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映画では空飛ぶ純愛モンスター。空を飛ぶのは楽しい!?(映画『リカ ~自称28歳の純愛モンスター~』高岡早紀さんインタビュー)
第2回ホラーサスペンス大賞を受賞し、累計65万部を突破した五十嵐貴久氏の人気サイコスリラー小説「リカ」シリーズ。2019年10月に東海テレビ・フジテレビ系全国ネットにて連続ドラマ『リカ』が放送され話題となった。そして2021年、エピソード0にあたる『リカ~リバース~』が放映され、映画化が発表された。その映画『リカ ~自称28歳の純愛モンスター~』が6月18日から公開される。リカシリーズの「リターン」をベースに2019年のドラマの最終回、警察を抜け出して、愛する人の元へと向かったリカのその後が描かれる。自称28才のリカを演じるのはドラマ版に引き続き、高岡早紀さん。純愛モンスター・リカを演じた高岡早紀さんにお話を伺った。
Q.かなり個性的な役柄だと思いますが、役を演じる上で自分で決めていること、ルールはありますか
高岡早紀さん
「あえて言うならば一度こう演じようと思ったことをブレないように最後まで演じ切るということです。台本をいただいてその役を配役された時に自分の役を読み間違えないようにする。どうしたらその役が脚本の中で活きてくるんだろうかとか、どう台本を読むかによって作品の作風も変わってくると思います。今回はメインキャラクターなので、私がどう演じるかによってその作風が全く違うものになると思うんです。だから自分が読んでこういう役にしたいなと思ったことを信じて、その気持ちをブレずに押し通します」
Q.最初に台本を読んだ時はどんな印象を持たれたのでしょうか
高岡早紀さん
「ドラマで言いますと最初は台本をいただいたときにサイコな女性の話ですと紹介されて。「サイコかあ…あんまりそういうのは得意じゃないな」と思いながら読み進めました。「雨宮リカ、28歳です」というセリフがありますが、そこにたどり着いたときに「うん?ちょっと待って。この本は大丈夫なんだろうか」と感じたのが私の最初の感想です。この年齢でサイコだからそうなんですけど、28歳と言い切ってしまうって。長年芝居をやっていると台本を読むだけでわかるんです。この作品はどうなるのか、自分の役柄はどういう風になっていくのかと。それがわかる上で、この役をこの年齢で改めて挑戦しないといけないのかなという感覚もあって。よく考えてやるかやらないかを決めさせていただいた感じです」
Q.結果的にはハマっていますよね。リカに対して高岡さんが共感できるところはどこですか
高岡早紀さん
「一途に誰かを思うぶれない気持ち、ずっとピュアな心を忘れないとかそういう部分はサイコのだいぶ手前の所にあると思います。そういう部分には共感できますね」
Q.今回アクションもされていて、高岡さんのイメージからは意外性のあるアクションだと思ったんですが、撮影時のエピソードを教えてください。
高岡早紀さん
「映画版以前にドラマをやった時からなぜか走るシーンというのがリカの大きな要素になっている重要なアクションシーンとしてあって、その時から大変だったんです。全速力でタクシーを追いかけたり。走るのが不得意というわけではないんですが、大好きとか得意というわけではないですし、自分の走り方はあまり早く走っているようには見えないと昔から言われていまして、今回監督とカメラマンさんとどうやったらすごく早く走っているように見えるかをいろいろ試したんです。それの最終形があのターミネーターのような感じになりまして(笑)。ターミネーターみたいに走ってとオーダーされたわけではなく、私のいろいろな走り方をやった結果、ターミネーターの敵役みたいな走り方になりました。今回映画ではワイヤーアクションをやりました。あまり得意じゃないとか始めにいろいろ言いましたが、現場で飛ばせてもらったら思った以上に楽しくて、いい感じに飛べたんです。ロープを引っ張ってくださっているスタッフの皆さんともタイミングがばっちり合って。お互い力を入れていないのに「あんなところまでリカ飛んで言っちゃった~」みたいな感じで飛ばせていただいて。ほんの少ししかやっていないんですがもっとやりたいと思えるくらい楽しかったです」
Q.怖くはなかったですか?
