
CINEX映画塾 第14回『こいのわ 婚活クルージング』トークショーレポート
CINEX映画塾 第14回『こいのわ 婚活クルージング』
及川奈央×益田祐美子プロデューサー トークショー
2017年12月2日。岐阜CINEXにて第14回目のCINEX映画塾が開催された。
上映作品は『こいのわ 婚活クルージング』。
本作で製作を担当した益田祐美子プロデューサーは飛騨高山の出身で
岐阜で勤務していた経歴もある。
広島出身の及川さんは本作にテレビのレポーター役での出演。
撮影秘話を二人から語っていただいた
そのトークショーの一部をお届けする。
益田さん
「及川さん岐阜に来るのは初めてですか?」
及川さん
「仕事では来ています。ゆっくり来るのは初めてです。
劇中に出てくる広島の商店街も素敵なんですが
このあたりの商店街もいいですね。
実は私はこの作品を大きなスクリーンで見ることが今までなくて。
どんなお芝居を皆さんにお見せしたのかドキドキしています。
冒頭から風間さんとのやり取りを撮影したんですが、
これが風間さん自身のクランクインの日の最初のシーンでした。」

及川奈央さん
益田さん
「長回しのシーンだったんですが、風間さんが割とセリフを覚えてなくて。(笑)」
及川さん
「私は劇中で標準語なのでよかったんですが、風間さんにとっては
広島弁だから大変だったと思います。
風間さんのおかげでとても楽しく芝居が出来ました。」
益田さん
「通常は映画には原作があるのがほとんどですがこれには原作はありません。
でも風間さんが演じた役には実在のモデルがいます。
パンフレットには名前も出ていますが
この作品のエグゼクティブプロデューサーの福岡さんです。
私のプロデューサーとしての一番大きな役割はお金を集めることです。
お金がなければ映画は撮れません。
福岡さんはお金や資産は持っているけど独身だったんです。
余生を一緒に送る人がいない。
この方には前作も前々作も出資していただいていましたが
お金を返せるか不安だったんです。
『お金が返せなかったとき、何を返したらいいですか?』
と聞いたら『僕のお嫁さんを探してください』と。
ですので何人か女性をご紹介をしたんです。
介護もしていただく人というのも条件になっていまして。
この話を元に今回の話が出来上がりました。」

