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映画『Good Luck』先行上映記念 足立紳監督&足立晃子プロデューサー 舞台挨拶レポート
11月24日「NAGOYA CINEMA Week 2025」の一環として、センチュリーシネマにて映画『Good Luck』の先行上映会が開催された。足立紳監督、足立晃子プロデューサーが登壇した舞台挨拶の模様をレポートする。
足立紳監督(以下、足立監督)
「今日は観に来ていただいてありがとうございます。この映画は、別府にあるブルーバード劇場という劇場で、数年前から立ち上がっていた「別府短編映画プロジェクト」からスタートしたものです。別府の温泉の立ち寄り湯のように、気軽にサクッと見られる短編映画を作ろうという企画で、もう7、8本製作されていたのですが、僕にも短編映画を作らないかというお声がかかったんです。そこから色々な紆余曲折があって、こういう長編映画になりました」

足立紳監督
足立晃子プロデューサー(以下、足立P)
「実は、その企画の直前までNHKの朝ドラ『ブギウギ』をやっていたので、「次はどんな大作をやるのかな?」と思っていたら、まさかのインディペンデント映画をやりたいと言い始めたので、生活面で「困ったな」と思ったんですが、蓋を開けたらすごい楽しそうに撮っていたので、結果は良かったなと」
足立監督
「晃子プロデューサーは反対するんですが、僕はブルーバード劇場がすごく好きで、ぜひあの映画館でかかる短編映画を作ってみたいなと思って、やらせていただいたんです。結果的に長編にはなってしまいましたが(笑)」
オーディションという出会い
足立P
「この映画のキャスティングはどのように進められたのでしょうか」
足立監督
「メインキャストの佐野弘樹さんと天野はなさんのお二人は、オーディションで選ばせていただきました。商業映画だと主役をオーディションで決めるのは難しいのですが、今回は色々な俳優さんと出会いたいという思いがあったので、オーディションという形でやらせていただきました」

©︎2025「Good Luck」製作委員会(別府短編プロジェクト・TAMAKAN・theROOM)
足立P
「そして、加藤紗希さんと、二役で出てきた男の子の篠田諒さんもオーディションで選ばれています」
足立監督
「加藤さんは佐野さん演じる主人公と一緒に同棲している女性役です。篠田さんは、ブルーバード劇場でばったり出会う映画監督役と、ラストで天野さんが泳いでいるのを見ている男性の二役を演じています。この4人が最後まで残り、誰がどの役をやるかでこちらが迷うほど、魅力的な方々でした」
退屈を描くことの魅力
足立P
「そもそも、私が監督から聞いた企画は、「独り旅をするストーリーを考えたい」「思ったよりいいことが起きない、『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』のようなことは起こらない」というものを描きたいという内容でしたよね。それが天野さん演じる未希という女性と出会って、結果的に二人旅のような映画になりました」

足立晃子プロデューサー
足立監督
「そうですね。当初は短編30分から40分程度だったので、僕が経験した一人旅の退屈さみたいなことを描いてみようと思っていました。売れない映画監督が地方の小さな映画祭に呼ばれ、褒めてもらえると思ったら酷評され、一人でふらふらするという構想だったんです。天野はなさんが演じた未希という役も、当初はすれ違う程度の小さな役だったのですが、彼女がとても魅力的で、オーディションの頃から魅力を感じていました。まだ台本もできていない頃の無駄話をしているリハーサルでも、映画に出ているような力が炸裂していたので、役がどんどん膨らんでいったんです。出番が多くなっていきました」
足立P
「太郎が夜の街をウロウロ徘徊するシーンが、私は長すぎるんじゃないかと編集段階で話したのですが、監督は残しましたよね?」
足立監督
「あえて残しています。ああいうことが一人旅の退屈な時間なんです。スタッフからは「退屈な時間を描くことは退屈な映画にしかならないんじゃないか」と言われましたけど、僕はあの退屈な時間を見ることはあまりないと思うので、いいかなと思ったんです」

©︎2025「Good Luck」製作委員会(別府短編プロジェクト・TAMAKAN・theROOM)
撮影地「豊後大野」とシリーズ化への野望
足立P
「この映画の舞台は、別府短編映画プロジェクトから始まったはずなのに、豊後大野で撮影されたのはなぜでしょうか?」
足立監督
「元々は別府で撮る予定で構想もできていたんですが、急に「今回は隣の市の豊後大野で撮ってください」ということになって。豊後大野に連れて行ってもらったら、大分県内で唯一温泉のない市だということで、サウナを推しにしている市でした。豊後大野というところは、いくつか観光地があるのに、強く推していないのが非常にいいなと感じました。観光地としての押しが弱い、そもそも意欲がほぼないくらいの匂いがあって、ここで映画を撮ったら、ゆらゆらとした、たゆたうような映画ができるんじゃないかと感じました。作っている最中に、自主映画の監督が、地方の小さな映画祭に呼ばれてフラフラするというのを寅さんみたいなシリーズ化にできないかなと感じたんです。毎回ヒロインじゃなくてもいいので、いろんなタイプの人と出会って、その地方で何かあって東京に戻る、というようなものができないかなと」

©︎2025「Good Luck」製作委員会(別府短編プロジェクト・TAMAKAN・theROOM)
足立P
「インディペンデントで、1週間以内の撮影とかであれば、各地に行ってロードムービーを撮りたいですね」
足立監督
「そうですね、この映画の撮影も1週間でしたが、割と無理なくリラックスした状態でできたので、こういう感じの映画を年に1本くらい作れたらいいなと思っています」
足立P
「NAGOYA CINEMA Weekのたくさんの作品の中からこの映画をよく見つけてくださいました。今日来てくださった皆様、本当にありがとうございます」
足立監督
「今日は来ていただいて本当にありがとうございます。なかなか人に知られる機会のない映画なので、もしよかったら少しでも多くの方に伝えていただければ、本当にありがたいです」

映画『Good Luck』https://mapinc.jp/film/good-luck/ は12月13日(土)からシアター・イメージフォーラム他で順次公開。
12月27日(土)より名古屋シネマスコーレで公開。
映画『Good Luck』
30歳間際の⾃称・映画監督の太郎。⼤分県で⾏われる映画祭に⼊選を果たし意気揚々と現地に向かうも、作品を厳しく批判されてしまい意気消沈。映画祭のパーティーをすっぽかしてフラフラと隣町の豊後⼤野へ向かうと、そこで太郎の映画を観ていた未希という不思議な⼥性と出会い、⼀泊⼆⽇だけの⼩さな旅をすることに。正体不明ではあるが、明け透けな性格の未希に映画づくりに⾃信を持てない⾃分をさらけだし、ほのかな恋⼼も抱き始める太郎だったが…ふたりがたどり着く、旅の結末は...?
監督・脚本︓⾜⽴紳
出演:
佐野弘樹 天野はな
加藤紗希 篠⽥諒 剛⼒彩芽 板⾕由夏
企画、プロデュース:釘宮道広 森⽥真帆
プロデューサー:坂井正徳 ⾜⽴晃⼦
撮影:俵謙太 照明:福⽥裕佐
録⾳:⾅井勝 助監督:草場尚也 制作担当:太⽥勝⼀郎
編集:平野⼀樹 制作プロダクション:theROOM
協⼒:豊後⼤野市 別府市
配給iMAP 配給協⼒:ミカタ・エンタテインメント
2024 年|⽇本|104 分
©2025「Good Luck」製作委員会(別府短編プロジェクト・TAMAKAN・theROOM)
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