Cafemirage

Cafe Mirage--岐阜発 映画・エンタメ情報サイト

カテゴリリンク

EntaMirage! Movie 岐阜推し!

第1回加藤るみと映画館で会いましょう レポート

2018年3月17日、岐阜新聞映画部が企画したイベントが新たにスタート。
『加藤るみと映画館で会いましょう』
SKE48を卒業後、タレントとして活躍する岐阜県出身の加藤るみさんがおすすめする映画の上映とトークを行う企画だ。
第1回は『タイニー・ファニチャー』
地方では初公開となる作品だ。上映後のトークの様子をお届けする。
(聞き手・岐阜新聞東京支社後藤支社長)

共感できる映画『タイニー・ファニチャー』

後藤さん
「『タイニー・ファニチャー』は東京でもキネカ大森と下北沢トリウッド、渋谷TOEIで数回上映されただけだそうで地方は岐阜が初めてなんですよね?この作品を知ったきっかけは?」

加藤さん
「『タイニー・ファニチャー』は個人で買い付けも配給も行われて日本に入って来た作品なので観られるということがとってもレアです。それが岐阜で上映出来て嬉しいですね。その方たちは面白い映画を自分達で買って宣伝しているんです。しかも映画館でバイトしている方が字幕をつけているんですよ。その配給の方と個人的に知り合いで、その活動を知って私も多くの方に紹介したいと思ったのがきっかけです」

後藤さん
「インディペンデント映画ではありますがこういう才能を持った方はアメリカには沢山いらっしゃるでしょうね。るみさんが観るこの作品のポイントは?」

加藤さん
「ポイントはまず主人公がかわいくない(笑)しかも体型もだらしない。パンツ一丁で歩く。でもそれって日本の日常にもあることじゃないですか。姉妹とか女家族とかだと割と共感できるんじゃないかと。私もお父さん以外は女という一家で育ったのでこの作品にはわかるなあと思えるものが一杯ありますね。主人公はレナ・ダナム監督自身が演じていらっしゃって監督、脚本、主演とこなしています。
それと、作品がとってもウディ・アレンっぽいんです。アメリカの有名な映画の監督が『こんなウディ・アレンみたいな女性監督は初めてだ』と評価したぐらいです。評判はすごくいいのになかなか日本に入ってこなかったんですね。レナ・ダナム監督はドラマ『GIRL』という作品で評価されたんですが、この『タイニー・ファニチャー』で監督、脚本、主演をしたのが22才の時でちょうど今の私と同じぐらいなんです。自分で目的を持ってやるという力があるからこそできるんだとは思いますが凄いです」

後藤さん
「お母さん役は実の母親のローリー・シモンズさん。かのじょは有名な現代アーティストですよね」

加藤さん
「そうなんです。妹さんも実の妹さんが演じていて、本当の家族だから作品の中でも家族の関係性がしっかり見えるんですね。姉と妹の関係もリアルです。そしてアトリエや部屋もすべてが自分の家。裕福だからこんなに自分をさらけ出さなくてもいいのに自伝をもとに映画を作ってるんです。完璧な人生じゃない、付き合う男性はみんなダメダメで。でもお母さんが同じ経験をしている。人生失敗も必要だよってこの映画は教えてくれています。いいところも悪いところも描いていて素敵な作品です。撮り方も洗練されていてうまいです。1回見ただけではわからなかったことがまた観るとわかってくる、かめばかむほど味が出るスルメ映画ですよね。就職できずなんだかもやもやとしている気持ちってどこかで誰かも感じていると思います。私も14才でSKEに入って始めは研究生だったので舞台の裏で衣装のお手伝いをしている時もあって。その頃抱いていた思いを思い出す映画でもありました」

後藤さん
「るみさんはどうしてそんなに映画にお詳しいんですか?」

加藤さん
「母が映画好きで小さい頃から80年代、70年代の映画を一緒に見ているうちに自分も好きになっていました。出身が田舎なので映画館がなく、なかなか映画を映画館に観に行く機会がなくてレンタルショップでDVDを借りてたくさん見まくっていました」

後藤さん
「どんな作品を観ていたんですか?」

加藤さん
「映画にはまったきっかけは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でした。それ以外にも『羊たちの沈黙』やウディ・アレンの『アニー・ホール』とか、トム・クルーズ好きの母に『トップガン』や『カクテル』を見せてもらいましたが、本当にトム・クルーズかっこよかったですよね。あ、今でももちろんかっこいいですが(笑)。あの頃の映画が好きなのでリアルタイムで観られなかったのが悔しいんですね」

