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映画『ナナメのろうか』シネマスコーレ舞台挨拶レポート

映画『ナナメのろうか』の公開記念舞台挨拶が名古屋シネマスコーレで開催された。

深田隆之監督、主演で愛知県出身の吉見茉莉奈さんが登壇した。

『ナナメのろうか』は施設に入った祖母の家を片づける姉妹の物語。それぞれの今を生きる二人が昔を思い出しながら、今の状況が原因でけんかし、家の中にいるのにお互いを見つけられず彷徨ってしまう。

シネマスコーレでの上映は深田監督の『one morning』『わたし/あいだ/わたし』『ナナメのろうか』の短編3作品が連続上映された。

家族の存在というのはとても大きい。生きていく中で、人生のこの先の選択にも影響する。

今回上映された3作品はそれぞれ独立した3作品だが、続けて観たことで、さらに最後に観る『ナナメのろうか』について、いろいろ考えることが出来る気がした。

実家ではない、親戚の家に対する小さい頃の思い出は人それぞれあり、その思い出を蘇らせる。

映画は観た人のものという言葉を思い出しながら、深田監督が私たちに見せようとする家族への強い思いを感じることが出来た作品だった。

舞台挨拶レポート

坪井さん
「まず監督から、どのようにしてこの『ナナメのろうか』は出来上がったんでしょうか?」

深田監督
「映画が終わってすぐに舞台挨拶でいろんなことを説明するよりも、本当は皆さんの心の中で育てていただくような映画だとは思いつつ、ちょっといろいろ言葉を尽くしていこうかなと思います。この映画の発端として、僕の実際の祖母の家で撮っています。『ナナメのろうか』の前の『one morning』『わたし/あいだ/わたし』という短編があったんですけど、『わたし/あいだ/わたし』もお気づきだとは思いますが、同じ家で撮られています。『ナナメのろうか』については、映画の中でもおばあちゃんが施設に入っているという設定ですけれども、実際の僕の祖母も施設に入っていて、存命なんですけれども、家は空き家になっているという状況があって。僕が結構何回も行っていた家なんです。その家の風景を何とかして残したいということを思っていて、この家で何か撮れないだろうかということを考えていて、『わたし/あいだ/わたし』からプロセスが進んだ感じです」

深田隆之監督

深田隆之監督

坪井さん
「『ナナメのろうか』を監督が考えた時には2人の姉妹が出てくるということは決まっていたんですか?」

深田監督
「先に決まっていたのは、家の中で会えなくなるということですね。後半の大きなすごく不思議な構造ではあるんですけど、後半に家の中にいるにもかかわらず、まず本当はあり得ないですが、ある種映画のマジックによって、2人は会えなくなってしまうということが大枠として、やりたいこととしてあって、同時ぐらいだったかな、姉妹が出てくる。吉見さん演じるいっちゃんのバックボーンとかは後から決まったんですが、姉妹というのは割と最初からありました」

坪井さん
「吉見さんはご出演されていかがでしたか?」

吉見さん
「この映画はすごく変わった作り方をしておりまして、大体映画はあまり撮影前に会わないんですよ。最初にリハーサル1日とか、それぐらいで現場に入って、撮影がスタートすることが多いんですが、この映画に関しては、1週間稽古期間を設けておりまして。その稽古期間というのも、いわゆる台本を何度もやって正解を目指すみたいなやり方ではなくて、監督と、共演した笠島智さんと3人でいろいろ実験をしながら3人の時間を積み重ねて行って、その途中で家の中で過ごす時間に移行して行って、一緒に積み重ねていくということをやってきました。そういうやり方を映画の中でしたという経験は初めてだったので、なんかもう全く最終的にどうなるか、正直わからないまま、3人で道に迷いつつ、回り道をしつつ。でも出来上がった完成作を観てみたら本当にこの稽古期間と撮影も7日間あって、結構しっかりと時間をかけたんですが、その時間が必要な映画だったんだということに初めて気がついて。すごくいい経験でした」

坪井さん
「監督は2人の役者さんと、そういうやり方で『ナナメのろうか』を作るということは決めていたんですか?」

深田監督
「そうですね、それを前提にオファーをしていたと思います」

吉見さん
「そもそも監督は、私が映像に出ている姿を見てオファーしてくれたのではなく、実はその当時は演劇作品に出ることが多かったんですけれども、その舞台を見てくれてオファーしてくださったんです。その時に出ていた舞台が似たような作業をしていた舞台があったんです。必要性ということについては全くわからないわけではないんですが、それを映像でやる時にどうなるのかはわからなかったので、面白くやれました。この映画は後半部分は驚かれますが、脚本を読んだ時も、ずっと会話があった中で、後半は急に会話がなくなって、お姉ちゃんを呼んでいるセリフしかないんです。急になんか絵が浮かばなくなって、これは撮っていても、出来上がったものをつなげて観てみないとわからないものだったので面白かったです」

