Cafemirage

Cafe Mirage--岐阜発 映画・エンタメ情報サイト

カテゴリリンク

hitoyo3

EntaMirage! Movie 岐阜推し!

第36回CINEX映画塾『ひとよ』白石和彌監督トークレポート

2020/01/30

あの日がなければ人生が変わっていたかもしれない、あの日があったから今がある。
そんな経験は誰にでもあるだろう。

映画『ひとよ』はある家族の一夜から15年経った今を描く。
変わるためにあの一夜はあった。夫の暴力から子どもを救うために夫を殺したこはるは、15年後に約束通り家に戻ってくる。

白石和彌監督がCINEXに満を持して初登壇。
第36回CINEX映画塾『ひとよ』白石和彌監督のトークレポートをお届けする。

白石監督
「素敵な映画館ですね。岐阜に着いてロイヤル劇場を見たいと行って見させていただいて、中にも入らせていただきました。フィルムで未だに上映していて500円で観られるなんて東京にはもうないですから(注:2月22日から600円に変更)。贅沢な空間がまだまだあるんだなと思いました。そしてフィルムがいかに美しいか」

後藤さん
「森繁久彌さんの『駅前競馬』が上映中で監督にも観て頂きました。フィルムの状態がいいですよね」

白石監督
「いいですね。『ひとよ』は4Kで撮影しましたし、『凪待ち』は6K、7Kぐらいで撮影したりしているんですが、世界の映画人みんなが目指すところはフィルムなんですよ。フィルムに如何に近づけるかなんですが、それが出来なくてここ数年やっと違うアプローチを始めています。でもやっぱりフィルムを観ると違うなと思います。是非ロイヤル劇場さんでフィルムの上映を観ていただきたいですね」

後藤さん
「ロイヤル劇場は岐阜市の宝だと思っています。監督は岐阜市に来られることは今までにあったんですか?」

白石監督
「小学1、2年生の頃、親の都合で名古屋に住んでいたんです。その後、北海道に戻るんですが、その時に叔母が一時的に岐阜に住んでいて。どこかまでは覚えていないんですが、団地でした。そこに遊びに行った時に見た風景を何となく覚えているぐらいで来たことがないに等しいです」

後藤さん
「柳ヶ瀬の商店街のイメージもなく」

白石監督
「初めて歩きました」

後藤さん
「白石監督は2010年に『ロスト・パラダイス・イン・トーキョー』で長編デビューされて、その後2013年に『凶悪』で映画賞を総なめにし、綾野剛さん主演の『日本で一番悪い奴ら』、『牝猫たち』、蒼井優さんが日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞を受賞した『彼女がその名を知らない鳥たち』も大評判で、2018年には『サニー/32』、大傑作『孤狼の血』、『止められるか、俺たちを』の3本、昨年は『麻雀放浪記2020』、『凪待ち』そして『ひとよ』と年間3本ずつ、しかもとてもクオリティの高い映画を撮られているということで我々映画ファンはとにかく監督のお話が聞きたくて。やっと実現しました」

白石監督
「なんか改めて自分の撮ってきたものを聞くと恥ずかしいですね。そのほとんどの作品に友人のピエール瀧さんが出ていますね(笑)。今は色々あって休職中ですけど」

家族の話を描く

後藤さん
「今日観ていただいた『ひとよ』は映画賞のノミネートもされまして、今後も注目される作品だと思っています。『ひとよ』の企画はどんな感じで始まったのでしょうか」

白石監督
「今まで家族の話はやっていなかったんですが2018年に『凪待ち』、2019年に『ひとよ』を撮りました。『ひとよ』の方が企画は先にありまして、『日本で一番悪い奴ら』を撮影する前くらいの時期に舞台を観たプロデューサーから声を掛けられて。観たら面白くて。これだったら家族を描けるんじゃないかと思いました」

後藤さん
「もともと桑原裕子さんの劇団の舞台なんですよね?実際舞台もご覧になったんですか?」

白石監督
「劇団KAKUTAというんですが、他の作品は観ているのに、これだけは観に行けなくて。後から映像を観たり、戯曲を読んで行間とか舞台そのものに込められている思いに打たれまして、映画化するならぜひやりたいと思いました」