後藤さん
「るみさんの年齢から考えると古い作品を観ていらっしゃるんですね。ここCINEXはフィルムでの上映もできる映画館ですが、るみさんはフィルムでの上映は観たことがあるんですか?」

加藤さん
「あります。伊丹十三監督の『マルサの女』ですね。その時もフィルムが古くて途中で止まってしまったんですけどフィルムで観られて嬉しかったです。今の時代だとなかなか実現しないことなので。若い人たちにフィルムの良さを知ってほしいなと思います」

後藤さん
「なかなか渋いものをご覧になっていますね。他にも好きな作品はありますか?」

加藤さん
「後は『ニュー・シネマ・パラダイス』とか、『レインマン』とか、ラブコメディが好きなのでメグ・ライアンの『めぐり逢えたら』とかも好きですね」

後藤さん
「今の子にメグ・ライアンと言っても普通わかんないですよ」

加藤さん
「あの頃のメグ・ライアンのかわいさを観てほしいんですよね」

環境がよくなったからこそ思うこと

後藤さん
「東京に住んで何年ですか?」

加藤さん
「2年ぐらいになります。姉も先日までは東京にいたので2人で深夜0時過ぎのレイトショーを観に行ったりしました」
後藤さん
「新宿のバルト9とかは絶対に帰れないと思う時間から上映が始まりますよね。映画館も多いですし、上映回数も多いです」

加藤さん
「東京に行ってから映画を観る環境は断然よくなりました。だからこそこれが地方で観られないのかと思うと残念で、もっと地方でも観てもらいたいなって思うんです」

後藤さん
「これから公開のおすすめの映画は何ですか?」

加藤さん
「ウディ・アレンの新作『男と女の観覧車』これは絶対です。そしてアカデミー賞でも主演女優賞、助演男優賞を獲得した『スリー・ビルボード』これは公開中ですよね。『やられた!』と思うストーリーでした。時代背景もありますがどこにぶつけていいかわからない怒りというのがあります。そして『ナチュラルウーマン』」

後藤さん
「アカデミー賞で最優秀外国語賞を受賞したチリの作品ですね。CINEXでまもなく公開です」

加藤さん
「大分LGBTに対して理解されてくるようになった時代ではあるんですが、それでもこんなことがあるというのをしっかり描いてくれています。もっと差別がなくなっていくといいなと思います。強く生きる女性の目がすごくいいです。タイや台湾のアジア発の映画もいい作品があるのでどんどん紹介していきたいです」

後藤さん
「岐阜新聞映画部のサイトでも以前『すれ違いのダイアリーズ』を紹介してくださってましたね。るみさんのコラムを読んでそういう見方があるんだとまた新たに知りました」

加藤さん
「映画って他の人に知らされて良さを知ったり観てみようと思ったりするものですよね」

後藤さん
「日本の映画はどうですか?」
加藤さん
「先日『坂道のアポロン』を見ましたがこれはよかったです。少女漫画が好きで読んでいます。最近漫画の実写化が多いですが、漫画の方がいいなと思うものもあるんです。でも『坂道のアポロン』は漫画そのままという感じでおすすめできます」

観客から
「もし映画を撮るなら何を撮りたいですか」

加藤さん
「家族ものの映画を撮りたいですね。レナ・ダナム監督みたいにうちの家族もなかなか面白い家族なので自伝も入れつつ描いていきたいです。後はコメディも撮りたいですね」

後藤さん
「役者をやろうとは思いませんか?」

加藤さん
「私は演じることよりは観る方が好きなです。演じるよりは撮りたいと思います。いい映画がたくさんあるので宣伝されていない、いい映画を私がおすすめして知ってもらえるといいなと思っています」

これから加藤るみさんがどんな映画を紹介してくれるのか。第2回以降も期待したい。

イベント終了後、CINEXロビーにて

イベント終了後、CINEXロビーにて

-EntaMirage!, Movie, 岐阜推し!
-

おすすめの記事はこれ!

