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ショコラ

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出会いが新たな扉を開ける(映画『ショコラ』)

2017/03/04

いくら才能があったってそれを使わなければ
単なる宝の持ち腐れだ。

さらに芸の世界は厳しい。
いくら才能があったって
民衆にその才能や芸を認められなければ
有名にはなれず名声も得られない。

一人でやっているとここまでしか出来ないが二人でやれば
1+1=2ではなくそれ以上になる。
一人では面白くないものも二人でやれば想像以上の面白さに
膨れ上がることもある。

黒人が平等に見てもらえなかった時代のフランスで
一人の白人と出会いスターダムに上がっていった男がいた。
あの当時貴重だったフィルムにも姿が残されているというのに
彼の活動は長年語られることがなかった。

白と黒。オセロの表と裏のようにひとつになっていた
道化師のコンビ「フティット&ショコラ」
この作品では彼らの出会いから別れが描かれている。

あらすじ

フランス北部のさびれたサーカスに仕事を求めてやってきた白人芸人フティットは、
そこで人食い族を演じる黒人の男に興味を示す。
カナンガと名乗る男にフティットは
“白人と黒人のコンビ”で道化師をやろうという前代未聞の提案をする。

カナンガは新たな芸名「ショコラ」を名乗り、コンビ「フティット&ショコラ」は
サーカスを連日満員大入りにするほど話題を呼ぶ。
噂はパリにまで轟き「フティット&ショコラ」は名門サーカス団の専属となる。
ふたりの芸は大勢の観客の笑いを誘い、パリで一番の人気芸人になっていく。

ある日、不法滞在の容疑でショコラが突然逮捕され、
連行された先でひどい拷問を受ける。
奴隷の子として生まれた彼は、その肌の色のために父親同様、ずっと差別され続けてきたのだ。
解放されたショコラは休演していた「フティット&ショコラ」を再開。
相変わらず大人気の彼らだったが、華やかな喝采の裏で、
ショコラは酒とアヘンに溺れ、ギャンブルにのめりこんでいく。

芸達者な男フティットが見つけた希望の男

フティットは田舎を回るサーカス団のオーディションを受けにきた。
元々都会のサーカス団で人気もあったフティットだが、
今は人気もなく再起を狙っている。

オーディションでの一人芸は見事なもの。
しかし面白くないと言われる。
上を目指し、先を計算しながら動くフティット。
道化の格好を解けば真面目過ぎるほど真面目な男。

フティットはさびれたサーカス団の人食い男に一縷の希望を持つ。
人食い男を演じるその男の何にフティットは惹かれたのか?

ショコラの思いもよらない行動がフティットの新たな扉を開ける。
ダメなところもあるショコラを諌めながら二人は絆を深めていく。

ショコラ

フティットを演じたのはあの人の孫

主演はオーマール・シーとジェームス・ティエレ。
オーマール・シーは『最強のふたり』が記憶に新しい。彼はコメディアンでもある。
ジェームス・ティエレはあのチャーリー・チャップリンを祖父に持つ。
父は「ヌーヴォー・シルク(新しいサーカス)」の先駆けバティスト・ティエレであり、
ジェームス自身も4歳からサーカスに出ている。
サーカスシーンはこのジェームスの演出で作られており、
オーマールとのシーンは二人で作り上げたものだ。
撮影されたうちの数分しか本編には出ていないという。
新たな「最強のふたり」がどんなショーを作っているかを注目してほしい。

ショコラ

ショコラになった男はどこからきたのか

身分証を持たず警察が来ると隠れるショコラ。
随所に入ってくるショコラの回想シーンや妻に語るシーンで出自がわかってくる。
奴隷の息子はまた奴隷扱いなのか。
人気絶頂でも逮捕され、拷問を受ける。
フランスは転換期とはいえ、まだ黒人は蔑まれている。
ショコラになった男の過去の辛い経験は計り知れない。

 

1900年代初頭のフランス

「フティット&ショコラ」が活躍した頃。
1900年代初頭のフランスでは黒人の立場は良いものではなかった。
1848年に奴隷制度自体は廃止になっているフランス。
だがその文化だけは色濃く残っている。
アフリカの植民地化を始めたこともあり、奴隷ではないがそれに等しい労働条件で
黒人を植民地で働かせていたという。
ショコラはその経験もしていたのだろう。
1907年、名声を得た頃にパリでの植民地博覧会でショコラが見ることになる
黒人たちの姿は見るに耐えない。

だからこそあの当時成功したショコラは自分らしく生きたいと
願ったのかもしれない。

一人の役者として生きる道を選んだときショコラは知ることになる。
「フティット&ショコラ」としての自分と
ショコラ一人の自分の価値の違いを。

勝手にコンビ解消されたフティットの気持ちのすべてが
描かれるわけではないが随所で映り込むフティットの表情がせつない。
どうなるかわかっていたからこそフティットはショコラを
一人にしたくはなかったのかもしれない。

ショコラ

次から次へと話題が変わる世の中で

ちょっとメディアに出ないと忘れ去られる時代。
有名になるのも早いが消えるのも早い。
今の時代もそれは変わらない。
名を残すような芸人は数えるほどしかいないのだ。

誰も彼もが有名になれるわけではない。
だが有名になれなかった人物にだって激動の人生がある。

一度は有名になり、そして忘れられた男が再び知られることになったのは
死後100年経ってからだった。
彼を語れるのは今だからだろう。今だから描くことのできた作品だ。
彼の人生は私たちに沢山のことを教えてくれる。

『ショコラ』は1月21日よりシネスイッチ銀座他で全国順次公開中。
http://chocolat-movie.jp/
中部地区では2月4日よりセンチュリーシネマ、2月18日よりトヨタグランド、
3月11日より伊勢進富座、3月18日より岐阜CINEXで公開。
(PG12…12歳未満の方は、保護者の助言・指導が必要です。)

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