後藤さん
「この映画は真の家族を真っ正面から監督が捉えられていて、ちょっと戸惑いもあったりして。情報量の多い映画だなと東京国際映画祭で初めて観た時に思いました。役者さん達の演技の圧が凄すぎてそれを咀嚼出来ないまま映画祭のトークショーを聞きました。一昨日ここ岐阜CINEXでもう一回観たら倍以上のきめ細かい人の描写が見えてきてしっかり作られているなと改めて思いました」

白石監督
「そんなに褒められると照れるのでやめてください(笑)。あのトークショーの時の質問で覚えているのが「なぜ『でらべっぴん』なんですか?」という質問です。エロ本は『でらべっぴん』じゃないといけないんです。その時に話したのは今年オリンピックがあってコンビニからエロ本がなくなっていく。それは健全な世の中なんだろうか、と。エロ本があることによって救われる家族もあるかもしれないのに、なんて不健全な世の中になるのかと冗談半分に話していました」

後藤さん
「田中裕子さんはじめ、出演者陣が素晴らしくて。キャスティングは監督の思い通りだったんでしょうか?」

白石監督
「戯曲と映画の大きな違いはもう少し母親が主役に近い描き方をされていて、帰ってきた母親の視点からタクシー会社のその後と子どもたちを描いているんですが、映画は次男というか子どもたちをフィーチャーしていて、母親が割と何を考えているかわからないという風にしているんです。でも母親は話の中心なので、母親を誰に演ってもらおうと考えた時に、かねてから出ていただきたかった田中裕子さんに何としてもお願いしたいというのが第一条件で、裕子さんが決まってから子どもたちを考えました。お願いしたら「当分空いてないのでお断りします」と言われました。「空くまで待ちます」とお話して結局1年半ぐらい待ったんですかね。「そこまで待ってくださるならやらせていただきます」と言っていただいて企画が進みました」

後藤さん
「いきなりタクシーで夫を轢き殺すというショッキングなシーンから始まりますが、あの冒頭のシーンも舞台にはあるんですか?」

白石監督
「舞台はタクシー会社の事務所と中庭、家があるセットなので、殺す瞬間というのはないです。お母さんが「今殺してきた」と言うところから始まります。だから事務所の中のシーンからは舞台にもあるんです」

後藤さん
「それから佐藤健さん、鈴木亮平さん、松岡茉優さんと決まったわけですね」

白石監督
「田中裕子さんが決まった後に、次男を健くんにお願いしたいと思いました。健くんが次男なら誰が兄弟にいいかなと考えて鈴木亮平くん、あの兄弟を兄弟にしてくれる妹は誰なんだろうと考えて松岡茉優さんとキャスティングを考えていきました。鈴木亮平くんに至っては『西郷どん』をやって原田眞人監督の『燃えよ剣』に出演していて、丸2年現代劇をやっていなかったんです。だから現場でも「このドアが気持ち悪い」と。時代劇にドアノブとかないですからね。佐藤健くんもこの映画の直前まで『るろうに剣心』の新作をやっていて。鈴木亮平くんは『燃えよ剣』では近藤勇なので、二人とも人斬りじゃないですか(笑)。どんな家族になるのかなと思いましたが、そこは皆さん役者なのでちゃんと切り替えてくれました」

後藤さん
「松岡茉優さんは昨年も『蜜蜂と遠雷』、一昨年は『万引き家族』と本当に素晴らしい演技で」

白石監督
「松岡さんは現場で見ているお芝居と出来上がった時の印象が演出していても変わっていくんですよ。編集していても、ダビングという音入れ作業をしていても変わっていくんです。映画をその都度生き生きと監督に観させてくれる女優さんだと僕は思っています。そういうところがいろんな演出家に引っ張りだこになる理由なんだろうなと」

後藤さん
「お墓参りに行って父親の墓に「さらに死ね」と言っているのとか凄いなと思いました。至るところの間合いが見事で」

白石監督
「あのシーンが鈴木亮平さんと松岡茉優さんの兄妹の最初の撮影シーンなんですね。兄妹になるだろうと想像してキャスティングしていても、実際に現場で並んで動くまで本当の兄妹に見えるか演出家には不安があるんです。そんな不安をあのシーンで松岡さんは埋めてくれました。そのシーンだけでなく、他のシーンでも台本にないちょっとしたしぐさが良くて。肘で相手に合図したり、朝食の時にタブレットを見ているお兄ちゃんにほらほらって言ったりとか。そういうところで家族を作ってくれているんです。計算をしなくてもああいうことが出来るって凄い稀有な人ですよね」

