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求めあう心に導かれて(映画『風の色』)

「もう一人の私は北海道で流氷を見ている。」
恋人のゆりが意味深な言葉を残し、自殺した。
残された涼は傷心の引きこもりを抜け出し、
マジックに魅せられて自身もマジシャンの道を歩むことを決意する。
ある日自分にそっくりなマジシャンの隆の存在に気づいた涼は
ゆりの言葉に導かれて向かった北海道で
死んだはずのゆりにそっくりな亜矢と出会う。

亜矢もまた自身の前で脱出マジックを試みたまま、
海に消えた恋人・隆に再会することを願っていた。

クァク・ジェヨン監督日本撮影再び。

『猟奇的な彼女』で知られるクァク・ジェヨン監督が
日本を舞台に描いたラブストーリー。

主演は日本でドラマ『僕だけがいない街』がNetflixで現在配信中、
そして映画『曇天に笑う』の公開も控え、中国などアジア圏で絶大な人気を誇る古川雄輝。
相手役には新人を発掘したいという監督のもと
実施されたオーディションで一万人の中から選ばれた藤井武美を起用している。

自分に似た人間を見ると死ぬと言われるドッペルゲンガー現象。
クァク・ジェヨン監督は北海道を舞台に怖くない
ドッペルゲンガーの話を描いた。

涼と隆。
東京と北海道。
会わないはずの涼と隆の思いが次第にシンクロし始める。

涼は亜矢に出会い、亜矢の中にゆりを探し、
亜矢は涼に隆を求める。

構想からコミック化を経て公開までに10年を費やした。
クァク・ジェヨン監督が大好きな北海道、
岩井俊二監督の『Love Letter』にインスパイアされた
美しさとどこか儚さのあるストーリーだ。

日本映画ではあるがクァク・ジェヨン監督作品ということもあり、
作品の色はアジアンテイストに仕上がっている。
エキゾチック感漂う雨の中のシーン、
レトロな涼が住む建物、どこか現世とは別の
異世界を観じさせる作品全体の世界観。

日本とはまた違うクァク・ジェヨン監督が作り上げた
もう一つのパラレルワールドのようだ。

役者の表情や佇まいで描かれるシーンが多いのが印象的だ。
最近の日本の恋愛映画にはない恋人たちの募る思いが
感じられる作品とも言える。
見終わった後に中毒的に頭の中に印象的なシーンが蘇る。

涼が足を運ぶマジックカフェの異世界感にも注目したい。
そこに登場するカフェオーナー役の竹中直人、
涼の憧れのマジシャン役の小市慢太郎という
この二人の役者の存在感がたまらない。
この二人がいつの間にか
涼を隆の元へ向かわせる役割を担う。

様々なマジックにも注目

この作品ではマジックが様々な場面で登場する。
テーブルマジックから大掛かりなマジックまで
様々なマジックが披露される。
マジックは監督が昔からやりたかったもので
今回はそれを登場人物にやらせてみたのだという。

マジック監修はハンドパワーでおなじみのMr.マリック氏。
(岐阜の皆さんにはおなじみですね。)
派手なイリュージョンからこの映画のために
古川さんが指導を受け身につけた細かい手業まで
様々なマジックを見ることが出来る。
大掛かりなイリュージョンのシーンは一からセットを設営し、
撮影はエキストラ600人以上が参加して行われた。

北海道の流氷や祭りなど日本の美を捉えたシーンだけでなく
東京と北海道でシンクロする風景、
映画『レオン』やビートルズの『アビーロード』の
ジャケットパロディも登場する。
監督の遊び心も随所に散りばめられている。

涼が愛した女性はゆりなのか亜矢なのか。
それともまた違う誰かか。
お互いを求め、出会うべくしてあった男女。
魂を追い求めるような恋愛に心が熱くなる。

風に色はない。だが肌に触れれば感覚で色を感じることが出来る。
風の色を感じるように二人は魂を感じて再び求め合う。

『風の色』http://kaze-iro.jp/は1月26日より公開。
東海地区ではTOHOシネマズ(名古屋ベイシティ、赤池、モレラ岐阜)、
イオンシネマ(ワンダー、長久手、豊川、岡崎、常滑、各務原)で1月26日より公開。

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