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キュリー夫人の波瀾の生涯を描く(映画『キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱』)
キュリー夫人。キューリ夫人と小さい頃に一度は見間違え、だからこそ逆に名を覚える世界の偉人だ。彼女は1903年にノーベル物理学賞、1911年に同科学賞を受賞した。これは人類史上初の快挙で、今でもノーベル賞を2度受賞した事のある唯一の女性だ。彼女が夫と共に発見した放射性元素ラジウムは癌治療に活用され、多くの人々の命を救った一方、戦争で核兵器として使われた。彼女の発見が使い方によって人類に大きな影響を与えた事はあまり知られていない。どのようにキュリー夫人となったのか。そしてどう生きたのか。彼女の波瀾の生涯が『キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱』として映画化された。
あらすじ
19世紀のパリ。科学へのあくなき探究心を持ちポーランドからやってきた若き女性研究者マリ・スクウォドフスカは、ソルボンヌ大学から性差別を受け、ろくに研究の機会を与えられないでいた。そんな中、科学者ピエール・キュリーと運命的な出会いを果たし結婚。彼の支援で研究に没頭した彼女は、ラジウムとポロニウムという新しい元素を発見したことから夫婦でノーベル賞を受賞し、科学界を席巻するが、夫は不慮の事故に遭い、この世をさってしまう。さらに、彼女が発見したラジウムは癌細胞の治療に役立つとわかりはじめた頃、戦争が勃発。キュリー夫人は娘とともに戦場へ向かう。

キュリー夫人を演じるのは、2002年に『007/ダイ・アナザー・デイ』のボンドガールに抜擢され、『ゴーン・ガール』(2014)で失踪した主人公の妻役を演じ、アカデミー賞主演女優賞にノミネート、『パーフェクト・ケア』(2020)では、老人たちを食い物にする悪徳実業家を圧倒的な存在感で怪演し、ゴールデン・グローブ賞ミュージカル・コメディ部門で主演女優賞を見事受賞。人気・実力ともにハリウッドを代表するロザムンド・パイク。本作では、激動の時代を駆け抜けた天才科学者の若年から老年までを演じた。渾身の演技で学者としてだけでなく女性としても強く生きたありのままのキュリー夫人像を作り上げた。夫のピエール・キュリーには、『コントロール』(2007)、『マレフィセント』シリーズ(2014・19)のサム・ライリー、夫の死後に不倫相手となるポールには『ダンケルク』(2017)、『どん底作家の人生に幸あれ!』(2019)のアナイリン・バーナード。母親の才能を受け継ぎ、後にノーベル化学賞を受賞する娘のイレーヌ・キュリーには、Netflixドラマ「クイーンズ・ギャンビット」(2020)や『ラストナイト・イン・ソーホー』(2021)で人気急上昇中のアニャ・テイラー=ジョイが演じている。
監督はデビュー作の長編アニメ『ペルセポリス』が2007年のカンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞して世界を驚嘆させた、イラン出身の鬼才マルジャン・サトラピ。2011年の全米図書賞最終候補作となったローレン・レッドニスの「放射能/キュリー夫妻の愛と業績の予期せぬ影響」を原作に、『博士と彼女のセオリー』などの名プロデューサーであるティム・ビーヴァン製作のもと、『ワンダー 君は太陽』(2017)や、現在日本でも上演中の舞台「ハリー・ポッターと呪いの子」の脚本家ジャック・ソーンとタッグを組み、単純に伝記映画というわけではなく、彼女の発見が良くも悪くも未来の歴史を作ったことを伝える映画を完成させた。
彼女が歴史的発見に至ったのは、ピエールとの出会いがあってこそだ。お互いを同士と認め、愛し、時に衝突しながら支え合うキュリー夫妻の愛と絆。夫を失ったあとの抑えきれない衝動的な情熱。自身が病に冒されながらも戦争で傷つく兵士のために戦地を奔走したキュリー夫人。全ては愛した夫との功績を守るために生き抜いた姿だ。

まだ女性が弱い立場に置かれていた19世紀のパリ。一人の女性として、一人の科学者として逆風をその身で受け苦悩しながら生きたキュリー夫人。功績を称える人もいれば、出自やプライベートを暴露し、非難して今の立場から追い落とそうとする人々がいるのは昔も今も全く変わらないのだと感じる。
キュリー夫人が発見した元素。今を生きる人々は使い方を託されている。どうかこれが使われた兵器がもうどこにも落とされませんようにと願う。
『キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱』https://movie.kinocinema.jp/works/radioactive/ は10月14日 (金)より キノシネマ他、全国順次公開中。東海3県では10月28日(金)よりセンチュリーシネマ、11月26日(土)より岐阜CINEXで公開。
監督:マルジャン・サトラピ
脚本:ジャック・ソーン
製作:ティム・ビーヴァン
原作:ローレン・レドニス
出演:ロザムンド・パイク、サム・ライリー、アナイリン・バーナード、アニャ・テイラー=ジョイ
2019年|イギリス|英語|110分|カラー|ビスタ|5.1ch|原題:RADIOACTIVE|字幕翻訳:櫻田美樹|G
提供:木下グループ 配給:キノフィルムズ
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