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「自分の青春そのもの」当事者が震えた圧倒的リアリティ 映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』名古屋センチュリーシネマ舞台挨拶レポート
2026年2月27日、名古屋センチュリーシネマにて映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』の舞台挨拶が開催された。写真家・地引雄一氏の自伝的エッセイを原作に、1970年代後半の伝説的ムーブメント「東京ロッカーズ」の誕生を鮮烈に描いた青春音楽映画。本作のメガホンを取った田口トモロヲ監督と、名古屋パンクシーンを象徴するレジェンド、the原爆オナニーズのTAYLOW氏が登壇。司会は、親交のある「ぴあ」の阿部慎一郎氏が務め、旧知の仲ならではのリラックスした雰囲気の中でトークが進行した。
冒頭、司会の阿部氏より本作の制作背景が紹介された。監督・田口トモロヲ、脚本・宮藤官九郎、主演・峯田和伸という布陣は、『アイデン&ティティ』のチームが再集結した形であり、音楽の大友良英氏も含め、まさに「あの頃」の魂を継承するスタッフが揃っている。1970年代のパンクシーンを描くにあたり、これ以上ない強力な布陣で挑んだ一作となっている。

阿部慎一郎氏
ステージに呼び込まれた田口監督とTAYLOW氏は、その付き合いが1985年にまで遡ることを明かした。当時、TAYLOW氏が「the原爆オナニーズ」のファーストアルバム発売記念ライブを東京で行う際、対バンとして田口監督のバンド「ばちかぶり」を誘ったのが交流の始まりだったという。田口監督が当時の名古屋芸文ホール(今池にあったキノシタホール)でのライブチラシをラミネートでしっかりカバーして、東京から持参してきたのに対し、TAYLOW氏は当時のライブ進行表やチケットなどをワイルドにそのまま持参。あまりにも美しい保存状態に田口監督は脱帽。「断捨離する前にこのイベントがあってよかった」とTAYLOW氏は笑顔で語った。田口監督は当時の思い出として、名古屋のバンドが「原爆オナニーズ」や「アウシュビッツ」をはじめとして、あまりに過激な名前を冠していたバンドが多かったことに触れ、グループ名を連呼し、観客も盛り上がる。


まさかの胸キュン!
作品をいち早く鑑賞したTAYLOW氏は、当時のシーンの当事者として「1978年から79年にかけて、自分も劇中のユーイチ(峯田和伸)たちと全く同じことをやっていた。自分の青春そのものを見ているようだ」と深い感動を語った。「こんなことならTAYLOWさんにも映画に出てもらえばよかった。こんな平和な日が迎えられるなんて。あの頃はみんな怒っていた」と田口監督は懐かしみながら語った。

©2026 映画『ストリート・キングダム ⾃分の⾳を鳴らせ。』製作委員会
TAYLOW氏に特に絶賛されたのがライブハウスの再現度。このこだわりについて阿部氏から尋ねられた田口監督は「あの当時の空気感、緊張感は今はないんです。出る方はこれをやらなければ死んでしまうぐらいの切迫感があったシーンだったので、そこは嘘はつけないと思って、ライブハウスはなくなってしまってないので、『アイデン&ティティ』から組んでいる美術の丸尾さんに作ってもらったんですね。この再現度が緻密ですごい。その中に入った時はちょっと鳥肌が立ちましたね」と答えた。TAYLOW氏は「冒頭のところでライブハウスが出てくるんですが、そこの会場の再現度がもうダントツに当時の感じ。80年に入って、ちょっとパンクがメジャーになる直前の我々アンダーグラウンドの人がやっている感がすごく出ていた。すごく胸キュンになる再現度」とコメントすると、「TAYLOWさんから胸キュンという言葉を聞けるとは。今、俺が胸キュンになりました。ありがとうございます」と礼を述べた。

