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映画の街・岐阜が動き出す 映画『逆光』とのコラボで柳ケ瀬が70年代一色になる?! 映画『逆光』試写会 トークレポート
4月4日、岐阜ロイヤル劇場にて映画『逆光』の試写会と須藤蓮監督の舞台挨拶が行われた。その様子をお届けする。(取材:TERAMAKI)
『逆光』あらすじ
1970年代、真夏の尾道。22歳の晃は大学の先輩である吉岡を連れて帰郷する。 晃は好意を抱く吉岡のために実家を提供し、夏休みを共に過ごそうと提案をする。先輩を退屈させないために晃は女の子を誘って遊びに出かけることを思いつく。幼馴染の文江に誰か暇な女子を見つけてくれと依頼して、少し変わった性格のみーこが加わり、4人でつるむようになる。 やがて吉岡は、みーこへの眼差しを熱くしていき、晃を悩ませるようになるが……
須藤蓮監督トークレポート
今回の試写会は昭和の香りが残る柳ケ瀬商店街にある映画館で映画を上映したいと考えた須藤監督がまずお披露目として企画した。
柳ケ瀬商店街 林理事長
「皆さんこんばんは。柳ケ瀬商店街の理事長をやっております林と申します。まずこの映画「逆光」の試写会に柳ケ瀬商店街を選んでいただき誠にありがとうございます。本当に感謝しております。柳ケ瀬というのは本当に昔から映画の街でありまして、映画コンテンツ、その70年代の匂い、雰囲気がまだ息づいている街と言えます。今年の夏にまた映画の上映と絡めた夏祭りの企画もあるということで、この柳ケ瀬のアーカイブともいえる、古い魅力をまた新しい感性、若い人の視点で掘り出していただけるのではないかと今すごく期待しています。映画商店街、映画「逆光」の事を皆さんかわいがってあげてください。よろしくお願いします」
須藤蓮監督
「初めまして、映画「逆光」の監督をしております須藤蓮です。今日はこれだけ多くの方に自分の初監督作品をこのロイヤル劇場という歴史のある劇場で観ていただけること、すごく嬉しく思っています。この映画は自主制作の映画で、昨年のコロナ渦に自分たちのお金ですべて制作し、配給活動もすべて自分たちの手でやっております。それは何でかというと、映画を通じてより多くの人とコミュニケーションを取ったり、いろいろな文化に触れるきっかけを作ったりだとか、映画を場として捉えたいからです。映画館がコロナ渦を避けるのは難しいという話はたびたび聞いていたので、自分にできることはないかと思い企画を立ち上げ、ここまで走り続けました。そんな中、岐阜の映画宣伝部の関谷さんから「何か岐阜でやれることはないですか?」ということをご提案していただき、いろいろな方を繋いでいただきました。1ヶ月くらい前に初めて柳ケ瀬に来させていただいて、70年代という自分の映画のテーマにしていたことが、柳ケ瀬に残っていて、この映画を通じて僕の映画を見たいと思ってくれる人であったり、柳ケ瀬でしかできない映画の届け方というものが出来るのではないかということを確信しています。僕はこの活動を通じて映画というものがコロナ渦の中、新しい意味を持てるものになるんじゃないかという事を期待していますし、この夏、柳ケ瀬で開催するイベントで伝えたい事が伝えられるのではないかと思っていますので、どうか柳ケ瀬の皆様のお力をお借りできたらと思っています。まずは映画を拝見していただけたらと思いますので、今日はどうぞよろしくお願いします」
映画を作るきっかけ
須藤監督
「自分が映画を撮るきっかけになったのが、もともと僕は普通に大学に進学して弁護士を目指してめちゃくちゃ勉強をしていた人間なので、芸術とか表現とかに関わってきたわけでは全くなかったんですが、ただ勉強していい成績を取って、お金持ちになってという考え方にちょっと行き詰まり始めた頃に俳優を目指しました。何か他に数値化できないものを始めるというか。当時の自分が抱えていた閉塞感みたいなものを変えたくて表現に携わるようになりました。俳優で参加した『ワンダーウォール』という作品が今回の脚本の渡辺あやさんとご一緒するきっかけになったのですが、経済至上主義であったりとか、お金とか数字とかでは測れない価値や温かみ、幸せというものがあるんだということをこの作品を通じて得ることができました。そういったことを自分と同世代の方に伝えていけるような人になりたいと考え始めた矢先にコロナ渦になってしまって。もうやれることはないのかなみたいになった時期に、先行きが見えない世の中になったからこそ、自分が勇気を出して一歩踏み出すことで与えられる希望が少しでもあったらなと思いました。