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ラジオ・コバニ 戦地の中の放送局(映画『ラジオ・コバニ』)

94.3Mhz ラジオ・コバニが街を取り戻す

94.3Mhz でオンエアされるラジオ番組「ラジオ・コバニ」。名前の響きはなんだか可愛らしい。コバニは地名。だがこのラジオ局は戦地となった場所にあるラジオ局だ。このラジオ局とラジオをはじめた女性に密着したドキュメンタリー映画が『ラジオ・コバニ』だ。

ジャーナリストの心も持ち合わせるラジオ局の人々

イスラム国(IS)に攻撃され街の大半が瓦礫と化してしまったコバニでラジオをはじめたのは二十歳の女性ディロバンやその友人たちだった。パソコンとミキサーと使いふるされたマイクを手に放送をはじめたのは2014年。
まだ戦争中のことだ。ラジオ局の場所を転々とさせ危険な場所を避けて放送されてきた。どんなことがあってもディロバンたちはラジオをやめようとはしない。爆発があればその現状も報告する。街の様子や戦地に行った人にインタビューをしてオンエアする。そこにある今をしっかりと伝える。ラジオ・コバニは曲を流しながらしっかりとコバニに寄り添った製作をしている。

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コバニはどんな状態にある街か

コバニはクルド人の街でトルコとの国境にある街。2014年9月から過激派組織「イスラム国」(IS)の占領下となったが、クルド人民防衛隊(YPG)による激しい迎撃と連合軍の空爆支援により、2015年1月に解放された。逃げていた人々はコバニに戻って来たが、数カ月にわたる戦闘で街は荒廃してしまっていた。

ディロバンや母親もトルコに逃げていたがコバニに戻ってきていた。家族や友人を失った。街中では今でも死体が収容される。男たちは戦争に行っていまだ帰ってこない人もいる。帰ってきても心と身体が傷ついていて日常を取り戻すのに時間がかかる人もいる。それでも前を向いて進むのがコバニの人たちだ。コバニは少しずつ復興しはじめている。

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車内で聞いた声にひかれて

監督はラベー・ドスキー。偶然車の中で聞いたラジオ・コバニが気になり、ディロバンに会いに行った。ディロバンの意思ある声に魅力を感じ、カメラを回しはじめたが戦争中にコバニに入ったこともあり、スタッフを危険な目に遭わせられないと一人で撮影をしたこともあったという。実際、トルコ人から拷問も受けた。それでもドスキー監督はラジオ・コバニの様子を撮って世界に知らせたかった。ドキュメンタリー内ではディロバン自身の生活も追っている。母との女性らしい会話も収められている。アラブ地域の女性は地位の低さが世界的にも目立つ。その中で大学に進み人々のためにラジオを始めたディロバンの行動力に現在のアラブの女性たちが今までの慣習を破って少しずつ自立に向かって進んでいることがわかる。ドスキー監督はディロバンに1つの手紙を書いて欲しいと依頼した。その手紙は劇中、随所で語られる。「戦争に勝者はいない。どちらも敗者」と話すディロバンは未来をまっすぐ見つめ、コバニの復興を信じて前に進む。

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ラジオはいつも側にある

ラジオは身近な存在でいて欲しい。話している人の顔は見えない。でも声で気持ちは伝わってくる。話している方も聞いている人の顔は見えない。でも聞いている人のために何かをしたい。今のコバニを知って欲しい。みんなで助け合いたい。ひとつひとつの丁寧な取材もあり、小さなラジオ局の放送はコバニの人々の大きな心の拠り所となった。この作品はテレビでオンエアされディロバンの名前と顔を知った人が沢山会いに来たという。

時にはリアルな情報も伝えてくれる作業の邪魔にならない心地よい音と会話。ラジオは身近に聴こえる友のような存在であって欲しいと思う。私もラジオで生放送を毎週していた。ラジオの向こうの人と同じ時間を分かち合う。それはラジオを作る側も聴く側も同じ。聴いて一緒に泣いて笑って。その時間が安らぐ時間だった。ラジオ・コバニの活動をこの映画を通して見たことでまたラジオで話したいという気持ちが大きくなった。

映画『ラジオ・コバニ』 http://www.uplink.co.jp/kobani/ は5月12日よりアップリンク渋谷、ポレポレ東中野他で全国順次公開。
東海地区では名古屋・名演小劇場で5月12日より公開。

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