
『トモシビ 銚子電鉄6.4kmの軌跡』上映&松風理咲さん舞台挨拶トークイベントレポート
全長6.4kmしかない千葉県の銚子電気鉄道(銚子電鉄)。
幾度の経営難を地元の様々な人々の援助によって救われてきた
この鉄道会社は企画するイベントも面白く話題になっている。
そんな銚子電鉄が舞台になった作品が
『トモシビ 銚子電鉄6.4kmの軌跡』(http://tomoshibi-choshi.jp/)だ。
銚子電鉄と高校生の駅伝対決の物語だが
その周りのサイドストーリーも楽しめる。
主人公と母親のやりとり。
町に人探しにやって来た女性と鉄道オタクの配達員のやりとり。
そして毎日駅にやってくる元駅長と駅員たちのやりとり。
絶妙にこれが主軸の駅伝対決に絡んでくる。
井上順さん、升毅さん、菅原大吉さん、前野朋哉さん、
芹澤興人さんとバイプレイヤーがとてもいい味を出してくれている。
銚子電鉄推しだけなのかと思ったらそれだけじゃない。
海が近くて釣りもできるし、お魚もおいしい
という銚子という土地の魅力が非常に自然に織り込まれていて
鉄分多めの私には銚子電鉄を見に行くために旅行してもいいかなと
思えてしまう作品だった。
わずか6.4キロの中に趣ある風景が沢山ある。
そして一つとして同じような駅に見えない駅の個性がたまらない。
(普通、同じ鉄道だと同じデザインに見える駅舎が多いが
いろんな事情で違う建物になっている。だからいいというか。)
このトモシビのヒロインはどうして銚子電鉄と駅伝の企画を立てたのか。
そのあたりは触れられていないが
最後の方でなんとなくわかった気がした。
親子で受け継がれるもの。
そんなところも描かれている作品だ。
本作のヒロインを演じた松風理咲さんは岐阜県出身。
デビューしてまだ数年。
これからの活躍を感じさせる透明感、印象に残る目力、
そしてよく通る声が魅力的な女優だ。
地元岐阜でこれからどんどん応援してほしい。
そんな思いから岐阜新聞映画部が『トモシビ』上映と舞台挨拶トークイベントを企画した。
松風さんは今まで短いインタビュー取材は受けたことがあっても
40分のトークイベントは初めてだという。
地元岐阜への凱旋ということもあり、CINEXには高校生、小学生もたくさん集まった。
いつもよりも客層が一気に若返った感じがした。
CINEX映画塾ということでCINEXの総支配人磯谷さんがトークイベントのお相手。
磯谷さんはぎふチャンラジオでラジオパーソナリティーも担当しているお話上手。
撮影についてや松風さんのデビューのきっかけなど
色々聞いたトークイベントの一部をお届けする。
久々の帰郷
磯谷さん
「岐阜はいつぶりですか。」
松風さん
「去年の1月か2月以来の岐阜です。」
磯谷さん
「岐阜の友達とは連絡を取ったりしますか?今日も来られているかな。」
松風さん
「今日も沢山来てくれています。作品を見たあとに連絡をくれたりします。」
等身大の役を演じる
磯谷さん
「この作品の撮影はいつ頃ですか?銚子電鉄は知っていましたか?」
松風さん
「去年の9月ごろです。銚子電鉄は知りませんでした。撮影では通常の運行ではない時間に
臨時で列車を走らせてもらって時間に限りがある中で撮影しました。」
磯谷さん
「駅伝のシーンは結構走っているんですか?」
松風さん
「すべてではありませんが走っています。往復で走ったところもありました。」
磯谷さん
「走るのは好きですか?」
松風さん
「長距離で走るのは好きですね。」
磯谷さん
「以前中学生の時に小学生を演じていたこともありましたよね?
(『グッドパートナー・無敵の弁護士』)
今回は高校生役ということ同世代ですがでどうでしたか?
