
来週いよいよロードショー・映画『センターライン』吉見茉莉奈さんインタビュー
Cafe mirageが推し続けている映画『センターライン』。
昨年の完成披露からスタートした上映は、映画祭の参加で自主映画ながらしっかりとしたドラマと現実にありえるのではないかと思わせる展開に評価が集まった。福岡インディペンデント映画祭グランプリを受賞、サンフランシスコ、ロンドンの映画祭でも脚本賞や編集賞を受賞している。
そしていよいよ撮影された愛知県と東京でロードショーが決定。
舞台は近未来の愛知県。自動運転(AI)で運転されていた車が事故を起こし、運転手が死亡。事件を担当することになった検事米子は、不起訴で終わるはずのこの事件を自動運転機能MACO2が起こした事故だと立件。前代未聞の裁判が始まる。
検事としてのキャリアを高めたい、仕事にも事件の真実にも真剣に向き合う米子検事として主演をつとめるのは愛知県出身の俳優・吉見茉莉奈さん。舞台をメインに活動してきた吉見さんに今までのことや上映について伺った。

吉見茉莉奈さん
mirageなお客さまその⑦ 映画『センターライン』主演・吉見茉莉奈さんインタビュー
Q.吉見さんは実家は愛知県でしたよね?東京に出て芝居をしようと思ったのはなぜですか?
吉見さん
「本格的に役者活動をしようと決めたときに、住んでいる愛知ではなく外を見てみたいという気持ちがあって、東京と大阪の劇団や舞台のオーディションをいくつか受けました。その中で、大阪の劇団PEOPLE PURPLEとご縁があり、入団して一年活動しました。大阪に住みながら、劇団ままごとのWSを受けたことがきっかけで創作のために横浜へ夜行バスで通い、その頃から東京の演劇や東京で活動する俳優と触れる機会が増えたことで、名古屋や大阪とは圧倒的に劇団も人の数も多い東京での活動を人生で一度は経験してみたいと思い上京しました」
Q.PEOPLE PURPLEってあの『ORANGE』の宇田学さんが率いている劇団ですよね?劇団を離れて今はフリーで活動されていますが、その理由は?
吉見さん
「フリーで活動するのもどこか組織に属するのも当たり前ですがメリットデメリットがあると思います。組織に属するにも責任が伴うし、そんなに簡単に辞められるものでもないということを考えてその都度選択した結果今フリーでいます」
Q.そもそも吉見さんが芝居に興味を持ったのはいつ頃で何がきっかけだったんですか?
吉見さん
「高校生の時に演劇部に入ったことがきっかけです。同学年の部員がほぼいなかったので、友達数人を口説いて演劇部に入ってもらって。自分で部長もやってうちの学校でははじめて県大会に行きました。みんなで協力して作り上げる演劇というものがすごく楽しくて、そこからお芝居を続けたいと思うようになりました」
Q.みんなで作り上げるという点では映画も同じベクトルだと思います。映画出演のきっかけはパンフレットにも書かれていると思いますのでもう少し突っ込んで質問させていただきます。『センターライン』に出演が決まって、裁判の見学に行かれたと聞きました。脚本を読んで米子検事をどんな風に演じようと思われましたか?
吉見さん
「何度か傍聴に通ったんです。でも女性の検察官さんに当たったのは一度きりで、それも判決の日で話しているところを聞くことは残念ながらできなかったんです。でも衣装は自前で用意してくれと監督に言われていたので、服装選びを参考にしたり、アクセサリーはつけていいとか、髪型はこんな感じとか、見た目の参考にもなりました。あと書類をかなり早口で読み上げるとは下向監督からも聞いていたのですが、その様子を実際に見ることができ、お芝居で生かそうと思いました」
Q.私が裁判シーンで出会った吉見さんはバイタリティあふれる米子検事でした。かなり難しい単語が並んだセリフもありましたが、役者さん同士で練習しましたか?
吉見さん
「主要キャスト全員と監督がバラバラの場所に住んでいるので(東京や長野や石川や愛知)、Skypeを使って何度も読み合わせをしました。それに、撮影初日の深見のシーンの撮影中、大鳥役の星能豊さんや白鷺役の倉橋健さんと公園で何度も稽古したり、撮影の合間もすきあらば稽古につきあってもらいました」
この映画が評判になれば応援してくださるみんなが喜んでくれる
Q.『センターライン』が公開されてから1年、いろんな場所で上映されてきました。上映が進む中、吉見さんの中で何か変化はありましたか?
