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映画『Bittersand』井上祐貴さん、溝口奈菜さん、搗宮姫奈さんインタビュー
映画『Bittersand』の公開記念舞台挨拶が名古屋・伏見ミリオン座で行われた。
舞台挨拶終了後、吉原暁人役の井上祐貴さん、野田彩加役の溝口奈菜さん、宮本智恵役の搗宮姫奈さんに作品についてお話を伺った。
Q.これから観る方にご自分の役の紹介をしていただけないでしょうか。
井上祐貴さん
「暁人はただなんとなく日々をこなして過ごしている青年でこれといって色もないなと最初は特に観る方から思われると思うんですが、目標もなく生きています。そんなある日、想いを寄せる人の為、自分の為に行動を起こし始めるところはとても強い、芯のある人間だと思いました」
溝口奈菜さん
「彩加は結構クラスでは目立つ方で、私から見ると承認欲求の強い女の子なのかなと思うんですが、良い意味で高校生の時と大人になってからの同窓会で集まった時とであまり変わっていない。素直に成長したんだなと私は思いました。自分の気持ちに正直に動く女の子なんだなと思って演じました」
搗宮姫奈さん
「映画にはいろんなキャラクターがいてその中の誰かに共感したり同情したりするとかいろんな気持ちがあると思うんですけど、私が演じた宮本智恵が一番普通の女の子なんじゃないかなと思っていて。良くないことをしていることは分かっているけど自分が好きな人に対してやっぱりヤキモチを抑えられなかったり、誰かに対して怖いという気持ちがあったり、隠したことが最後にバレちゃうとか色々あるんですが、すごく共感していただけるキャラクターだと思うので、そういう部分をぜひ見ていただきたいです」
Q.オーディションで役が決まったと伺いました。オーディションはどんな内容だったのでしょうか。
井上祐貴さん
「オーディションは台本の中の実際にあるシーンの抜粋を演じました」
溝口奈菜さん
「女の子の役のいくつかの役を演じたんですが、私が映画で実際に演じた野田彩加はオーディションでは一番演じた量が少なかったんです。でも監督からは「野田彩加で」と連絡が来まして「え?うそ!?」となりました。意外でした。「え?何で?」と不思議な気持ちでした」
搗宮姫奈さん
「教室で亜紗美が一人でいて、暁人が入ってくるというシーンが映画にありますが、そのシーンをオーディションでは演じました。亜紗美役だけやって、今回、智恵役が決まりました」
井上祐貴さん
「そうなんですか?」
溝口奈菜さん
「私も実は澄子役をメインで受けたんです。澄子と暁人役のオーディションの相手役として絵莉子のセリフと澄子のセリフをメインでやって実は彩加でしたという感じです」
Q.井上さんはこれが初映画だったんですか?
井上祐貴さん
「ウルトラマンタイガ劇場版があったので映画としては初ではないんです。でもあれは特撮だったので自分の中では初という感覚でした」
Q.『NO CALL NO LIFE』の撮影よりも前ですか?
井上祐貴さん
「『NO CALL NO LIFE』は2020年の10月に撮影したもので、『Bittersand』は2019年の9月に撮影したものです」
Q.役柄に対してどんなアプローチをされたんでしょうか。
井上祐貴さん
「オーディションで監督に選んでいただいた理由として、オーディションでお芝居を見た時に暁人がいたと言って頂けたのでオーディションの時の感覚のままで行こうと思いました」
Q.18から25歳まで7年間を演じるという部分で気をつけたことはありますか?
井上祐貴さん
「親友の井葉とのやり取りは7年経っていますが、仲の良さだったり、心を許している相手と会話する時のテンションは変わらないだろうなと思って、そんなに大きく変えようとは思わなかったです。声のトーンは高校生と社会人で若干違うのかなと考えて変えていますが、意識したところはそれぐらいです」
Q.自分の高校時代と重なる部分はありましたか?
井上祐貴さん
「いやあ……共感できる部分が少なくて。暁人は芯が本当に強いなあと。内に秘めている思いが強いと感じたので、暁人はすごいなと感じる事が多かったです。暁人は社会人になって絵莉子と再会することによってあの相関図に向き合おうと一歩踏み出すんですけど、僕も割と何かきっかけがあるとすぐ行動に移したくなるタイプでそこは共感できる部分なのかなと思います」
Q.溝口さん、搗宮さんは脇役にあたりますが、この映画でどのように爪跡を残そうとされたんでしょうか。役を演じる上で意識したことはありますか?
