オペラで彩られるモーツァルトを描く新たな作品(映画『プラハのモーツァルト』)
2017/12/01
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。
作曲家としてあまりにも有名な彼は35年という短い人生を疾走した。
謎も多い彼の生活をメインに語った作品として私の知識の中にあるのは
ミュージカル『モーツァルト!』そして映画『アマデウス』だ。
そして『アマデウス』以来生誕260年を記念して製作された作品が
今回紹介する『プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード』だ。
あらすじ
『フィガロの結婚』が大ヒットし、プラハに呼ばれたモーツァルトは
急なキャスト変更でケルビーノ役に抜擢されたスザンナに出会う。
スザンナはモーツァルトが妻帯者と知りながらひかれる。
モーツァルトもスザンナに次第に夢中になっていく。
モーツァルトをプラハに呼ぶための資金提供をしたサロカ男爵は
スザンナを手に入れるためにケルビーノ役に抜擢し、
妻に迎えたいとスザンナの父に申し込む。
猟色家として世間で噂されるサロカ男爵の妻にはなりたくない
スザンナはモーツァルトに助けを求める。
モーツァルトと親しくするスザンナの様子を聞くに連れ
思いを募らせていくサロカ男爵はスザンナを強引に連れ去ろうとしていた。

『フィガロの結婚』とは
ボーマルシェが書いた戯曲にモーツァルトが作った曲をつけて
上演したオペラとして有名だが、
話の内容は貴族を批判した内容の作品でもある。
タイトルロールとなっているフィガロは前作『セビリアの理髪師』で
伯爵の恋のキューピッドを買って出た便利屋だった。
しかしその伯爵はこの作品でフィガロと結婚するスザンナを狙い、
廃止された処女権を復活させようとする。
処女権とは結婚する女性の処女をその土地の領主が優先的に奪う権利。
道理に合わない悪習だ。
事実から広がるストーリー
モーツァルトは神童と言われ、小さな頃から社交界で活躍してきた。
人を驚かす曲の裏には様々な自身の経験がある。
この作品は『フィガロの結婚』が大ヒットし、プラハに迎えられた
モーツァルトが『ドン・ジョヴァンニ』をこの地で製作したという
事実から考えられたあくまでもフィクションだ。
本作に登場する美しき新鋭の歌姫スザンナは『フィガロの結婚』で
フィガロと結婚する女性と同じ名前でもある。
サロカ男爵は『ドン・ジョヴァンニ』のモチーフになったドン・ファンを
思い起こすような猟色家で、モーツァルトのインスピレーションを
刺激する人物として描かれる。
モーツァルトがこういった出来事を経験して作り上げられたのではないかと
本当に思えてしまうようなリアルさを感じられる話に仕上がっている。
『フィガロの結婚』や『ドン・ジョヴァンニ』の内容を知らなくても
三角関係をハラハラしながら見ることができるが、
知っていれば作品の中に仕組まれた設定を一層楽しめるだろう。
妻帯者モーツァルトの束の間の恋の物語
妻・コンスタンツェが生まれたばかりの三男を亡くした悲しみで
旅行に出ている間にモーツァルトが訪れた先で生まれた恋の物語。
子供の死の悲しみと妻がいない孤独。
モーツァルトの寂しさを埋めたのがスザンナだった。
自身が妻帯者であることをわかっていながら
スザンナにひかれ、スザンナを求めてしまうモーツァルト。
束の間の恋は美しく、そしてせつなく描かれる。
『アマデウス』の無邪気なモーツァルトとは違う人間らしさも感じさせ、
それでいて類まれなる才能の持ち主である天才としての姿が描かれている。
モーツァルトを演じるのは『ダンケルク』にも出演している
アナイリン・ハーバード。
チェンバロを弾く姿が絵になるモーツァルトだがアナイリンの
モーツァルトとしての魅力は吸い込まれそうな瞳にある。

注目したい歌声は脇役にあり
オペラのシーンがたくさん登場する。
スザンナの歌唱シーンもたくさん登場するが同じくらい登場するのが
モーツァルトをプラハに呼んだとされる
モーツァルトの旧知の友人ヨゼファ・ドゥシェク夫人の歌唱シーンだ。
あまりの親密さからモーツァルトとの不倫説が唱えられたほどの関係
だったというドゥシェク夫人を演じるのは『レ・ミゼラブル』で
エポニーヌに抜擢されたサマンサ・バークス。
エポニーヌの『On My Own』の切なさも素晴らしかったが
今回は『フィガロの結婚』の有名な曲を吹き替えなしで歌い上げる。
舞台で鍛え上げられた強い喉を改めて感じずにはいられない。
チェコオールロケ。チェコはあの時代を感じられる場所
昔の趣が今も残るプラハでの全面ロケを行った。
チェコのプラハはウィーンとともにモーツァルトゆかりの場所としても
知られており、今も残る劇場を使い、あの時代を再現している。
建物とあの時代の人々の衣装、生活が繊細に再現されている。
石畳の上を馬車が走るという風景をワンカットで隠すところなく
撮影できるのはプラハならではだろう。
演奏はプラハ市立フィルハーモニー管弦楽団が担当しており、
作品をしっかりとバックアップする。
映画『プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード』
http://mozart-movie.jp/ は
12月2日よりヒューマントラストシネマ有楽町、
新宿武蔵野館他にて全国公開。
東海地区では12月2日より名古屋 ミッドランドスクエアシネマ、
豊橋 ユナイテッド・シネマ豊橋18、
1月6日より 岐阜 CINEX、静岡 シネ・ギャラリーで公開。
静岡 シネマイーラでも順次公開予定。
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