20230902_141200 1
ロイヤル劇場存続をかけてクラウドファンディング開始! 【ロイヤル劇場】思いやるプロジェクト~ロイヤル、オモイヤル~

岐阜市・柳ケ瀬商店街にあるロイヤル劇場は35ミリフィルム専門映画館として常設上映 ...

hamon12 2
第76回 CINEX映画塾 映画『波紋』 筒井真理子さんトークレポート

第76回CINEX映画塾『波紋』が7月22日に岐阜CINEXで開催された。上映後 ...

seiyou1 3
岐阜CINEX 第17回アートサロン『わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクションの舞台裏』トークレポート

岐阜CINEX 第17回アートサロン『わたしたちの国立西洋美術館 奇跡のコレクシ ...

doll5 4
女性監督4人が撮る女性をとりまく今『人形たち~Dear Dolls』×短編『Bird Woman』シアターカフェで上映

名古屋清水口のシアターカフェで9月23日(土)~29日(金)に長編オムニバス映画 ...

sister 5
映画『私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター』公開記念 アルノー・デプレシャン監督舞台挨拶付き上映 伏見ミリオン座で開催決定!

世界の映画ファンを熱狂させる名匠アルノー・デプレシャンが新作『私の大嫌いな弟へ  ...

bakanuri1 6
自分の生きる道を探して(映画『バカ塗りの娘』)

「バカ塗りの娘」というタイトルはインパクトがある。気になってバカ塗りの意味を調べ ...

bishu1 7
「シントウカイシネマ聖地化計画」始動!第一弾「BISHU〜世界でいちばん優しい服〜」(仮)愛知県⼀宮市にて撮影決定‼

株式会社フォワードがプロデュースし、東海地方を舞台にした全国公開映画を毎年1本ず ...

erithabeth1 8
エリザベート40歳。これからどう生きる?(映画『エリザベート1878』)

クレオパトラ、楊貴妃と並んで世界の三大美女として名高いエリザベート皇妃。 彼女の ...

mitoyamane4 9
ポップな映像と音楽の中に見る現代の人の心の闇(映画『#ミトヤマネ』)

ネット社会ならではの職業「インフルエンサー」を生業にする女性を主人公に、ネット社 ...

高野豆腐店の春_場面写真 10
豆腐店を営む父娘にやってきた新たな出会い(映画『高野豆腐店の春』)

尾道で小さな豆腐店を営む父と娘を描いた映画『高野(たかの)豆腐店の春』が8月18 ...

pabjyo5 11
映画『フィリピンパブ嬢の社会学』11/10(金)より名古屋先行公開が決定!海外展開に向けたクラウドファンディングもスタート!

映画『フィリピンパブ嬢の社会学』が 11月10日(金)より、ミッドランドスクエア ...

Yokosuka10 12
『Yokosuka1953』名演小劇場上映会イベントレポート

ドキュメンタリー映画『Yokosuka1953』の上映会が7月29日(土)、30 ...

Yokosuka1 13
海外から届いたメッセージ。66年前の日本をたどる『Yokosuka1953』名古屋上映会開催!

同じ苗字だからといって親戚だとは限らないのは世界中どこでも一緒だ。 「木川洋子を ...

youko4 14
彼女を外に連れ出したい。そう思いました(映画『658km、陽子の旅』 熊切和嘉監督インタビュー)

42才、東京で一人暮らし。青森県出身の陽子はいとこから24年も関係を断絶していた ...

egoist_5 15
第75回CINEX映画塾 『エゴイスト』松永大司監督が登場。7月29日からリバイバル上映決定!

第75回CINEX映画塾 映画『エゴイスト』が開催された。ゲストには松永大司監督 ...

komuragaeri14 16
映画を撮りたい。夢を追う二人を通して伝えたいのは(映画『愛のこむらがえり』髙橋正弥監督、吉橋航也さんインタビュー)

7月15日ミッドランドスクエアシネマにて映画『愛のこむらがえり』の公開記念舞台挨 ...

PSX_20230713_212926 17
あいち国際女性映画祭2023 開催決定!今年は37作品上映

あいち国際女性映画祭2023の記者発表が7月12日ウィルあいちで行われ、映画祭の ...

komuragaeri5 18
映画『愛のこむらがえり』名古屋舞台挨拶レポート 磯山さやかさん、吉橋航也さん、髙橋正弥監督登壇!

7月15日ミッドランドスクエアシネマにて映画『愛のこむらがえり』の公開記念舞台挨 ...

tooi3 19
彼女たちを知ってほしい。その思いを脚本に込めて(映画『遠いところ』名古屋舞台挨拶レポート)

映画『遠いところ』の公開記念舞台挨拶が7月8日伏見ミリオン座で開催された。 あら ...

