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CINEX映画塾 第15回 『米国が最も恐れた男~その名は、カメジロー~』トークショー レポート

CINEX映画塾 第15回
『米国が最も恐れた男~その名は、カメジロー~』
佐古忠彦監督 トークショー

2017年12月9日。岐阜CINEXにて第15回目のCINEX映画塾が開催された。
上映作品は『米国が最も恐れた男~その名は、カメジロー~』。
沖縄日本復帰の上で語られるべき人であるのに
日本であまり知られていない、瀬長亀次郎を通して沖縄の戦後史が
語られるドキュメンタリーだ。

上映後には佐古忠彦監督が登場し、作品について語った。
佐古監督はTBS報道局に在籍している。
『筑紫哲也 NEWS23』のキャスターとして
様々な報道現場に立ち会ってきた。
どのような思いでこの作品を作ったのだろうか。
トークショーの一部をお届けする。

佐古監督
「この映画は8月12日に沖縄で先行公開をいたしまして、
そのあと東京で上映が始まりました。公開から3カ月ほど経っているんですが、
昨日渋谷のユーロスペースでの上映が終了しました。
3か月も上映していただいて、そしてやっとこの岐阜の地にも来ることができました。
私は今、このカメジローと共に全国を旅しております。
一人でも多くの方に見ていただきたくて今日は岐阜にお邪魔しました。
岐阜には各務原には数年前に取材で来たことがありますが
岐阜市自体だと四半世紀ぶりです。四半世紀前のことを思い出しながら
トークショーまでの時間を待っていました。」

Q.ユーロスペースだけで1万人、全国で60カ所以上の上映がされていて
5万人突破されているそうですね。

佐古監督
「こちらの劇場で33カ所目か34カ所目です。
できるだけ行けるところには行っていますが
今日は岐阜と横浜で公開がスタートしていまして、
両方は行けないのでまず岐阜から伺いました。
劇場の方とお客様と直接お話ができるという
テレビの映像を作っている時とは違う経験をさせていただいています。」

Q.亀次郎を取り上げるきっかけは何だったんですか?

佐古監督
「私は3月までテレビに出てニュースを伝えたり、
解説をしたりという立場でした。
中でも一番多く通った場所の一つが沖縄だったんです。
沖縄のニュースを伝える中で沖縄の全体像を伝えられてないんじゃないかという
もどかしい思いがありました。辺野古の映像が出てくると
また沖縄が反対しているという
ある一面的な部分だけを見た批判の声があったり、温度差だとか溝だとか言われたりする。
なぜそういう状態が続いたのかと考えたら
戦後史というものへの認識が抜け落ちているのではないかと思ったんですね。
20年以上沖縄に行っている間にこの亀次郎さんの存在を知って
その生きざまがものすごくまっすぐな人で
沖縄の人々にかなり鮮烈な記憶を残している人ということもあって
いつかずっと向き合いたいと思っていました。
戦後史へアプローチすることにおいてこの人を通して歴史を見ると
見え方が違ってくるんじゃないかと考えました。
目の前でよく取材してきた県民大会、作品で見ていただいた
裁判所の前の集会であるとかこういう光景はどこからくるのかと
たどってみると亀次郎さんの時代に行きついたんです。
過去と今をどう結んでいけるだろうかということを
作品のテーマの中に置いていたんですけれども
亀次郎さんを通すことで問題の核心に近づいて行きました。」

Q.始めはテレビのドキュメンタリーとしてオンエアされたものなんですよね。

佐古監督
「去年の8月にオンエアしました。取材スタートから1年でのオンエアで
そのときは49分だったんです。
ドキュメンタリーというのは夜の深い時間にやっているので
さびしいことになかなか感想が来ないんですね。
でも亀次郎さんをオンエアした時は驚くほどの反響があったんです。
その時にお金を払って見にきてもらえる場に出せばまた広がるんじゃないかと思って
企画書を書いてうちのテレビ局の映画部門に持ち込んだのが映画になるきっかけで。
追加取材をして映画版は107分になりました。」

Q.初監督作品になったわけですね。違いはありますか?

佐古監督
「私はテレビに出る立場ではありましたが一方でものを作るということも
私の仕事の一つでその延長線上に亀次郎があったんです。
ものをつくるとテレビだとディレクター、
映画だと監督と呼ばれてなんだか畏れ多いんですが
作るということの作業においては映画でもテレビでも
ディレクターとしてものを作るということでは変わらないんです。

Q.若い方にも見ていただきたい作品だと感じます。
亀次郎と佐藤首相のやりとりも爽快でした。

佐古監督
「一つ一つが昔話のようで全然そんなことはなくて。
歴史を見れば今が見える。
歴史には今の在り様が全部含まれている。
権力が一人の男を追い落としていくのをどのように行ったかとか。
兵糧攻めは亀次郎を追い落とすための手段に使われましたが
色々な時代でありますよね。
また亀次郎さんと佐藤首相のやり取りを見て
今の国会や政治の姿はどうだろうかということも考えます。
亀次郎さんも総理も民意を抱えていて。
お互いの主張を認めながらも真摯に答えようとしている姿があって
それが新鮮だなあと思いながら編集しました。」

Q.沖縄上映の反響はいかがでしたか?

