはミュージカルにも活躍の場を広げるモデル石田ニコル、香芝の先輩には『ジャージーボーイズ』など舞台で活躍する矢崎広が起用された。それぞれのソロだけでなく、デュエットも気持ちよく楽しめる。

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たかが金魚すくい、されど金魚すくい。
都会から田舎にやって来た元エリート銀行マンはここで何をすくい手に入れるのか。
金魚を掬う、彼女を救う?
香芝は男になれるのか。

映画『すくってごらん』https://sukuttegoran.com/index.html
3月12日(金)からTOHOシネマズ日比谷他で全国公開。東海3県ではイオンシネマ(名古屋茶屋、ワンダー、津南)、ミッドランドスクエアシネマ、ユナイテッド・シネマ(豊橋18、稲沢、阿久比)、TOHOシネマズ(木曽川、赤池、東浦、岐阜)で公開。

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