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映画『僕の中に咲く花火』清水友翔監督、安部伊織さん、葵うたのさんインタビュー
Japan Film Festival Los Angeles2022にて20歳で監督した短編作品でBest J. Horror賞を受賞し、最年少でハリウッドの映画賞を受賞した日本人映画監督として、国内外で注目を集める現在25歳の清水友翔監督が、豊かな自然に囲まれた故郷・岐阜を舞台に、自身の記憶と経験を重ねて脚本を書き上げた映画『僕の中に咲く花火』が現在岐阜・愛知で先行公開中。8月30日(土)からは全国公開される。
清水友翔監督、思春期の青年・大倉稔を演じた安部伊織さん、帰郷した年上の女性・朱里を演じた葵うたのさんにオーディションや撮影について伺った。
『僕の中に咲く花火』映画レビューはこちら
『僕の中に咲く花火』舞台挨拶レポートはこちら
Q. 清水監督は短編映画の実績を積まれた後、なぜ初の長編映画を地元岐阜で撮影しようと思われたのですか
清水友翔監督(以後 清水監督)
「僕はロサンゼルスに3年半ほど住んでいましたが、コロナ禍でロックダウンが解除されたことを機に、2年半ぶりに日本に帰国して岐阜に戻ったんです。その時に改めて見た故郷の風景が、とてもノスタルジックに感じられて、「ここが自分が帰る場所だ」と強く思いました。ちょうどその時、今回の脚本を書いていたので、このタイミングで地元を舞台に映画を撮りたいと思ったのがきっかけです」
Q.岐阜はとても広いですが、ロケ地を探す上でのこだわりはありましたか
清水監督
「脚本に登場する小学校と高校のシーンは、自分の母校で撮影したいという強い思いがありました。演出上の理由というより、せっかく地元で映画を撮るなら、それが「恩返し」になるのではと感じたからです。その他に飛騨高山や大垣、神戸町など、岐阜県内は場所によって景色が全く違うのが面白くて、色々な場所で撮影しました」
Q.脚本が完成してからのキャスティングは、どのように進められたのでしょうか
清水監督
「キャスティング会社を通じてオーディションを行いました。主人公の稔、ヒロインの朱里、妹の鈴、そして幼馴染の4役は、それぞれ40人から70人ほどの方に来ていただきました」
Q.安部さん、葵さんに稔役、朱里役をお願いする決め手になったのはどんな点でしょうか
清水監督
「オーディションでの第一印象がとても重要でした。安部さん、葵さん、そして妹役の角心菜さんは、短い時間での演技でしたが、終わった後もずっと記憶に残っていました。特に安部さんは、オーディション会場のドアの開け方や目線など、演技が始まる前の雰囲気からすでに「稔っぽい」と感じました」
安部伊織さん(以後 安部さん)
「オーディションは1人5分ほどで、台本は1、2ページ分でした。妹・鈴とのやり取りのシーンでした」
葵うたのさん(以後 葵さん)
「私は稔とのやりとりで、相手役は、安部さんではなく、別の役者さんでした」
清水監督
「そうなんです。最終選考では、安部さんには鈴役の方と、葵さんには稔役の方とペアで演技してもらいました」
Q.撮影は2023年の夏だったんですね
清水監督
「はい。ちょうど2023年の今ぐらいの時期に2週間ぐらいで撮影しました」
Q.お二人は岐阜は初めてでしたか?
葵さん
「私はその時が初めてでした」
安部さん
「僕は撮影前にプライベートでふらっと監督の故郷の神戸町にお邪魔して、役場の方に色々案内していただきました」
Q.役作りにその旅は生かされましたか
安部さん
「そうですね。岐阜の雰囲気は田舎ならではの人の暖かさ、距離の近さがありました。僕の地元(埼玉)も結構田舎で、人と人の距離がすごく近いので、そういった部分とか雰囲気を掴むのに活かされました」

©ファイアワークスLLP
Q.加藤雅也さんや渡辺哲さんのキャスティングもぴったりですが、どんな経緯でオファーされたのでしょうか
清水監督
「知人でもある外国のプロデューサーの誕生日パーティーで加藤さんに偶然お会いして、そこで映画のお話をさせていただきました。おでん屋の店主役を探していて、渡辺哲さんにやってもらいたいと思っているということを話したら、加藤さんが渡辺哲さんと仲がよくて、直接交渉してくださったんです」
Q.ご縁というのは繋がりますね。実際、撮影現場で加藤さん、渡辺さんと共演されていかがでしたか
安部さん
「お二人とも本当に気さくで素敵な方でした。カメラが回っていない時も、色々お話してくださって、現場ではプレッシャーを感じずに演じることが出来て助けられました」
Q.渡辺哲さんが登場するおでん屋のシーンは映画の中の緊迫した雰囲気とは対照的に唯一ホッとできる場面ですね
葵さん
「あのシーンは、事前に打ち合わせはせず、ライブ感やアドリブを大切にして撮影しました」
安部さん
「監督から「自由にやっていいよ」と言っていただけて。渡辺さんも何かきっと仕掛けてくるだろうと話していて、楽しんで演じました。唯一ほっこりしたシーンです」
Q.あのシーンを境に稔の気持ちが動いた気がします
葵さん
「大人になるといろんな出会いがありますよね」
Q.最後に、タイトルにもなっている「花火」について伺います。どんな花火が好きですか
葵さん
「私は花火の種類まではわかりませんが、大きい1つだけの金色の単色の花火が打ち上がって、キラキラしながら、闇に消えていく感じのものが好きです」
安部さん
「僕も一発だけで高くあがる花火が好きです。一番最初に打ちあがる花火とか」
清水監督
「僕はナイアガラの滝が好きですね」
清水監督が挙げたナイアガラの滝は長良川の花火大会で観られるものだ。
制作当時23歳の清水監督が作り上げた作品には故郷を離れたからこそ気づいた強い思いがある。
迷い、怒り、焦燥感。主人公のひと夏の心の変化をじっくりと描いている作品だ。

左から清水友翔監督、安部伊織さん、葵うたのさんさん
映画『僕の中に咲く花火』https://bokuhana.ayapro.ne.jp/ は現在岐阜、愛知先行公開中。8月30日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開。
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