後藤さん
「監督は今までも疑似家族的な形の人間ドラマを作ってきましたが、今回は真の家族を描いておられます。最初観た時に、カーチェイスのシーンはドラマチックに行き過ぎて、なんかまとめた感があるなとちょっと批判的だったんです。でもよく観ると一人一人の感情が表に出てくる。佐藤健さんの跳び蹴りに至るまでのからみは凄いと思いました」

白石監督
「そうですね。映画を作るとき大体クライマックスは最後の方に撮るじゃないですか。ということは極端なことを言うと、クライマックスを撮るまでに大体演出は終わらせておかないといけないんです。そこまでに俳優との関係性で作り上げていたもので、クライマックスが自動的にクライマックスになるのが理想で、これだけの俳優が揃っていると、その苦労がないんです。最後はこういう風にしたいと言えば、自動的に健くんもドロップキックしてくれたし。あのシーンの撮影前に、「どういうキックがいいですか?」と聞いてきてくれて。健くんはアクション俳優でもあるから「こういう風に見せたい」と話したら、「それは蔵之介さんが痛い思いをするパターンですね」と(笑)」

後藤さん
「蔵之介さんは了解済みなんですか?」

白石監督
「蔵之介さんと健くんが、「どうやら監督がこういう風に見せたいみたいなので、当てちゃってもいいですか?」と話していて、僕の意図を誰かが汲んでくれて演出を始めてくれるんです。そこに至るまでの過程で僕が引き込まなくてよかったので楽だったなと思います」

後藤さん
「蔵之介さんの役は、タクシー会社で家族のように接する擬似家族的な立場で、その人の家族のエピソードも入れられて、ちょっと最後どうなるのかなと思いましたが、クライマックスシーンで真の家族と擬似家族が融合して、「息子が本当の息子ではないのに、親が本当の親ではないのに」という演出をやられていて、ボーダレスなやり方をやられたなと思いました」

白石監督
「たしかあそこは桑原さんの戯曲からあったものです。戯曲を映画化する時、言葉というかセリフの量が6割ぐらいになってしまうんですよ。説明する分量もエピソードも。いろんな手で補完はしていくんですけど、補完しきれているのかなという疑問もあって。あのシーンは一つの面白いところでもあるので、俳優を信じてやってしまおうと。初見では苦しくても、2回目を観てすっと入っていただけたなら半分くらい成功ですかね」

後藤さん
「何回も観ればもっと細かく入って来て、無駄なセリフが削ぎ取られていることもわかります。白石監督って細かいんだなあって思います」

白石監督
「…。そうですよ(笑)。大雑把に作っているように見えるかもしれませんが」

後藤さん
「撮影は早い方ですか?」

白石監督
「どちらかと言えば早い方です」

後藤さん
「それは脚本の段階で詰めるんですか?」

白石監督
「脚本の段階で詰められるものは詰めます。現場に期待して敢えて放っておくものもありますが」

後藤さん
「音尾琢真さんが白石監督の作品に続けて出演されていますが、同郷なんですよね?」

白石監督
「旭川西高校の1年下なんです。当時は知らなくて、僕が監督デビューする前からTEAM NACSとして北海道だけでなく全国的に有名になっていたんです。『凶悪』の時に誰かからあの監督が同郷らしいということを聞いて、彼から会いたいと行って来てくれました。上から来るのかなと思ったら初めから焼酎を作ってくれて、なんて便利な後輩がいたんだと(笑)。ああいう人がどういう形でも出てくれるというのは演出家としては心強いです。ピエール瀧さんも今は休職中ですけど、僕にとっては飛車角のような存在なのでいつかまたご一緒できたらと思っています」

後藤さん
「女優では筒井真理子さんとか韓英恵さんとか」

白石監督
「裕子さんが決まって、あの兄弟の布陣になった時に、これは脇にも上手な人を入れていこうという一念でキャスティングしていきました。擬似家族と本当の家族という話で言えば、タクシー会社の仲間は擬似家族だけれども、そっちの方が本当の家族のように楽しそうに見えるように、本当の家族との対比として見えるといいなと考えたキャスティングです」

後藤さん
「白石監督に使われたいという役者さんが多くいるというのは嘘じゃないですね。MEGUMIさんもよかったですね」

白石監督
「そう言って頂けるのは嬉しいですけど、映画は一緒に作るものですから。MEGUMIさんすごくなかったですか?MEGUMIさんは『孤狼の血』でワンシーンだけ出て頂いたんです。そのシーンの撮影が撮影初日か2日目で、役所さん相手にこんな芝居するんだ!ってびっくりしたんですよ。いい役があったらまたお願いしようと。今回お願いしたら見事に芝居で応えてくれて素晴らしい女優さんだと思います」

