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自身の信念のもとに冤罪を暴く(映画『オフィサー・アンド・スパイ』)

捏造、冤罪。あってはならないのだが、どの時代にも起こる出来事だ。

フランスで起こった冤罪事件。ドレフュス事件。
事件の名を聞いたことはあっても、一体どんな冤罪だったのかまでは詳しく知らない。

冤罪事件がまた一つ映画で描かれ、詳細が明かされていく。

あらすじ

1894年、フランス。ドレフュス大尉が、ドイツに軍事機密を漏えいした容疑で終身刑を言い渡される。
対敵情報活動を率いるピカール中佐は、ドレフュスの無実を示す衝撃的な証拠を発見。彼の無実を晴らすため動き出すが、スキャンダルを恐れ、証拠の捏造、文書の改竄などあらゆる手で隠蔽をもくろむ上層部によって左遷されてしまう。それでもピカール中佐は国家権力に抗いながら、真実と正義を追い求めていく。

第二次世界大戦を見た監督が描く軍人達の隠蔽

監督・脚本は『戦場のピアニスト』のロマン・ポランスキー。『ゴーストライター』(2010)でタッグを組んだロバート・ハリスとのタッグが再び組まれ、ハリスの書いた原作を二人で脚本に仕上げ製作した。

「ドレフュス事件」は日本ではあまり知られていないだけで、フランスでは歴史的冤罪事件である。ポランスキー監督は告発したエミール・ゾラではなく、事件が起こった軍隊で一人軍に背き、正しさ、真実を求め、ドレフュスの冤罪を晴らそうとしたピカール中佐を中心に描いた。巨大権力と闘った男の不屈の信念と壮絶な逆転劇は、ベネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞。フランスでは、第45回セザール賞で3部門を受賞し、No.1大ヒットを記録した。作品は2019年に撮影されているが、その当時でポランスキー監督は86歳(!)。第二次世界大戦を知る監督だからこそのリアリティ、そして現代への警鐘を感じる作品だ。

当時と変わらぬ風景が残るフランスならではの再現度の高さで、衣装やキャスティングにもこだわりを見せている。ピカール中佐はジャン・デュジャルダンが演じているが、本当によく似ていて驚く。

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ドレフュス事件という冤罪事件をただ描いているわけではないのがこの映画。新聞社が大きく取り上げたことで民衆をも巻き込んだ騒動が広がっていく。ドレフュスはユダヤ系フランス人で、その当時強くなり始めていたユダヤ人への迫害も描かれる。偽装工作と偽証を繰り返し、隠蔽を行っている反面、それを知らない、信じない民衆からは強い支持を受ける軍。

観れば観るほど、今の世界情勢に重なってくるものがある。

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正しさとは何か。真実はなぜ隠されなければならないのか。
軍の規律、厳しい上下関係。軍の上層部指令には従わなければ生きてはいけないが、従うために犯した罪を償うのは、誰でもない、自分自身である。
権力と自身の信念の間でどう動くかによって変わる人生をピカール中佐、ドレフュス大尉、周りの軍人達からみることが出来る。

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ラストシーンのピカール中佐とドレフュス2人の会話にピカール中佐がなぜドレフュスの無実を晴らそうとしたのかの本当の意味がわかる。

自身の信じる正しさを求め続けた男・ピカール中佐。
様々な困難の先にピカール中佐が得たものは何だったのだろうか。

映画『オフィサー・アンド・スパイ』 https://longride.jp/officer-spy/ は6/3(金)よりTOHOシネマズシャンテ他で 全国順次公開。

東海3県では伏見ミリオン座、ユナイテッド・シネマ豊橋18、ミッドランドシネマ名古屋空港、TOHOシネマズモレラ岐阜で6/3(金)より、伊勢進富座で7/23(土)より公開

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