田口監督はコロナ禍による延期を含め11年もの歳月をかけて公開に漕ぎ着けた。「この映画を作ろうと思ったのは、本当にこれはいつも言っているんですけれども、今、日本ではロックフェスが盛んに行われていて、何万人とか集めて、ビジネスとしても成功してるわけですけれども、その礎、最初の第一歩を築いた人たちがここに描かれてる人だと思うんですよね。その人たちのことが全く知られていないし、語られていないということに愕然として、もうとにかくこれはもう作るしかないなと思ったのが1番最初のきっかけです。本当に今のベースであったり、インディーズというスタイルはこの人たちから始まっているので、それを知ってもらいたいと思ったんです」と田口監督はこの作品を撮った理由を語った。TAYLOW氏も、「最初の1歩ってすごく難しいと思うんですよ。例えば自分でレコードを作っちゃえというのは、ジャズ方面の人は知っていたけど、ロックの方の人は知らなかった。ライブハウスで5日間のイベントを組むということも知らなかったし。そういう最初の1歩をやる時に、この人たちは忘れられているのかなと最近思っていて。それを監督が言ってくれたので、とっても嬉しいですよね。私は当事者なので、どちらかというと「こういうことがあったよ」と言う方に近くなってきて。歴史の承認みたいなところでこうやって作品を作ってもらえると喋りやすくなる」と、時代の先駆者を描いた本作と監督の意義を語った。

これから観る観客に向けて田口監督は、「結局今年11年目の公開になったんですが、それだけ時間がかかったという理由はもう山ほどあって、コロナ禍も挟んでしまったものですから、その分の思いと、こんなすごい人たちがいたんだということを、もうこれでもかという気持ちで発射させてもらいました。今日、レジェンドのTAYLOWさんに観てもらえて最高に幸福です。皆さん映画は本当に自由に感じるのが1番いいと思います。自由に受け取ってください!よろしくお願いします」と締めくくり、会場は熱い拍手で応えた。

左:TAYLOW氏 右:田口トモロヲ監督
今にはない熱さがある。今では出来ないことがある。80'sのパワーに憧れる。日本のパンクロックの源流を圧倒的な熱量で描き出す本作は、音楽ファンのみならず、何かを始めようとするすべての人に勇気を与える一作となっている。自分で自由に感じて、動いて、自分の音を手に入れろ!
映画『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』https://happinet-phantom.com/streetkingdom/ は
2026年3月27日(金)よりTOHO シネマズ ⽇⽐⾕ほかで全国公開。東海三県では3月27日(金)よりセンチュリーシネマ、ミッドランドスクエアシネマ、イオンシネマ(名古屋茶屋、ワンダー、岡崎、長久手、常滑、東員)、TOHOシネマズ(木曽川、赤池、東浦、津島、岐阜、モレラ岐阜)、ユナイテッド・シネマ(豊橋18、岡崎(ローソン・ユナイテッドシネマ)、稲沢、阿久比)、コロナシネマワールド (中川、安城、大垣)、ミッドランドシネマ名古屋空港、MOVIX三好、4月3日(金)より109シネマズ明和で公開。

©2026 映画『ストリート・キングダム ⾃分の⾳を鳴らせ。』製作委員会
【作品情報】
『ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。』
出演:
峯⽥和伸 若葉⻯也
吉岡⾥帆 仲野太賀 間宮祥太朗 中島セナ
⼤森南朋 中村獅童
監督:⽥⼝トモロヲ
原作:地引雄⼀「ストリート・キングダム」
脚本:宮藤官九郎
⾳楽:⼤友良英
企画製作・配給︓ハピネットファントム・スタジオ
クレジット︓©2026 映画『ストリート・キングダム ⾃分の⾳を鳴らせ。』製作委員会
公式サイト:https://happinet-phantom.com/streetkingdom/
あらすじ
1978 年、偶然ラジオから流れたセックス・ピストルズに衝き動かされたカメラマンのユーイチは、小さなロックミニコミ雑誌「ロッキンドール」に出会い、とあるライブハウスへと足を運ぶ。そこで出会ったボーカルのモモ率いるバンド
「TOKAGE」のライブに衝撃を受け、無我夢中でシャッターを押した。そこは音楽もバンドも観客たちも何にも縛られない生のエネルギーに溢れた異空間だった。カメラマンとしてライブの撮影を依頼されたユーイチはモモたちと交流を重ねる。やがて彼らの音楽は瞬く間に若者たちを熱狂させ、そのムーブメントは“東京ロッカーズ”と呼ばれ、日本のロックを塗り替えていく。世界を変えたのは、才能だけじゃない。音に賭けた、名もなき若者たちの衝動だった。

©2026 映画『ストリート・キングダム ⾃分の⾳を鳴らせ。』製作委員会
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