主人公と似ている所とかありましたか?」
松風さん
「今回は高校生で自分と同じ感じで。主人公とは性格が似ているところもあります。
つい、わーって言っちゃう所とか、お母さんに素直じゃないところは似ています(笑)。」
共演者との交流
磯谷さん
「お母さん役が富田靖子さんですね。今度ロイヤル劇場で富田靖子さんが今の松風さんと
同じくらいの年の頃に演じた『さびしんぼう』という作品を上映するので
映画で出てこられてその偶然に驚きだったんですが、撮影の合間にお話ししたんですか?」
松風さん
「共演者の方々とは控室が同じでいろんな話をしました。富田さんは演技のことを教えてくださいましたし、
私と同じぐらいの年から役者をやっているという話もしました。」
磯谷さん
「撮影は泊まり込みでしているんですか。」
松風さん
「はい。この時は近くのホテルに泊まって撮影しました。」
磯谷さん
「学校と仕事の両立は出来ているんですか?」
松風さん
「この作品の時は集中して撮影していたので学校をお休みしましたが
それ以外は放課後や週末にお仕事を入れていただけるので高校にはちゃんと通っています。」

今回のオリジナルチケット
岐阜でスカウトされる
磯谷さん
「デビューに至るきっかけをおしえてください。」
松風さん
「学校から帰る途中に声をかけられました。」
磯谷さん
「知らない人に声をかけられてもついていかないって言われませんでした?
逃げなかったんですね。」
松風さん
「学校では言われていましたが、逃げませんでした(笑)。
はじめはやる気はなかったんですけど
事務所の先輩の現場を見させていただいて。
こんなに撮影って時間がかかるんだとか知らないことばかりで。
いろんな人で作り上げていくものが
たくさんの人に見られるということに魅力を感じて
大変だとも思ったんですけどやってみたいって思いました。」
磯谷さん
「スカウトされたって原宿とかじゃないんですよ。岐阜ですからね。
なかなかないし、ご両親も反対されたでしょう?」
松風さん
「最初は反対しました。でもやりたいって言ったら許してくれました。」
女優にならなかったら
磯谷さん
「昔から芝居には興味があったんですか?」
松風さん
「いえ、なかったです。本を読むのが好きで台本を借りて読むのも楽しくて
やったことはなかったですけど、やれるかなと。」
磯谷さん
「本はどんなジャンルが好きなんですか?」
松風さん
「ミステリーが好きです。東野圭吾さんやアガサ・クリスティを読んでいます。
お姉ちゃんが好きで家に本が沢山あったというのもあります。」
磯谷さん
「もしこの仕事についてなかったら何になろうとしていたんですか?」
松風さん
「学校の先生になりたかったんです。」
後から聞いたところ、社会科の先生になりたかったのだそう。
憧れの女優はあの人
磯谷さん
「憧れの女優さんはいますか?」
松風さん
「黒木華さんです。すごく演技がお上手なので。」
磯谷さん
「お会いしたことはあるんですか?」
松風さん
「いえ、まだないんです。」
磯谷さん
「会えるといいですね。お芝居の上達のためにレッスンもあるんですか?」
松風さん
「はい。あります。台本を読む練習や発声練習をしています。」
磯谷さん
「岐阜弁が出たりはしませんか?」
松風さん
「上京したての時は出ましたが、最近はないです。」
磯谷さん
「帰ったときには岐阜弁が出るんでしょうね。」
松風さん
「あんまり自覚がないです。(笑)」
来てくれた皆様へ
磯谷さん
「では最後に来てくださったみなさんに一言お願いします。」
松風さん
「『トモシビ』は去年撮った作品で、後から自分で見たときに
こうすればよかったなと思うところもありましたが
初めての主演で共演者の方々と一緒に作り上げた作品です。
こんなにたくさんの方に見ていただけて本当に嬉しいです。
今後も精一杯頑張っていきます。
またこんな機会があると嬉しいです。
本日は本当にありがとうございました。」

上映終了後の1枚 松風理咲さん
16歳の魅力。そしてまだまだこれから大人へと成長して変化していく
松風さんもとても楽しみだと思った。
これからも応援していきたい。
おすすめの記事はこれ!
-
1
-
映画『親のお金は誰のもの 法定相続人』三重先行上映舞台挨拶レポート
映画『親のお金は誰のもの 法定相続人』の三重先行上映、舞台挨拶が9月22日三重県 ...
-
2
-
映画『私はどこから来たのか、何者なのか、どこへ行くのか、そしてあなたは…』名古屋凱旋上映決定!
映画『私はどこから来たのか、何者なのか、どこへ行くのか、そしてあなたは…』が ...