 

hitoyo1

最後に見つかったロケ場所

後藤さん
「監督のキャスティングも素晴らしいですが、さっき一緒に柳ヶ瀬の商店街を歩いて思ったんですが、本当にまちをよく見ていらっしゃるなと。地方でロケされることが多いですよね?タクシー会社の雰囲気が良かったですが、あれは本当のタクシー会社ですか?」

白石監督
「タクシー会社は半年探しました。通常営業しているところは当たり前ですがお借り出来ないので、なんとかタクシー会社に見えて雰囲気がある所を探したんですが、理想とするタクシー会社を見つけることができました。中庭があって、母屋があるところなんてないんですよ。あれは舞台の設定だから。これは田中裕子さんも子ども達も決まっているのにロケ場所がないから中止かもって思いましたが、撮影三週間前くらいにロケ地が見つからずに諦めて帰る道すがらに見つけることができました。もう一度原点に帰って、見てみようと行ったのがここだったんです。茨城で。社長は朝四時半に来ると聞いて、僕とロケ場所担当のスタッフが朝4時から毎日待って口説きました」

後藤さん
「そういう許可を得るって大変なことなんですね」

白石監督
「そうですね。僕はまちを見るのが大好きで、ロケ場所を知らず知らず探してしまいます。映画を観る時は、どの映画もロケ場所がどこなのか観るんですよ。いろんな映画を観る一つのコツじゃないですけど、例えば衣装とか何かこだわって見続けていると、衣装だけではないいろんなことが見えてくるんです。ロケ場所を最初に観続けていると、そこにあるものと、美術スタッフが行って飾ったものとがなんとなくわかるんです。その映画を作る意図がそこからわかる。何かにこだわって観るというのはお勧めです。一応映画塾ということなのでお勧めしました」

後藤さん
「スナックも実際にあるところですか?」

白石監督
「はい。『凪待ち』の時もそうだったんですけど、地方は特にフィリピンからの出稼ぎの方の店が多くて。茨城の現地の方にスナックを紹介してもらい、そこのフィリピンの女の子にエキストラで出てもらいました。地元に行った時は地元の方の生活を覗きながらやった方が地に足がつく映画になるんです」

後藤さん
「それは確かに感じます。わたしはタクシー会社の手形のサインが気になりました」

白石監督
「例えば、あのタクシー会社でいうと、何でもないところにCGを使っています。タクシーが出ていくところを引きで撮ると、結構煙突とか電柱がありますが、あれはCGなんです。タクシー会社の脇に大きい新しめの家があったんですが、それを消して煙突を立てています。茨城のまちを見た時に感じた匂いのようなものを入れたいと思って最近はCGもそういう使い方をしています」

後藤さん
「タクシー会社から見える風景にはファミレスも入っていて、いつも見かけるどこにでもある地方という感じがしました」

白石監督
「普段はそういうところを避けよう、避けようとしているんです。さっき見せていただいたような商店街とかをもう少し豊かに描きたいなと思っているんですが、『ひとよ』に関しては茨城は方言も入ってくるんですが、方言もなくしてどこにでもある地方感を出したかったんです。見つかったタクシー会社もああいう道路上にあったので、ファミレスを入れた方がいいかなと思い、敢えて残しました」

観客から
「千鳥の大悟さんが出ていらっしゃいます。役者をメインで活動していない方を起用するアンテナはどういう時に働きますか?」

白石監督
「普段音楽を聴いたり、どこかのフェスに行ったり、飲んでいるときに周りにどんな芸人が好きか聞いてみたり、娘もテレビを観るので「最近学校でどんな人が流行っているの?」と聞いたり。僕の仕事は被写体を探す仕事でもあります。日本の映画やテレビのキャスティングってどの作品を観ても同じキャストに感じてしまうことがあります。メインの人は仕方なくても、もう少し遊べるキャスティングというのがあると思います。『凶悪』のリリー・フランキーさんとピエール瀧さんは、予算が少ない作品だからこそ勝負したキャスティングをしたかったという狙いあってのキャスティングでした。予算が大きくなればなるほど、プロデューサーは「ここも有名な人を出せ」としか言わないんですよ。それは業界全体が疲弊してしまいます。芝居を演じる本人の興味がないとだめですけど、敢えて遊べるワンシーンだけ出てもらったりということをよくやります。それには顔のつくりとか僕の好みもあります。イケメンが嫌いとか(笑)」