溝口奈菜さん
「私も自分とかけ離れている役で、今までやったことのないキャラクターでしたので、どうして彩加はこれをやるのかなというのを一個ずつ理解しようとして台本を読んだところが意識したところです。こうやってやろうというのはあまり考えず、どうしてこれをやるのかを考えながらとか、会話する相手の方の反応を見て、同世代同士なのでちょっとは意識していたかなと。撮影外のところではわいわい楽しく仲良く話しているんですが、いざ撮影が始まるとライバル視も私はしていたので、負けたくないみたいな気持ちがありながら演じていました。監督からは彩加が追い詰められるシーンでは「もっと焦って」という指示がありました」
搗宮姫奈さん
「私はどの作品でもそうなんですが、あまり「爪跡を残してやろう!」と思うタイプではなくて、本当にお芝居が好きで、今回演じた智恵ちゃんがどう感じてるんだろうと考えるのがすごく楽しくって、監督と役作りについてお話させて頂いた時に、「最初にお会いした時から智恵ちゃんだと思った」と言ってくださったので、もう変に役作りはしないで、相手との会話やコミュニケーションを楽しもうと思って演じました」
Q.三人は同い年ということですが、同い年だからうまくいったという事もあったんでしょうか
搗宮姫奈さん
「それは全然あったと思いますね」
溝口奈菜さん
「話しやすさだったり、感覚だったり。高校生時代のテンションは合いやすいなと思いました」
井上祐貴さん
「あると思いますね。みんな同世代でそんなにかけ離れた年齢の方がいなかったので、自然と同世代ならではの空気感というのは出来たんじゃないかなと思います」
Q.溝口さんと搗宮さんは出身が岐阜県、愛知県ということですが、地元での舞台挨拶は初めてだったと思うのですが、舞台挨拶はどうでしたか?
搗宮姫奈さん
「とても話しやすかったです。観客の皆さんが受け入れてくださっている感があります。私はいつもすごく緊張してガチガチになってしまってあまり話せないんですが、今日は楽しくなってしまってペラペラとたくさん話せました」
溝口奈菜さん
「確かに(笑)。東京の舞台挨拶の時より話しています。私が実際に観に来ていたのは移転前の伏見のミリオン座さんだったんですが、思い入れのある劇場での舞台挨拶だったので、自分の成長もちょっと感じることができました。東京での舞台挨拶の時よりも知り合いや高校生の同級生が見に来てくれていて、それをちょっと見つけた瞬間嬉しかったです」
Q.監督も初監督ですが、監督と話したことや受けた演出で印象に残っていることはありますか。
井上祐貴さん
「監督の実体験に基づく部分が多い作品という事もあり、芝居の目線ひとつをとっても、細かい指示がありました。「その目線、ちょっと遠すぎない?」みたいな繊細な演出がありましたね。またドローンを使った撮影が多かったので、ドローン撮影が初めての僕は撮影している時から完成した映像がとても楽しみでした。出来上がった風景はドローンならではの美しい風景で、こんなところもドローン撮影するの?って場所も、映画になるとすごい綺麗だったことがとても印象的でした。
溝口奈菜さん
「初監督ですが、元々助監督をされていて現場経験をたくさん積んでいらっしゃるので、正直私は初監督と分からないぐらい、的確な指示をくださって、テキパキされていました。同窓会のシーンでは私は立場的に結構悔しいとかちょっと込み上げるものがあったりするんですけど、監督は「堪える映画だから、堪えてください」と指示されたのが印象的です。クラスメイトとの会話をしているときの距離感も「もう少し近い方が」とか細かく指示していただきまして、すごくよく見てくださっているなと」
搗宮姫奈さん
「この映画は誰も泣いていないんですよ。最初テストで事実が発覚した時に純粋にすごく泣いてしまって、涙が止まらなくて。これはどうなんだろうと思って監督に聞いたんですが、「この映画は堪える映画だから泣かないで欲しい」と指示されました。その指示が映画に素晴らしく反映されていたのを観て、監督が言っていた意味はこういうことだったんだなと思いました」
Q.黒板の相関図を見た時にどう思われましたか?