佐古監督
「亀次郎愛があってそれぞれに色々な思いを持ってお帰りになられるんです。
感想が作る側が想定していることと違うことで反応していただけたりするんです。
歴史とか沖縄の話についてもそうですが、
「会社の中で僕はこんな不屈な生き方は出来ていないので
これから頑張っていこうと思います。」と感想をいただけて。
いろんな感じ方があるんだなあと。
お越しいただいた方々に作品を育てていただいている感じがしましたね。」

知らない人から見た亀次郎

佐古監督
「沖縄でも40代半ばから下の世代になると名前は知っているけれども
亀次郎が何をした人かわからないという人が多くて。
「あ、これがあったから今があるんですね。やっとわかりました。
作ってくれてありがとうございます。」と言われました。
知っている方からは「もう一度亀次郎さんに会えた。ありがとう」と。
本土に来ると「なぜ沖縄の方が声を上げるのかがわかりました。
過去と今が繋がりました。」
と感想が返ってきました。
ニュースは瞬間だけを切り取って伝えているんです。
そうするとなぜそうなったかわからない。
必ず本当は理由があるんです。この作品でそれをわかっていただけた。
それは若い世代も上の世代も共通しています。
それだけ知られていない歴史があるんです。」

Q.亀次郎さんはとても影響力があった方ですね。

佐古監督
「右とか左とかそういう観点から見たらどこかに
位置付けられてしまうのかもしれませんが
そういう観点では決められない言葉を亀次郎さんは言われています。
民族であるとか領土の防衛とか。
民族というのはどういう意味なのかと亀次郎さんの娘さんの千尋さんと
話したときにあれは沖縄民族ではなく日本民族のことを父は話していたんだと。
我々は日本人だ。だから日本に帰る。元いた場所に帰るのに何の不思議がある。
日本人として日本に帰るんだと。
亀次郎さんの行動や発言を見ると右とか左とか越えた存在なんです。
だからこんなに沖縄で今も愛され今も求められているんだと。
よく基地か経済かを選挙の争点として言われることがありますが
その先に求めていることは一緒なんです。目の前のことを求めているか
先のことを求めているかの違いだけなんです。
だから本土的な考え方で沖縄を見てしまうのは間違いじゃないかと思いますね。」

筑紫さんの言葉

佐古監督
「戦争のことは割と伝わっている部分があります。
しかし戦後から今までの間が知られていないんですね。
72年に沖縄が復帰しましたという言葉は教科書にもありますが
その間が書かれていない。
10年間番組でご一緒した筑紫哲也さんの言葉を思い出すんです。
「沖縄に行くと日本が見える。
この国の矛盾が詰まってるんだ。」と。

亀次郎さんの疑問と筑紫さんがぽろっと言ったこととつながるところがあって。
「沖縄も占領されているが、本当に日本はアメリカから独立できているのか。」
と亀次郎さんは言っていまして、筑紫さんは
「独立国家に外国の軍隊がなぜいるのかなあ。」と言ったんです。
主権を回復することが決まったタイミングで安保条約が結ばれて
アメリカの軍隊が駐留することになったんですが
その多くの部分を背負ってきたのが沖縄なんですね。
亀次郎も筑紫さんも感じた一つの矛盾が沖縄にはあります。」

佐古監督
「私たちはどのように歩んできたのかをもう一度考えるべきだと思います。
見落としていたことがあるんじゃないかと。
世界の様々な環境がある中で
まずは私たちのこれからの有り様を、道を考える。
そういうきっかけにこの作品がなればいいなと思っています。」

トークショーでは観客からも様々な質問や意見が飛び交った。
私自身、瀬長亀次郎を知らなかった。
沖縄の歴史を改めて知りたくなった。
歴史は教科書に書かれていることが全てではないのだ。
沖縄に行く機会があれば亀次郎の資料館・不屈館に行きたい。

佐古忠彦監督

佐古忠彦監督

 

『米国が最も恐れた男~その名は、カメジロー~』http://www.kamejiro.ayapro.ne.jp/
は12月23日よりアミューあつぎ映画.comシネマ、12月30日より渋谷アップリンクで公開。
他の場所での公開情報は公式ホームページで確認してほしい。

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