お金もなかったんですけど、一生懸命給付金をかき集めたりとかしながら、映画を1本撮って配給している活動の中で、手触りの温かみであったりとか、今はなくなりつつある交流の場みたいなものを立ち上げられないかということで一つ一つ丁寧に聞いてまわり、「そこでしかできないことを立ち上げる」を僕の活動のモットーにしています。そういった映画の届け方、作り方と、作品の中身が切り離せない内容が今見ていただいた作品なんですけれども、この映画を通じて柳ケ瀬という場所に初めて来させていただいた時に、柳ケ瀬という場所の空気をお借りしてここでしか立ち上げられない場を今回夏祭りとして出来そうです」

須藤蓮監督
岐阜新聞映画部後藤さん
「岐阜新聞東京支社の後藤と申します。CINEXさんで岐阜新聞映画部、CINEX映画塾を立ち上げて、もう7年目になります。おかげさまで本当にいろいろな映画の方にゲストに来ていただいて、岐阜で映画人と交流することによって、岐阜の映画文化と日本の深さを映画人の方にもどんどん理解していただいているという企画です。『ドライブ・マイ・カー』という映画でアカデミー賞の国際長編映画賞を受賞された濱口竜介監督にも4年前に映画塾に来ていただきました。インタビューをしたときに「実は私は小学校5年から中学1年まで岐阜に住んでいて、その時に見た映画館が岐阜高島屋の目の前にある映画館だったんですよ」とお話しされていまして。今回アカデミー賞を受賞されたことによって「濱口竜介の原点は柳ケ瀬」という記事がたくさん出ています。そういうきっかけも含めて、柳ケ瀬の映画文化というものがもう一度見直されるのではないかと思いました。この『逆光』を私は吉祥寺にあるアップリンクという映画館で上映されていた際に観に行きました。本当に偶然なんですけれども、須藤監督はトークショーをやっておられまして、そのときに「柳ケ瀬の商店街を僕は一緒に盛り上げたいと思っています」という話を岐阜の人がほとんどいないはずの、東京のお客さんの前で堂々と宣言をしていて、この男は真剣だ、本気だと思いました。こういった最高にムードの素晴らしい映画を持って、この柳ケ瀬に真剣に勝負しに来てくれるということを私たちも真剣に受け止めて、ぜひ若い人たち、そして映画館にまだ足を運んでいない人たち、柳ケ瀬商店街をまだ知らない人たちに向けていろいろなきっかけ作りができたら、素晴らしいなと思っておりますので、皆さんぜひ一緒に盛り上げましょう。よろしくお願いします」
柳ケ瀬で夏にやりたいこと
須藤監督
「僕がイメージしていることは「逆光」という作品が描いている70年代の空気感で、70年代というフィルターを通じて柳ケ瀬商店街のお力をお借りして、若い人が交流できる場を立ち上げることができたら、柳ケ瀬商店街をすごく好きになってくれる若い人たちが増えるんじゃないかと思っています。
2日間柳ケ瀬商店街さんが開催する夏祭りの場をお借りして、古着が並んでいたりとか、当時のレコードが聞ける空間や今回映画の中でも描かれているゴーゴーダンスという、ダンス自体は60年代なんですけど、ゴーゴーパーティーという名前でミラーボールが回って当時の音楽が聴けるイベントを開催したりとか、そういうことをすることで、映画を体験として立ち上がるということをやりたいなと思ってます。色々とやりたいことを抱えて、熱い気持ちを持って今日ここに来ました。活動にはまだ全然力不足ですので、少しでも協力していただけたら本当に嬉しいです。今日は皆様どうもありがとうございました。これから7月23、24日に向けて一生懸命頑張っていきますので、皆様お力を借していただけたらと思います」
映画『逆光』は真夏の広島県、京都府での先行上映を経て、東京公開終了。そして全国へ!
京都出町座 (公開中)、大阪シネ・ヌーヴォ(4月16日〜)、宇都宮ヒカリ座(4月22日〜)、kino cinéma 天神(5月末)公開。
岐阜は今夏に公開予定。
詳細は逆光公式ホームページ(https://gyakkofilm.com/)を参照
出演:須藤蓮 中崎敏 富山えり子 木越明/SO-RI 三村和敬 河本清順 松寺千恵美 吉田寮有志
企画:渡辺あや 須藤蓮
監督:須藤蓮
脚本:渡辺あや
音楽:大友良英
プロデューサー:上野遼平
エグゼクティブプロデューサー:小川真司
制作・配給:FOL
制作協力:Ride Pictures
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