井上祐貴さん
「台本の文字が図になったというか全体を確認出来た感じでした。そうだよね、こことここはこんな感じだよねみたいな再確認の感覚でした。自分の中で想像が膨らみました」
搗宮姫奈さん
「字で女の子が書いているか、男の子が書いているか大体わかりますし、クラスメイトであれば大体誰の文字かもわかるので、もしかしたら誰かにやらせているという可能性もあるなと勝手にずっと思っていました。実はもう一人犯人がいるんじゃないかなとパッと見たとき思いました」
溝口奈菜さん
「私もそう思っていました。写真もしっかり用意されているし、線を引いたり、色を使ったりとかすごくこだわりを感じて、これは一人ではない、二人ぐらいに書いてもらって、指示を出している人がいるみたいなことを想像したりとか、私の写真は使われていないですけど写真を使われている側の人が見ると結構傷つくなあと」
井上祐貴さん
「監督が脚本も書かれていますが、書いているうちにいろいろ話が膨らんだそうです」
搗宮姫奈さん
「「BittersEnd」読まれました?」
井上祐貴さん
「読みました」
搗宮姫奈さん
「あの本のインタビューだったと思うんですが、最初は普通に何か別のもうちょっとざっくりしたことを考えていたけど、たまたま自分の同級生に会って、そこから同窓会の話にしようという風ににどんどん話が膨らんだって。「BittersEnd」はこの映画の前日譚なので読んでから映画を観にいくとすごく面白いだろうなと思います。是非読んでください。暁人の親友の井葉のお話です」
(「BittersEnd」の書籍情報はこちらから)
Q.井葉は映画を作りたいと話していますが、もし自分で好きに映画を作っていいと言われたら何を撮りたいですか?またはどんな役を演じたいですか?
搗宮姫奈さん
「3歳から15年間、18歳までずっと水泳をやっていたんです。なので、水泳の作品に出たいと思っていたんですが、最近水泳の映画を作ってみたいとも思うようになりました」
溝口奈菜さん
「裏側とかも知っているから?」
搗宮姫奈さん
「彼らの気持ちをわかっているからっていうのと、ちょうど今オリンピックの選手に選ばれた人達と一緒に泳いでいたので、スイマーの人達の気持ちを映画にして届けたいなと本当に思います。泳げる人もたくさんはいないだろうと思うので、監督兼出演でやりたいですね」
井上祐貴さん
「僕はカット数が少ない映画の現場に携わりたいです。全員の息がぴったり合わないと出来ないじゃないですか。長回しのシーンを観るのがすごく好きで、そこにアクションがあればなおさら観てしまいますし。アクションがないにしても、ワンカットでそこにあるいろんな感情を捉えて。役者もカメラマンも照明さんも全員の力がそこに集中して出来上がるのが僕は好きで。出たいのもありますが、観たい。現場にいたい。あの緊張感が好きなんです」
溝口奈菜さん
「私は今まで出演してきた作品が学生だったり、日常に寄り添った作品で、そういう作品を観るのも好きなんですが、それとは対極な血だらけになる役とか過酷な役をやってみたいです」
Q. ここを観て欲しいというシーンを教えてください
井上祐貴さん
「暁人がいじめられているシーンです。いじめられているシーンで暁人が水をかけられるんですが、それは本当にお芝居とわかっていても辛かったなあというのを今でも思い出しますし、それが画面を通して辛いんだぞと伝わればいいなと思いますし、少しでもこういう思いをしてる方がいるなら減ってほしいなと演じていて感じたことです」
溝口奈菜さん
「同窓会のシーンで彩加が自分の主張を言うところがあるんですが、その彩加の主張よりもその後の暁人の言葉に耳を傾けて欲しいなと思います。時間が経ったから精算されるということではない、ちゃんと事実に向き合ってみんなが前を向いていくという姿を見ていただけると嬉しいです」
搗宮姫奈さん
「各キャラクターがセリフを発していない時の表情に注目していただきたいです。本当にみんなが監督と話し合いながらキャラクターを作りました。過去とかこれからどうするかということも話して作っているので、微妙なニュアンスの表情があります。そこに注目していただきたいです」
映画『Bittersand』https://bittersand.net/ は現在公開中。東海3県では伏見ミリオン座、イオンシネマ(名古屋茶屋、長久手、東員)で公開中。
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