
『ピア~まちをつなぐもの~』細田善彦さん、松本若菜さん登壇名古屋舞台挨拶レポート
映画『ピア~まちをつなぐもの~』の公開記念舞台挨拶が6月1日名古屋シネマスコーレで行われた。
映画『ピア』は親の代わりに家の医院を継いだ医師が在宅医療にも取り組んでいく姿を描く。
高橋雅人役の細田善彦さん、関連作『ケアニン~あなたでよかった~』から佐藤夏海役で出演している松本若菜さんが登壇。舞台挨拶の様子をお送りする。とにかく観客との距離が近いシネマスコーレ。スクリーン前に座ってのトークで和やかに始まった。
Q.4月26日から全国で順次上映していますが、観た方からの反応は聞こえていますか?
細田さん
「僕自身が在宅医療のことを広めたいと思っていたんですが、「すごく在宅医療のことがわかった」という感想が聞こえてきます。動画サイトで調べていただくとわかるんですが、在宅医療の分かりやすい映像というのがないんです。仕組みを教えてくれたりするものもないし。それが伝わればいいなって思っています。(松本さんの方を向いて)どうですか?」
松本さん
「そう思う。私は今日は『ピア』の前に上映していた『ケアニン』にも佐藤夏海という役で出演しています。前回はケアニンとして利用者さんのお世話をするという役割だったんですが、今回はケアマネジャーとして利用者さんと医療従事者の橋渡しをする職種になっていたので前回とは違うお仕事だったんです。前回はケアニンの方からの感想が多かったんですが、今回はケアマネさんからの感想もいただいていまして「ケアマネで夏海さんみたいにあんなにズバズバ言う人いません」と言われたりもしたんですが(笑)、「初心を思い出させてもらいました」という言葉もいただきまして、しっかりと役に向き合ってよかったなと思いました」
細田さん
「今日『ケアニン』と『ピア』両方観てくださった方はどれぐらいいらっしゃいますか?」
(観客から手が挙がる)
松本さん
「あ、いらっしゃいますね!」
細田さん
『ケアニン』はどれぐらい前だったんですか?」
松本さん
「3年くらい前かな?」
細田さん
「『ピア』は去年。そして現在。どの若菜さんが素敵ですかね?(笑)」
松本さん
「そうですね、ちょっとずつ刻んでますね(笑)」
Q.お二人は初共演だったんですよね。作品中では二人がはじめは最悪の雰囲気で、順番に、関係を作って行きます。現場では撮影以外ではどんなお話をされていたんですか?
細田さん
「台本についてや作品の話をするというよりはプライベートの話をさせていただきましたね」

細田善彦さん
松本さん
「「何飼ってるの?」「柴犬だよ」「何飼ってるの?」「猫だよ」みたいな」
細田さん
「僕が今ひとつだけ聞きたいのは『ケアニン』と『ピア』の両方でヒロインやられてるじゃないですか。戸塚君と細田君とどっちがやりやすかったのかなって。それだけははっきり聞いておこうかなと思って(笑)」
(場内大爆笑)
Q.『ケアニン』を観てない方に説明すると、『ピア』の中で夏海が前の仕事先の後輩と説明していたのが戸塚純貴さんで『ケアニン』の主人公なんです。
細田さん
「そうなんです、『ピア』にも出てますからね。急に『ケアニン』感を出してくるあのシーンはこの二人のアドリブなのか何なのかすごくて。僕と綾部監督は「ポカーン」って感じでしたから。戸塚さんが出られたら松本さん急に生き生きしたというか(笑)」
松本さん
「今後の仕事に影響するようなこと聞かないでください(笑)。前回とはまた違った立場だったんですよ。前回は先輩と後輩で、今回は仕事で上下とかは作りたくないんだけど一応お医者さんは上という形がある中でそういうのが嫌いという役なので、あのーーー(笑)。純貴くんはね、弟みたいなの。他の作品でも一緒にやってて。細田さんはいとこ」
細田さん
「遠のきましたね!(笑)」
松本さん
「細田さんは久しぶりに会っても「よお!」って言える関係だけど、純貴君は「大丈夫?」みたいな。しっかりしている方なんだけど。…で許してください(笑)」

松本若菜さん
ここからは観客からの質問に答えるQAコーナーに。
Q.松本さんは『ケアニン』だと利用者さんを見つめる感じで、今回だとすごく表情がコロコロ変わっていますね。作品によって100パーセントだったり50パーセントだったりしますが、今回はどれくらいですか?