観客から
「冒頭、子ども達が母に追いつこうと後ろからタクシーで追いかけるシーンや、クライマックスで子供たちが母を追いかけるシーンで、あんなの追いつけるはずがないと友人から言われました。映画のダイナミズムに比べればどうってことないんですが、監督としてはリアリズムとそうじゃないところのバランスをどのようにとっておられますか?」

白石監督
「映画の質やジャンルにもよると思うんです。割とこの映画はリアリズムの方向性にあるので、出来るだけそこは普通の人が思うリアリズムの中に収めたいという思いがあるのと同時にだからこそ最後に跳び越えたいという欲望が出て来ました。跳び越えたいと思う瞬間というのはいろんな意味での倫理観とか世間一般にあるルールとかそういうものを跳び越えた瞬間に人間ってきっと感動するので、敢えてやっているところがあります。だから「なんで佐藤健運転うまいねん」とか思いますよね?(笑)。僕も思いながら撮っていましたから。台本にはタクシーがクラッシュするとは書いていなかったんですが、最終的にぶつからないと、ぶつかり合わないと、心の一端を見ることが出来ないという映画であればぶつけなければと気付きました。自分の中に欲望が生まれた瞬間、バランスは崩してもいいやって思ってしまっていますね」

観客から
「実は映画のカット数を数えていまして。『ひとよ』は745カットで、『凪待ち』が699、『止められるか、俺たちを』が746です。120分ならこのくらいなど編集の際にこだわりとかテンポを決めるものはありますか?」

白石監督
「ジャンルによってテンポ感は変わってくるので、一つの映画の中でじっくり見せるシーンとテンポ良く見せるシーンというのは意識しています。一番気にしているのは体感です。2時間半あるから長いとかじゃなくて2時間半もあっという間に観られればいいわけじゃないですか。辛いか辛くないかの境目までは許容していく感じです。「長く感じた?どうだった?」と聞いてこの映画におけるベストの体感時間がどれぐらいかは考えてやっています。カット数の分析はしたことがないです」

観客から
「監督が映画の中で一番好きなシーンはどこでしょうか」

白石監督
「中庭でタバコを三人で吸いながら、なんでこのタイミングで『でらぺっぴん』やねんと言っているシーンですね。母親が何を考えているのかずっとわからない中、兄弟に共感が生まれるからでしょうね。撮っているときから僕も含めてみんながこの人物像で正しいのか、このアプローチで正しいのかずっと不安がありました。でもこの瞬間だけは間違いなく『何でやねん』という感じで心が一つになって。そういう気持ちが見える瞬間は何かしらの気持ちよさがあって、久々に映画を撮っていてその気持ちよさを感じられました。単純に楽しかったですね。健くんも「監督、今の気持ち良かった!こういうことですよね?」と言ってくれて亮平くんも「そ、それ、お、俺も感じてた」と言ってくれて、「いや、今もう本番中じゃないから(笑)」と盛り上がりました。「そんな気持ちだからこのまま飲みに行っちゃうか!」とか言いながら誰も飲みに行かないんですけど(笑)」

hitoyo5

上映後、CINEXロビーにて

 

ラストシーンのこはるの表情にこの役は田中裕子さんで本当によかったと思った。
他人にはわからない一夜の自分の想い。
観終わってからもあの表情が脳裏から離れずにいる。

-EntaMirage!, Movie, 岐阜推し!

おすすめの記事はこれ!

odori 1
自身の体と心で表現するということ(映画『名付けようのない踊り』)

私が田中泯という人を知ったのは映画『たそがれ清兵衛』だった。こんな味のある役者が ...

kessen1 2
政治家の秘書ってどんな仕事?(映画『決戦は日曜日』)

私たちの知らない世界を知ることが出来るお仕事映画。今回は選挙の裏側を描くコメディ ...

truth1 3
インディーズ映画を撮ることーものづくりの原点へ(映画『truth』堤幸彦監督インタビュー)

映画、ドラマ、舞台。様々なジャンルで話題作を作ってきた堤幸彦監督。いよいよ映画製 ...

akegata2 4
あの頃の自分を重ねて(映画『明け方の若者たち』)

