知多半島映画祭2016レポートその③
2016/10/07
さあコンペも後半戦。いよいよグランプリ選考へ
人虫
土の中から人が生まれたときには
ゾンビが人を襲う映画なのか?と思ったけれど
むしろ人畜無害。
わずかな期間しか生きられないのに
人に連れていかれ文字を覚え、人のために働く人虫。
人虫1号は恋をすることをやめた女性に恋をする。
人間よりも一途で。そして切ない。
ひと夏の恋よりもずっと心に残るお話。
出澤暁監督が登場されました。
出澤監督はステージに上がる前にものすごく緊張されていました。

独り暮らしをしているという出澤監督。
必ず家の中に入り込む虫は一匹。
二匹では来ない。
なぜ蜘蛛は外へ逃がすのに蚊は殺してしまうのか?
そんなことを考えたのがきっかけで
この話は出来上がったのですが
「人虫が土の中から出てくるあのシーンが何としても撮りたかった」
というだけあってインパクト絶大でした。
実家は長野で昔映画館を経営していたこともあり
小さな頃から映画を観ていた出澤監督。
自分の映画を撮りたくて会社を辞め、
映画を撮る勉強をされたそうです。
現在は次作の構想中。
「男の人が卵を産む話」というのが浮かんでいる。と。
いったいどんな作品ができるのでしょう。
出澤監督にしか出せない独特な世界観。
癖になるので次作も楽しみにしています。
上映後、ホッとした監督のお写真。

出澤暁監督
捨て看板娘
捨て看板ってなんだろうと思ったら
道の両脇の電柱によくくっついているあの看板のこと。
無許可で設置したり、放置すると条例違反になったりするって
それは知りませんでした。
捨て看板娘と昔言われた看板屋の娘・聡美は
地元にいるのが嫌で東京で働いていたが、
あることがきっかけで中之条町の実家に帰ってきた。
家の仕事を手伝うわけでもなく日々を過ごしている。
兄の隆一は文句を言うばかり。
逆に父親・将人は何も言わない。
不器用だけど妹、娘を思う二人。
これは一人の進む道に迷った女性と家族の物語。
川合元監督が登場。

脚本が書けたら会社を辞めようと決めて
書いた脚本が伊参スタジオ映画祭2013
短編部門のグランプリに。
映画化が必須な伊参スタジオ映画祭、
初監督だったこともあり、
川合監督はスタッフと中之条町の皆さんに
本当に助けていただいたと。
捨て看板はスタッフ、出演者総出の手作りで200枚!
貼るのを役場の皆さんが手伝ってくださったとか。
次作の脚本もすでに書き終え出品中とのこと。
次の作品も待ってます!
ピースで答えてくださった川合監督。しっかり映画祭のパンフも。

川合元監督
観客の投票で決まるグランプリ
観客が選んだグランプリ、準グランプリは…
グランプリ『10ミニッツ』
準グランプリ『捨て看板娘』
「どの作品も本当によくてきっとあれがグランプリだ
これがそうだと思ったりしていました。
よく、夢みたいですというと嘘っぽくとられてしまいますが
本当に今日は夢みたいです。ありがとうございます。」
長澤監督は嬉しさと驚きで、発表された瞬間、しゃがみこんでしまうほど。
主演のお二人もステージへ。

確かに長澤監督は他の監督さんに
「あれいいねえ、あの役者さんもね。」
と舞台袖で表彰式を待っている間にも色々声をかけておられたのです。
「レベル高いよ、本当にこの映画祭。」
と休憩中に私とも話をしていました。
下松のフィルムコミッションの方も客席で本当に喜んでおられて。
下松を知ってもらうためにきっと全国を飛び回っている。
同伴で来られていたフィルムコミッションの瀬畑さん、
おめでとうございます。
一緒にステージに上がっていただきたいくらいでした。
また次の映画もあるとのこと。
地元発信、地域発信の映画に最近すごくパワーがあると思います。
最後に知多半島映画祭プロデューサーの鈴木さんから
この映画祭の最終目標はフィルムコミッションの立ち上げという
大きな目標であることが語られました。

古きよきものがたくさん残る半田で
いつか映画を撮ってもらいたい。
監督達との出会いがまた新たな出会いへと繋がる。
半田で映画を作る。
大きな目標に向かって。
この映画祭をお披露目にできるそんな日も
そう遠くないのではないかと思います。
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