Cafemirage

Cafe Mirage--岐阜発 映画・エンタメ情報サイト

カテゴリリンク

© 2023 NORDISK FILM PRODUCTION A/S

Cafemirageのお話 EntaMirage! Entertainment Movie

まもなく公開。デンマークの第二次世界大戦末期を描く『ぼくの家族と祖国の戦争』

2024/08/14

名古屋で伏見ミリオン座やセンチュリーシネマを運営、国内の映画配給、宣伝事業も手掛けるスターキャットが海外配給事業にも参入、その第一弾が8月16日より全国公開、デンマークが舞台の『ぼくの家族と祖国の戦争』だ。

あらすじ

1945年4月、デンマーク・フュン島のリュスリンゲ市民大学の学長ヤコブが、現地のドイツ軍司令官から思いがけない命令を下される。ドイツ本国から押し寄せてくる大勢の難民を大学に受け入れろというのだ。想定をはるかに超えた500人以上の難民を体育館に収容したヤコブは重大な問題に直面した。それは多くの子供を含む難民が飢えに苦しみ、感染症の蔓延によって次々と命を落としていくという、あまりにも残酷な現実。難民の苦境を見かねたヤコブと妻のリスは救いの手を差しのべるが、それは同胞たちから裏切り者の烙印を押されかねない振る舞いだった。そして12歳の息子と交流のあったドイツ難民の女の子も感染症にかかってしまう。難民を救うべきか、祖国に従うべきか、家族は決断を迫られる。

© 2023 NORDISK FILM PRODUCTION A/S

© 2023 NORDISK FILM PRODUCTION A/S

デンマークの第二次世界大戦末期をある家族を通して描く

第二次世界大戦末期、敗色濃厚となったドイツを脱出した20万人以上の難民が押し寄せ、デンマークは今だかつてない大混乱に陥っていた。当時のデンマークはナチス・ドイツの占領下に置かれており、受け入れを拒否する選択肢はなかった。第二次世界大戦での日本や東欧の出来事は様々な映画やドキュメンタリーで知っているが、少し離れた北欧・デンマークの出来事を今回この映画で初めて知った。現在、ウクライナやパレスチナ・ガザ地区での戦乱で住む場所を失い、彷徨う難民達のニュースを見ると、映画の中の世界は忘れられた過去ではなく、目の前の現実であることがわかる。

『ぼくの家族と祖国の戦争』は当事国であるデンマークの人々にとっても知られざる実話からインスパイアされた作品だという。デンマークにも戦争を描いた作品は沢山あるが、今まで敢えて触れてこなかった部分、ドイツ難民に焦点を当てた。デンマークで大きな反響を呼び、同国のアカデミー賞と呼ばれる2024年のロバート賞で5部門(観客賞、プロダクションデザイン賞、衣裳デザイン賞、メイクアップ賞、視覚効果賞)にノミネートされた。

12歳の少年セアンの視点を通して、ナチスドイツの占領下のデンマークの人々が描かれる。逃げてきたドイツ人に対する冷ややかな対応も、貧困や病気で倒れる人々に手を差しのべる人も確かに当時のデンマークに存在していた。自身もナチスを嫌っているが、非難されながらも困っている人々に手を差しのべる両親の姿や大学の人々の行動を見ていくうちにセアンの気持ちにも変化が訪れる。

© 2023 NORDISK FILM PRODUCTION A/S

© 2023 NORDISK FILM PRODUCTION A/S

セアン役のラッセ・ピーター・ラーセンは子役とは思えぬ繊細な演技でストーリーを引っ張るが、驚くことに演技未経験で、この役をオーディションでつかんだという。

目の前に命に関わる苦しい状態の人がいたら。自分も反抗勢力と思われるかもしれないとわかっていながら手を差しのべたデンマークのある家族の姿を見ながら今の自分達を考える。世界でまた戦乱によって平和な生活が出来ない人々が増えている。同じ境遇になった時、自分ならどう動くのか。

© 2023 NORDISK FILM PRODUCTION A/S

© 2023 NORDISK FILM PRODUCTION A/S

『ぼくの家族と祖国の戦争』https://cinema.starcat.co.jp/bokuno/ は8月16日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMA他で全国順次公開。東海3県では8月16日(金)より伏見ミリオン座で公開。

監督・脚本:アンダース・ウォルター
出演:ピルー・アスベック、ラッセ・ピーター・ラーセン、カトリーヌ・グライス=ローゼンタール

2023 年/デンマーク/デンマーク語・ドイツ語/101 分/カラー/シネスコ/5.1ch/英題:BEFORE
IT ENDS/日本語字幕:吉川美奈子
配給:スターキャット 宣伝:ロングライド

-Cafemirageのお話, EntaMirage!, Entertainment, Movie

おすすめの記事はこれ!

「Traverse 2」main 1
本物の武道空手アクションがここに!映画『TRAVERSE2 -Next Level-』豊橋で先行公開、完成披露試写会 開催!

武道空手アクション映画の金字塔となる二部作の完結編、映画『TRAVERSE2 - ...

