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寺島しのぶ×廣木隆一監督再び。瀬戸内寂聴の半生をモデルにした作品が映画化(映画『あちらにいる鬼』)

瀬戸内寂聴。作家でもあり、たくさんの人たちに僧侶として講話をしてきた彼女は2021年、99歳でこの世から去った。彼女が恋愛に生き、情熱を作品に昇華させる半生を送っていたことを知っている人は少なくない。彼女に出家を決意させたのは、同業者で妻子ある井上光晴との7年にも及ぶ道ならぬ恋。その渦中にいた井上夫妻の長女で直木賞作家の井上荒野が、彼らをモデルに綴った小説「あちらにいる鬼」が映画化、11月11日より公開される。

あらすじ

1966年、講演旅行をきっかけに出会った長内みはると白木篤郎は、 それぞれに妻子やパートナーがありながら男女の仲となる。
第二子が誕生するという時にもみはるの元へ通う篤郎だが、 自宅では幼い娘を可愛がり、妻・笙子の手料理を絶賛する。
奔放で嘘つきな篤郎にのめり込むみはる、全てを承知しながらも心乱すことのない笙子。
緊張をはらむ共犯とも連帯ともいうべき3人の関係性が生まれる中、 みはるが突然、篤郎に告げた。
「わたし、出家しようと思うの」。

道ならぬ恋に生きた先にあるもの

みはると篤郎は惹かれ合い、男女の仲となった。篤郎の話すことには嘘も多かったが、作品に書き出される熱い思いからみはるは篤郎に惹かれた。妻帯者であることを知りながら、みはるは篤郎との関係を続け、度々篤郎が新しく作る愛人に焼きもちを焼きながら、自身の名作を生み出していく。篤郎は世間で起こる事件を見ながら自身の思いを作品にぶつけていく。同じ作家として、同志としての感情、そして男女としてお互いを愛する感情を抱きながら続いた7年の恋愛だが、みはるは自身の女としての未来と篤郎との日々に決着をつけなければいけない思いから出家を決意する。篤郎の妻・笙子は自身の文才を篤郎の陰に隠し、篤郎が自分以外の女性を抱くことについて、特に恨みを言うこともなく、篤郎が行きにくい時は愛人の元に自分が出掛けていく。愛人達からはどうかしていると思われるほど慎ましく篤郎と生きていくと決めた彼女も、篤郎の妻という立場を超えたところにいる人だ。

お互いの存在を知りながら、別れないみはると別れさせようとしない笙子。同じ男を愛す者同士としての感情を感じずにはいられない。こういう生き方しか出来ない篤郎と出会ってしまった運命。みはるの生き方を罪な生き方という人もいるが、笙子も罪な生き方をしていると感じる。

メガホンを取ったのは廣木隆一監督。脚本は廣木監督とは名コンビの荒井晴彦。
廣木隆一監督のもとに集まった役者陣の名演が光る。
道ならぬ恋に走り、出家を決断するみはるには寺島しのぶ、笙子という妻がいながらみはると関係を持つ作家・篤郎に豊川悦司。二人はドラマ「太宰治物語」、映画『やわらかい生活』、『愛の流刑地』、『アーヤと魔女』に続いての共演となる。寺島しのぶは今回剃髪シーンも自身で演じ、寂聴の生き方を体現した。そして広末涼子が篤郎の妻・笙子を演じる。

寺島しのぶの熱演が動の熱演なら、広末涼子の演技は静の熱演だ。その間にいる豊川悦司は飄々とした中に男の悲哀を感じさせる。

寺島しのぶ、豊川悦司、広末涼子。この3人が作る三角関係をあなたはどう感じるのだろうか。

一人の男の向こうにいる女という鬼。道ならぬ恋に走った鬼、道ならぬ恋を許した鬼。言葉では言い切れない思いが寺島しのぶと広末涼子の芝居に詰まっている。

『あちらにいる鬼』
https://happinet-phantom.com/achira-oni/
は11月11日(金)よりシネスイッチ銀座、新宿ピカデリー他で全国公開。東海三県では 109シネマズ(名古屋、明和)、ミッドランドスクエアシネマ、イオンシネマ(名古屋茶屋、豊田KiTARA、各務原、津南)、コロナシネマワールド(中川、安城、小牧、豊川、大垣)、ユナイテッド・シネマ(豊橋18、岡崎、稲沢、阿久比)、ミッドランドシネマ名古屋空港で11月11日より公開。

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