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欲望と欲望が交差するカフェ ザ・プレイス(映画『ザ・プレイス 運命の交差点』)

人は誰でも欲望を持つ。今までに叶わなかった欲望も沢山あるだろう。もし、「これをすれば夢が叶うと」聞いたらあなたはその指示に従うだろうか。

前作『おとなの事情』が評価され、イタリアで一気にメジャーになったパオロ・ジェノベーゼ監督が新作として選んだのは自身のオリジナルではなく、アメリカのドラマを原案とした『ザ・プレイス 運命の交差点』だ。

タイトルになっている「ザ・プレイス」とはローマにあるカフェの名前。
ここで朝から晩まで座っている男のもとには様々な相談者が現れる。男に願望を伝え、契約し、課題をこなせば自分達の願いが叶うと聞いてやって来た人々だ。だがその課題は他人の人生を巻き込むものばかりで、願いを叶えたい人たちも実行するべきかどうか逡巡する。

ワン・シチュエーションの動かない舞台、見えてくる人々の動き

カフェ「ザ・プレイス」で椅子に座り欲望を聞き課題を与える男とそれを映し出すカメラは動かない。相談にやってきた人々についてもカフェでの様子以外は一切描かない。『おとなの事情』のパーティーシーンでの会話劇も観ている側からは次第に緊張感が増していくワン・シチュエーションで描かれた展開だったが、本作では最初から最後まで同じ場所から動かない。
「ザ・プレイス」で男と契約者の間で交わされる会話をカメラはじっくり捉える。
朝から晩まで代わる代わるやってくる相談者が自身がしたことを経過報告するというシーンだけでこの作品は成り立っている。彼らは自身の欲望を叶えるために与えられた課題をどうこなすか考え、実行し、また男のもとにやってくる。その姿から観る側はカフェの外で彼らが何をしてきたかイマジネーションをかき立てられるはずだ。相談者の考え方の変化も男への発言から見えてきて、人は良心の呵責を伴う選択を迫られたときどう動くのか、どう考えるのかというと過程を見せられているような気がしてくる。欲望を抑え込む理性がある人間だからこその迷い、そして決断がこの作品には詰まっている。

男から与えられた課題が相談者たちそれぞれの欲望と関わり合うことがわかってくると、「こんな偶然がたくさんあるはずがない」と思いながら次の報告にやって来るのが誰なのかというところも楽しみになってくる。

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カフェから動かない男は何者か?

イマジネーションをかき立てられるもう一つは、話を聞いてノートを探り、課題を伝える男の正体だ。

彼は一体何者なのか。飄々としながら課題を伝え、それに一喜一憂する相談相手の課題の進み具合を何よりも楽しみにしている。

彼はなぜカフェで一日中を過ごしているのか。
契約を交わしたとはいえ特に報酬をもらっている感じもなく、お腹が空けば食事をし、コーヒーを飲む。本当に願いが叶うのか怪しむ人にも自分は代理だと言っているだけで何の代理なのかを言っていない。ひとつの契約が終わった時にメモを焼く姿が妙に寂しそうで孤独感も漂わせる男。
謎の男を演じているのは『おとなの事情』に続いてジェノベーゼ監督の作品に出演しているヴァレリオ・マスタンドレア。彼の目の動きが謎の男の感情を機微に表していく。

ラストシーンの男を観ながらこのノートの中で本当に踊らされているのが誰なのかを考えずにはいられない。謎の男の正体を想像するのも面白いだろう。

監督がローマ中を探し回ってイメージに合うカフェを見つけたというこのカフェは撮影をきっかけに「ザ・プレイス」に名前を改めたそうだ。

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ローマ、カフェ「ザ・プレイス」。ここに行けば謎の男があなたの欲望を聞いてくれるかもしれない。ただし何かを犠牲にする覚悟があるなら。

『ザ・プレイス 運命の交差点』http://theplace-movie.com はヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館で4月5日(金)から公開。
東海地区では4月6日(土)から名演小劇場で公開。

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