司会の松岡ひとみさんも一緒に 2
極寒の会津ロケからベルリン映画祭出品へ! 魂の舞と幽玄の世界が描き出す人間の複雑な心境(映画『BONJI INFINITY』初号試写会 舞台挨拶レポート )

2025年11月3日、映画『BONJI INFINITY(ボンジ インフィニティ ...

©郷2025 3
日本初ARRIが機材提供。美しきふるさとの映像と音に触れ、自身を回顧する(映画『郷』小川夏果プロデューサーインタビュー)

数々の国際映画祭で評価を重ねてきた鹿児島出身の新進気鋭の伊地知拓郎監督が、構想か ...

IMG_2539_b 4
映画『佐藤さんと佐藤さん』名古屋先行上映会舞台挨拶レポート。岸井ゆきのさん、宮沢氷魚さん、天野千尋監督登壇

映画『ミセス・ノイジィ』の天野千尋監督の最新作は夫婦の変化する15年間を描く、オ ...

image (3) 5
運命さえも覆せ!魂が震える慟哭のヒューマン・ミステリー(映画『盤上の向日葵』)

『孤狼の血』などで知られる人気作家・柚月裕子の小説『盤上の向日葵』が映画化。坂口 ...

©ストラーユ 6
本から始まるストーリーは無限大に広がる(映画『本を綴る』篠原哲雄監督×千勝一凜プロデューサー インタビュー&舞台挨拶レポート)

映画『本を綴る』が10月25日から名古屋シネマスコーレで公開されている。 映画『 ...

1759598539764_1 7
いつでも直球勝負。『おいしい給食』はエンターテイメント!(映画『おいしい給食 炎の修学旅行』市原隼人さん、綾部真弥監督インタビュー)

ドラマ3シーズン、映画3作品と続く人気シリーズ『おいしい給食』の続編が映画で10 ...

©️2025『おーい、応為』製作委員会 8
もう一人の天才・葛飾応為が北斎と共に生きた人生(映画『おーい、応為』)

世界的な浮世絵師・葛飾北斎と生涯を共にし、右腕として活躍したもう一人の天才絵師が ...

taiga_B2poster_0710_fix_ol 9
黄金の輝きは、ここから始まる─冴島大河、若き日の物語(映画 劇場版『牙狼<GARO> TAIGA』)

10月17日(金)より新宿バルト9他で全国公開される劇場版『牙狼<GARO> T ...

『アフター・ザ・クエイク』ビジュアル 10
「空っぽ」から始まる希望の物語-映画『アフター・ザ・クエイク』井上剛監督インタビュー

村上春樹の傑作短編連作「神の子どもたちはみな踊る」を原作に、新たな解釈とオリジナ ...

IMG_2338_ 11
名古屋発、世界を侵食する「新世代Jホラー」 いよいよ地元で公開 — 映画『NEW RELIGION』KEISHI KONDO監督、瀬戸かほさんインタビュー

KEISHI KONDO監督の長編デビュー作にして、世界中の映画祭を席巻した話題 ...

image (1) 12
明日はもしかしたら自分かも?無実の罪で追われることになったら(映画『俺ではない炎上』)

SNSの匿名性と情報拡散の恐ろしさをテーマにしたノンストップ炎上エンターテイメン ...

IMG_2332_ 13
映画『風のマジム』名古屋ミッドランドスクエアシネマ舞台挨拶レポート

映画『風のマジム』公開記念舞台挨拶が9月14日(日)名古屋ミッドランドスクエアシ ...

©SHM FILMS 14
あなたはこの世界観をどう受け止める?新時代のJホラー『NEW RELIGION』ミッドランドスクエアシネマで公開決定!

世界20以上の国際映画祭に招待され、注目されている映画監督Keishi Kond ...

48e68d79b718232277b1e5de3297914f 15
『ぼくが生きてる、ふたつの世界』の呉美保監督が黄金タッグで描く今の子どもたち(映画『ふつうの子ども』)

昨年『ぼくが生きてる、ふたつの世界』が国内外の映画祭で評価された呉美保監督の新作 ...

僕花_main 16
映画『僕の中に咲く花火』清水友翔監督、安部伊織さん、葵うたのさんインタビュー

Japan Film Festival Los Angeles2022にて20歳 ...

IMG_2204_ 17
映画『僕の中に咲く花火』岐阜CINEX 舞台挨拶レポート

映画『僕の中に咲く花火』の公開記念舞台挨拶が8月23日岐阜市柳ケ瀬の映画館CIN ...

僕花_main 18
23歳の清水友翔監督の故郷で撮影したひと夏の静かに激しい青春物語(映画『僕の中に咲く花火』)

20歳で脚本・監督した映画『The Soloist』がロサンゼルスのJapan ...

25-08-06-09-10-43-381_deco 19
岐阜出身髙橋監督の作品をシアターカフェで一挙上映!「髙橋栄一ノ世界 in シアターカフェ」開催

長編映画『ホゾを咬む』において自身の独自の視点で「愛すること」を描いた岐阜県出身 ...

IMG_1793 20
観てくれたっていいじゃない! 第12回MKE映画祭レポート

第12回MKE映画祭が6月28日岐阜県図書館多目的ホールで開催された。 今回は1 ...