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映画『佐藤さんと佐藤さん』名古屋先行上映会舞台挨拶レポート。岸井ゆきのさん、宮沢氷魚さん、天野千尋監督登壇
映画『ミセス・ノイジィ』の天野千尋監督の最新作は夫婦の変化する15年間を描く、オリジナル脚本の映画『佐藤さんと佐藤さん』。大学で出会った、活発な佐藤サチと真面目な佐藤タモツ。正反対な性格だが意気投合し、交際へと発展。弁護士を目指していたタモツは司法試験に失敗し、応援のため勉強を始めたサチが合格。その後、妊娠を機に結婚し、弁護士になったサチと、子育てと家事をしながら勉強を続けるタモツという立場の逆転を経験。絶妙に保たれていたバランスが崩れ始める。
映画『佐藤さんと佐藤さん』の舞台挨拶付先行上映会が11月5日名古屋伏見ミリオン座で開催された。佐藤サチ役の岸井ゆきのさん、佐藤タモツ役の宮沢氷魚さん、愛知県出身の天野千尋監督が登壇した舞台挨拶の様子を一部お届けする。
佐藤裕二メ~テレアナウンサー(進行)
「みなさん、こんばんは。本日は映画『佐藤さんと佐藤さん』特別先行上映会にお越しいただきましてありがとうございます。司会進行を務めますメ~テレアナウンサーの佐藤裕二と申します。私、佐藤裕二がこの映画のメ~テレ宣伝大使を拝命しております。私は結婚して20年になるんですが、この映画を観て、若い頃は僕もああだったなとか、最近こういうことちょっと思わず言っちゃうなとか、夫婦・パートナーの「あるある」が詰まっており、ヒリヒリしたり、温かい気持ちになったり、ほっとしたりする映画だと感じました。それでは早速、監督とキャストの皆さんにお話を伺いたいと思います」

岸井ゆきのさん
「こんばんは。佐藤サチ役を演じました岸井ゆきのです。今日は雨で寒い中、集まっていただいてありがとうございます。これから映画を楽しんでいただけると嬉しいです。今日はよろしくお願いします」

宮沢氷魚さん
「宮沢氷魚です。距離が近くて、皆さんの表情が奥まで見えてすごい嬉しいです。今日名古屋に来て皆様にお会いできることをとても楽しみにしていたので、短い時間ではありますけども、皆さんが楽しい時間を過ごせたら嬉しいです。どうぞよろしくお願いします」

天野千尋監督
「本日はありがとうございます。『佐藤さんと佐藤さん』を監督しました天野千尋と申します。この映画は私の小さな日常の出来事から生まれた作品なんですけれども、お二人と一緒にサチやタモツを作っていけて、こうして三人で舞台挨拶に立って皆さんに観ていただけることが本当に嬉しいです。今日はよろしくお願いいたします」

Q.まず、この脚本を読んで、オファーを受けた時の感想をお聞かせください。
岸井ゆきのさん
「私は夫婦生活の経験がないので、脚本にある「トイレットペーパーないよ」「ないね」といった些細なことが喧嘩の始まりであることがどこかドラマチックに思えました。監督の朝のやり取りの話を聞いて、血の繋がっていない他の人と生活したことがなかったので、「他の人と生きるってこういうことなんだ」と知り、一刻も早くこの世界に入ってみたいと思いました」
宮沢氷魚さん
「出会いから15年の期間が2時間で本当に丁寧に描かれていると感じました。脚本を読む中で、描かれていない年月や、物語が終わった後のさらに15年、20年の人生を「どんな時間を過ごしてるんだろう」というのがすごく興味が湧いてきました。タモツという人物の人生を、本当に1分でも長く生きたいという思いが、作品選びの基準の一つになりました」

©2025『佐藤さんと佐藤さん』製作委員会
Q.この物語はどこから生まれたのでしょうか。
天野千尋監督
「私自身の結婚、出産、子育てが始まり、パートナーとの間で喧嘩が増えた経験がきっかけとなりました。フリーランスでワンオペ家事育児をしていた時に感じた閉塞感や、社会から取り残されたような恨めしい気持ちを経験しました。その後、仕事に復帰して夫が家事育児を担うようになった時に、かつての自分のように恨めしそうな目で見ている状況を目にし、立場によって感じることは違うし、その立場にならないと見えないことがあるんだと実感しました。そこからタモツのキャラクターが生まれたんです」

Q.岸井さんと宮沢さんは初共演ということですが、お互いの印象はいかがでしたか?
岸井ゆきのさん
「氷魚さんは、すごく穏やかで優しくて、初対面から緊張感がゼロでした。すっと雑談をすぐにできる雰囲気でした。それは監督もなんです。三人ですぐにご飯を食べに行ったりしました」
宮沢氷魚さん
「岸井さんは、共通の友人から話を聞いていたこともありますが、どこかで会ったことあるという感じで。自分の想像をはるかに超えるくらい本当に素晴らしくて優しい方でした。初日を迎えてからは、役に対するプロフェッショナルなアプローチや、真摯に向き合っている姿が現場にちょうどいい緊張感を作ってくれていました」
天野千尋監督
「最初に一週間ぐらいリハーサルの期間があったんですが、最初の一日はただ三人で雑談して過ごすみたいな時間もあって。そこで私はお二人それぞれが持つ空気をすごく掴むことができて、脚本でイメージしていたサチとタモツと、お二人が持つものをカチっとはめるような時間が持てたなという感覚がありました。しかもその後ご飯を食べに行ったり、コーヒーを飲んだり、岸井さんがタイのお茶をみんなに作ってくれたりとか。そこで仲良くなって、安心して現場に入れる感覚が多分みんなにできたのかなと思います」
岸井ゆきのさん
「現場では今はカップルの時代だからどうとか、今は1歳の子供がいるシーンだからというようなすり合わせはしていなくて、自然に入りました」