松本さん
「作品で何パーセントというのはないかもしれないですね。何パーセントというよりは今回は喜怒哀楽が激しかったですね。『ケアニン』とはまた違って、雅人先生に自分の昔を初めて言うとか色んな感情が出たりしたので、何日かすごく疲れました。本当に一日エネルギーを使う役だったなあと」
細田さん
「着眼点は僕も一緒で、今朝お会いした時に「今日の若菜さんは何パーセントですか?」って聞きました(笑)」
松本さん
「雅人先生は何パーセントだった?」
細田さん
「常に150ですよ(笑)」
Q.自転車に対して車が邪魔だった時に「邪魔くせ!」というセリフがありましたが、あれはアドリブですか?」
松本さん
「アドリブですね(笑)」
細田さん
「本編を観て僕もびっくりしたんですけど、僕に対してムッとしたりとかヒドい顔をしていて。あれ?こんなに怒られていたんだと(笑)」
Q.綾部監督はそのアドリブについては特に何も言われずOK出されたんですか?
松本さん
「綾部監督は『ケアニン』の助監督で、今回は監督として演出してくださったんです。綾部監督も夏海という役を任せてくださったところはありました。お互い結構アドリブやっていましたよね?」
細田さん
「一つもないです(笑)」
(場内大爆笑)
Q.細田さんの次の活動とかは何がありますか?
細田さん
「いいんですか?僕の告知タイムにして(笑)。実は今、名古屋では『ピア』の他に違う劇場で『武蔵-むさし-』という時代劇映画も上映しています。武蔵を演じておりまして、佐々木小次郎役が松平健さんです。今までの武蔵は、武蔵と小次郎がライバル関係だったりする作品が多いんですが、今回は年の離れた武蔵と小次郎として描かれています。ぜひ皆様、そちらもよろしくお願いいたします」
Q.妻が介護福祉士なので『ケアニン』と『ピア』両方観ました。実際現場もお二人は観られたと思います。どんなことを観る方に伝えたいと思われましたか?
松本さん
「人と人とのつながりというのを一番に思っていて。地域の中での交流、形ですよね。私は『ピア』のお話をいただくまで正直ケアマネという職種を知らなくて、一から勉強するところから始めたんですが、人生の最期をどういう風に迎えるかっていろんな選択肢がある中で私もきっとそうだろうと思うんですけど、やっぱり在宅での最期が一番だろうと思っていて。地域とのつながりも、家族とのつながりもそうですし、結局みんながつながって仲間となる部分を撮っている作品だと思いますので、そういう意味でも皆さんに何か琴線に触れるものがあればうれしいです」
細田さん
「在宅医療における家族の負担ってものすごくあると思うんですけど、それを解消する上でもコミュニケーションを密にとっていくことで最期の選択で思った通りの選択ができるのではないかと思って。本人としては在宅で過ごしたいんだけど、家族に迷惑をかけるからと言って病院や他の場所を選択するということがあるようなので家族間のコミュニケーションというのは一番大事になって来るんじゃないかなと。そういう重大なことを言える環境を作るというのが大事なのではないかと思いました」
Q.最後にシネマスコーレに来てくださった皆様に一言お願いいたします。
松本さん
「この劇場に来られて良かったです。この映画は見方によって内容の感じ方が違ってくると思います。SNS等で今日のことを発信してくださると嬉しいんですけど、ぜひ人と人とのつながり、一番大切なつながりのコミュニケーションの一つ、会話としてこの作品を広めてくださったらとても嬉しいです。今日は本当にありがとうございました」
細田さん
「今日はありがとうございました。これから在宅医療の問題ってたくさん出てくると思うんですが、それを描き続きたいという思いが僕らにはあるのでぜひこの映画が広がると続編なんかもできるのではないかと思います」
松本さん
「ちなみに『ケアニン』は続編の製作が決まりました!」
(場内大拍手)
細田さん
「色々なことを映画で発信していきたいと思っておりますので、皆さんにこの映画を広めていただけたらと思います。今日はご覧いただきありがとうございました」
映画『ピア~まちをつなぐもの~』 http://www.peer-movie.com/ は現在名古屋シネマスコーレで上映中。(14日まで)
6月7日までは『ケアニン~あなたでよかった~』と連続上映中。
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