
生きるために。狂える人々の終わらない争い(映画『グッバイ・クルエル・ワールド』
とにかくぶっ飛んでいる。まともな奴はほとんどいない。ノリのいいノワールものが久しぶりに登場した。
『グッバイ・クルエル・ワールド』
誰がこの“残酷な世界”におさらばしたいのか。
あらすじ
夜の街へとすべり出す、水色のフォード・サンダーバード。カーステレオから流れるファンクナンバーをBGMに交わされるのは、「お前、びびって逃げんじゃねーぞ」という物騒な会話。年齢もファッションもバラバラ、互いに素性も知らない5人組は、寂れたラブホテルで、ヤクザ組織の資金洗浄現場を“たたく”。仕事は大成功、5 人は 1億近い大金を手に、それぞれの人生へと帰っていく──はずだった。だが、ヤクザは現役の刑事を裏金で雇い、強盗組織捜しを開始する。さらに、騙されて分け前をもらえなかった強盗組織の一人が命を売ってでも一発逆転に賭けると決意、ラブホテルの従業員を巻き込んで立ち上がる。
集まった5人の強盗も周りもクズだらけ。
5人の強盗は第94 回アカデミー賞で国際長編映画賞に輝いた『ドライブ・マイ・カー』での演技で、全米映画批評家協会においてアジアの俳優では初となる主演男優賞を受賞するなど、海外でも一躍その名を馳せた西島秀俊を筆頭に、斎藤工、玉城ティナ、宮川大輔、三浦友和。ヤクザに雇われ強盗達を追う刑事には大森南朋、他の強盗を追いかけるのに付き合う退屈嫌いなホテルの従業員には宮沢氷魚、刑事を雇って落とし前をつけようとするヤクザに鶴見辰吾、奥田瑛二、足を洗った兄貴分の今の生活に暗雲を落とす元舎弟に奥野瑛太と実力派、ベテラン、演技派、これからが期待される役者達が入り交じって、自身の思いを遂げようとするサバイバルゲームが始まる。
監督・大森立嗣×脚本・高田亮のタッグでポップで軽さもあるノワール作品を作り上げた。ド派手な強盗、銃撃戦に、爆破まで。そこにボビー・ウーマック、マージー・ジョセフ、ウィルソン・ピケットと1960′s~70′sのノリの良いソウルフルなナンバーが流れだし、観ているこちらも気持ちが開放される。血まみれのアクションにいいぞ、もっとやれ!とテンションが上がっていく。
強盗や周りの人々がなぜこんなことになっているのかが少しずつわかってくることで、全く関係ないように見えた関係がつながっていく。
自らが生きるために闘った先にあるものとは?
狂えるものたちが必死に生きるためにもがく姿が映し出される。
もがく彼らを観るのが楽しいのは観ている私たちも日々もがいているからかもしれない。
映画『グッバイ・クルエル・ワールド』 https://happinet-phantom.com/gcw/ は9/9 (金)よりTOHOシネマズ日本橋他で全国ロードショー。
東海地区ではイオンシネマ ワンダー、コロナシネマワールド(中川、安城、小牧、豊川、大垣)、ミッドランドスクエアシネマ、伏見ミリオン座、ユナイテッド・シネマ(豊橋18、岡崎、稲沢、阿久比)、TOHOシネマズ(木曽川、赤池、東浦、津島、岐阜、モレラ岐阜)、イオンシネマ(豊田KiTARA、常滑、津南)ミッドランドシネマ名古屋空港、109シネマズ明和で公開。
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