高岡早紀さん
「ロープを引っ張って飛ばせてくださるスタッフの方が上手なのか全然怖くなくて安心感しかなかったです。だからこれだったらアクションシーン全部行けたんじゃないかと思いました。最初に出来ないと言わなければよかったですね(笑)」
Q.リカと言えばお花。衣装にも必ず花がありましたが、高岡さんからも提案されたのでしょうか
高岡早紀さん
「今回は作品に入る前に衣装というのは人物を作り上げるとても重要な要素になりますので、衣装を選んでくださる人を誰にしようかというところから衣装もどんな風にするのかといろいろ話し合いを重ね、みんなで協議して。リカはこよなくお花を愛している人物なので、お花は一つの要素として出していいという話をした時にプロデューサーが「衣装全て花にしてしまおうか」というアイディアが出てきて決定したんです。衣装に関しては本当に話し合いを重ねました。ポイントで花柄を着るというのはよくあると思うんですね。花柄でなくて何か印象的なものである場合もありますが。ただ全て花柄というのはなかなかないですよね。リカがこうして映画化されるまで成功したこれも重要な要素だと思います。ただ全て花なのでドラマの時からだと相当な衣装の数でスタイリストさんは大変でした。とにかく花の衣装があったら見つけて持ってくるという。イメージは違うかもしれないけどとりあえず持ってきて合わせる。それが毎回変わるリカの衣装になりました」
Q.『リカ~リバース~』が春にオンエアされていましたが、そちらではリカの母親を演じられていました。それが今回の映画につながる何かになったりしましたか
高岡早紀さん
「映画につながるというよりかは母親をやらせていただくことによって、どう母親がリカと接していたのか、どうやってリカは家の中で生活してきたのかということをより知ることが出来るいい機会になりましたし、リカの役は田辺桃子さんが演じてくださって、それを見ているのも面白かったです。リカの母親役を演じると聞いたときにリカを生んだ張本人を演じるわけで、いろんな意味で作品の中だけではなくて高岡早紀としても責任は全て自分でとりますという思いにもなれました。リカも演じて、リカの母親も演じるということはなかなかないので女優として面白い機会を与えてくださったなと思いましたし、嬉しかったです」
Q.サイコスリラーな作品ですが、現場の雰囲気はどんな感じだったんでしょうか
高岡早紀さん
「ドラマで最初にこの作品に入る時に、サイコスリラーの現場に入ると現場も沈んだ感じ、暗い感じなのかなと思ったのですが、全然そんなことはなくて普段通りでした。作品は作品。作る内容に現場の雰囲気が引っ張られることもなく、みんなで楽しく面白い作品を作ろうという雰囲気で。私がいる現場なので笑い声は絶えません。共演者の方たちも私が初めて「雨宮リカ、28歳です」というセリフのシーンを撮るのを楽しみにしていました。私がどんな感じでいうのかと。そんなセリフ今まで見たことも聞いたこともないので。私もスタッフも共演者もみんな楽しみながら臨んでいました。セリフを私が言った時、みんなが微妙な感覚になるんです。自己紹介をするシーンだったので共演者の方も目を合わせていいのか悪いのかと悩んでいる感じになって。あのシーンのことは現場にいた人は皆さん覚えていると思いますね。「チッ」とか「死ねばいい」というセリフがありますが、言う方も言われる方も周りにいるスタッフもみんなが楽しみにしているという。このセリフをどう言ってくれるのかなと楽しみに待っていてもらえるセリフってなかなかないんですよ。楽しみにすることがいっぱいあって充実した現場でした」
Q.リカは恋愛にまっすぐな人ですが、高岡さんがまっすぐになっている、熱中していることはありますか
高岡早紀さん
「私はあまり熱中するタイプではないんです。楽しくてガーデニングをやったり犬の散歩を日課にしているとか。ただ「熱中しているんですね」と言われると「そんなんじゃないです」と言ってしまいます。いろんなことをやっていますが、熱中はしていないです。ただ楽しくやっているだけなので。…それを熱中してるっていうんですよね(笑)」
Q.リカはサイコと乙女の出し入れの切り替えが絶妙でそれが魅力ですよね。高岡さんからみてリカの魅力とは何だと思いますか
高岡早紀さん
「一歩間違えるとみんなサイコになりえる要素って誰でも持っていると思うんです。理性によってそこまでやるかやらないかがあり、サイコかピュアで留まるかという紙一重。これは『リカ』という映画やドラマだったりするのでサイコになってしまいますが、自分もサイコにはならないけどここまでの気持ちは共感できるなということがいっぱいあるなと思いませんか。男性にも女性にも共感してもらえて受け入れてもらえたのかなと思います」
Q.東海テレビからスタートしたドラマから映画化されたわけですが、こんなところがパワーアップしているよとご紹介いただきたいです
高岡早紀さん
「今回、プロデューサーと映画化が決まった時にお話をしました。映画化する以上はドラマよりパワーアップさせたいと。映画なのでドラマよりさらにエンターテインメント作品として面白いものを作りたいということで空を飛ぶというアイデアをいただいたんです。始めは腑に落ちない部分もありました。ドラマでは走っていますが、それは人力で出来ることなので。飛ぶとなるとなかなか自分の中に受け入れがたかったですけれども、エンターテインメントと考えたらより多くの方たちに楽しんでもらわないといけないですし、サイコスリラーだけで押していくと怖いじゃないですか。私も怖いだけの作品は好きではないのでもちろん「笑ってください」と前面に出すのは違うと思うんですが、笑える要素もあったり、エンターテインメントとしてすごく面白くなっているということは間違いないです。根底のストーリーでリカがどういう気持ちでいるかが描かれていますし、リカの悲哀がストーリーに埋め込まれているので、だからこそちょっと笑えるサイコスリラーだと声を大にして言えるかなと思います」

高岡早紀さん
映画『リカ ~自称28歳の純愛モンスター~』 http://www.rika-28.com/ は6月18日よりTOHOシネマズ日比谷ほかで全国公開。東海3県では109シネマズ名古屋、センチュリーシネマ、コロナシネマワールド(中川、安城、小牧、豊川)、ユナイテッド・シネマ豊橋18、ミッドランドシネマ名古屋空港、TOHOシネマズ(木曽川、赤池、東浦、津島、岐阜、モレラ岐阜)、イオンシネマ津南で公開。
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