吉見さん
「地方の映画祭にも参加したんですが、「頑張ってください」「応援しています」と声をかけていただいたり、握手やチラシへのサインを求められることが度々あり、この映画が評判になることで喜んでくれる人がいることを実感しました。そういう方々に「売れる前からこの映画を応援していた」と自慢してもらいたいし、サイン入りチラシの価値が上がって(笑)、「貰っておいてよかった!」と思ってもらいたい気持ちが宣伝がんばろうという今のモチベーションに繋がっています」
Q.名古屋・シネマスコーレでの上映中には特別に吉見さんが出演された『わたしのペットは食用牛』が4月9日に上映される企画もあります。この作品への出演のきっかけは?
吉見さん
「蒼天の猫標識の主宰で『わたしのペットは食用牛』作・演出のいば正人さんとは一度舞台で共演したことがあり、そこからのご縁で出演のお声がけをしていただきました。」
Q.吉見さんの役柄を教えてください。
吉見さん
「私の役柄は、お茶ができるペットショップを営むマロンという女主人です」
Q.なかなかペットショップ経営の現実もわかっている女主人でしたが、役柄についていばさんから言われたことで印象に残っていることはありますか?
吉見さん
「印象に残っていることは、マロンの雰囲気がこの作品のベースになるから、その雰囲気をとにかく固めて終始崩さないようにと言われたことですね」
際立つ滑舌の良さ
Q.『センターライン』でも滑舌がすごくて現場で尊敬していたんですが、舞台ではさらに際立ちます。滑舌を保つ何かコツはありますか?
吉見さん
「滑舌、ありがとうございます!(笑)。実は高校演劇時代は滑舌が悪くて講評で書かれたほどでした…。そこから毎日お風呂の中で滑舌の練習をしていたので、そのおかげかもしれません」
吉見さんの滑舌の良さは是非、裁判シーンで確認していただきたい。
Q.今後やってみたい芝居はどんなものですか?
吉見さん
「やってみたいお芝居…。ミステリー映画とかに出てみたいですね。島の洋館に宿泊して殺人事件が起きてその夜は嵐で船も来られず、島に閉じ込められて止むを得ず自分たちで事件を解決して行くみたいな。誰かそんな映画を作ったら出演させてください!できれば死なない役で(笑)。」
Q.どこかで聞いたような展開の話のような(笑)。下向監督は多分コナンも金田一少年も好きだと思いますから書いてもらいますか(笑)。また舞台に立たれるんですよね?
吉見さん
「間もなくなんですが、4/12〜16まで北池袋のくすのき荘という木造建築の建物で、はらぺこ満月の「SHOKUPAN1」というお芝居に出演します!パンを食べる生活について考える二人芝居です」
Q.最後に『センターライン』がいよいよロードショー公開です。がっつり吉見さんからの見所アピールをお願いいたします!
吉見さん
「できれば2回3回、いやそれ以上にもっともっと見ていただきたい映画ですが、はじめてご覧になる方はとにかくストーリーをお楽しみください!終わり頃にはキャラクターに愛着が湧いたり、気になっているかと思うのでそうなったらぜひ2回目以降もっ!(笑)。愛知県にお詳しい方はロケ地がどこか考えながら見ても楽しいかもしれませんね」
感情を持たないはずのAI(人工知能)に感情が見えた時、接する人間の心の動きもリアルに感じ取れる。これからのAIとの共存を考えたくなる作品だ。
そして、主人公米子検事の成長物語として、続きが見たくなるに違いない。
映画『センターライン』https://centerline2027.wixsite.com/centerline2027
は4月6日より、名古屋・シネマスコーレ、4月20日より東京池袋シネマ・ロサにて公開。
演劇上映『私のペットは食用牛』&映画『N.O.A.』
4月9日(火)20時よりシネマスコーレ。
はらぺこ満月の「SHOKUPAN1」
http://harapeko-fullmoon.com/okawari_shokupan1/
4月12日~16日 東京池袋くすのき荘
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