
名古屋で撮影中 映画『名も無い日』
2018/06/23
映画『名も無い日』の撮影が現在名古屋で行われている。
監督は名古屋市熱田区出身の日比遊一。
監督はアメリカ在住だが今回出身地を舞台に映画を撮る。
5月25日熱田神宮会館で行われた制作発表で作品製作への意気込みが語られた。
参加者:日比監督、山口寛エグゼクティブプロデューサー、名古屋市文化観光交流局ナゴヤ魅力向上室長・田頭泰樹さん
日比監督
「数ある映画の中で名古屋を舞台にした映画はあまりなくていつか映画を名古屋で撮ろうと思っていました」

日比遊一監督
その話を聞いて協力を買って出たのが山口エグゼクティブプロデューサー。
山口エグゼクティブプロデューサー
「日比監督と2年前に名古屋で中小企業の仲間たちと一緒に出会いまして。地元熱田を舞台にした映画を作りたいと聞いてじゃあやろうと言って立ち上げたうちの私は一人です」
今回は名古屋市も支援する。
ここ数年映画やドラマのロケ地となっている名古屋だが名古屋ではない別の都市として描かれることが多かった。今回はしっかりと名古屋として描かれる作品だ。

山口寛エグゼクティブプロデューサー
田頭さん
「二年前に出来た新しいセクションが名古屋市文化観光交流局です。これまでの観光施策に加えてシティプロモーションに取り組んでいこうということで担当しておりますが今回は名古屋ロケということでこの映画を通して名古屋の魅力が世界中に伝わっていって名古屋にお越しいただきたいということもありますが、名古屋の町でこういう風に映画を作ったらこんなに素敵に見えるということが名古屋の人たちにとって誇りに繋がってくれたらと思っています。名古屋市民の方に観ていただきたい。もっと名古屋の魅力に気が付いていただきたい、名古屋いいよねという街になっていくきっかけになるといいなと思っています。」

田頭泰樹さん
製作のきっかけ
日比監督
「私はアメリカのニューヨークに31年住んでおりまして。おととし高倉健さんのドキュメンタリー映画『健さん』を撮らせていただいて久しぶりに日本に帰ってきました。自分が作った映画をいろんな人に見てもらいたい。東京だけでなく日本全国を回ったんですが海外に住んでいるだけに日本の良さというものがどんどんわかってきまして、地元愛もそこに重なってきて。名古屋に帰ってきた時に地元の人や自分の友達、いろんな方に作品を見てもらいたいと思ったんですね。その時に僕の同級生や仲間たちがいろんな方に声をかけてくださって。そんな時に『次の作品はどんなものが撮りたいんですか』と聞かれまして。以前から温めてきた自分の私小説みたいなものなんですが、名古屋の熱田で撮りたいと思っていた映画の構想を話しました。そうしたところじゃあみんなで立ち上げようと言ってくださって企画が始まりました」
Q.その構想はかなり前からあったんですか?
日比監督
「私の家族内で不幸がありまして。映画のストーリーにもなるんですが、海外に住んでいる主人公が弟の死という訃報を受けて故郷に戻ってきます。残された家族、親族と話す中で残された自分達に何か出来ることはないのか、残されたものが背負う使命は何かと考えさせてくれる普遍的なテーマを描きたくて。名古屋人じゃないとわからない、日本人じゃないとわからないという話ではない、世界でわかってもらえる話です」
Q.熱田地区の方はどんな感じで映画に関わっていくんでしょうか?
山口エグゼクティブプロデューサー
「これまでは自分達の繋がりで声をかけて協力者を募っていました。ロケハンチームが入ってからは場所の提供や車輌協力もしていただいていますし、スタッフ向けの食事も用意していただいています。今日の会見をきっかけにもっといろんな形でいろんな方にご協力いただければと思っております」
Q.この映画をきっかけに名古屋のどういった魅力が広まってほしいですか?
田頭さん
「2年前に日本の8大都市のアンケートをとった結果、名古屋は魅力の無い都市だというところで1番になってしまったんです。なぜそうなったのかを考えると名古屋市民が魅力をよく知らない。名古屋のいろんなところに行かないから魅力がないと答えてしまっているんです。周りにもそう伝えてしまうから魅力のない都市だと言われてしまうんです。だからもっと名古屋の人に名古屋を知ってほしくて。熱田地区なら熱田神宮には行くけど熱田神宮以外の日常の景色は知らない。こんな素敵なところがあるのか、こんな色があるのかとかそういった部分を映画で知っていただければと思います」
Q.日本や地元のよさとは何ですか?
日比監督
「僕の実家は熱田神宮から歩いて5分ぐらいのところに今もあります。僕は熱田の白鳥小学校から宮中学校に進んだんですが、神宮に参拝に来ている大人をみて早くここから出たいと思ったんですね。ああいう大人になりたくないと単純に思ったんです。東京に出ても居場所がなくて海外に行きました。海外に出てみたら日本にいる日本人よりも自分は日本人だという思いが強く芽生えて来たんです。日本に帰ってきて昔は感じもしなかった良さに気がついて。例えば500円ぐらいのものを買ってもちゃんと包んでくれたり、ゴミを決まった曜日に出したり。これは他の国に行ったらないことなんです。当たり前のことなんですがこれはなくしてはいけない文化です。日本人が忘れてしまっているようなことを僕が切り取った日本人の姿や日本の文化として映画の中で出していけたらと思っています。」
普段の生活にドラマがある
Q.熱田をどんな映像スタイルで撮ろうと思われていますか?
日比監督
「普段皆さんが見ているものを四角い枠の中で映すことで自分達は生きているんだなと改めてわかるような、普通に歩いている所でもドラマが出来るんだという作品になると思います。皆さんが歩いている、暮らしている中でもドラマは起こっているわけです。特別なものを撮ろうというわけではありません」
撮影にはなごや・ロケーション・ナビも協力しており、エキストラも登録した名古屋の市民が多数参加している。熱田区や名古屋市内で撮影中。熱田神宮も全面的に協力する。日比監督にとって熱田神宮は近所に住んでいたこともあり、日常の中のひとつの風景でもある。作品にどのように関わってくるか注目だ。
キャストはまだ未発表だが豪華キャストが予定されているそう。監督が世界の映画祭で観た作品に登場している役者陣だという。
25年ぶりに帰国した長男が居酒屋を営む父と三男、熱田でいきる人々との交流を通して自分の人生や生と死を考える。
主人公は監督を投影した設定。
カメラマンでもある日比監督は主人公を誰にオファーしたのか。
そして日比監督が描く地元名古屋という"ふるさと"とは?
タイトル『名も無い日』に込められた思いとは?
とにかく未発表だらけのこの作品。謎が多いほど気になるものだ。
詳細の発表を楽しみに待ちたい。
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