-
3
-
ロイヤル劇場存続をかけてクラウドファンディング開始! 【ロイヤル劇場】思いやるプロジェクト~ロイヤル、オモイヤル~
岐阜市・柳ケ瀬商店街にあるロイヤル劇場は35ミリフィルム専門映画館として常設上映 ...
-
4
-
第76回 CINEX映画塾 映画『波紋』 筒井真理子さんトークレポート
第76回CINEX映画塾『波紋』が7月22日に岐阜CINEXで開催された。上映後 ...
-
5
-
岐阜CINEX 第17回アートサロン『わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏』トークレポート
岐阜CINEX 第17回アートサロン『わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクシ ...
-
6
-
女性監督4人が撮る女性をとりまく今『人形たち~Dear Dolls』×短編『Bird Woman』シアターカフェで上映
名古屋清水口のシアターカフェで9月23日(土)~29日(金)に長編オムニバス映画 ...
-
7
-
映画『私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター』公開記念 アルノー・デプレシャン監督舞台挨拶付き上映 伏見ミリオン座で開催決定!
世界の映画ファンを熱狂させる名匠アルノー・デプレシャンが新作『私の大嫌いな弟へ ...
-
8
-
自分の生きる道を探して(映画『バカ塗りの娘』)
「バカ塗りの娘」というタイトルはインパクトがある。気になってバカ塗りの意味を調べ ...
-
9
-
「シントウカイシネマ聖地化計画」始動!第一弾「BISHU〜世界でいちばん優しい服〜」(仮)愛知県⼀宮市にて撮影決定‼
株式会社フォワードがプロデュースし、東海地方を舞台にした全国公開映画を毎年1本ず ...
-
10
-
エリザベート40歳。これからどう生きる?(映画『エリザベート1878』)
クレオパトラ、楊貴妃と並んで世界の三大美女として名高いエリザベート皇妃。 彼女の ...
-
11
-
ポップな映像と音楽の中に見る現代の人の心の闇(映画『#ミトヤマネ』)
ネット社会ならではの職業「インフルエンサー」を生業にする女性を主人公に、ネット社 ...
-
12
-
豆腐店を営む父娘にやってきた新たな出会い(映画『高野豆腐店の春』)
尾道で小さな豆腐店を営む父と娘を描いた映画『高野(たかの)豆腐店の春』が8月18 ...
-
13
-
映画『フィリピンパブ嬢の社会学』11/10(金)より名古屋先行公開が決定!海外展開に向けたクラウドファンディングもスタート!
映画『フィリピンパブ嬢の社会学』が 11月10日(金)より、ミッドランドスクエア ...
-
14
-
『Yokosuka1953』名演小劇場上映会イベントレポート
ドキュメンタリー映画『Yokosuka1953』の上映会が7月29日(土)、30 ...
-
15
-
海外から届いたメッセージ。66年前の日本をたどる『Yokosuka1953』名古屋上映会開催!
同じ苗字だからといって親戚だとは限らないのは世界中どこでも一緒だ。 「木川洋子を ...
-
16
-
彼女を外に連れ出したい。そう思いました(映画『658km、陽子の旅』 熊切和嘉監督インタビュー)
42才、東京で一人暮らし。青森県出身の陽子はいとこから24年も関係を断絶していた ...
-
17
-
第75回CINEX映画塾 『エゴイスト』松永大司監督が登場。7月29日からリバイバル上映決定!
第75回CINEX映画塾 映画『エゴイスト』が開催された。ゲストには松永大司監督 ...
-
18
-
映画を撮りたい。夢を追う二人を通して伝えたいのは(映画『愛のこむらがえり』髙橋正弥監督、吉橋航也さんインタビュー)
7月15日ミッドランドスクエアシネマにて映画『愛のこむらがえり』の公開記念舞台挨 ...
-
19
-
あいち国際女性映画祭2023 開催決定!今年は37作品上映
あいち国際女性映画祭2023の記者発表が7月12日ウィルあいちで行われ、映画祭の ...
-
20
-
映画『愛のこむらがえり』名古屋舞台挨拶レポート 磯山さやかさん、吉橋航也さん、髙橋正弥監督登壇!
7月15日ミッドランドスクエアシネマにて映画『愛のこむらがえり』の公開記念舞台挨 ...
-
21
-
彼女たちを知ってほしい。その思いを脚本に込めて(映画『遠いところ』名古屋舞台挨拶レポート)
映画『遠いところ』の公開記念舞台挨拶が7月8日伏見ミリオン座で開催された。 あら ...