MKE10-3 20
観てくれたっていいじゃない! 第10回MKE映画祭レポート

第10回MKE映画祭が7月8日岐阜県図書館多目的ホールで開催された。 今回は13 ...

1minutes_5 21
京都はファンタジーが受け入れられる場所(映画『1秒先の彼』山下敦弘監督インタビュー)

台湾発の大ヒット映画『1秒先の彼女』が日本の京都でリメイク。しかも男女の設定が反 ...

received_259295013361207 22
映画『老ナルキソス』シネマテーク舞台挨拶レポート

映画『老ナルキソス』の公開記念舞台挨拶が名古屋今池のシネマテークで行われた。 あ ...

PSX_20230429_093447 23
「ジキル&ハイド」。観た後しばらく世界から抜けられない虜になるミュージカル

ミュージカルソングという世界を知り、大好きになった「ジキル&ハイド」とい ...

math 24
『オールド・ボーイ』のチェ・ミンシク久しぶりの映画はワケあり数学者役(映画『不思議の国の数学者』)

映画館でポスターを観て気になった2本の韓国映画。『不思議の国の数学者』と『高速道 ...

nortoredame 25
全編IMAX®️認証デジタルカメラで撮影。再現率98% あの火災の裏側(映画『ノートルダム 炎の大聖堂』)

2019年4月15日、ノートルダム大聖堂で、大規模火災が発生した。世界を駆け巡っ ...

baby14 26
松岡ひとみのシネマコレクション  映画『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』 阪元裕吾監督トークレポート

松岡ひとみのシネマコレクション 映画『ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー』が4月1 ...

sidebyside1 27
映画『サイド バイ サイド』坂口健太郎さん、伊藤ちひろ監督登壇 舞台挨拶付先行上映レポート 

映画『サイド バイ サイド』舞台挨拶付先行上映が4月1日名古屋ミッドランドスクエ ...

zakodomo1 28
第72回CINEX映画塾 映画『雑魚どもよ、大志を抱け!』足立紳監督トークレポート

第72回CINEX映画塾が3月25日岐阜CINEXで開催された。上映作品は岐阜県 ...

mogiri1 29
片桐はいりさん来場。センチュリーシネマでもぎり(映画『「もぎりさん」「もぎりさんsession2」上映+もぎり&アフタートークイベント』)

センチュリーシネマ22周年記念企画 『「もぎりさん」「もぎりさんsession2 ...

PSX_20230319_165037 30
カンヌ国際映画祭75周年記念大賞を受賞したダルデンヌ兄弟 新作インタビュー(映画(『トリとロキタ』)

パルムドール大賞と主演女優賞をW受賞した『ロゼッタ』以降、全作品がカンヌのコンペ ...

feibru 31
アカデミー賞、オスカーは誰に?(松岡ひとみのシネマコレクション『フェイブルマンズ』 ゲストトーク 伊藤さとりさん))

松岡ひとみのシネマコレクション vol.35 『フェイブルマンズ』が3月12日ミ ...

son 32
親子とは。近いからこそ難しい(映画『The Son/息子)』

ヒュー・ジャックマンの新作は3月17日から日本公開される『The Son/息子』 ...

tyanomi1 33
先の見えない日々を生きる中で寂しさ、孤独を感じる人々。やすらぎはどこにあるのか(映画『茶飲友達』外山文治監督インタビュー)

東京で公開された途端、3週間の間に上映館が42館にまで広がっている映画『茶飲友達 ...

tyanomi5 34
映画『茶飲友達』名古屋 名演小劇場 公開記念舞台挨拶レポート

映画『茶飲友達』公開記念舞台挨拶が2月25日、名演小劇場で開催された。 外山文治 ...

ginpei8 35
第71回 CINEX映画塾 映画『銀平町シネマブルース』小出恵介さん、宇野祥平さんトークレポート

第71回CINEX映画塾『銀平町シネマブルース』が2月17日、岐阜CINEXで開 ...

gokudaru7 36
名古屋シアターカフェ 映画『極道系Vチューバー達磨』舞台挨拶レポート

映画『極道系Vチューバー達磨』が名古屋清水口のシアターカフェで公開中だ。 映画『 ...

wakareru 37
パク・チャヌク監督の新作は今までとは一味も二味も違う大人の恋慕を描く(映画『別れる決心』)

2月17日から公開の映画『別れる決心』はパク・チャヌク監督の新作だ。今までのイメ ...