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女、突然やってきた男、消えた夫。三人が抱える心の奥底にある思いは……(映画『アンダーカレント』)
映画一本よりなお深い作品だと発表当時評された豊田徹也の漫画「アンダーカレント」が実写映画化され、10月6日(金)から公開される。
あらすじ
銭湯の女主人・かなえは、夫・悟が突然失踪し途方に暮れる。なんとか銭湯を再開すると、堀と名乗る謎の男が「働きたい」とやってきて、住み込みで働くことになり、二人の不思議な共同生活が始まる。一方、友人・菅野に紹介された胡散臭い探偵・山崎と悟の行方を探すことになったかなえは、夫の知られざる事実を次々と知ることに。悟、堀、そして、かなえ自身も心の底に沈めていた想いが、徐々に浮かび上がってくる。
秘めた思いがアンダーカレントから上がってくる
夫が出ていったことより、自分が夫にとって悩みを相談出来る相手でなかったことがショックだと菅野に話すかなえ。8年共に過ごした夫は自分を理解し、自分も夫をわかっていると思っていた。何も言わずに消えた夫。探偵山崎が調べてわかる夫の真実。休業していた銭湯を再開しながら夫を待つかなえだが、かなえ自身も心に秘めた思いがあった。
月乃湯で働きたいと突然かなえの前に現れた堀も何かを秘めているが、かなえには常に優しく接する。かなえの思いを受け止める堀。なぜかなえにこんなにも優しいのか。
かなえと堀の真実を月乃湯の周りで起こる事件が呼び起こしていく。
監督は『愛がなんだ』『ちひろさん』などを手がけた今泉力哉。心の動きを繊細に捉える作品を作ってきた今泉監督が作品の魅力そのままに実写化。スタッフたちと共に照明、撮影場所、衣装、音楽にこだわり、作品の世界観を再現している。
主人公・かなえには真木よう子。銭湯に突然やってくる堀に井浦新。失踪する夫・悟に永山瑛太。胡散臭い探偵山崎にはリリー・フランキー。原作者が山崎を描いたときのモデルがリリー・フランキーなのだという。納得のキャスティングだ。またかなえの同級生・菅野に江口のりこ。月乃湯を手伝うおばちゃんに中村久美。所々で登場するタバコ屋の主人を康すをん、近くに住むシングルマザーを内田理央が演じている。
「人をわかるってどういうことですか」
探偵山崎がかなえの話した言葉に対して投げかけるセリフ。この投げ掛けは観る私たちにも突き刺さる。夫婦だから、親子だから、長く一緒にいるから相手のことを本当にわかっているのだろうか。相手の気持ちは相手にしかわからない。いや、相手にもわからないかもしれない。だから自分の気持ちが相手にすべてわかってもらえるはずもない。
でも、わかってほしい。一緒にいてほしい。そんな矛盾した思いを私たちは常に抱えて生きている。だから優しい嘘もたくさんつく。人間とは不器用な生き物だ。
かなえと堀の結末は漫画にはない。二人のその後がどうなったのか。今泉監督によるその先もまた考えさせられるものだった。
映画『アンダーカレント』https://undercurrent-movie.com/ は10月6日(金)より全国ロードショー。東海3県では10月6日(金)より、イオンシネマ(大高、岡崎)、センチュリーシネマ、ユナイテッド・シネマ(豊橋18、阿久比)、ミッドランドシネマ名古屋空港、MOVIX三好、109シネマズ明和、10月20日より大垣コロナシネマワールドで公開。刈谷日劇、岐阜CINEXでも順次公開予定。
出演:真木よう子、井浦新、リリー・フランキー、永山瑛太、江口のりこ、中村久美、康すおん、内田理央
監督:今泉力哉『愛がなんだ』『ちひろさん』
音楽:細野晴臣『万引き家族』『メゾン・ド・ヒミコ』
脚本:澤井香織『愛がなんだ』『ちひろさん』、今泉力哉
原作:豊田徹也『アンダーカレント』(講談社「アフタヌーン KC」刊)
製作幹事:ジョーカーフィルムズ、朝日新聞社
企画・製作プロダクション:ジョーカーフィルムズ
配給:KADOKAWA
©豊田徹也/講談社 2023「アンダーカレント」製作委員会
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