宮沢氷魚さん
「うん、すごく自然にね。こんなにスムーズに入っていけるものなのかというぐらい順調に初日を迎えて。15年だから、色々年月は飛んでるんですが、別に話し合って、こうしようねとかっていうことじゃなくて、お互い多分こういうことだよねという」
岸井ゆきのさん
「共通の意識を信頼できるような空気はあったと思います」
Q.お二人にオファーした理由を教えてください。
天野千尋監督
「サチはバイタリティがあって芯の強いイメージだったので今までの岸井さん作品を観て、お願いしました。実際に演じてもらうと本当に想像以上にサチで、現場で圧倒されるほどの力強さに感動しました。宮沢さんは、クールな役の印象がありましたが、「実はちょっと情けなくて弱い部分を探すような役を演じてもらったら面白いんじゃないか」と目論んでいました。誠実さが滲み出つつ、空回りして情けない感じが面白く、現場でも応援したくなる優しさがありました」
宮沢氷魚さん
「僕は普段からタモツに似ていると思います。不器用で、空回りすることが多いので、演じながら自分に似ていると感じるところがたくさんありました」
岸井ゆきのさん
「私は役とは逆に、タモツ側の気持ちがとてもわかるんです。タモツの方にどちらかというと似ているので、話せば話すほど似ているなと思っています」

©2025『佐藤さんと佐藤さん』製作委員会
Q .完成した作品をご覧になっての感想を教えてください。
宮沢氷魚さん
「本当に共感できるポイントがたくさんある作品です。タモツやサチの気持ちがわかる場面もありますし、全然わからないと思うところもあります。パートナー、友達、家族という関係性は、みんな違うんだということに気づき、それぞれの正解、それぞれの幸せを見つけるために、自分たちの形を見つけてほしいと思える、自分を見つめ直すきっかけになった作品だと感じました」

岸井ゆきのさん
「撮影時はサチとして動いていましたが、改めて観るとこんなにお互いにすり減って痛い瞬間があるんだと客観的に受け入れられました。タモツに対して申し訳ない気持ちにもなりました。演じているときはサチの正義があるからサチの最善を目指して動いていますが、サチではない自分の『佐藤さんと佐藤さん』をようやく観ることができました。誰もがどこかに自分を映すようなシーンがある映画で自分を見つめ直す映画になったことが嬉しいです」
天野千尋監督
「お二人の感想を聞いて、「客観的に見て相手の気持ちがわかる」というのは、やっぱり自分の事として捉えてもらっているということじゃないですか。嬉しいです」
Q.それでは最後に、会場の皆さんへメッセージをお願いします
宮沢氷魚さん
「この映画を観るとみんな感じ方は違うと思います。観た後に友達や家族と「みんなどう思った?」「私はこう思った」と、内に秘めたものをさらけ出せる機会を皆さんに体験していただけたら嬉しいです」
岸井ゆきのさん
「今日は一足先に観に来てくださってありがとうございました。この映画はきっと観終わったら誰かと話したくなる映画になっていると思います。もしおすすめしたい人がいたら、友達、ご家族、パートナーなど、いろんな人にこういう映画があったよと伝えてくれると嬉しいですし、一緒に観に行ってくれても嬉しいです」
天野千尋監督
「私は愛知県出身で、愛知の大学で映画研究会に入って自分が作った映画を人に観てもらえるというのが楽しくて、そこから映画作りをスタートしました。こうしてまたこんな素敵な俳優さんたちと作った映画をこの地で上映し、皆さんにご覧いただけるのは本当に嬉しいです。ぜひ楽しんでください。本日はありがとうございます」

映画『佐藤さんと佐藤さん』 https://www.sato-sato.com/ は11月28日(金)より全国公開。東海三県では伏見ミリオン座、TOHOシネマズ(木曽川、赤池、モレラ岐阜)、イオンシネマ(名古屋茶屋、岡崎、常滑、東員)109シネマズ名古屋、ユナイテッド・シネマ豊橋18で11月28日(金)より公開。伊勢進富座本館は順次公開予定。

©2025『佐藤さんと佐藤さん』製作委員会
映画『佐藤さんと佐藤さん』
岸井ゆきの 宮沢氷⿂
藤原さくら 三浦獠太 ⽥村健太郎 前原 滉 ⼭本浩司 ⼋⽊亜希⼦ 中島 歩
佐々⽊希 ⽥島令⼦ ベンガル
監督︓天野千尋
脚本︓熊⾕まどか 天野千尋 ⾳楽︓Ryu Matsuyama Koki Moriyama(odol)
主題歌︓優河「あわい」(ポニーキャニオン)
配給︓ポニーキャニオン 製作プロダクション︓ダブ 2025 年/⽇本/カラー/アメリカンビスタ/DCP/
5.1ch/114 分
映画公式HP︓g-men-movie.com
©2025『佐藤さんと佐藤さん』製作委員会
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