Twitterでの“妄想ツイート”が話題となり、140字で人々を魅了し続け、獲得 ...

blackbox1 5
隠れている事実を耳で暴け!(映画『ブラックボックス 音声分析捜査』プレゼントあり)

組織的な隠ぺい工作か。航空事故調査局・音声分析捜査の責任者が謎の失踪。天才音声分 ...

chain3 6
映画『CHAIN/チェイン』名古屋舞台挨拶レポート

映画『CHAIN/チェイン』名古屋公開記念舞台挨拶が12月18日名古屋・名演小劇 ...

chain 7
間が愛おしいと感じた北白川派の新作時代劇(映画『CHAIN/チェイン』)

今年は北白川派の作品が2本公開されると聞いて楽しみにしていた。 一本は山本起也監 ...

choko2 8
東海3県で撮影された『チョコリエッタ』など風間志織監督特集上映再び

名古屋清水口のシアターカフェで1/22(土)~2/4(金)の10日間、風間志織監 ...

nisikita 9
第56回CINEX映画塾 映画『にしきたショパン』竹本祥乃監督・中村拳司さんトークレポ

第56回CINEX映画塾『にしきたショパン』が11月20日、岐阜CINEXで行わ ...

yuuko5 10
第55回CINEX映画塾『由宇子の天秤』春本雄二郎監督トークレポート

第55回CINEX映画塾『由宇子の天秤』が11月13日、岐阜CINEXで行われた ...

handa8 11
『劇場版 1979 はじまりの物語 はんだ山車まつり誕生秘話』愛知・岐阜先行公開記念舞台挨拶レポート

映画『劇場版 1979 はじまりの物語 はんだ山車まつり誕生秘話』の愛知・岐阜先 ...

umekiranu 12
ずっと二人で生きてきた親子の絆と世間の目(映画『梅切らぬバカ』)

毎日同じ時間に起きて、同じ時間にご飯を食べ、同じ時間に出かける。そんな息子との生 ...

nobutora 13
信玄に追放された男が武田家存続を目指して突き進む!(映画『信虎』)

武田信虎という武将をご存じだろうか。戦国武将・武田信玄の父で、横暴さが目に余り、 ...

yamamuradir 14
第54回 CINEX映画塾 山村浩二監督短編作品7本上映 トークショーレポート 

第54回CINEX映画塾が10月2日岐阜CINEXで開催された。 山村浩二監督特 ...

aruki11 15
映画『歩きはじめる言葉たち~漂流ポスト3.11をたずねて~』名古屋公開記念舞台挨拶レポート

映画『歩きはじめる言葉たち~漂流ポスト3.11をたずねて~』の公開記念舞台挨拶が ...

aruki2 16
伝えたい気持ちを抱えて(映画『歩きはじめる言葉たち~漂流ポスト3.11をたずねて~』)

佐々部清監督の突然の訃報はとにかく信じられなかった。実のところ、今でも 「新作の ...

ONODA_3 17
生きろという命令に従った30年(映画『ONODA 一万夜を越えて』

15年ほど前、テレビでオンエアされた実録ドラマを観て、小野田少尉の長い戦争を知っ ...

IRON_D18_LD_193.ARW 18
最高機密を運ぶのは一介の英国セールスマン(映画『クーリエ 最高機密の運び屋』)

役作りには余念がないベネディクト・カンバーバッチが主演と聞いたら観ないわけにはい ...

東海林毅監督 19
映画『片袖の魚』名古屋シネマテーク 東海林毅監督 舞台挨拶レポート

映画『片袖の魚』の上映が名古屋シネマテークで9月18日から始まった。 この作品は ...

bokutokanonjyotomain 20
ラリーを通して繋がる人々の輪(映画『僕と彼女とラリーと』森崎ウィンさん インタビュー)

WRC(FIA 世界ラリー選手権)をご存じだろうか。 今年11月に愛知県豊田市、 ...

yuuko1 21
正義とは?真実とは?現代の問題をえぐり出し、訴えかける作品がいよいよ日本凱旋!(映画『由宇子の天秤』)

報道とは報せる道と書く。テレビ、新聞、雑誌、本がそれにあたり、文字通り様々な出来 ...

rinjin 22
諜報員、大統領候補の生活を盗聴する(映画『偽りの隣人~ある諜報員の告白』)

日本では昨今韓国の文化が人気だ。ファッション、グルメ、アイドル、ドラマが日本のト ...

dotefu 23
映画『土手と夫婦と幽霊』名古屋舞台挨拶レポート

映画『土手と夫婦と幽霊』の初日舞台挨拶が名古屋シネマスコーレで行われ、星能豊さん ...

