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映画『隣人 X -疑惑の彼女-』滋賀ロケ撮影現場レポート
2023/10/25
2022年10月から滋賀県で熊澤尚人監督が新作撮影をしているという情報を聞いていたのだが……な、なんと取材兼エキストラとして現場に行く機会を得た。Cafe mirageライターの現場潜入レポートをお送りする。

滋賀県長浜市。岐阜県との県境に近い某所。
実際の民家をお借りして撮影する今日のシーンは主要人物の自宅前でのやりとり。
あることで、マスコミに騒がれ、家にまで報道陣が押し寄せる。
エキストラは家の入り口で開かれる記者会見の取材に来た記者の役、季節は寒い冬のシーンということで、コートを着て控えの場所から移動。
その場所には朝のシーンから参加している記者役のキャスト、エキストラがすでに30人ほど。各自小道具で腕に報道陣とわかる腕章をつけていたり、カメラを持っていたり、テレビ局の音声マイクを持っている人がいたり。
そこに午後から人が追加された。
助監督からの午後から入るエキストラへの説明としては朝のシーンからさらに騒ぎが大きくなっている設定とのこと。
まず最初は記者会見が始まる前、報道陣が待っていたところに始まると声がかかり、走り出すシーン。家の後方には新聞記者の笹役の林遣都さんと内田役の川瀬陽太さんもいたシーンもあったのだが、家の玄関前に配置されたので、どんな芝居をされていたのかはわからず。
(その辺りは映画本編で確認することにした)

「紀彦さんがこのセリフを話したら反応してください!」
と助監督から説明が入る。
記者の役の方にはセリフがあるが、エキストラには台本もないし、その場で助監督から聞いて自分でそれぞれ反応を考えて動く。ただ、目立ちすぎるのもいけない。このあたりの匙加減が難しい。
思いのほか前の方に入れていただき、午前中から参加していたエキストラの皆さんの反応に合わせながら一緒に動いていく。
そこに現れたのは上野樹里さん演じる柏木良子の父親・紀彦役の酒向芳さん。リハーサルから目前で酒向さんの熱演を見ることになった。報道陣の後ろから高さと距離を変えて撮影、そして報道陣の中にカメラを入れて酒向さんの演技をじっくり撮影し、記者の前に来て距離と高さを変えて記者とエキストラの芝居を撮る。

この間、何度も何度も酒向さんは同じシーンを繰り返しているのだが、記者役の方のセリフの言い方に対して、毎回しっかり反応して絶妙に芝居を変えているところを見て、さすがだなと思った。こんな目の前で見ていいのか?と思う嬉しさと、記者役として、紀彦を責めていくジャーナリストとしての役の気持ちが混ざりつつ撮影が進む。

そのうち勢いあまって記者が紀彦を倒す動作についても細かく熊澤監督から演出が入る。熊澤監督の頭の中には完璧な絵が出来上がっているのだと思う。マスコミが紀彦を囲むシーンではエキストラが持つカメラや音声マイクの位置まで毎回細かくチェックが入った。だからこそリアルな記者会見のシーンが生まれるのだ。
カメラマンチームは移動しながら撮影しているのだが、とにかくセッティングが早い。監督の要求するカットを的確に撮っていく。音声チームも邪魔な音が入らないように細かくチェックしていた。
それぞれの部署の中でスタッフもこだわりを持ちながら仕事をする。まさしく職人技を沢山見ることが出来た現場だった。

記者会見のシーンの撮影は夕方近くまでかかった。おそらく5分ほどのシーンである。だが、かなり重要なシーンであることは間違いない。エキストラはここで撮影終了だったが、熊澤組の撮影は日没後も家の中のシーンへ。昼のシーンを撮るため、窓の外から照明を照らして撮影されていた。
休憩の合間に熊澤尚人監督から話を聞くことが出来た。
熊沢尚人監督現場インタビュー
Q.滋賀で撮ろうと決めた理由は何ですか?
熊澤監督
「ロケハンして決めました。元々彦根がいいよと教えてくれたプロデューサーたちがいて。やりやすいよと。地方がいいなと僕は思っていたんですが、「彦根がすごくいいよ」という話を聞いたので。僕は初めてだったんですが、来てみたらなるほどと思いました」
Q.実際滋賀での撮影はいかがですか?
熊澤監督
「協力体制がすごく大きいです。彦根市長も出演されていますけれども、映画に協力しますと言っていただけて。近江鉄道駅での終電のシーンでは、電気を全部消して欲しいとお願いしたのですが、実現してくださいました。行政や地元のみなさんの協力や理解がすごくあって。バスも貸していただいたり。なかなか都会では難しいですね。結構融通を利かせてくださいます」
Q.何シーンか撮り終えて感覚的に手応えはありますか?
熊澤監督
「主演の上野樹里さん、林遣都さんのお芝居がそれぞれとてもいいんです。まだ共演シーンは始まったばかりで、昨日初めてやっと温かいシーンを撮ったんですが、それまでは苦しいシーンばかり、ひたすら葛藤しているシーンばっかり撮っていて。昨日はちょっと2人が孤立するようなシーンを雨の中で撮ったんですけど、凄くいいシーンになったなと思っていますから。2人の共演シーンは楽しいですね。いいものが出来上がる手応えは感じています。さすがにこの2人ですから」
映画『隣人X-疑惑の彼女-』https://happinet-phantom.com/rinjinX/ は12月1日(金)より新宿ピカデリー他で全国公開。
東海地区ではミッドランドスクエアシネマ、センチュリーシネマ、ミッドランドシネマ名古屋空港、イオンンシネマ(名古屋茶屋、各務原)、ユナイテッド・シネマ(豊橋18、岡崎、稲沢、阿久比)、コロナシネマワールド(安城、小牧、大垣)で12月1日(金)より公開。
出演:上野樹里 林 遣都
監督・脚本・編集:熊澤尚人
原作:パリュスあや子「隣人X」(講談社) 音楽:成田 旬
配給:ハピネットファントム・スタジオ
制作プロダクション:AMGエンタテインメント 制作協力:アミューズメントメディア総合学院
©2023 映画「隣人X 疑惑の彼女」製作委員会 ©パリュスあや子/講談社
2023年/日本/120分/カラー/シネスコ/5.1ch
取材:涼夏(Cafe Mirage ライター)
映画サイトCafe Mirageで舞台挨拶レポート、作品にレビューを行いながら、岐阜で短編映画上映、ライブパフォーマンスを行う「MIRAGE THEATRE」を展開中。依頼があれば司会進行、出演、映画スタッフもこなす。公開待機作 映画『INTERFACEーペルソナー』(11月25日 シネマスコーレ公開)
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