益田祐美子プロデューサー
益田さん
「ちょうどその時及川さんがこいのわプロジェクトに関わっていたんですよね。」
及川さん
「ちょうどその頃私は広島県の少子対策課の方たちが企画した
婚活プロジェクトの婚活パーティーで司会をしたりしていたんです。
益田さんとは違う作品でご一緒したのがご縁で
お会いしたときに話をしたら『あら、それちょうどいい!』となって。」
益田さん
「エグゼクティブプロデューサーにもお金を出していただいて
製作に意欲的な広島県に企画を提案して実現しました。」
及川さん
「益田さんは本当に人と人とを繋ぐプロなんです。」
こいのわ結婚ラッシュ
益田さん
「実は及川さんはこの作品を撮り終わった後に結婚したんですよね。」
(場内から拍手)
及川さん
「そうなんです。ありがとうございます。
この作品は自分から一歩踏み出すことが大事と気がつかせてくれた作品です。
そんなに出会いの場に行ったことはなかったんですが
たまたまお誘いをいくつかいただける機会があって、
行ってみようかなと思った一歩がなければ今結婚できてないです。
あの一歩が大切なんですね。それを気づかせてくれて
この作品に感謝しています。」
益田さん
「実は私の娘も一週間前に結婚しまして。
親の知らないうちに素敵な旦那様を見つけてきました。
私は飛騨出身なので娘に長女だから次男坊を連れてきて
と常々言っていたんですが本当に次男を見つけてきました。(笑)」
及川さん
「本当にこの作品のご縁なんですね。」
益田さん
「ご縁と言えば主題歌を杏里さんにお願いできたのは本当に偶然で。
誰かいい人いないかなあと思っていたら音楽担当のプロデューサーの佐野君が
杏里さんを紹介してくれて。
実は佐野くんも岐阜市出身で今日来ているので
せっかくだから前に来てください。」
ここで音楽プロデューサー佐野さんが登場。
杏里さんへの主題歌オファーの経緯を語ってくれた。
佐野さん
「お話をいただいた当時ちょうど音楽レーベルで働いていまして。
結構難しいかなと思った企画だったんですが
監督が金子さんという素晴らしい方でしたし、
監督を一度杏里さんのライブにお連れしたんです。
そこで杏里さんにご挨拶して、映画の話をしたら
杏里さんがそろそろ主題歌を担当したいなと思っていた頃だったみたいで
受けてくださいました。
映像を見せて映画を完成するまであと一週間しかないという
状態で杏里さんはライブをこなしながら寝ないで制作してくださって。
出来上がりました。」
益田さん
「映画作りというのはお金があってもできないんです。人脈。
人の結び付きが強くないとできないんです。
あとはタイミング。結婚と同じです。」
及川さん
「本当にご縁とタイミングですね。」
監督は熱狂的な広島ファンで
益田さん
「監督を『DEATH NOTE』の金子修介監督にお願いしようと思ったんです。
巨匠と呼ばれる監督はオリジナルの脚本から作る作品は
なかなか受けていただけないんですけど
実は監督は大の広島カープファンで。受けていただけました。
及川さんもそうですよね。」
及川さん
「はい。広島出身ですから。でも金子監督は広島出身ではないのに
カープファンなんですね。」
益田さん
「監督は広島の優勝シーンが撮れなかったらおりると言ってましたが
実は撮影の中でもその広島の優勝シーンの撮影が一番大変だったんです。
まず肖像権の問題があるからです。観客の顔が映ると撮れません。
ですから役者以外の観客の方の顔が一部分だけみんなぼかされているんですね。
カメラが入ると多額の放映権での費用がかかるんですが
広島ホームテレビさんにご協力いただいて
広島ホームテレビの放映権を利用させていただいて
撮ることが出来ました。
それ以外にも上映するためにいろんな協賛をいただきました。」
及川さん
「私は撮影の間しか動かないので準備やその後を知らないんですが
プロデューサーさんのお仕事はやっぱり大変ですね。」
益田さん
「今は映画を撮るだけならある程度お金があればできますが
公開するとなるといろんな要素が合わさっているので
色々難しいんですよ。」
及川さん
「お蔵入りになってしまう映画もありますしね。」
益田さん
「ですからこのタイミングで岐阜で上映できたというのも
ご縁で本当に嬉しいんです。」
今回この作品を作った理由
益田さん
「今回この映画を作った理由としては
まず一つに今日本の国力が下がっている。結婚しない、子供も作らない。
未来が見えなくて暗い雰囲気のある日本に明るく楽しい作品を作りたかったんです。
少子化対策に役立てばと考えました。
二つ目としては男性は女性の気持ちがわからない。本当の中に嘘があったり、
嘘の中に本当があったり。それを片瀬那奈さん演じるヒロインを
通して知って欲しかったんです。
女性は愛するものが出来ると強くなる。男性は守るものが出来ると強くなる。
これをメッセージとして入れたくて。
金子監督が上手く入れてくださいました。
そして、モデルとなった福岡さんにも「お金じゃなくてこころなんだよ。と」
教えてあげたかったというのがあります。」
続編はインターナショナル?
益田さん
「この映画は11月11日から広島で先行公開をしていたんですが
公開されてから婚活会社から問い合わせがあることが多くて。
『もう一本作ってください。今度はこいのわ 婚活インターナショナルで
やりましょう。』って言われるんですよ。
最近は55歳ぐらいでお金はあるけど結婚できない男性が多いんです。
これは日本の女性の理想が高くてダメになってしまうことが多いそうで。
なので外国の女性と結婚するんです。
風間さんも続編の構想を考えてくださってました。
婚活する女性目線の映画にしようって。」
及川さん
「女性目線だとまた違った話になるかもしれませんね。」
益田さん
「今度は岐阜でロケやりますか?鵜飼船で。」
及川さん
「では私はドラゴンズカラーの服を来てここを歩きましょうか?」
益田さん
「続編はまだわかりませんが次の作品も楽しみにしてください。」
トークショー終了後はロビーにて
及川さん、益田さんが観客との写真撮影にも
気軽に応じていた。

左:益田祐美子プロデューサー 右:及川奈央さん
『こいのわ 婚活クルージング』http://koinowa-movie.jp/は
岐阜CINEXで12月15日まで公開中。
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