坪井さん
「監督の頭の中では撮影する時にはある種の出来上がりの画というのがどうなるのかというのはわかっていたんですよね?」

深田監督
「成立していると思われたかどうかはわからないですけど、僕の中では、少なくとも映画にはなるだろうと」

坪井さん
「監督には悪いですけど、今、どの辺りを撮っているのかわからないという感覚は吉見さんにはなかったですか?」

吉見さん
「後半の夜のシーンというのはそれまで笠島さんとずっと一緒に撮影をしてきたのに、夜のシーンだけどっちかが居残りで、どっちかは先に帰るという状態で1人ずつ撮影したんです。そこに関してはいい意味で不安さはありました。笠島さんが撮影している夜のシーンを私は見ていないので、何をしているか知らない。だから、郁美は割と怖がっていて、お姉ちゃんは元気そうに夜を模索しているみたいな違いとかを全然知らなかったんですよ」

吉見茉莉奈さん

吉見茉莉奈さん

深田監督
「お互いに驚いてましたね」

坪井さん
「監督は結構楽しかったんじゃないですか。監督だけはわかってるじゃないですか、2人の芝居を編集する、バラバラの作品を1本にする。それはどうだったんですか」

深田監督
「基本監督の頭の中に、絵があって、流れがあって、それを起こしていくという作業は確かにあると思うんですけど、やっぱり今回違ったのは、吉見さんも言ってましたけど、3人でかなり時間を積み重ねている、そこの共有があるのかないのかというところで、吉見さんも笠島さんも、わけわかんなくてとりあえず監督の言う通りにしている時間だったかもしれないですけど、どっちかというと、割と自然にそこにいればいいというスタンスで、お2人はいてくれたんじゃないかと思います。これがあるのとないのとで、僕の中では結構違うものになったと思います」

吉見さん
「本当にそれは監督がおっしゃる通り、どうなるかわからないというのはありましたけど、撮影の時間がいっぱいあったので、追加で撮れるシーンがあって。台本にはなかったけど、現場で増やしたというシーンもありました。追加で撮ったものの中から何がチョイスされるかわからないという状況ではあったんですけど、無限にシーンを作れそうなぐらい出来上がって、笠島さんと監督の信頼も出来上がっていたので、あとはどれをチョイスするかは監督に委ねるだけで」

坪井さん
「監督が編集したものを1観客として観た時のご感想は?」

吉見さん
「出来上がって試写で見たらラストシーンとかも変わっていたりとかしたので、びっくりしました」

深田監督
「最後をバッサリ落とした部分があって。結果的にバッサリ落としてよかったです。最終的にはそれこそ60分以上の作品にしようと思ったんですよ。いわゆる長編にしようと思っていたんですけど、60分以上にしたときに、冗長な感じがあるんじゃないかと観た方に言われまして。思い切って切ったんです」

坪井さん
「不思議な映画だと思われましたか?それともみんながいろんな答えを持って帰れるような映画だと思われましたか?」

吉見さん
「そこに関しては、不思議な映画だなと思いますけど、作品を観てもらって、上映を重ねて、いろんな方から感想を聞いていくうちに、この映画は観てくださった方が観た後に自分の昔のことを思い出してくれているんだなと。過去の親戚の家が怖かったと感想に書いてくださったりして。皆さんがいろいろ思い出して、書いて下さることで、どんどんこの映画が膨らんでいっているような感じがして、いい意味で想定外。こういう膨らみ方をしていくんだ、この作品はという感触を受けました」

深田監督
「時々、家を片付けている最中ですという感想もありました」

坪井さん
「監督は観客の方に観ていただいて、自分が思った通りに伝わった部分、違う捉え方になった部分はありますか?」

深田監督
「いつも怖いなと思うんですけど、映画は大体最初に想定したときから、思い通りに仕上がることはほぼない。それは多分良くないことではないと思っています。脚本に全部書いてある。でも脚本通りに繋げると大体面白くないです。撮影の中でちゃんと撮れたもの。吉見さん、笠島さんそして、スタッフたちと共闘してやったものを見ていって、やっとこの映画の輪郭というか、姿がそこから見えてきたりとか立ち上がってきたりするので、その意味では、想定外というのはあるかもしれないですね」

坪井さん
「『わたし/あいだ/わたし』が『ナナメのろうか』になったならその先が観てみたいですよね?」

吉見さん
「次に監督がどんなものを作るのかは私もすごく気になるところです」

坪井さん
「シネマスコーレでは深田監督の作品を年に1回上映しておりますので、来年またお待ちしています。吉見さんはまた来週」

吉見さん
「主演作を2週連続でかけていただけることになりました。『啄む嘴』という作品です。舞台挨拶も土曜日に監督とさせていただきます。よろしくお願いいたします」

映画『ナナメのろうか』https://www.itchan-and-satchan.com/ は名古屋シネマスコーレ、神戸元町映画館にて6月2日まで、京都出町座にて6月1日まで、横浜シネマ・ジャック&ベティでは6月10日から上映。

吉見茉莉奈さんが主演の『啄む嘴』https://watanabe1994.hungry.jp/ は6月3日から名古屋シネマスコーレで上映。3日には舞台挨拶が予定されている。

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パク・チャヌク監督の新作は今までとは一味も二味も違う大人の恋慕を描く(映画『別れる決心』)

2月17日から公開の映画『別れる決心』はパク・チャヌク監督の新作だ。今までのイメ ...