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人を思う心は壁を超える(映画『僕が君の耳になる』)

「僕が君の耳になる」という曲をご存知だろうか。ボーカル&手話パフォーマンスグループ・HANDSIGNが2017年にリリースした楽曲だ。この曲は、耳の不自由な女性と、聞こえる男性の実話を基にしたラブソングで、ドラマ仕立てのミュージックビデオはYouTubeで1,000万回以上視聴され、大ヒットとなった。

この楽曲をもとに作られた映画『僕が君の耳になる』が6月26日から名古屋の名演小劇場で公開される。

あらすじ

大学生の純平は、街角で弾き語りをしていた。そのギターと歌声に耳を傾ける人はほとんどいない。そんな中、初めて足を止めてくれた美咲と出会う。

美咲は耳が聞こえず、手話で拍手をするが、純平にはその意味が分からなかった。

その後、二人は同じ大学に通う生徒だと分かり、純平は美咲を通してろう者の世界を初めて知ることになる。最初は誤解からあまりいい印象を持たなかった二人だが、自ら手話を勉強し真っ直ぐに接してくる純平に美咲も次第に心惹かれていく。
しかし、純平と美咲の間にはさまざまなハードルが待ち受けていた。

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同じ場所にいても違う世界にいる 「音のある世界、音のない世界」

映画では美咲の生活を通して「音のない世界」が描かれる。大学で授業を受けるにも、黒板に書かれない教授の話す言葉をボランティアの人に文字に起こしてもらわなければならず、「音のない世界」にいる美咲にとってダンスをすることも大きな挑戦だ。美咲の生活にはたくさんの不自由があり、「音のある世界」で生きる誰かの補助で「音のある世界」を懸命に生きている。
「音のある世界」の人達はそれを普通だと思い、「音のない世界」にいる美咲達を同じ世界で生きているのに違う世界にいる人のような目で見る。その視線を美咲は嫌というほど感じてきたのだろうことを映画を観ながら知ることが出来る。

美咲の耳が聞こえないことを知った純平は美咲と話がしたくて、手話を覚えはじめる。耳栓をして歩いたりしながら美咲の世界を知ろうとする純平。美咲がダンス部で一緒に踊れるようになるためサポートし、充実した毎日を送りはじめていた。一方、最初は純平と手話で楽しく会話をしていた美咲だったが、周りが2人に向ける視線が気になり始める。耳が聞こえないことをもの珍しそうにみたり、無視されたと勘違いされて怒ったり。自分がいつも経験していることに純平を巻き込むことが辛くなり、耳の聞こえない自分といることが純平にとって迷惑なのではないかと悩む。

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耳が聞こえなくても大丈夫だと美咲に話している純平だったが、友人が出演する演劇を観に行くことを言えず嘘をつく。
純平が自分に気を遣い、隠していたことを知った美咲は自分がいる世界はやはり純平がいる耳の聞こえる人の世界とは違うと思い、純平を突き放してしまう。

たくさんのカップルの思いが詰まった作品

「僕が君の耳になる」というHANDSIGNの楽曲は純平と美咲のようなカップル達の実話から生まれた。その中の一組が俳優の三浦剛さん、忍足亜希子さん夫妻だ。舞台の出演者同士として出会い、交際、別れて数年。再び会った時、2人を繋いだのは手話だった。忘れていたはずだったのに、突然、手話が出来たことを知っていた役者仲間から通訳を頼まれた三浦さんの手が動いた。ここからまた2人の時間が動き出した。この実話はフジテレビ『奇跡体験アンビリバボー』でも紹介され、HANDSIGNの楽曲と共に話題になっている。

初主演の二人が紡ぐピュアなラブストーリー

純平役は個性派演劇集団「劇団番町ボーイズ☆」のメンバーで、ダンスボーカルユニット・銀河団としても活躍中の織部典成さん、美咲には大阪芸術大学に在学中で自身も重度先天性感音性難聴である梶本瑞希さんが抜擢された。フレッシュな二人がいくつものハードルを乗り越えながら愛を深め、成長していく経過を体現していく。

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上映はバリアフリー日本語字幕付き上映

耳の不自由な方にも映画を楽しんでいただけるように映画はバリアフリー日本語字幕付上映で行われる。また目の不自由な方のためにUDキャストによる音声ガイドも対応される。

純平と美咲のラブストーリーを通して、人を思う気持ちはコミュニケーションの壁を超えることに改めて気づくだろう。

映画『僕が君の耳になる』https://bokukimi.net は6月26日より名演小劇場、7月2日よりイオンシネマ名古屋茶屋、イオンシネマ津で公開

【キャスト】
織部典成・梶本瑞希・岡田結実・忍足亜希子・三浦剛・松井健太・三浦大輝・小松みゆき・岡元あつこ・善知鳥いお・ミセスヒロコ・悠綺・阿部祐二・坂東彦三郎・木村祐一・新藤栄作・川崎麻世・森口瑤子

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