 
			よりよい一日を目指して(映画『ケアニン~こころに咲く花~』)
介護福祉士・大森圭が帰ってきた。2017年の公開から日本全国で上映が続いている『ケアニン~あなたでよかった~』の続編『ケアニン~こころに咲く花~』が3年の時を経て公開される。
前作『ケアニン~あなたでよかった~』とは?
新米介護福祉士・大森圭の小規模介護施設での奮闘を通して介護に携わる様々な人々(ケアニン)の仕事の様子や思いを描いたのが2017年に公開された『ケアニン~あなたでよかった~』だ。全国ロードショー後も介護従事者の今を描く作品として日本各地で自主上映会が続いている。
2019年には終末期医療を描いたスピンオフ作品として『ピア~まちをつなぐもの~』が製作され、そこにも大森圭は成長した姿で登場していた。続編製作への期待の声に応えて『ケアニン』シリーズの続編が製作された。

あらすじ
小規模施設から大型の特別養護老人ホームに転職した介護福祉士の大森圭。しかし、「多くの利用者に対応するため」という目的の元に、効率やリスク管理を優先する運営方法に、大きな戸惑いを隠せないでいた。そんな中、認知症の老婦人・美重子が入所してくる。美重子を自宅で介護してきた夫の達郎は施設を信用できず、担当の圭にも厳しくあたる。それでも、友人の美容師を施設に呼んで美容サロンを開催するなど、美重子や利用者のために奔走する圭。しかし、その行動も職場のチームワークを乱していると上司や理事長から叱責されてしまう。そんな折、圭は達郎のある「願い」を知ることになる。
舞台は小規模介護施設から大型特別老人養護ホームへ
圭が転職した先は今までとは全く違う環境になり、今まで自分が培った経験が否定される事態も出てくる。一人にじっくりと時間が費やせた小規模介護施設とは違い、限られた時間で沢山の人を介護する特別養護老人ホームでは利用者一人一人に合った介護が出来ず、新たな試練が圭に訪れる。はじめは「チームワークが乱れる」と主任から言われることに困惑していた圭だが、次第にそれがどういうことかわかってくる。それでも圭は利用者に寄り添う介護が出来ないかと模索する。
様々なニーズに合わせた介護施設が現在日本には存在する。
前作で圭が働いていた小規模介護施設では介護度が低く、比較的自立が出来る利用者が多いため、自立を促す支援が多かったが、特別養護老人ホームでは介護度が高く介助が必ず必要な利用者が多い。日々の生活が滞りなく出来ることが求められている。
また沢山の利用者を少人数で介助しているため、職員の連携が重要になる。

人手不足、海外からの技能実習生の受け入れ、利用者を守るためのセキュリティ、地域との連携、利用者の家族とのぶつかり合いなど作品では特別養護老人ホームの現状も描かれる。
前作からのキャスト、スタッフが再集結。新たなキャストも。
主人公・大森圭には前作の舞台挨拶時に「続編もやりたい」と熱望していた戸塚純貴。持ち前の明るさ、忍耐力の強さが大森圭の奮闘に重なる。全身全霊で大森圭を演じている。
特別養護老人ホームで圭を見守り、時に厳しく的確なアドバイスを送る主任には中島ひろ子、国からの指導に沿った施設運営を実践する理事長に小野寺昭、理事長の息子で今の運営に疑問を持ちながら現場を統括する施設長に浜田学と演技派が揃う。
また前作に引き続き、小規模介護施設で先輩役を演じた松本若菜、介護施設長を演じた小市慢太郎、スピンオフ作品『ピア~まちをつなぐもの~』で主人公を演じた細田善彦も登場し、大森圭にアドバイスをする。

夫婦の絆に応える介護とは
圭が担当する認知症の美重子とその夫・達郎の夫婦の絆。圭が達郎、美重子夫妻の思いにどう応えていくのかが今回の大切なテーマだ。
認知症になってしまったら全てを忘れているわけではない。
昔の懐かしい思い出を覚えており、笑顔になる美重子を見た圭は達郎にある提案をする。
美重子役の島かおりと達郎役の綿引勝彦が作る50年連れ添った夫婦の愛情に目を潤ませた。

「一人でも多くの人に笑顔になって欲しい」
新たな場所で圭はその夢を果たすことが出来るのか。
新たな場所で介護福祉士として何を学んでいくか。
大森圭という一人の介護福祉士の成長を通して私たちは介護の現場の今と熱い思いを知ることが出来る。
『ケアニン~こころに咲く花~』http://www.care-movie.com/2/ は4月3日より全国順次公開。
東海3県では4月3日よりイオンシネマ(名古屋茶屋、豊川、常滑、各務原、東員、津)、4月11日よりシネマスコーレで公開。
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