1630987203131 24
星能さん、ちょっと聞いてもいいですか?(映画『土手と夫婦と幽霊』星能豊さんインタビュー)

  インディーズで作品を作り続けてきた渡邉高章監督の中編『土手と夫婦と ...

watasinotonari2 25
【岐阜推し】映画『先生、私の隣に座っていただけませんか?』堀江貴大監督インタビュー

漫画家夫婦、5年目の危機。 妻の新作のテーマは不倫。しかもどう読んでも自分たちの ...

hamanoasahimain 26
タナダユキ監督最新作は嘘から始まった南相馬の映画館を立て直す人たちの物語(映画『浜の朝日の噓つきどもと』)

『百万円と苦虫女』、『四十九日のレシピ』や『ロマンスドール』のタナダユキ監督によ ...

ala2021_1 27
アーラ映画祭2021 ラインナップ発表!今年は5日間8作品。

岐阜県可児市文化創造センターアーラで開催されるアーラ映画祭2021の全ラインナッ ...

maria1 28
原爆投下後の長崎で生きる人々を描く(映画『祈り-幻に長崎を想う刻(とき)-』)

日本には忘れてはならない過去がある。 1945年8月。広島、長崎に原子力爆弾が落 ...

IMG_20210728_134155 29
あいち国際女性映画祭2021ラインナップ発表 今年は9月2日~9月5日

あいち国際女性映画祭2021の記者発表が7月28日ウィルあいちで行われ、映画祭の ...

Bittersand3 30
映画『Bittersand』井上祐貴さん、溝口奈菜さん、搗宮姫奈さんインタビュー

映画『Bittersand』の公開記念舞台挨拶が名古屋・伏見ミリオン座で行われた ...

bokukimi 31
人を思う心は壁を超える(映画『僕が君の耳になる』)

「僕が君の耳になる」という曲をご存知だろうか。ボーカル&手話パフォーマンスグルー ...

nosari10 32
映画『のさりの島』名古屋上映初日舞台挨拶レポート

映画『のさりの島』名古屋上映初日舞台挨拶が6月19日、名古屋・名演小劇場で行われ ...

rika2 33
映画では空飛ぶ純愛モンスター。空を飛ぶのは楽しい!?(映画『リカ ~自称28歳の純愛モンスター~』高岡早紀さんインタビュー)

第2回ホラーサスペンス大賞を受賞し、累計65万部を突破した五十嵐貴久氏の人気サイ ...

©2020「名も無い日」製作委員会 34
名古屋を舞台に製作されたある家族の物語(映画『名も無い日』日比遊一監督インタビュー)

愛知県名古屋市発信の映画『名も無い日』。 記者発表から3年。満を持して公開された ...

blueheaven8 35
岐阜は大好きな場所なんです(映画『ブルーヘブンを君に』由紀さおりさんインタビュー)

岐阜を舞台にブルーヘブンという青いバラの交配に成功した女性が自身の新たな夢を見つ ...

hutuu 36
誰にでも普通の生活を送るという権利はある(映画『普通に死ぬ~いのちの自立~)』

昨年あいち国際女性映画祭で上映されたドキュメンタリー『普通に死ぬ~いのちの自立~ ...

hati1 37
映画『ハチとパルマの物語』岐阜 公開記念舞台挨拶レポート

映画『ハチとパルマの物語』上映記念舞台が5月30日岐阜大垣コロナシネマワールドで ...

nosari1 38
優しい嘘はいかが?今だからこそ『のさりの心』を伝えたい(映画『のさりの島』山本起也監督インタビュー)

熊本県島原市にある銀天街は昭和には沢山の人が集まる商店街だった。令和の今、シャッ ...

hati1 39
ロシア発。忠犬パルマと少年の友情と家族の物語(映画『ハチとパルマの物語』)

映画サイトCafe mirageでは地元岐阜で短編映画を上映するイベントMIRA ...

kurenazume1 40
あの夕暮れ時を仲間と見よう(映画『くれなずめ』)

成田凌、高良健吾、若葉竜也、藤原季節、浜野謙太、目次立樹と聞くと、ここ数年の映画 ...