-
22
-
観てくれたっていいじゃない! 第10回MKE映画祭レポート
第10回MKE映画祭が7月8日岐阜県図書館多目的ホールで開催された。 今回は13 ...
-
23
-
京都はファンタジーが受け入れられる場所(映画『1秒先の彼』山下敦弘監督インタビュー)
台湾発の大ヒット映画『1秒先の彼女』が日本の京都でリメイク。しかも男女の設定が反 ...
-
24
-
映画『老ナルキソス』シネマテーク舞台挨拶レポート
映画『老ナルキソス』の公開記念舞台挨拶が名古屋今池のシネマテークで行われた。 あ ...
-
25
-
「ジキル&ハイド」。観た後しばらく世界から抜けられない虜になるミュージカル
ミュージカルソングという世界を知り、大好きになった「ジキル&ハイド」とい ...
-
26
-
『オールド・ボーイ』のチェ・ミンシク久しぶりの映画はワケあり数学者役(映画『不思議の国の数学者』)
映画館でポスターを観て気になった2本の韓国映画。『不思議の国の数学者』と『高速道 ...
-
27
-
全編IMAX®️認証デジタルカメラで撮影。再現率98% あの火災の裏側(映画『ノートルダム 炎の大聖堂』)
2019年4月15日、ノートルダム大聖堂で、大規模火災が発生した。世界を駆け巡っ ...
-
28
-
松岡ひとみのシネマコレクション 映画『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』 阪元裕吾監督トークレポート
松岡ひとみのシネマコレクション 映画『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』が4月1 ...
-
29
-
映画『サイド バイ サイド』坂口健太郎さん、伊藤ちひろ監督登壇 舞台挨拶付先行上映レポート
映画『サイド バイ サイド』舞台挨拶付先行上映が4月1日名古屋ミッドランドスクエ ...
-
30
-
第72回CINEX映画塾 映画『雑魚どもよ、大志を抱け!』足立紳監督トークレポート
第72回CINEX映画塾が3月25日岐阜CINEXで開催された。上映作品は岐阜県 ...
-
31
-
片桐はいりさん来場。センチュリーシネマでもぎり(映画『「もぎりさん」「もぎりさんsession2」上映+もぎり&アフタートークイベント』)
センチュリーシネマ22周年記念企画 『「もぎりさん」「もぎりさんsession2 ...
-
32
-
カンヌ国際映画祭75周年記念大賞を受賞したダルデンヌ兄弟 新作インタビュー(映画(『トリとロキタ』)
パルムドール大賞と主演女優賞をW受賞した『ロゼッタ』以降、全作品がカンヌのコンペ ...
-
33
-
アカデミー賞、オスカーは誰に?(松岡ひとみのシネマコレクション『フェイブルマンズ』 ゲストトーク 伊藤さとりさん))
松岡ひとみのシネマコレクション vol.35 『フェイブルマンズ』が3月12日ミ ...
-
34
-
親子とは。近いからこそ難しい(映画『The Son/息子)』
ヒュー・ジャックマンの新作は3月17日から日本公開される『The Son/息子』 ...
-
35
-
先の見えない日々を生きる中で寂しさ、孤独を感じる人々。やすらぎはどこにあるのか(映画『茶飲友達』外山文治監督インタビュー)
東京で公開された途端、3週間の間に上映館が42館にまで広がっている映画『茶飲友達 ...
-
36
-
映画『茶飲友達』名古屋 名演小劇場 公開記念舞台挨拶レポート
映画『茶飲友達』公開記念舞台挨拶が2月25日、名演小劇場で開催された。 外山文治 ...
-
37
-
第71回 CINEX映画塾 映画『銀平町シネマブルース』小出恵介さん、宇野祥平さんトークレポート
第71回CINEX映画塾『銀平町シネマブルース』が2月17日、岐阜CINEXで開 ...
-
38
-
名古屋シアターカフェ 映画『極道系Vチューバー達磨』舞台挨拶レポート
映画『極道系Vチューバー達磨』が名古屋清水口のシアターカフェで公開中だ。 映画『 ...
-
39
-
パク・チャヌク監督の新作は今までとは一味も二味も違う大人の恋慕を描く(映画『別れる決心』)
2月17日から公開の映画『別れる決心』はパク・チャヌク監督の新作だ。今までのイメ ...