Toff_Guys_Day_24_173.ARW 41
紳士=ジェントルメンの駆け引きが楽しめるガイ・リッチー監督の快作(映画『ジェントルメン』)

『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』、『スナッチ』、『シ ...

beach1 42
どこまでも自由と愛に生きる(映画『ビーチバム まじめに不真面目』)

ここまで自制心なく、欲望のまま正直に生きることが出来たら、清々しい。どこか羨まし ...

blueheaven1 43
映画『ブルーヘブンを君に』完成披露舞台挨拶レポート

映画『ブルーヘブンを君に』の完成披露舞台挨拶が 4月24日岐阜市の岐阜清流文化プ ...

©2020 “A Garden of Camellias” Film Partners 44
美しい映像の中にある家族の物語(映画『椿の庭』)

とても静かだが、心に残る映画に出会った。 美しい映像もさることながら、見終わった ...

ikiro3 45
沖縄戦時中の事実を知る (映画『生きろ 島田叡ー戦中最後の沖縄県知事』)

アジア太平洋戦争末期。すでに日本軍の敗色が濃厚だった1945年1月31日、一人の ...

sukutte1 46
金魚も彼女もすくいたい(映画『すくってごらん』)

映画紹介を耳で聴いてみませんか? stand.fmでCafemirage Rad ...

アーラ映画祭-1024x924 47
アーラ映画祭は3月20日から22日に開催!

アーラ映画祭が岐阜県可児市文化創造センターアーラで開催される。 今回は3月20日 ...

main 48
『his』撮影地でドライブインシアター開催!

かつて恋人同士だった男性2人の8年ぶりの再会から物語がスタートする映画、『his ...

IMG_20210117_204050 49
コケシに捧げる愛の歌?(映画『コケシ・セレナーデ』)

2019 年初の長編自主映画となる『みぽりん』がカナザワ映画祭2019「期待の新 ...

minori1 50
第46回CINEX映画塾『実りゆく』田中要次さん×八木順一朗監督トークショーレポート

第46回CINEX映画塾『実りゆく』上映&トークショーが12月6日岐阜C ...

konosekai_chirashi 51
ポストホロコーストで残された人々を描く(映画『この世界に残されて』)

2020年米アカデミー賞国際長編映画賞ショートリストに選出され、ハンガリー映画批 ...

no image 52
明けましておめでとうございます!

Cafe Mirageの記事をご覧いただいている皆様   あけましてお ...

burai 53
昭和から平成。裏社会を生き抜いた男の物語(映画『無頼』)

さまざまなアウトサイダーたちの姿を一貫して描き続けてきた鬼才・井筒和幸監督の新作 ...

©2020『喜劇愛妻物語』製作委員会 54
第45回CINEX映画塾『喜劇 愛妻物語』足立紳監督・代情明彦プロデューサー トークレポート

第45回CINEX映画塾『喜劇 愛妻物語』上映&トークショーが11月28 ...

title1 55
女ってなんでしょうね。(映画『タイトル、拒絶』)

『タイトル、拒絶』というタイトルがまず気になった。 「ワタシの人生に、タイトルな ...

onkyo1 56
そこは奇跡が起きる場所(映画『音響ハウス Melody-Go-Round』)

ビートルズがアビーロードスタジオを愛し、あの横断歩道を渡る写真のアルバムを始め、 ...

honki4 57
第43回CINEX映画塾 『本気のしるし 劇場版』上映&トークショー レポート

第43回CINEX映画塾『本気のしるし 劇場版』の上映が岐阜CINEXで開催され ...

mrsnoisy1 58
隣人はどんな人?(映画『ミセス・ノイズィ』)

集合住宅に住めば必ずいる隣人。 隣人との良好な関係を保つのも、生活をする上で大切 ...

©2019「ばるぼら」製作委員会 59
映画『ばるぼら』は大人のファンタジー(映画『ばるぼら』手塚眞監督インタビュー)

彼女は魔女かそれともミューズか。 都会の片隅で耽美派の小説家・洋介が出会ったばる ...

royal3 60
ホテルローヤルを映像化。武正晴監督のこだわりとは?(映画『ホテルローヤル 武正晴監督インタビュー』)

ラブホテルとは日常から切り離された場所だ。一種の別世界。ここでの二人の時間は他人 ...

goze1 61
瞽女として生きた一人の女性の物語(映画『瞽女GOZE』)

日本には、盲人ながら三味線や胡弓を弾き唄い、巡業を生業とした女旅芸人がいた。「瞽 ...